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メルカリのミッション達成への道筋(全2記事)

メルカリ小泉文明氏が語る、会社のミッション達成に近づけない新規事業の撤退判断

2018年7月24日、エビススバルビルにて「THE BUSINESS DAY#2 presented by Mercari」が開催されました。これは、ビジネスおよびコーポレート系の業務に携わるビジネスパーソンを対象に、新たな知見や最新トレンドなどを共有するコミュニティイベントとして株式会社メルカリが企画。本記事では、最後のトークセッション「メルカリのミッション達成への道筋」の後半の模様をお送りいたします。

メルカリに優秀な人が集まるのはなぜ?

奥平:メルカリはよくゴールデンチームとか、メンツが豪華とかメディアも取り上げていろんな言われ方をしていますけれど、どう採ってきているんですか?

人によっても違うと思うんですけど、今でこそ有力なスタートアップですが当時まだ有力じゃないわけですよね、その時からそれなりの人をたくさん採ってきたというのが。

小泉:そうですね。そういう意味でいうと、最初のフェーズは基本的には元部下か近場ですね。ぜんぜん会社名は有名じゃないので。次のフェーズで何をやったかというと、やっとエージェントコミュニケーションをやり始めたんですね。

なので、エージェントの方々を呼んで勉強会をやってどういうビジネスをやっているか説明して母集団を作っていくと。CMをやって2ヶ月、3ヶ月経ってくると、かなり業界の中でも、名前も知れてくるんで、ここから初めてブランディングを意識し始めるという。

なので、自分たちでブログっぽいことをやり始めたり、リファラル採用もこのへんから徐々にやり始めたという感じなので、フェーズによって、採り方を変えていくという感じですかね。

すごい大事なのは経営陣がコミットしなきゃいけないということなので、「メルカリさん、リファラル採用が何でそんなうまいんですか」って話をされるんですけれども、リファラルはフェーズ1、フェーズ2があるんですよ。フェーズ1は経営陣がやる。

けっこうフェーズ1から社員経由にリファラルを増やしたいって経営者多いんですけれども、社員もリファラルのやり方わからないんですよ。なので、経営陣がまず1年くらい必死にやると。

メルカリも最初の1年くらい、このときは社員経由というのはほぼ0です。ほとんど経営陣のリファラルばっかり。フェーズ2に入ってくると、リファラルで入った社員が増えてくるんですよ。そうすると、自分もリファラルで入ってきているんで誘いやすい、みたいな、

奥平:やり方がわかる。

小泉:そうですね。あとはバリューがあるから、会社は何を大事にしているのっていうときに、働き方のバリューで説明できる。

15時になったらFacebookを覗く小泉氏

奥平:経営陣の時間の使い方としてもリファラル含む採用というのは、相当、最初占めてたんですか?

小泉:占めてますね。未だに僕、15時くらいに、ミーティングがない時はFacebookとか張り付いて見てますね。だいたい上場企業の役員って、場(証券取引所)が閉まってから退職報告する傾向がありまして、だいたい15時から15時半にあげるんですよ。退職レポート、退職報告。

小泉:今日登壇したあるメンバーも15時過ぎくらいに退職しますって出たんで、速攻メッセージ送るみたいな。僕ら自身が最初に声かけて、ご飯行って話しかけて。

僕らが大事にしているのは、あまり「来て来て」というよりは、まずはその人にどういうキャリアを歩みたいのか、どういう夢を持っているのかとか、本人の希望を聞くようにしていますね。聞いた時に、あ、ちょっとうちと違うなって思った時は、しれっと、「じゃあ、お疲れさまでした」って感じで、ランチで終えちゃいます。

その方のキャリアパスが、メルカリの未来であるとか働き方と非常に近しい、シンクロしてる場合に初めて、「うち、どう?」って言うようにしているので、一回、最初に聞くっていうことを大事にしていますね。

奥平:実際、社員の方に話を聞くと、やっぱりまさにFacebookに退職、会社辞めますってポストしたら、速攻メッセンジャーが来たって、けっこういるんですよね。だからみなさんに、それをやっていると。

小泉:そうですね、みんなしてます。

奥平:しかも15時以降に見るところが、効率的であると。

小泉:統計的に(笑)。出やすい。

奥平:統計的に。これ、今日ひとつ、いい話聞きました(笑)。

トライ&エラーで最適点を探っていく

奥平:そうこうしているうちに、国内が伸びてきて、USのタイミングがあるんですよね。

小泉:はい。USローンチしたのが、2014年9月。最初は、決済をペイパルにしたり、配送をUSPSに変えたくらいで、基本的にUIは日本と一緒にしていたんですね。

ただ日本の経験から、ある程度、マーケティングはお金使うなっていうのを思っていたので、2016年10月から日本で手数料を取り始めて、さらに追加で23億円強の資金調達してみたいなことをやって。きっちりお金を確保して、アメリカにチャレンジしようということを考えたということですね。

