2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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田房永子氏(以下、田房):みなさんの話を聞きたいなと思って。今日、これだけは生で言わせてくれという人がいたら、手を挙げてしゃべってください。
質問者1:強い主張というわけではないんですけれど、女の子と男の子の子供がいるんですけど、女の子の子供は生まれたときに、いきなり心配が生じたんですよね。本当は喜ぶべきことなんですけど、痴漢のことが頭に浮かんで。
男の子のときは何も心配がなくて、よかったと思って。女の子のときは心配が始まったという感じだったんです。今回のバッジのことも、とても応援したいと思っているし、クラウドファウンディングもしたんですけど。それらの運動をなるべく応援していきたいと思います。
田房:自分が被害者だったというのも、納得できない部分があるから、その活動でもあるんだけど、自分の子供をどう守るかということも、また別の問題として、とても大きい。
あと、自分の子供だけじゃなくて、私の近所とかでも、女子高生って、キョロキョロしているんだよね。後ろを見ながら、夕方とか1人で歩いている子は、絶対そうだと思うんです。男の子は、そんなキョロキョロしている子いないから。そういうのも、どうやってその子にアクションを起こせばいいのかも、日々考えている。
小川たまか氏(以下、小川):私は、子供が生まれたら、柔道や合気道、空手とか、女の子に習わせたいんですよ。それで全部防犯できるとは思わないんだけど、強くなってほしいと思って。それを男の人に言うと、「なんでそんなかわいくないのを、わざわざ習わせようとするの?」と。
田房:うん。
小川:やっぱり、男の人と女の人で親になったときも、危機感は違うのかなと思ったりします。お父さんとお母さん、女の人でも自分がそこまで被害にあってないと、実感わかなかったりするんです。
前濱瞳氏(以下、前濱):私も、今、美女会という組織を自分で持っているんですけど、痴漢や性犯罪の被害について発信する目的を、自分が受けている被害をなくしたいためだと思われることはあると思うんですけど。でも、自分のこと以外に、女性として子供を将来生んだときに、その子供をどうやったら守れるかということを、今、とても考えているんです。
自分だけの問題じゃなくて、男性の方もそうですけど、自分が父親になったときに、自分の娘ちゃんを同じような気持ちにさせない。どうやったら守れるかという部分を、本当に考えていただけたら嬉しいなと思って、私はそういう意味でもこのイベントでお話しさせてもらっています。
田房:今の時点で「そんなのないよ」と言っていたら、子供も本当のこと言えないですよね。その辺を変えるのが、大人の仕事なのかなと思いますね。
小川:私も親に1回も言ったことがなくて、警察にも言ってないし、親にも痴漢被害は一度も言ったことないんですよ。だから、親も知らなくて。親に言ったら親が傷ついちゃうじゃないですか? だから言えないというのも、子供にはあったりするので。
田房:親もどうしようもないんだよね。どうしようもなさというのは、自分の不甲斐なさが怒りとなって、子供に対して、「あんたに隙があるからよ」という言葉になるんだと思うんだよね。大人同士で何か対策を考えて、そう言われたときにどう返すかとか、言われたときにどうやって警察に相談すればいいか、マニュアルというか、それ自体、今、ないでしょう。そういうのは重要だと思っています。これからの活動の課題になるんだけど。他にありますか?
質問者2:今の話とちょっと近いかもしれないですけど、学校で教育がされてないというところで、私も痴漢について、何か聞いた覚えは全然ないんですけど、じゃあ学校教育に持ち込もうとなると、女の子だけ集めて、「男の人は性欲があって、危険なことがあるから気をつけなさいね」という話になりがちかなと思っていて。どういう教育をしていけば、痴漢をしない男になるとか、痴漢から逃れられるのかなと思うんですけど。
田房:男の子にも教えないといけないと思うんですよね。見るのはいいことだってなるじゃないですか? まず、女の子の体を見ることはいいことであり、男としていいことだということで、そういうのをセクハラにすごくつながるのに、そこを肯定されちゃって。
男の子たちも、そのまんま生きてきたのに、突然50歳くらいで、いつも通りやっていたことで、いきなり左遷とかで九州まで飛ばされるわけじゃないですか。
(会場笑)
田房:私、本当にかわいそうだと思うんだよね。何も教わっていないおじちゃんたちが、そういう「セクハラしたら人生棒に振る」という言葉だけで説明されるじゃない?
