2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
Stanford Graduate School of Business Stanford GSB 2015 Entrepreneurial Company of the Year(全4記事)
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ジェリー・ヤン氏(以下、ジェリー):慈善事業に対してもビジネスに対するようなビジョンを持っているんだね。すばらしい。では質問タイムに行きましょうか。
ジャック・マー氏(以下、ジャック):どんな質問でも良いですよ。
ジェリー:何でもは良くないだろ。
(会場笑)
質問者:○○と言います。ここGSBで講師をしています。ジャックさんがスモールビジネスに対する仕事をしている点が素晴らしいと思います。しかし中国にはまだオンラインにアクセスしていない人が4億人以上います。全世界では40億人です。それについて何かお考えですか?
ジャック:分かりました。まず良い点は、世界にはオンラインに14億の人がいるということです。彼らは1980年代に生まれました。これは我々の希望です。彼らを成功に導き、育成する。そうすると彼らに惹かれて他の人たちも上がっていくんです。
もしオンラインの人たちが優れていなければ、誰もついていきません。ぼくは中国映画が好きではありません。ヒーローが必ず死んじゃうからです。
(会場笑)
そんなの誰もヒーローになりたがらないじゃないですか。アメリカ映画だったら、ヒーローはみんな生き残ります。だからみんなヒーローに憧れるんです。ネット上の人たちを成功に導くというのがぼくの考えです。
もしスモールビジネスの人たちが成功したり、我々のビジネスが上手く行けば、より多くの人がオンラインに移行するでしょう。もう1つは、我々は政府と一緒に働かなければいけないということです。政府はインフラや、ブロードバンドのコストを下げようとします。もっと多くのことができるのに。
だから良い点は、ネット上の人たちは1980年代に生まれた14億の人たちで、彼らが希望だということです。彼らが世界を変えます。ぼくの祖父は新聞を読んでニュースを仕入れていました。父は、ラジオから、ぼくの世代はテレビからニュースを仕入れていました。でも子どもの世代はインターネットを使うんです。そして「ぼくもそこに混ざりたい」と言うんです。これが我々の希望です。彼らを育成し、彼らがより多くの人を助けるんです。
質問者2:エジプトから来ました、アリと言います。いつか子どもができたら、アリババと呼ばれたいです。
(会場笑)
しかしなぜ、ジャックさんの会社はアリババというんですか? 2つ目の質問は、中国以外にトップマーケットを3つ挙げるとしたら、アリババのビジネスモデルがもっとも当てはまるのはどこだと思いますか?
ジャック:なぜ社名をアリババにしたのかというと、ヤフーから学んだんです。「なんでヤフーなんて変な名前をつけたんだ?」と思いますよね。
(会場笑)
でも響きが面白いじゃないですか。もしネット企業をつくるなら、スモールビジネスを支援したいと思ってました。サンフランシスコ辺りで思いついたんですが、突然「アリババが面白いんじゃないか?」と思いました。
そのとき、ウエイトレスがディナーを持ってきたので「アリババって知ってますか?」と聞きました。「はい」と言ったので「アリババについて何か知ってますか?」と聞きました。すると「『開けゴマ』ですよね?」と言ったので、「これだ!」と思ったんです。
それで街を歩き回って、アリババを知ってるかどうか聞きまくったんです。するとみんな知ってたので、我々のビジネスをスモールビジネスに対しての「開けゴマ」にするんだと決めたんです。しかし残念なことにアリババという名前はすでに他のものに登録されていたんです。
だから「アリババ・オンライン」という名前にしました。AOLと呼んでもらえると思って。
(会場笑)
だってアメリカン・オンライン(AOL)が中国でサーバーとしてドメイン名を取得することはできないじゃないですか。エジプトだったら、「アメリカン・オンライン? ノー」と言われますが、「アリババ・オンライン」だったら大丈夫なはずです。
後々交渉して、カナダ人からある名前も譲ってもらいました。これも好きなんですが、「Alimama.com」という名前も登録してるんです。
(会場笑)
我々のモットーはスモールビジネスのある国々を支援することです。スモールビジネスがたくさんあったり、商業のインフラが整っていなかったりする国々です。中国のeコマースがアメリカよりも速く成長したのは、アメリカの商業のインフラが整いすぎているからです。ウォルマート、Aマート、なんとかマート、なんでもあります。
(会場笑)
彼らにはeコマースが必要ないんです。でも我々にはそんな商業インフラがありません。ネット隆盛の時代になり、我々がインフラの中心になりました。加えてアメリカではeコマースは不毛地帯です。中国では我々がメインです。だから商業インフラの整っていない国では、ネットやeコマースにチャンスがあるということです。
インターネット・ファイナンスに関しても同様です。アメリカにはインターネット・ファイナンスがありません。でも中国にはあります。何故かと言うと、リアルなファイナンス・サービスがダメだからです。リアルなサービスがダメなところには、ネットサービスのチャンスがあるんです。
現在我々は中国の地方に入り、村を支援しています。村人には、10年前はまったくチャンスがありませんでした。PCを使っていなかったからです。複雑すぎたんです。でもいまではみんな携帯を持っています。だから村ではeコマースやインターネットが急速に成長しています。
ということで、インドやエジプトのような国、人口が多くて、インフラが未整備、若者が多い国ですね。あなたの国には若者がいっぱいいますよね。こういう国には大きなチャンスがあります。中国にも若者がいっぱいいます。だから伸びるんです。でも年寄りには親切にしてね。
(会場笑)
でも若者が変革者なんです。若者が明日をつくるんです。
ジェリー:ぼくらも年をとってきてるから、早いところ始めないとね。
(会場笑)
ジェリー:では最後の質問にいきましょう。
質問者3:北京大学を卒業して、いまはスタンフォード大の博士課程です。ジャックさんの海外に対するビジョンについてです。特に中国人は中国だけでなく、アメリカなど世界中でビジネスをしようとしています。海外に投資したいからだと思いますが、Meitingのように、世界的なキャピタルフローを支援できると思いますか?
