2024.12.03
セキュリティ製品を入れても検出されず…被害事例から見る最新の攻撃トレンド 不正侵入・悪用を回避するポイント
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吉田健吾氏(以下、吉田):うまくいっている話ばっかりなので、なんか失敗したことってありますか?
庄田一郎氏(以下、庄田):失敗したことって難しいですね。成功のための失敗ならたくさんあります。
吉田:これやってみたけど、あまりうまくいかなかったようなので引っ込めました、みたいなことってあまりないですかね?
石黒卓弥氏(以下、石黒):あります。たくさんあるんですけど、僕がエスタブリッシュというか、比較的大きな会社からスタートアップで来ているので、ものの見え方って全然違ったなと思っていて。
例えば、「こういうキャリアの人がいるのですが会いませんか?」みたいなのって、あまりみなさん興味ないんですよね。バックグラウンドがきれいな人に会いたいというより、「ことに向かう」というか「なにを作る」とか、「技術的な挑戦がこうだ」ということのほうがやっぱり大事で。
興味を持ちそうな内容がズレていて採用広報的に、空振りをするっていうのもありますね。
ただ、「バット振らないとヒット出ないししょうがないや」みたいな感じなので。そういうのがけっこう流儀というか、やってみないとわからないという意味では、たくさんやって失敗はしました。
あと去年6月、新卒のミートアップっていうのがまったく上手くいきませんでした。これがまた、15人の募集枠に7人しか来なくて。その前のミートアップ20人のところに120人集まったこともあり、少し油断していたのかもしれません。「いやーたくさん集まるなぁ」って思ってたんですよ。7人しか集まんなくて。そういう意味では外すこともたくさんありますね。
庄田:弊社も新卒採用であります。前職のリクルートでやっていた時と状況が違うということをきちんと認識できていなかったのが要因の1つだと思っています。
リクルートでは、夏に「エンジニア系インターンシップをやります」と言うとエントリーがどかっと集まるんですよね。すでにリクルート自体のブランド価値があるので。しかし、弊社の場合はまだまだ新卒の学生たちに認知が広がっていないのと、とくにGo言語を書いている学生がまだまだ少ない。
なので、Goのエンジニアがみっちり教えるということを、どれだけメッセージとして発信しても、なかなかエントリーが集まらなかったということがあって。とにかく地道に新卒に向けてブランディングを続けていくべき部分だし、「先輩が後輩へ」っていう力学がとても強いので、失敗というかまったく思うようにいかなかった悔しい経験ですね。
吉田:中途の採用と新卒の採用は、スケジュール感が違えば、やり方が全然違ってくると思うんですが、新しい会社だというところと、大企業ではないことならではの悩みって、中途採用より新卒採用により顕著に出たりすることってありますよね。
石黒:めちゃ顕著にあると思いますね。それは。
吉田:新卒採用で一番改善をしてきて、結果に繋がってきたことはどういうことがありますか?
石黒:あんまり結果に繋がってないので言うことがないですね(笑)。
吉田:でもなんかメルカリさんですと新卒でもエンジニアのほうの……。
石黒:「GitHub採用」ですかね。今日のテーマである「攻める」という意味では、攻めたんですよね、「GitHub採用」は。
2行でエントリーできます。かなりハードル高くしていて、あなたの学歴もアピールできない、顔写真もアピールできない、性別もアピールできないっていう状態にしたんですが、そこに80人来ましたと。80人のうちエンジニア40人。GitHubの選考通ったのが9人ですね。
内定は実は5か6出してるんで、会った人数分の内定数はたぶん日本トップクラスの比率だったんじゃないかなと思います。
新卒はどんどん新しい手法というか。例えば、10年前には逆求人とかなかったでしょうし、そういうことを考えいくと、どんどん新しいものが出てくるので、そのなかで生き残っているもの、なにが価値があるものか、なにが攻めてるってみんなも思ってもらえるものなのかは、考え続けていかないとなってのは思いますね。
吉田:また少し話が変わるんですけど、エウレカさんは「Match Group」の傘下に入ったという状況があって、親会社がアメリカですよね。
庄田:そうです。
吉田:そういう状況で、アメリカの本体の「InterActiveCorp(IAC)」や「Match Group」と人事としての交流っていうのはあるんですか?
