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アジャイルとは、ソフトウェア開発のプロジェクト管理において、柔軟性と速度を重視する手法(全1記事)

変化の早い時代は「リリース→バグ→修正」で完成度を高める 「ポケモンGO」に見る、アジャイル開発の極意

新刊『時短の一流、二流、三流』が好評の越川慎司氏が開設するVoicyチャンネル「トップ5%社員の習慣ラジオ」。今回は「私のキャリアは運命の出会いで磨かれた」と題した放送回の模様をお届けします。ソフトウェア開発で注目され、さまざまなビジネスシーンで活用できる2つの手法を紹介しました。 ■音声コンテンツはこちら

ソフトウェア開発で注目された2つの手法

越川慎司氏:今回は「アジャイル」と「スクラム」について、ご紹介します。共にソフトウェアの開発手法として有名です。2000年代に世の中の変化が激しくなったことで、要件定義から検証、テスト、リリースまで時間をかけてしまうと、変化に対応できなくなるというものですね。

例えば家庭用ゲーム機。「PlayStation」や「スーパーファミコン」「NintendoSwitch」「Wii」といった据え置き機は、3年から4年かけて新しいものが出ます。例えば「PlayStation3」が出て、次の「PlayStation4」が出るまでは7年かかりました。ただ、この間に世の中が変化しちゃうんですよ。スマートフォンもこんなに普及したり、ライバル企業が違うタイプのゲーム機を作ったり。

そこで、しっかり作るというよりも、変化に柔軟に対応するという意味で、アジャイルというソフトウェア開発手法が広まりました。

それから転じて、製品の製造ラインやビジネス全般においても、「アジャイルのほうがいんじゃないか。ゆっくり丁寧にコツコツと時間をかけるのではなく、さっさと作って出してさっさと修正するほうがいんじゃないか」というのが、今は主流になっています。

先ほどのゲームの例で言うと、壮大なゲームのタイトルを作り、みんなですごいドキュメンテーション(基本設計書)を作って、ウォーターフォール型(縦型)で上から水が落ちてくるような開発体制で、何百人・何千人で開発して、3年から4年かけてリリースした。でも、時代から取り残されていたというものが、どうしても増えてしまいます。

なので、バグがあっても不具合があっても、先に出して、フィードバックをもらう。“永遠の試作品”として、フィードバックと修正で完成度を高めていく。

不具合の修正で完成度を高めることの価値

『仕事は初速が9割』の本の中でもご紹介したように、「ポケモンGO」なんて、バグが出まくりの状態でリリースしていますからね。今は「PokemonSleep」がすごく流行っていますが。

「ポケモンGO」は、「数ヶ月単位でリリースしてバグが出たら修正して」みたいなかたちで、1ヶ月で5千万人くらいユーザーを取り込みました。取り込んだ5千万人のユーザーからフィードバックをもらって修正していくことで、多くのユーザーの要望に応えることができます。まさにこれは、共感・共創のモデルですよね。

みなさんが、職場、家庭、子育て、家事の中で、共感・共創してみたければ、まずはアジャイルをやる。初速で9割決まりますから、まずはやって、修正するということですね。修正するために、フィードバックをもらうということです。

ドキュメンテーション(仕様書)を作るのに時間をかけても、精度は高まらない。つまりPDCAの「P」のところは小さく、まずは「Do」する。そして「C」が重要です。自分でもフィードバックして、他者からもフィードバックをもらう。それで、修正する。この修正が「アップデート」ですね。アジャイルの仕組みは、さまざまなシーンで活用できると思います。

社内会議の内職率が41%と高い理由

それからスクラムです。スクラムを聞いたことがある方はいますか? これはラグビーのスクラムと一緒で、少人数でガッツリ組んで、みんなで進めていくプロジェクトの管理の仕方として普及したものです。

100人、200人の大人数でやるより、だいたい7人くらいでみんなでガッツリ膝を突き合わせて、意識合わせして進めていくかたちです。これは分散型自律組織として、今後注目されるのではないかと思います。

ポイントは、全員がオーナーシップを持つことなんですよ。小グループというのが重要です。例えば社内会議は、内職率41パーセントです。41パーセントの人は聞いていません。それは、当事者意識を持っていないからです。

でも、集団バイアスというのがあって。例えば8人以上で仕事をすると、「私がサボっていてもわからないよな。別に社内会議で内職しても気づかれないよな」という集団バイアスが効いてしまうんです。

だから7人。マジックナンバー7です。グループワークとかスクラムとかプロジェクトのいわゆる最小ロット・最小チームを、7人以内にするということです。

例えば「Teams」とか「Zoom」で、ブレイクアウトルームというグループワーク機能がありますが、7人はうまくいきますよ。全員発言します。7人だとサボりようがないです。7分の1で影響力がありますからね。なのでプロジェクトは7人以下で、全員がしっかりと当事者意識を持って、ちゃんと役割を明確にして、やり方を任せる。そうすると、個々人のコミュニケーションが活性化するんです。

自律型分散組織の特徴

オーナーシップ、そして巻き込み力を高めて、みんなと一緒に進めていくという7人チーム制ですね。このスクラムという考え方は、すごく重要です。

私はプレミアム会員と、「感謝のオンライン会」という謝恩会をZoomミーティングでやって、参加者の方も映像・音声を出して、グループワークをやりました。その時も7人以下でした。そうするとみなさんから意見が出て、自己紹介も非常にスムーズにいきました。そして「はい、メンバーを変えます」と。これはオフ会でもやりましたよね。

こういった7人の中のグループで、役割・責任を確認し合いながら膝を突き合わせてスタートする。これをスクラムと言います。チームミーティングというよりもスクラムと言うほうが、ガッツリ組んでいる感があるでしょ?

このスクラムは、みなさんのチームでもできると思います。もし14〜15人いるチームであれば、5人のチームを3つ、もしくは7人のチームを2つとかね。小グループでやって、それぞれで出た意見・進捗を共有し合ったほうが、実は全員が当事者意識を持って、短い時間で成果を出し続ける組織になる。これが、自律型分散組織の特徴です。

修正して完成に近づけていくアジャイル、そして7人以下でオーナーシップを持ってコミュニケーションを活性化して進めていくスクラムを、ぜひみなさんの業務でも役立ててみてください。

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