奥平:コーポレートの視点から見ると、海外展開する場合に任せすぎると暴走するリスクがあるし、全部こっちから箸の上げ下ろしまで指示してしまうとなかなか回らないっていう。

そのさじ加減ってあると思うんですけど、そこっていうのは、なんらかの参考になる事例があったりしたんですか。それともトライ&エラーで最適点を探っていくっていう作業なんですか?

小泉:基本トライ&エラーですね。直近でいうと、John LagerlingがFacebookからメルカリに入ってきてくれて、やはり彼のビジネススキルやこれまでの経験というところでいうと、非常に安定感があります。

奥平:ちょっと質問を見ていきましょうか。若手の育成法という話、若手の教育についてうかがいたい。この規模の会社としては早い時期に新卒採用を始めてますよね。

小泉:規模は大きくないですがやってますね。

「本質的なところで評価される会社」というブランド

奥平:普通は経験者を採った方が効率いいと思いますけれども、採用はただ採ればいいだけじゃなくて、当然、教育制度があったり、なかなか手間がかかる話だと思うんですけど、その辺はどういう意思決定で、あれだけの早いタイミングで新卒採用に踏み切ったんですか?

小泉:逆にいうと、最初の頃の新卒の採り方は、メールアドレスとGitHubやデザインポートフォリオなどのアウトプットのわかるもの、以上。要は名前もとらない、学校名も何もとらない。

超実力主義っていう考え方だったんだけど。僕ら教育できないんで新卒採用するんですけど、まさしく、Go Boldに、こんな2行しか書くことのない会社にチャレンジする若者が欲しいなと思って、Googleフォームで作って、やったって感じですね(笑)。

奥平:実際、それで入ってきた人っていうのは、戦力化できたんですか?

小泉:やばいです。やっぱりGitHubを見ているんで、ある程度プログラミングのスキルっていうのは判断できるので、あと逆にいうと中途の人たちに、こういうポリシーの会社いいよね、みたいなバズがちょっと起きて、それが狙い通りですね。

やっぱり本質的なところでちゃんと評価される会社っていうのをブランドにしたかったので、そういうスタートをしたと。去年の途中くらいから、徐々にインターンもしっかりやりはじました。ただ、インターンについても、まさしくGo Boldのプログラムっていうことで、アメリカの50の州に100人派遣しますみたいな。

ネガティブを受け入れながらも、本気でメッセージングを行う

小泉:基本的には、単体で見たら確かに非効率だったり、コストが高いかもしれないですけどそこは本気でグローバルやっていくっていうメッセージングを含めた上での考え方の元実施しました。

それが中途の社員だったり、社内の人を含めても本当にグローバルやるぜっていうメッセージングなので、会社のブランディングみたいな、無形の価値ですね。そこまで含めて一応、設計していくっていうのを意識はしています。

奥平:50州に100人送るってコストの問題もありますけど、ネガティブな側面を考えると、やれ事故があったらどうしようとか、行った先で悪さしたらどうしようとかにかかるんじゃないかとか。

特にある程度、大きくなって、企業のコーポレートを見ていると、文句をつけるところが山ほどあると思うんですけど、そこっていうのは、当時はどうだったのかというより、今後はどうやっていくのかって、どう見るんですか?

小泉:そこは、もうGo Boldっていうことが助けてくれて、何か困っても社員みんなが、そこ難しいのをチャレンジしていこうよ、みたいなところを、1本会社に揺るがないものがあるので、前向きにそこは、1個ずつ課題をクリアしていこうっていう。これからも、むしろもっとGo Boldなことをやらなければいけないんじゃないか。

2年間、3年間、同じことをしてたら、反動するみたいな感じで、むしろそれよりもレベルの高いことを目指していかなければいけないんじゃないかなと感じています。

ミッション達成に近づけないとわかったときの撤退判断

奥平:時間もけっこう迫ってきたので、将来の話をしていきたいんですけども。先ほどGo Boldって言ってましたけれども、先週でしたよね、3つプロダクトをクローズするって発表されて、teachaと、メルカリNOWと、メルカリメゾンズと。

特にteachaって始めたの4月ですよね。4ヶ月で、それなりの肝いりのプロジェクトをクローズするっていうのは、内外にそれなりの衝撃だと思うんですけど、これはなんでこんなに早くキリを付けることにしたんですか?