庄田:あります。一度本社に赴いて、どういう戦略で採用しているのか教えてもらったりとか。あとはケースバイケースでそれこそ「HR Tech」じゃないですけど、アメリカだとどういうものがあるのか、それは日本でも使えないのかという話を、Facebookメッセンジャーでやりとりしたりなどしています。
アメリカの採用市場で盛り上がってる領域の話を聞くと、日本でもそうなるのかなという予測も立てやすいし、かつ僕たちもどう動くべきなのかっていうのは、いろいろ考えるところもあって。
吉田:じゃあ指示系統があるわけじゃなくて、庄田さんのほうから情報収集に動いてるわけですね。
庄田:そうです。メッセージでお互い「どうやってるの」って話をよくするというだけですね。また、Match Group全体での人材交流も積極的なので、エンジニア同士の勉強会を開催したり、定期的に情報交換をしたり、ゆくゆくはグループ間で人材の流動性を高めていくことも視野に入れているので、そういう話もしています。
吉田:やっぱり状況が違うというか、例えば「Indeed」とかもアメリカより日本はまだあまり広まっていない、というところは、後で話そうと思いますけど、「ATS」みたいなシステムも、アメリカだともう普及してますよみたいな状況の違いっていうのがけっこうありますよね。
庄田:あるんですよね。例えば、「SmartRecruiters」を日本で使えたらどれだけ便利かみたいなとか。「SmartRecruiters」に限定するわけではないのですが、なんかこう1発でATSにある求人情報が全採用媒体に飛んだらめちゃくちゃ便利じゃないですか。Match Groupのメンバーとも「SmartRecruiters」を日本で使うにはどうしたらいいかみたいなことを話したりしますね。
吉田:メルカリさんも海外展開をされていて、経営トップの人もそちらに行きっぱなしだったりということもあると思うんですけども、今はアメリカ拠点ですか?
石黒:はい。アメリカは今40人ぐらいですね。サンフランシスコ以外に、今度ポートランドに拠点を作ることになって、今メルカリUSのホームページの「キャリア」というところを見ていただくと、ポートランドのHRマネージャーが出てますので、ご興味ある方がいたら……(笑)。
USだと代表のRyoが採用を見ている状況でして、UKなんかも似たような状況ですね。
吉田:現地法人を作った場合に、USとUKで最初はどういう職種の人から入ってくるんですか?
石黒:USは、コーポレート運営する人を1人採ってからというかたちで増えていったと聞いています。やっぱりカスタマーサポートが多いですね、USは。
メルカリのCSは日本もそうですけど、ほとんど内製していく方法でやっていくので、カスタマーサポートの採用も今すごく増やしているような状況です。ただ、日本からこういう人を採って、というのはあまりなくて、各拠点に任せている状況です。
吉田:かなりアクティブな攻めの人事というところで、「コンテンツをどんどん作っていく」みたいなところを含めてけっこうやられているんですけど、「やれ」と言われて、「やったらいいよね」とみなさん思うと思うんですけど、とくに“やり切る”。
僕は、メルカリさんはコンテンツに関してはやり切るっていう力っていうのが半端ないなと思っています。やるためのオペレーションをどれだけ減らしていくかというところも大事かなと思うんですよね。
いろんな採用経路があったとして、エージェントを複数使ったとして、「ここのエージェントからは、推薦はたくさんくるけど成約に至ってないんじゃないか」みたいな話とか。成約の件数だけ見ていたらわからなかったっていうのを、改めてExcelの表にしてみたいなこと考えるとかやっても、そんなExcelで表作る時間がもったいないよみたいなことってあると思うんですけど。
そのあたりで「HR Tech」の役割というのが出てくるのかなと思ってるんですよね。なので「HR Tech」の一義的な効果としては、「オペレーションは簡略化されました、効率化されました」あるいは「誰でも同じフォーマットでちゃんと作業はできます」みたいなところだと思ってるんですけど、メルカリさんは活用してますか?
石黒:そうですね。省力化というところで、やっぱりまずフォーマット化を今推し進めていますね。やっぱりそれまでは採用の結果を優先することでフォーマット化が後回しになる、という状況があったりするんですけど、やっぱりHRチームが6人になってきたので、誰がやっても同じようにできるようフォーマット化を意識してやっていますね。
当然、悩ましいところはあって。「エントリーありがとうございます。石黒です」なのか、「エントリーありがとうございます。メルカリ人事担当です」なのかって、受け取り手側の感覚が違うんですけども、急に石黒から「人事担当」に替わるのがいいのかっていうと、受け取り側のことを考えると悩ましいですよね。
それで一定のオペレーションができるからっていうのは、それぞれの判断とか事業フェーズに合わせてやっていくというのが……、非常に細かいんですけども。
こういったところも、定型文を作る時は、細かく意識しながらやったりはしています。フォーマット統一することと合わせて、オペレーションをいかに省力化していくかという意味で、いいものがあれば変えていこうと。評価システムなんかもそうですよね。変えていこうということでやっていますね。
吉田:エウレカさんどうですか?