ジャック:おそらくほとんどの方がMeitingについてご存じないと思いますが、Ali Enter Financingのことです。どのくらいの方がEnter Financingについて知っていますか?
(会場からパラパラと手が挙がる)
ありがとうございます。いつかみなさんにも知ってもらえるときが来るでしょう。きっとみなさんも使うと思います。Ali Enter FinancingはAliPayから来ています。ペイメントシステムで、我々は2004年にこの会社を見つけました。中国ではeコマース上で会話をする人が多いからです。
交渉したり、話したりしますが、買いはしないんです。お金の心配をしているから。ある人にお金を渡して、逃げてしまったら、または商品を送ったのにお金をもらってないぞと言われたり。
それでたくさんの銀行に行って、支払いの支援をしてもらえませんかと説得しようとしたんですが、「あなたのビジネスは小さすぎます。我々には必要ありません」と言われてしまったんです。なのでとてもおかしなAliPayというサービスをつくらなければならなかったんです。第三者預託証書サービスです。
ぼくからモノを買いたければ、ジェリーにお金を払ってください。ジェリーがぼくに知らせて、ぼくがモノを受け取ります。ジェリーがお金を受け取ります。それであなたに製品を送ります。それで良ければぼくにお金を払ってください。ダメだったら、お金を返して、製品も返してもらいます。
2003年には、「今まで聞いた中でいちばん馬鹿げたアイデアだ」と言われました。
(会場笑)
「なぜクレジットカードを使わないんだ?」と。クレジットカードなんて持ってないんですよ。
(会場笑)
だからAliPayをつくりました。今日、ぜひユーザー登録してみてください。10億人近くの人が使っています。アクティブな人数は知りませんが。
(会場笑)
我々はとても大きくなりました。中国のペイメントのスタンダードになりました。それにもとづいたすべてのデータを持っています。そこから個々のクレジットシステムをつくる必要があるんです。いくら買うのか? 何を買うのか? 期限内にお金を払っているか? モノを売っているか?
ぼくのチームの目標は、中国にクレジットシステム、信用システムをつくることです。それなしではスモールビジネスはビジネスができません。これが中国のファイナンシャル・システムを変えていくんです。アメリカでもライセンスを出願中です。日本やインド、他の国でも、我々は世界の何百万という人びとを救えると信じています。
ところで、それがどれだけパワフルかという例を1つ教えましょう。4年前に小さなローン・ライセンスを取得しました。デポジットではなく、ローンです。4年の間に、1,500万のスモールビジネスに、平均で5千ドルのローンを与えました。
我々はお金を与えるかどうかという決断をして、3分でお金を貸すことができます。1セントを1分で借りることができます。銀行は額が小さすぎてそんなことやりたくないんです。そのローン部門では何人が働いているかというと、200人です。200人が、1500万のスモールビジネスにローンを与えているんです。
これが将来、信用にもとづいてオンラインでローンを与えることで、何百万というスモールビジネスを救うんです。このクレジットシステムを、「セサミクレジット」と呼んでいます。買う、売る、振り込む、これらをまとめるんです。これの良い点は、政府がセサミクレジットにもとづいてビザを発行しているということです。
もし家を借りたければ、セサミクレジットにもとづいて審査されます。面白いのは、先月ある人たちが子供を探していました。そうしたら「セサミクレジットを見ろ」と。
(会場笑)
これが中国を変えようとしていて、誇りに思っています。これは確実にタイでもやります。
(拍手)
ジェフ:ジャック、Stanford Graduate School of Business Alumni Associationを代表して、祝福申し上げるとともに、Entrepreneurial company of the yearを贈ります。
ジャック:ありがとうございます。
(拍手)
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