2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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青野仲達氏(以下、青野):スティーブ・ジョブズが亡くなった後にティム・クックという人がCEOになって、亡くなった当時は、スティーブ・ジョブズがいなくなってAppleは大丈夫なのか? っていう論調がすごくあって、でも蓋を開けてみると今のAppleの時価総額っていうのは、その時よりもかなり高くなってるんですね。
ですからその意味では、今のところはものすごくうまく、会社として運営されているということなんですけども。当然ティム・クックも、松井さんご存知ですよね。彼はどんな人なんですか?
松井博氏(以下、松井):えっとね、ヘビみたいな人ですね。まずだいたいね、縦方向に長いんですよ。190cmぐらいあります。物理的に上から目線っていうか(笑)。自動的にわーって見下ろされて、その上になんでも覚えてるんですよ。
なので迂闊な発言をすると「お前、この間ミーティングで言った事と全然つじつまが合わない」とか、ネチネチ言って掘り下げて、相手が泣くまでやるんですよ。僕と同じくらいの、40代の後半とかになってるディレクター、部下が100人いるような人が泣いちゃうまでやる。もうね、怖すぎる、怖すぎますね(笑)。表情ひとつ変えずにやりますからね。
スティーブ・ジョブズはカッカして怒鳴ったりして、真逆ですね。静かに「ピシピシ」って感じで、ヘビっぽいなってずっと思ってました。背はキリンみたいな感じなんですけど、本当大きいです。わりとなで肩で、縦長の人で。
スティーブって、特に病気やってからちょっとふらふらしてたんですよ。風が吹いたら飛ばされちゃうんじゃないかな、みたいな感じだったんですけど、なんか(CEOが)細長い人になったっていうか、変な言い方なんですけど(笑)。そういう感じで、上から目線で怖いですね。
青野:今後Appleは、今のところまだすごく調子いいですけど、どうなりそうでしょうか。
松井:いろんな噂はあって、僕が当時知ってた計画とかも、全然実現してないものもあるんですけど、ちょっとそれは言えないんで(笑)。
青野:Appleの話ですとか、ティム・クックさんの話ですとか、まだまだいろいろ聞きたいことがあるんですけれど、アジェンダに沿って、次にビジネス英語の話にいきたいと思います。
青野:今Appleの特徴として、いろいろなんでもやるんじゃなくて、ものすごくシンプルに考えて、これだけをやる、それに力を注いで、みたいな話がありました。英語を勉強するときも、シンプルさって大切だなと思うことがよくあります。
松井さんはTOEIC満点、英検1級で、松井さんの本には「何かをするためには、TOEIC何点ぐらいないといけない」といったことが書いてあります。その中で「英検は1級くらいが必要でしょう。TOEICは満点くらいが適当です」という箇所があって。満点くらいって、それ、完全無欠ってことですよね? と思った覚えがあります(笑)。
そんな感じで、松井さんは昔からできたわけじゃなくて、高校の頃はこうだったっていう話もありましたが、そこから始めて英語をちゃんとここまで勉強して、かつ実際にずっと仕事で使ってきた。そういう人って実はいそうでいないんですよね。
皆さん英語は先生から学ぶじゃないですか。でも先生って、仕事で英語を使ったことがある人はそんなにいないですよね。特に学校の先生は。これが実はものすごくおかしいことだと思うんですよ。仕事で英語が必要だよって言われますよね。
だから英語をやらないといけないんだけど、教える人が仕事で英語を使ったことがないっていうのは、すごくおかしくて。僕、誰が一番良い英語の先生になれるんだろうなって考えたりするんですけど、やっぱりグローバルな舞台で英語を使って仕事をしてきた人が、一番良い先生になるはずなんですよね。
でもここにも落とし穴があって、グローバルに仕事をして、英語をガンガンやってきた人は、英語を教えようっていうモチベーションがあんまりなかったりするんですね。
別に英語を教えることに興味があって英語をやってるわけじゃない。自分のやりたいことをやるために英語をやっているので、この人たちは、結構英語を教えてくれなかったりするんですよね。教えろって言われても、逆に教えられなかったりする。なぜなら「自分はなんで英語ができるようになったかわかんない」だとかね。
そもそも教えようっていう気もないし、教えてみんな英語ができるようになっちゃったら自分の価値が下がるっていうのもあるんですけど。その中で、実際にこれだけ英語をやってきた、仕事でも使ってきたし、ちゃんと勉強もしてきた、だから他の人にも教えられるっていう人は実はほんの一握りしかいないんですね。
ですから今、英語の学校を立ち上げたという話もあったんですけれど、松井さんはすごく貴重な人だと僕は思っています。松井さんにお聞きしたいんですけれど、ビジネス英語の極意ってなんでしょう? 何をどこまでやればいいのかっていうところをお聞きしたいんですけども。
松井:ビジネスってそもそも何をするかっていうと、何かものを作ったり、サービスを作ったりするじゃないですか。そのためには、1人でやれることはすごくたかが知れてるから、お金とか人を集めてしなきゃいけないですよね?
