みんな気持ちが弱すぎる--元Appleシニアマネージャーが語った「僕が世界の一流と戦えた理由」

ビジネス英語の極意と世界レベルの仕事術 #6/6

2015年7月12日、ビジネス・ブレークスルー大学にて「ビジネス英語の極意と世界レベルの仕事術」と題するイベントが開催され、元Appleシニアマネージャーの松井博氏とBBT大学経営学部教授の青野仲達氏、BBT大学の第1期生・中西佑樹氏が登壇しました。本パートでは、松井氏がなぜ世界の一流たちが集まるAppleで勝ち残れたのか、その秘訣を語ります。また、会場から寄せられた「具体的なやりたいことが見つからない」との声に対して、その解決策を紹介しました。

ジョブズは本気で世界を変えようとしていた

青野仲達氏(以下、青野):他に質問のある方? じゃあ前の方が先に手をあげていらっしゃったんで。

質問者:スティーブ・ジョブズという人は大変厳しい人だというお話をうかがったんですけども、厳しさといってもあんまり怒っていても意味がないと思います。

例えば、(京セラの)稲盛和夫さんは、大義というか大きなビジョンが大事だとおっしゃっていました。大義があるから厳しさが成立するのか、リーダーシップを発揮する上で、厳しさというのをどういうふうに活用すればいいのか?

松井博氏(以下、松井):やっぱり大義っていうのは重要ですよね。自分の会社やグループが何を目指すか。僕らの事業もそうですけど。僕らもセブ留学っていうのを一新したい。そういうゴールがないと、方向性が打ち出せませんよね。

スティーブの話で印象に残ってるのは、「世の中を変えよう」ってことですね。世界を変えようってことを本気で考えてた人で、世の中をちゃんと突っつけば変わるんだ。そういうことを言ってた人です。それを再三、何度も何度も言ったことがあります。

世界を変えるっていうのを本気で思ってるってすごいじゃないですか。普通、変わると思ってない。世の中ってだいたい自分たちと同じくらいの人が作ってる。そんなに天才が作ってるわけじゃない。だいたい僕とか君みたいな普通の人が作ってる。

だから、おかしなことがいっぱいあって、それを変えられる。そういうふうにいつも言っていて。だから変えようって。それには魅せられてしまうっていうのはありましたよね。世の中変えるんだ。だったら一緒にやりたいなっていう。でも、ちょっと怒り過ぎじゃないかなって(笑)。

(会場笑)

脈絡がなさすぎる(笑)。そんな瞬間湯沸かし機みたいに怒らなくてもいいだろって……度々思いました(笑)。

今の時代のほうが英語の習得が難しくなった

青野:他にはいかがでしょうか? 2番目の方。

質問者:質問は3点あるんですけど、1つ目は学生の視点からなんですけど、今の時代って奨学金の制度も整っていて、留学とかしやすいと思うんですけど、僕の周りも学生時代に1年間とか留学するんですけど、一向に英語が上達してないんですね。

そこの違いって何だと思いますか。学生が充実をした留学をするには何が必要ですか?

松井:やっぱり目的が重要だと思うんです。僕の時代も留学して英語が上達しない人ってやっぱりいたんです。ただ、今の時代のほうが英語上達に関していうと難しくなったな、って思います。僕らの頃って手紙しか通信手段がなかったんで本当に隔離されちゃったんです。

英語を覚えるか、それともただひたすら何のコミュニケーションもとれないのに耐えるかしかなかったんです。でも、今って海外に住んでる日本人がすごい増えた。それからネットとかLINEとか何でもあるじゃないですか。

だから日本語のコミュニケーションがどこにいても取れてしまう。これは英語学習にとってはマイナスだと思います。こんなことを言ってはなんですけど、海外にいって英語が上達しない人って気持ちが弱いんです。海外で日本人とつるんじゃうんです。

日本と同じ生活を持ってくるんです。だから上達しないんです。あいつは日本人じゃないらしいとか、海外生まれで日本語できないらしいっていう噂が立つぐらいカットしないと、なかなか上達しません。

海外にこれから住むって方がもしかしたらいるかもしれないですけど、最初の1年は日本人との付き合いをすごく意識的に減らしてください。そうしたら絶対に上達します。断言します。

みんな気持ちが弱すぎる

青野:あと質問2つですね。

質問者:2番目の質問なんですけど、英語をしゃべれるっていうのは当たり前だとして、Appleみたいな一流企業で生き残っていくには何が必要ですか?

松井:まず、しぶとくないといけない。それはすごい重要です。へこたれることは普通に毎日何度もあるので……。英語が下手だなっていうこともあるし。周りはだってアイビーリーグの院とか出ている人が、普通にいるんです。

そういう中で競っていくわけだから、めげるっていうことが多いんですよ。でも、いちいちめげていたらきりがないので、めげても立ち上がる。だから、「しつこい」っていうことがすごい重要ですね。僕、とりあえずしつこいのには定評があるんです(笑)。

別に頭が良いとか自分では思ったことがないです。でも、とりあえずしつこいので、それで結構残れたなって気はします。みんな気持ちが弱すぎる。

とにかくしつこく続けることが大事

質問者:最後の質問なんですけど、ビジネス英語が上達していくにあたって機会がないと思うんです。ビジネスに関わるなら、責任感とか責任が問われるので、交渉に失敗してしまったら、それまでじゃないですか。だからビジネスマンがビジネス英会話を上達していくにあたっては、場数を踏むしかないんでしょうか?