庄田:そうですね。省略化という点では、まず集客があってジャッジがあって、クロージングがあって、その後という流れがあるじゃないですか。集客で言うと、このフォーマットにジョブディスクリプション書いてもらったら、それで採用広報チーム主導で採用しますというフォーマットを作りました。
そのフォーマットがあることで各リーダー、マネージャーに、逆にそのタイミングで必要な人材はどういう人材なのかを考えもらう機会を提供できるし、僕らの業務も楽になる、ということは省略化につながっていると思います。ジャッジについても採用基準フォーマットを作ったらそれなりに面接担当のコスト自体も減りました。
それで、その後のクロージングにおいても最近ちょっとおもしろいなと感じているのが、求職者のエントリー経路や、経営陣を含む面接官のキャラクタータイプでどれくらいクロージング率に変化があるかは科学できると思っていて。そういった情報の集約も、「Talentio」を使って進めています。
吉田:お2人とも営業経験があるんですよね。今まさに庄田さんがおっしゃっていたような、母集団形成があって書類選考なり、面接なりになって、クロージング、内定を出して、実際に来てもらえるパイプラインとか、パネル分析みたいなものって、営業でセールスフォースとかSFAを使って、どういうところの経路からリードをとって、商談して、商談のクローズ率がどうかということって、非常に似てるなと思ってるんですよ。
実はどういう経路からの流入が採用のクロージングまでいっているのか、または入社後に社内で活躍をしているのかというところまでですよね。営業のサービスに例えると、営業で獲得してきたユーザーがどれくらい使い続けてくれるのかという話は、けっこういろんな分野であるなと思っています。
僕らは、日本ではけっこう一般化してきている飲食店の予約台帳サービスを提供している会社なんですけど、どういう経路からの予約がキャンセルが多いのか少ないのかとか、どの経路からくるとリピーターになってくれる率が高いのかとか、データとして見えたりするんですよね。
なので日常のそういうオペレーションの部分を、きちんとそろったフォーマットのデータに落として行くと、後でちゃんと分析ができます。
費用対効果であったり、ここを強化しなきゃいけない、ここは止めたほうがいいという判断ができるということが、人事の分野にもだんだん入ってきていて、今このタイミングなのかなというのはすごく思っています。
わりと僕の目につくところで、人事担当で「この人すごいな」という人は、けっこう営業をやっていた人が多いです。そういうタイミングがもともとの営業マインドとマッチしやすいという気がしてるんですね。
そのあたりがうまくいってる、うまくいっていない、ここは止めようという判断とか、ここはもっと厚くいこうというところは見たりされますか?
石黒:1つは営業経験というところもあるのかもしれないですけど、この時代ってみんな同じようにインターネットで情報を得るわけじゃないですか。けっこうエンジニアサイドから「これどうなの?」「このシステムどうなの?」っていうのは言われて、そのたびに「あ、初めて知りました。」では……恥ずかしいことではないんですが、同じようにアンテナを高くしていようというのは意識してますね。
その上でなんでもかんでもとりあえず使ってみるというのはあって、「Indeedイケてるの?」と言われたときに、「あ、使いましたけどここはいいですがこういった改善点があると思います」って言えるか言えないかでだいぶ違ってくるなと。だから僕は学んだら使ってみるっていうのをやってますね。インスタで採用できるのかとかスナチャで採用できるのかっていうのって、みんな見つけてくるんですよ。アメリカで。
アメリカだと十何パーセントはSnapchat見て入社してるとか言って、社内のSlackに貼られるじゃないですか。
でも、そう言われたらこれもう(他より)絶対先に作って、早くやろうってことが好きな会社なので、「先にやるよ」みたいなのがあるんですよね。
吉田:そういう情報提供はSlackとかでどんどん上がってきたりするんですか?
石黒:すごい上がってきますね。
吉田:それは別に人事担当以外からでも上がってくるってことですか?
石黒:そうですね。代表の山田もそうですし、普通にエンジニアからも上がってきますし、採用って関わらない人いないので、だからみんな興味があるんですよね。
吉田:庄田さんどうですか?
庄田:僕は前職のリクルートで、「人事は最大の営業マン」って教えられていたんですよね。実際、今もその通りだと思っています。商材に可変性があるかないかという差があるだけで、結局は企業という商材をマーケットにどれだけ受け入れてもらえるようにできるかというところを考えるのが、採用担当の仕事の1つであるべきなのかなとは常に思ってます。
吉田:エウレカに入った瞬間って、そういうKPIというかパネル分析というのは、当然できる状態ではなかったわけですね。採用担当もいなかったっていう状態ですから。まずそこからやっていったっていう感じですか?
庄田:そうですね。そもそもその予算なども管理されているとは言えない状況だったので、どの経路からの応募が多くて、平均でどれくらい予算が掛かっていて、来年度はどれくらい予算が必要で、どれくらいが平均値で、どれくらいならコストダウンと呼べるのか、ということを可視化させるべく取り組んでいます。
吉田:最後の話を深掘りしたかったところではあったんですが、時間が来てしまったので、一旦ここで終了させていただきたいと思います。お二方、本当にありがとうございました。
石黒・庄田:ありがとうございました。
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