小泉:会社のリソースって有限だと思っていて、本当に経営者としてできることって、やる、やらないの判断、リソースを1番どこにはったら会社が成長、成功するかって、ミッション達成に近づくかって真剣に考えなきゃいけないなと思っています。新規事業がスタートしていく前は、この領域は確かにあるよねと盛り上がる。

ただアプローチの仕方が、さっきも言ったように、なにしろ新規事業は必ずしも成功するわけではない。その難しさって1番僕らがわかっているので。やっていくなかでちょっとこれは違うなっていう時には、クイックに撤退の判断をして、違うアプローチでその領域を再度狙うにもあるかなと思っています。

今ならメルカリの方にそのリソースをはった方がいいんじゃないか。メルペイに送った方がいいんじゃないかみたいな。トータルでリソースの最適化を考えているので、実際、ソウゾウという子会社で新事業自体はまた作っているので、新規事業をなにもすべて止めたわけじゃないんですけど。

それくらい、新規事業はすごい難しいので、きっちり、リソースの観点から、だらだらやっても、無理なものはしっかり撤退していくっていうところですね。

やっぱり起業したことないとか、なかなか経営に対して経験がないと止めるっていうのはすごく怖いんですけど。

でもそれやらないと本当に誰も幸せにならないので、毎回社内で議論してますし、必要以上に社員と経営陣が近くなりすぎても、そういう難しい判断はできなくなるのでちゃんと距離間を保って、厳しいコミュニケーションもしなくてはいけないなと常に思います。

一度始めたことを止められないという病

奥平:私はこの商売20年くらいやってますけど、日本の会社の大きな問題点のひとつは、始めたことをやめられないってことだと思うんですよ。撤退基準を設けていても、なんらかの例外措置を作って。これ作った人がいるからやめられないとか、作った人が偉くなってるからやめられないとか。

今回のメルカリさんの3つでいうと、メゾンズってもともと、スマオクなどのC2Cサービスを展開していたザワットの創業者、原田さんのプロダクト。今、原田さんって、ザワットをメルカリに売って、新規事業会社のソウゾウって会社の社長ですよね。

社長自ら、ある意味で自分の出資母体を閉じる、みたいな判断をしているわけですけれども。社員の気持ちの部分だとか、モチベーションの維持だとかありますよね。そのプロダクトにくっついている人が辞めちゃう可能性もあると思うんですよね。その辺って、どう撤退基準を決めて、人のメンテナンス含めてどう対応しているのかなって。

小泉:撤退基準じゃないですけれでも、常に止めるときに、経営陣の確認はしますよ。僕らでいうと、やめた後に、メルカンとかにちゃんと何が学びだったのか書いてるんですよね。

そこは僕らも透明性高くちゃんと伝えますし、それを社員が学びとして良い機会と振り返るのも大事ですし、常にやっぱり考えているのは、社員・メンバーが、会社に紐づいているのか、プロダクトにつ紐づいているのかっていうのがあると思うんですね。さっき言ったように、会社のミッションとかバリューがないと、プロダクトに紐づいてしまうので辞めてしまう可能性もあります。

ただ、僕が常に社員に最後、この人は、この事業が好きなのか、株式会社メルカリが好きなのかっていう問いかけをしたら、メルカリという会社が好きであってほしいと思うし、たぶんそういうメンバーが多いだろうと。そう思ったうえで、All for Oneになって理解してくれるよね、っていう感じで最後伝えていくので。

社員は目の前で辛いことがあっても、でも会社には貢献したいと思っていて、次のチャレンジに向かっていってくれるので、そこはやっぱりミッションとかバリューが大事じゃないかなって思います。

プロダクトの失敗は経営陣の失敗

奥平:あとひとつ気になるのは、ソウゾウみたいに新規事業創出を目的とした子会社を設けていると、当然そこで社員の評価をしないと意味がないと思うんですけど、新規事業って基本的に全滅みたいな世界。9割失敗する中で、そういう人たちをどう評価しているんですか?

小泉:メンバーに関していうと、きっちりプロダクトをエグゼキューションしていくっていう意味でいうと、評価は可能かなと思うんですね。

奥平:プロダクトが失敗したら、どういう評価になるんですか?

