2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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小川たまか氏(以下、小川):男性の(痴漢)被害も聞いてみると、けっこうありますよね。
田房永子氏(以下、田房):男性の被害、多いですよね。Yahoo!ニュースになった、小川さんがこのあいだ書いた、男性の被害の記事があったんですけど、それには、こういう所であったとか、何歳の時にと、いろんなケースが書いてあって。
それを読んでいて、私の知り合いの男性たちとか、過去の彼氏とか、友達とか、そういう人たちの話を遡ると、痴漢にあったことない男性としゃべったことがないんじゃないかというぐらい、みんなあっているんですよね。
私とか被害にあった女性と何が違うかというと、彼らは1回だけ2回だけで終わっているけど、私たちは継続的に日常的にあったことがあるというのが違う。けど、あったことがない男性はけっこう少ないというか、いっぱいあっているんだなと思ったんですよね。
小川:そもそも、私が男性の被害の記事を書こうと思った理由が、いろいろFacebookとかで自分の書いた痴漢の記事とか、性犯罪被害の話とかをシェアしていると、知人の男性から「実は自分も……」といった書き込みが、何度もあったんですよ。
知らない方からも、「自分は男性だけど被害にあいました」というコメントが届いていて、「男性の被害もたくさんあるな」と思って、それを6人分まとめて記事に出したんですよね。
女性が被害にあうのと男性が被害にあうのと何が違うのかというと、男性の場合は大体ネタにしているというか、笑い話にしてしまっているというか。「被害にあったときはとても衝撃的で、本当に気持ち悪かったけど、後にあると飲み会のネタにしています。ネタにすると絶対ウケるから。笑いがとれるから、話しています」というようなことで。
でも、1人だけとても傷ついている男の人がいて、その人はアンケートに答えてくれなかったですね。「これはもうちょっと答えられない」と言って。
前濱瞳氏(以下、前濱):話すのすら、嫌だということですね。
小川:なんかその人は1回だけじゃなくて、複数回あったんですよ。男性からそういう被害にあったから、悲しい話なんですけれど、「自分は同性愛者のことがどうしても許せない」となってしまっていて、「もう思い出したくもないし」と。
田房:被害というのは、実はとても大きいんですよね。私も32歳まで忘れちゃっていたんだけど、でもその間に、夜道を確認しながら歩くことが普通のことになっているし、暗いトイレとか行かないとかも普通に身についていて。
全然違うなと思ったのが、夫と引っ越す家を探しているときに、私は、玄関の入り口がめっちゃ気になるんですよ。奥まっていたりしたらそれだけで怖くて。今は、娘がいるからそういうのもあるけど、それが染みついていて。
「この家はいいけど、出入り口が暗い」とか言って、やめにしちゃったりとかして、でも、夫は私に説明されないと全然わかんないんですよね。「そうか、じゃあ、危ないからやめよう」とはなるんだけど。
そういうのが被害の1つだよなと思いますね。住むとこ変わっちゃうからさぁ。住みたいとこ住めないという。
前濱:私、実家に家族と住んでいるんですけど、未だに玄関の右側に、金属バットをいつも置いてあります。これ本当に大事で、駅から歩いて10分ぐらいのところに家があるんですけど、「ご新規のお客さん」と私呼んでいるんですけど、定期的にご新規の方が、お家まで付いてくるんですね、夜道を。
でも、あの人たちはどういう感覚になっているのか、家に入ろうとしてくるんですよ。私が玄関に入って靴を脱いでいると、ドア、ガチャガチャとやっていて、パッと見上げたら知らない男性がいるんですね。えっと思って。
そういう人たちは、本当にちょっと精神状態がおかしくなっているのか、こっちが「なんだ!?」とか言っても、すごく笑っているんですよ。
田房:そうね、うんうん。
小川:招き入れられたぐらいの?
前濱:そうそう、「俺を招待してくれた」みたいな感じになっているのか。仕方がないから、私は金属バットを持って、外に出るという(笑)。
田房:それでわかるの? やっと、バットで。
前濱:そうですね、もう、カラカラって鳴らして、振り回したことで。
田房:相手より、超変なやつにならないといけないんでしょ?
前濱:そうそう、そうなんです!
田房:超思い出した! 私も24、25歳ぐらいのときに、新大久保らへんに住んでいたんですよね。毎日すごく暗い道を歩かないといけなくて、イヤホンして、音楽聴きながら、ずっとこうやって、踊っているのかなんなのかわかんない人になって(笑)。こうやって帰らないと、怖くて。
(会場笑)
田房:これリスク、すごく高いじゃないですか? 出会いがなくなるでしょ(笑)。「あの子可愛いな」とか、なくなるじゃないですか(笑)。相手以上に変な人になるというのは一番対策かもしれない。
前濱:多分、動物的な感覚になっているからか、動物的に危険だと思わせないと勝てないんですよね。
田房:なんで、そんなのをこっちが身につけなきゃいけないのかというのは、まずありますよね。
小川:バットをカラカラって鳴らすとか、もうヤンキーですよね。
(会場笑)
田房:『ROOKIES』みたいな(笑)。
前濱:コンサバな服を着ながらやっていますからね(笑)。
田房:言っちゃなんですが、超怖いですね(笑)。でも、それで退散できたんだからよかったけども。向こうの頭の中がめちゃくちゃなことになっていますからね。
前濱:小川さんも、加害者の人にも取材されるんですよね?