何がいけないのか、自分がどういう行動をしているのか、まったく知らされてなくて、いきなり罰だけ与えられるのは、普通にその立場になったら、かわいそうだと思うんです。そこは、小さい頃から教えないといけないんだよね。
でも、今の話だと、「リベンジポルノもやっちゃいけないよ」と、男子高校生に教えているって、愛知かな? 高校のニュースがあったけど、その教頭先生が、「そういうことをして、人生を棒に振らないために、ちゃんと学んでもらいたい」とか言うんですよ。人生棒に振るからやめるんじゃねえんだよ。
小川:女の子の人生を壊すから。
田房:女の子の嫌なことをしている、女の子の尊厳を奪う窃盗とか搾取をしているんだということを、まず教えないといけないのに、「こういうことしたいよね、君たち。でも、しちゃうとこんな罰があるよ」という教え方しか、今、大人の男の人たちはできないんです。
前濱:外国のイギリスの方だと、紳士学じゃないけど、レディーファースト、どうやったら女性を大切にエスコートできるかという授業をやる国があると思うんです。
だから、もちろんこういうことをやると女性が悲しむからやっちゃいけないよという話も、もちろんいいと思うんですけど、逆にそういう外国のレディーファーストの仕方とかをきちんと教えていけば、もっと自然に減ってくんじゃないかなと、私は少し思います。
田房:ないですよね。なさすぎじゃないですか?
小川:前に取材相手の人から聞いた話があって、日本では人の行為はありがたく受け取りましょうというのがあるじゃないですか。
子供に対する教育で、アメリカはハグ文化だから、ハグを教えるときに「誰かにハグされそうになったときに自分がハグしたくなければ、それを断る権利があなたにはあるんだよ」ということも、同時に教えると言っていて。
しかも、そのハグを拒否されたほうも、「あなたはそれで傷つく必要はないんだよ」ということも、同時に教える。「あなたは人から好意を受けたら、受け入れなさい」という教育ではないというのを聞いて。
田房:日本は「男ならハグしたいよね。していいんだよ」と言って、そこで終わりですよね。
小川:「スカートめくりするもんだよね」という。
田房:あと、このあいだ、国連で発表されたのがあったじゃないですか? 日本の女子学生は13パーセントが援助交際に関わっているというような発表をして、あれがものすごく炎上していて。(注:2015年10月、国連の児童問題に関する特別報告者のマオド・ド・ブーア=ブキッキオ氏が、日本記者クラブで、その旨を発言した問題)。
(参照:【全文】「女子学生の3割は援交をやっている」国連特別報告者・ブキッキオ氏が訪日会見)
私は国連というのがよくわからないから、13パーセントがどうなのかその辺はよくわからないんだけど、その国連の発言にネット上で反発している人たちの勢いがすごすぎてびっくりした。
ひげのなんとかという自民党の人は、「これは日本の名誉に関わることです」って、めっちゃ怒っているんだよ。いやいや。援交が13パーセントかどうかはわからないけど、これだけ痴漢はあるんだよ? あの13パーセントというのは、日本の未成年が性的に搾取されてることを表した数字だと思うんだよね。
女性専用車両のことすら、外国人にちゃんと説明できないのに、国の名誉のところだけ、いきなり「俺らは自分の国の女たちを傷つけていない」といったことはすぐ主張できる。本当にその辺の認識がまずおかしいなと思う。
小川:痴漢被害の話をしていても、「諸外国ではレイプが普通だから、痴漢くらいのことで話題になっている日本は平和ですね」ということを言う。
性犯罪が少ないというのは、暗数がものすごく多いので、レイプにあっても、痴漢被害にあっても、強制わいせつされても言わない人というのも多いので、言わせなくしいる風潮に気づいてもらわないといけないと思います。
田房:「冤罪」という言葉で言えなくなるでしょう。私が中学校のときは「冤罪」という言葉がなかったから、けっこう言えたんです。それでも言えないけど、でも私はあのとき冤罪という言葉を知っていたら、とても言いづらかったと思うんです。大人のそういう論争に巻き込まれるのは怖いしね。
質問者3:先ほどのアンケートを書いた者です。男性の理解枠についてどう思われているかを聞きたくて。私はすごく怒ってしまうのですが、先ほどお話では、エンタメの要素が必要だとか、過剰な怒りをもってしゃべると伝わらないことがあると話されていて、それには同感です。私も怒ってしまったりするんだけど、それで心を閉ざされたりされるので。
「社会の中には、男の人にそういう問題を考えさせる力のあるものはないから、君の想像能力を今までその問題について働かせてこなかったとしても、君だけのせいだけではないけど、中にいるんだから、ちょっとは責任を取ってこういうのも読んでみて。じゃないと、どこかで人のことをまた踏んでしまう」とか、言うんですけど、それすら受け取ってもらえないことがあって、そうなると理解する気がないんだなと思って、縁だとか全部切りたくなるんです。それだと「周りの男は全員死罪だ」とか。