小泉:失敗するのは経営陣の失敗だと思っているので、プロダクトの失敗に対して経営層がしっかり責任を負うべきだと思っているんですね。

ただ、メンバーはきちっとエグゼキューションしているわけなので評価してあげた方がいいと思っているので。常に、上の人ほど厳しく、その評価に対して向き合っていかなくてはならない組織を作るっていうことが大事かなって。失敗したからといって、経営陣だけ守られて、メンバーが評価されないというのは避けていく必要性があるなと思っています。

日本での成長余地と海外への進出

奥平:今後、メルカリの成長戦略を見ていくうえで、いくつか方法案があると思うんですけど、今、お話しした新規事業の部分。これはUS(アメリカ)の部分。あと、国内事業でも更なる上積みをされるんではないかと。いくつかあると思うんですけど。

上場にあたって、先ほどのセッションでも、投資家に説明をされたっていう部分があったと思うんですが、小泉さんは、投資家とどういう話をされて、成長ストーリーに対してどんなリアクションをうけたんですか?

小泉:そうですね、僕は今回でいうと最初にアジアを周りました。香港、シンガポール、その後に北米と日本。4拠点を3週間で行いました。まずメルカリの日本での成長余地についての理解をしてもらうために、アクティブユーザーのポテンシャルと女性以外のまだ弱いカテゴリーの説明をして成長余地があることを示しました。

その後にメルペイという、今の日本のポジションを活かしたうえでの新規事業についての説明をしました。特にアジアの投資家からすると、マーケットプレイスとペイメントはWeChatPayとAlipayの事例があるので。

北米でいえば、eBayとPayPalなんですが、マーケットプレイスとペイメントの相性の良さというのが、ストラテジーとしての正しさみたいなところを説明しました。

僕らその中で、どういうメリットがあって、ペイメントをやっていくのか、メルカリでいえば、売買を通じてお金が、毎月合計数百億レベルでお客さまのアカウントに入ってくるんですよね。

家で眠っていた何かを売ったことで生まれたお金を使えるということが新しい。そこは違う世界観で提供できますよっていうところを説明しました。

あとは、USですね。USは当然、ネガティブに捉える方もいらっしゃるので、このぐらいの、まずは投資をしていく、と。

ここから先については僕らとしても、しっかりと統制をかけていきます。という話をして、まず、しっかり日本の成長戦略を理解してもらうということをすごく意識して、評価していただいたということですね。

自分たちが正しいことをできなくなるリスク

奥平:それは、ある程度の理解を得られたと。今後についてはすごく成長志向が強い会社と理解しているんですけれども。かつ、テクノロジーで引っ張っていきたいと。アメリカを見てみると、GoogleとかFacebookとか、上場してある程度、成長し続けられる会社っていうのはあると思います。

一方、日本はなかなかそういう前例というのがあまりないんじゃないかなって見ています。課題山積だと思うんですけど、上場後の成長後の成長戦略を考えたとき何が一番リスクだとみておられますか?

小泉:リスク。実際は、他社から何か侵されて、ネガティブなことになるってあまりないんじゃないかなと思っていまして、やはり自分たちがきっちり正しいことができなくなるのがリスクだなと。

そういう意味では、お客様の要望に対してきちんと答えなくてはいけないという時に、メルペイという新しいサービスが入って、世界観が複雑化していく中で、どうアプリの中でも世界観、情報の流通というのをスムーズにしていくことが大事だと思うんですね。

そういう意味では、つい最近、CXOという、いわゆるエクスペリエンスを統括するという組織を準備していまして、お客様から見た時に、1つのカスタマージャーニーとして、メルカリ、メルペイを表現していくっていうのを作ってます。

1人そこに世界観を統一させる人がいないと、ばらばらになると思うので、CXOを中心に、テクノロジーって極論を言っちゃうと、Googleのアルゴリズムって、どこがすごいって説明ができなかったとしても、ただすごいのはわかるし、すごい便利。

メルカリの中で、使ってもらった時にめっちゃAI効いてるじゃんとかって、極論知らなくていいわけですよ。ただ写真撮ったら、自動的に情報が入力されて、手で入力する必要がないとか、メルペイ使っても、超便利だよねって、そういう方が、大事だと思っていて、その裏にいろいろとテクノロジーが隠れているわけなんですが。まず、お客様をしっかり見るっていうことが大事だと思っています。

ダイバーシティは扇子のようなもの

奥平:人の部分でいうと、特に企業が大きくなってくると、コミュニケーションの問題がありますよね。メルカリでいうと、ときどき社員の方とお会いすると、入社時期によって山田進太郎さんの呼び方も違うんですよね。

進太郎って呼ぶ人もいれば、山田会長って呼ぶ人もいたりいなかったりで、入社年次が若くなってくるほど、雲の上の存在になっちゃう。コミュニケーションのよさや意思決定の速さも犠牲になりがちで、多くの会社がそこでつまずいて、勢いを失っていったって歴史はあると思うんですよね。そこに対する処方箋っていうのはあるんですか?