小川:私は直接加害者の人と話したことはなくて、加害者をカウンセリングしている男性とは、話したことはあるんですよ。加害者と直接ということなら、田房さんが取材をしていて。
田房:そうですね。
前濱:みなさん、自分の中でフィールドができているみたいに言いますよね。「誘っているから行った」と。
田房:私はそういう感じがしますね。今まで、いろいろな本とか、専門書とかの加害者の様子とかを書いたものを読んだりとか、元加害者の人に話を聞いたりしていると、加害者の人たちは、全然違うことになっちゃっているんですよね。
自分の別の映像が見えちゃっているというか、勝手に自分のいいように解釈しちゃうんですよね、多分。声を出せないというだけでも、ただ恐怖で声を出せないだけなのに、OKなんだと思うんですよ。
「抵抗しないイコール俺を受け入れているんだ」と思ったりとか、普通だったらこうだろうということが、もう全然めちゃくちゃになっているから。
というのを、私が中学生のときに、大人が誰も教えてくれなかったんですよね。なんでそんなことするのかわからないということは、めちゃくちゃ怖いですよ。なんでやっているのかわかれば、対策がとれるんだけど、何がなんだかわかんないから。
だから、私はまず「加害者はなんでそんなことするのか」というところから始めないと、痴漢の撲滅というか、その対策をとれないなということで、加害者のことを調べたいなと考えているんです。
田房:2ちゃんねるとかの痴漢の人たちが集まる掲示板とかに、「痴漢OK子」という用語があるんですよ。それは痴漢をされたい子のことなのね。
前濱:そんなのあるんですか?
田房:そう。「今日、痴漢OK子見つけたぜ」とか「俺も探し出すぜ」というような感じで。なんか、もうロマンとして語られているんですよ。釣りとかと同じなの。「幻の魚釣るぞ」みたいな。それと同じで。
今日は狙いを定めたところ、ポイントに魚がいたという感じで、「あの子だったら大丈夫」という、さわったら全然抵抗しなかったから「俺の読み当たった! 達成感!」というのがあるんですよ。
それは元加害者の人に聞いたんだけど。だから、そういうのが繋がって、彼らは「中には痴漢をされたがっている子もいるから、俺が探し出してやる」という感じなんですよ。あいさつの代わりというか。
「君はOKかい?」ぐらいの感覚なんですよ。てか、そういう感覚じゃなかったら、電車の中で知らない人にさわれないですよ。確信がないと。いくら性的に興奮していたって、さわったり、何か性的なアクションを起こすことは、できないと思うんですよ。
だから、その変な確信を持っているというところが、彼らの異常な部分だと思うんですよね。
小川:痴漢抑止バッジのニュースが出たときに、私は効果があると思ったんですよ。でも「こんなんで効果あるの?」という人もいて、そこで真っ二つに意見が分かれていて。
「こんなんで効果あるの?」と言っている人たちは、「男の性欲って、そんなんムラムラしたら止まらないでしょ?」と思っているんじゃないのかなと思うんですけど。
田房さんがおっしゃるように、性欲が止まらなくてやっているわけじゃなくて、本当に理性で「この子いけるかどうか」と、選んでやっている。そういう理性はちゃんと働かせてやっている人のほうが多いんじゃないかなと思って。
これ、NHK「あさイチ」に痴漢抑制バッジが取り上げられたときの写真ですけど、この福井さんという、加害者をカウンセリングする精神科医(注:性障害専門医療センターSOMEC代表理事、福井裕輝氏)の方が話した。
「加害者の思考としては、強く抵抗しないのはかまわないと思っているから、本当に嫌ならば意思表示するはずだという思い込みがある。バッジは先回りして意思表示をしているわけだから、だから、効果があるんですよ」。
精神科医の方が来て説明しないと、そこのところをやっぱりわからない方もまだいるかと思って。
前濱:痴漢と一言で言っても、いろんな手段があるというか、さわってくる以外にもいろんなことがあって。昔あったのが、自転車をいつも駅前に停めているんですね。私の自転車のサドルと手で掴むところに、男性の精液がベトベトについていたことがあって。
そういうのって、遠くから見て「ヤダ、キャー!」と言っているのを見て、とても興奮するというのを読んだことあるんですね。
私は「逆に動揺したくない」と思って、なんにもない振りでふーっと行ったんですけど。拭かないで普通に乗りました。
さわってくるのは、まだふれるじゃないですか? でも、そういう自分がやったことで独占欲じゃないけど、何かまた別のものもある人がいるから、どれから抑止していけばいいのか。1個1個やっていかないと。
田房:このバッジに関しては、電車の中ではとても効力あると思う。他のこともまだまだいっぱいありますからね……。
前濱:そうなると、「男性の性欲というのも理解しろ」と言う人もいるじゃないですか? 理解した上で、さらに何ができるんだろうと、いつもけっこう悩んでいるんですよね。
小川:見せてくる人もいますもんね?
前濱:そう、いますいます。で、私がひどい暴言を吐くと、逆に喜ぶ。
田房:もう、どうにもなんない(笑)。
(会場笑)
田房:それで、痴漢にあったほうが悪いようになっちゃうから、本当にひどい話。
前濱:お前が誘っているんだろ、ぐらいの。
田房:それは仕方ないよ、とかあるじゃないですか。「そりゃ、ミニスカートはいていたら、仕方ないよ」といった風潮があるじゃないですか。あそこですよね。まず、そこがズレているから、何話しても、そこから動かないということになっちゃっていますよね。
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