(会場笑)
質問者3:「若いから、すごく怒っているんだよ」とか言われるんですけど、それだけじゃなくて、私が40代になっても同じ怒りをずっと持ち続けるんじゃないかと思います。怒っちゃいけないと、ずっと譲歩して、親切にやっていても、聞いてもらえないと、「わかってもらえなくてもいい」とか、絶望しちゃって。わかってもらおうとしている労力もとても注いでいるわけです。
私、異性愛者なんですけど、同性愛者もいるし、いなくてもいいんですけど、差別について考えるとかって、自発的にやったりする可能性だってあったわけじゃないですか? でも、全然やらなくても問題だとは思っていないんだなと思って。
そういう絶望とかも、多分、田房さんとかも実感されていると思うんですけれど、エンタメやっているときに葛藤はないですか? 楽しませる部分ですらコストなんじゃないか、搾取されているんじゃないかとか。
田房:私も20歳から32歳ぐらいまでのあいだに、こういうイベントしていてアレなんだけど、その時期に男性向けのエロ本で仕事していたんですよ。
そういうところで使えるんですよね、自分の経験がさ。お金になると言うとアレだけど、そういうのを私は他の人はどう思うかわからないけど、私は搾取だと思うね。男社会から痴漢にあって、さらに痴漢にあったことのエピソードが、男の人を喜ばせるネタになる。
そこで、それを還元して、男の社会からまたお金をもらうという。どれだけ、私は男社会に生かされているんだというので、本当にうんざりしたんですよ。30歳くらいになったときに。
でも20代はそのようにしか生きられなくて、他にお金もらえるものがなかったから。別に痴漢の話ばっかり書いていたわけじゃないけど、今も同じエピソードを話すにも全然違うんですよね。
前は「こんなことあっちゃいました。てへ」といった感じで書かないといけなかったり、そういうのもずっと搾取されているなって。痴漢被害をリアルタイムであってなくても、ずっと搾取されている感じがあるんですよね。
田房:絶望というのは本当にそうだと思うし、このように怒りを持って言ったり、エンターテインメントとしては、私の場合は年齢が経たないと無理だったから、35歳をすぎてやっと言えるというか。
なんで言えなかったかというと、エロネタとしては書けるけども、怒っている話をネットに書くのは、超怖かったんです。それはなんでかというと、それを読んだ人がそれをネタにオナったりするんじゃないかという怖さ。
さらに「女子高生ってそんなに痴漢にあっているんだ。じゃあ俺もやってみよう」と思わせちゃうんじゃないかというのが、超怖かったんですよ。そこが本当に怖くて20代の頃は絶対に言えなかった。エロ本にしか書けなかった。そういうごちゃごちゃしたのがあって、やっと35歳を過ぎて言えるというのがあるから、それもすごく皮肉な話なんだけど。
でも、だから35歳を過ぎて言えるようになったから、言わないといけないなと思うんですよね。今も20代の女の子で、「男の人にさわられてもしょうがないじゃん」と考えている人は、いっぱいいるじゃないですか。
そういう人には怒れないんだよね。「そんなこと思っちゃいけない。あなたの権利を大切にしましょう」とは、ちょっと言えないですよね。自分がそのように男社会で生きてきたから、そこをどうするか、また考えなきゃいけないなと思います。
小川:その「若いうちだから、怒っているんだよ」というのは絶対に違っていて、年を取るごとに怒りが増します(笑)。
田房:そうだよね。怒っている団体っておばあちゃん、超多いもんね。
小川:おばあちゃんになったからようやく言えることもあるし。怒っても伝わらないし、なだめすかしてもだめだしという絶望は、毎日あります。いろんな方法でやっていく人がいるから、怒っちゃだめだとは絶対に思わないです。
「怒ってもしょうがないじゃん」とか「怒ったら男の人はわかってくれないから、なだめすかしながら、機嫌とりながらやろう」とか、それだけが正しいとは思わない。別に怒ってもいいと、全然思います。
田房:今日、この場に来ることが、活動の1個になってよかったってアンケートに書いてくれた人がいて、超嬉しいなと思って、私もなにかしたくても、活動を起こしている実感がなかったんですよ。2011年頃は書くしかなかったから。
そういうのでこのイベントはとても重要なんだなと思ったし、やっていることに実感を持ったり成果を感じたりしないと、モチベーションは続かないから。私もさっきチラシに書いたホームページに、メールフォームがあるので、もし今日のこととか、言えなかったことがあったら、ぜひメッセージを送ってほしいです。
小川:他には大丈夫でしょうか? そんなところで、長々、みなさんどうもありがとうございました。これで終了とさせていただきます。
田房:ありがとうございました。
前濱:ありがとうございました。
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