小泉:1つの処方箋で、全てを解決することは難しいと思ってはいるんですけれども、やはり、まず1つ大事なことは、会社としてメンバーを信じて、現場で解決するということを、もっと推進したいなと思っているところなんです。僕ら1000人を超えている組織で、すべてが、経営陣だけで意思決定するって不可能に近づいてくるので。

さらに僕らでいうと、25か国以上の国から社員がきていて、秋も50人の、海外からの新卒社員が入社します。ダイバーシティがあったら、当然いいよね、っていう話なんですが。

僕がすごい大事にしているのは、ダイバーシティというのが扇子みたいな感じかなと。大きい風にするには、より広げたほうがいいじゃないですか。ただそれって、留め具がしっかりしてないと、ばらけますよね。留め具ってすごい大事だと思っていて、この留め具ってなんですかっていったら、まさにミッション・バリューみたいな。

小泉:会社として、本当に大事だよね、みたいなところがまずしっかりあることによって、ダイバーシティを受け入れられると思うんですね。なので、もう1回、1周回って、ミッション・バリューの浸透を必死にやっていて。

そこをさらにマネージャー陣とか、古株社員が、最近入ってきたメンバーに対して経営陣と同じ言葉で言えるようにすることによって、そういうダイバーシティに答えていくみたいな。そういうことをやっていく組織になりたいなと思っています。

奥平:ちょうど入られたときにやっていたことを、次のステージでまた一からやっているということですか。

小泉:そうです。経営というのは、拡散と収縮の繰り返しだなと思っていて。収縮して、頭を1つにしたり、会社を1つにするフェーズと、拡散フェーズでみんなで持って帰って各自で表現してもらって、またバラバラになるので、また集めるみたいな。この繰り返しなので、今、メルカリは上場を機にもう1回収縮フェーズで、次のジャンプのためにやっていくっていう感じですね。

ミドルマネジメント層の教育問題

奥平:わかりました、ありがとうございます。それでは質問をいただいているので、何か答えていただきたいんですけど。

小泉:奥平さん、待ってます。

奥平:ありがとうございます。ミドルマネジメント層をどう教育しますかというのがありますね。

小泉:教育ってけっこう、おこがましいというか、難しいと思っているので、基本的には機会を与えるしかないと思っていて。機会を与えるための仕掛けをたくさんやっていくことによって、でも失敗もしていただく必要性もあると思っているので、あんまり教育をしようという思いはないですね。

ただ、メルカリ的な考え方のインストールに対して、僕ら役員がミドルマネージャーに、もっと近づかないといけないというのは重要かなと思っています。

経営陣が、ミドルマネジメント層が成長しないよねって言ってたら意味ないので、僕らが近づいていくっていうのを、今やらなきゃいけないよねっていう感じで、経営陣と、マネージャーのシャッフルランチみたいなことをやろうと。

けっこう普段から社員のシャッフルランチみたいなことは目がいってたんですけど、経営陣とマネージャーのシャッフルランチもやろうかと。けっこう今、そこの時間を多く使った方がいいのかなって思っています。

メルカリ上場日の日経新聞に載せた、野茂選手の広告

奥平:そろそろ最後に、小泉さん個人のGo Boldなチャレンジを聞いて終わりにしましょうか。

小泉:そうですね。さっきのテックの意味合いでいくと、日本のネット業界で、やはり本当にテクノロジーを信じて、お客さんのライフスタイルを変えるようなことをチャレンジして、しかもそれがグローバルみたいな、そういう難しい掛け算をやっている会社ってすごく少ないなと思っていて。それは必ずしも1人ひとりがやろうって言ってできるものじゃなくて。

社員1人ひとりが常に努力していかなくてはいけないところだと思っているので、僕自身はこの会社が日本にあって、その後のトレンド変わったよねと言われるようになりたいと思っています。

僕らは上場日の日経新聞に、野茂英雄さんの写真を使った上場広告を出しました。野茂さんが先陣を切って世界に挑戦したからこそ、その後イチロー選手や大谷選手などがメジャーリーグで活躍できているように、我々も日本を代表する企業として良い事例にならなくてはいけない。

たくさん失敗もするし、批判もされると思うんですが、そういうチャレンジをしたうえで、次の時代を代表するような会社にならなければいけないなと。ベタですが、真剣にそれを追っいきたいと思います。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

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