松井:場数はもちろんそうなんですけど、例えば、拙い英語で厳しい状況があったら、何が足りなかったんだろう? ってそのギャップを埋めていかなきゃいけない。単語が足りなかったら、単語を覚えればいい。

言い回しが足りないなら言い回しを覚えればいい。聞き取れなかったら、そこを練習すればいい。ギャップがあってダメだった。そこでめげて何もしなかったら、当然、上達しません。

だから、さっきの「しつこさ」っていうのも、英語の上達にも当てはまるんです。現状に満足したら、そこでストップしちゃう。例えばプレゼンやったとします。僕なんか何度もプレゼンやったけど、だいたいビデオを撮って必ず見ました。声が出てないとか、発音がよくないとか、ダメ出ししていくんです。

課題を見つけて直していくんです。日々その繰り返しです。上達曲線って1年目は急速に上達するけど、10年とか経つと、ちょっとしか上達しないんですよ。それでも上達しようって気持ちを持ち続けないと、やっぱり上手くなっていかない。だから本当にしつこく続けるんです。そうやっていけば今年よりは来年のほうが、必ずうまくなる。

僕もやっぱりここ1年、英語の教え方とか、学習方法とかしか考えてないから、そうすると文法の教え方これでいいのかな、発音の教え方これでいいのかなって毎日考えが深まっていくんです。そうしたらやっぱりこの1年で上達してるんです。僕、英語しゃべれるようになって18年経った。でも、まだ上達してるんです。だから絶対に上達できるから、ずっと上達してください。しつこく。

寿命1年、5年、10年のそれぞれで「やりたいことリスト」をつくる

青野:他にはいかがでしょうか? 真ん中の赤い服を着た方、どうぞ。

質問者:興味深いお話をどうもありがとうございます。私自身が自分のおかれた人生の中で、やりたいこと、目的というのが抽象的なんですけど、あるんですね。

今はそれをどんな手段で達成しようかっていうのがあって、いくつか選択肢があって、どっちで進んでいけばいいかなって悩んでる段階なんですよ。まだやっぱり最終的にやりたい目的がすごい抽象的なので、具体的なイメージが持ててないんですね。

それで、皆さんのお話を聞いて、具体的なイメージが1つあると、自分のやる本気度とかスピード。スピードは気にしちゃいけないのかもしれませんが、具体的なものが1つあると何か違うのかなと、ちょっと不安になったりすることもあるんですね。

今、やってることがどこに繋がるのかなって不安になったりして、そんなこと考えてる暇も無いくらい進めるのかなって思ってしまう時があって。

皆さんが目的を達成するってなった時に、もやっとした時期があったのか、もしあったとしたら自分のモチベーションを保っていたのかなというのをお伺いできればと思います。

松井:2点あります。1つめは、やりたいことを書いてみる。言葉にしてみるってことの重要性です。やりたいことがわからないってよくあるし、僕も思ってましたし、今でも実は思っています。でも漠然と思ってるんじゃなくて箇条書きにしてみるといいと思います。

僕は昔、千葉敦子さんっていう有名なジャーナリストの方が書いた本に感銘を受けたんです。その方、乳がんでなくなってしまったんですけど。乳がんになってからも著作活動を続けたんです。その人が自分のやりたいことの見つけ方を自分の本の中で紹介してたんですけど、それがこんな方法だったのです。

まず、寿命が10年しかないと考えます。

それで、10年間だったら何ができるかって書いてみる。すると10年でやりたいことのリストできるじゃないですか。じゃあ実は10年ではなくて、5年だったら何ができるだろうって、そこからまた更に書いてみる。するとその2つは同じリストにならないんです。

10年ってけっこうまとまった時間だから、例えば家庭を持つ、会社を興す。それなりに大きいことができるじゃないですか。だけど5年って短いから全く違うリストになる。それでリストができたら、じゃあ1年だったら? 寿命があと1年しかなかったらで書いてみて、どのリストにもあがるやつを真っ先にやる。

それで、これを読んだのが20代の半ばぐらいで、すごい衝撃を受けて、早速やったんですね。今、それで振り返ってみるとその時のリストにあった夢のようなことは全て終わったんです。全て。

僕は30年後にしたいことってあんまり考えたことないんです。5年、10年と期限を切って。この向こう5年、10年で何がしたいかなっていうのを洗い出してみるのがすごく有効だと思います。

ジョブズのスピーチを聞いてAppleを辞めた

松井:もう1つは、日々こう毎日毎日生きていて、嫌だなって思う日があるじゃないですか。僕、ステイーブ・ジョブズのスタンフォードのを聞いて「なるほど!」って強く共感した一節があるんです。

このスピーチに、「毎日朝、鏡を見て、今日が俺の死ぬ日だったら今やりたいと思うことがやりたいかって自分に聞いて、答えが毎日ノーだったら変えたほうがよい」っていう一節があるんです。その頃、僕、社内政治に辟易として毎日イヤイヤ会社に行ってたんですけど、スピーチを聞いて、よしAppleを辞めようって思ったんです(笑)。

(会場笑)

このアプローチも有効だったと思います。両方とも面白いことに死を前提とした考え方なんですけど、人生は有限だから。有限の中で何ができるかっていうアプローチで考えるとわりと雑音を落とせるっていうのは、あります。

質問者:10年後でやってみようと思います。ありがとうございました。

制作協力:VoXT

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