それでこういう目的のために、あなたのスキルが必要ですとか、こういう物がいりますとかっていうことを、みんなに言えなきゃいけないんですよ。
だから、目的を持ったコミュニケーションができること。「昨日の巨人・阪神すごかったね」とか、「このあいだ見た映画が楽しかった」とかそういう話ではなくて、「うちの会社としてはこういうことをしたい。だからABCが必要です」そういうことがちゃんと言える。
それから、向こうが必ずしも(それを)くれるとは限らないから、交渉が出てくるわけなんですけど。
突き詰めて言えば、要点を突いたコミュニケーション、漫然とおもしろおかしい話をするんじゃなくて、要点をきちっと定めたクリアな意志の伝達ができることが、やっぱり極意ですね。
青野:英語っていうと、英会話って直結しちゃうところもあって、英会話ってわりと難しいじゃないですか。英語の音って、日本人にはかなり難しい。TとかDとかいう子音も難しいし、母音もものすごく難しいので、英語が話せてるだけで「あ、話せた!」ってすごくウキウキしちゃって、英会話ができてるだけで話せてる気になる。
それで、みんな英会話をやることに夢中になっちゃう。そこで英語がちょっと話せていれば、それこそ野球の話とかができていれば、できてる感じになっちゃうっていうのもあると思うんですよね。
BBT大学の先生で、スティーブ・ソレイシィさんていう先生がいるんですけれど、彼が『英会話1000本ノック』といった本を書いて、この20年ぐらいずっと売れてるんですけれど、彼が言うには「僕の本が売れてるようだと困る」(笑)。
英会話はここまでやったら60点でも70点でもいいから、ある程度やったら卒業して、次の段階に行ってほしいんだけれど、同じ本が20年前も10年前も、今も売れ続けていると。英語は難しいがゆえに、ちょっとできるようになると、そこで満足しちゃうっていうところがすごく大きなネックになってるんじゃないかと思います。
でも今、松井さんのお話ですと、そういうことではなくて、本当にこれを伝えたいっていう、ピンポイントで自分の考えを伝えるっていうところがすごく大事だということですね。実際にグローバルな環境でいろんな分野の人たちと仕事をしてみて、そう感じるということです。
じゃあ、そういう英語を身に付けるためには何をすればいいんでしょうか? 英会話学校に行ったりだとか……。
松井:その前にひとつ皆さんに質問したいんですけど、ビジネスの英語の中で、「書く」「読む」っていう、いわゆる読み書きがあるじゃないですか。それと「会話」、会議とかもありますよね。対話がありますよね。読み書きと会話、どちらが大事、重要だと思いますか? 会話のほうが大事だと思う人? 読み書きのほうが大事だと思う人?
(参加者挙手)
松井:会話が6割5分くらい、読み書きが3割5分くらいですね。ビジネスシーンでは読み書きのほうがずっと大事です。それはもう、はるかに大事です。日本でビジネスやっても同じですよね。結局最終的には書くんです。
言った言わないを避けるとかね、これが最終合意事項ですよね、こういうことに同意したとか、はたまた履歴書を書くとか、宣伝用のサイト作るとか。書くシーンはいくらでもあるんです。
だから書けないとお話にならないんです。しかも、テクノロジーの発達で、メールとかチャットとかどこでも追いかけてくるから、書くのから逃げられません。
松井:逆に会話は「あっ違った、そういう意味じゃなかった、実はこうこうこうなんだ」って、言い直しがいくらでも効くんですよ。あと、「腹芸」じゃないけど、人間的な魅力で人を引き込むことも可能なんです。
だけど、文字によるコミュニケーションではそれがほとんどできません。読み書き、特に書くことはものすごく大事です。青野先生もおっしゃってましたけど、つい会話で満足するんですけど、会話をちょっとできるようになると、やれることはほとんどないです、ビジネスの場合は。まず「書く」ですね。
青野:今の話に関連してなんですけれど、何カ月か前に日経新聞、3月ですかね、夕刊に載ってたんですけど、高校生の英語力を文科省が調べてみました、っていうことなんですね。30年ぶりに調べてみましたっていう記事だったんですけど、それまで調べてなかったのかよとか思ったんですが(笑)。
4本の線がありますが、今話が出た、読む・書く・聞く・話す、その4つでそれぞれ100点満点のテストをしました。40パーセントっていうのは40点でしたっていう話なんですけど。まあ、最高で100点満点の40点だから、全部良くないんですね。
読むも書くも、聞くも話すも。でもその中で、40パーセントはできてる、37パーセントはできてる、19パーセントしかできてない、32パーセントできてる、その4つなんですけど、一番上って何だと思います? まあ、できてないんだけれど、その中でも。
松井:「読む」?
青野:そうですね。2つ目、なんでしょう? 37パーセント。
「聞く」なんですね。次を言ったら、ふたつともわかってしまうんですけど、32パーセントって何でしょうね? 一番下の線なんですけど。これが「話す」なんですね。
最後に残った19パーセントというのが「書く」。皆さん「書く」がこんなにできないの? っていう感じなんですけれど、僕の中では、松井さんと話をしたりする中でもそうですが、これがすごく納得感があるんですね。たしかにこの通りだなと思って。
英語を使ったり教えたりしてる中で、何でこの通りなのかなと考えると、やっぱりどれくらい機会があるかっていうことだと思うんですよね。普通に、日本で。「読む」って、読もうと思えば読めるじゃないですか。新聞もあるし、歌詞カードもあるし、雜誌もあるしWebもあるしで。
「聞く」っていうのも「いや、聞くの苦手です」っていう人は多いけれど、聞くことっていくらでもできるじゃないですか。テレビだってあるし、映画だってあるし、CDだってあるし、いくらでもできるんですよ。
それに「話す」っていうのも、わりとできるようになってきて。東京に住んでいると、外国人も増えてきたし、英会話学校も、最近はフィリピンの先生たちも活躍されて、すごく安く話せるっていうのがあるから、その気になれば話す機会もないことはない。
けれど、実際に「書く」っていうことは、実はほとんどない。学校では「これを英訳しなさい」っていうのはありますよ。それはあるんですけれど「自分が思ってることを書いてみてください」ですとか、自分の考えを書く機会はないから、このデータにはすごく、僕は納得できるんですね。
青野:さらにここで重要なことがあって、じゃあ最終的な英語力って、それこそ仕事で使えるような英語力って、どこで決まるんだろうっていう話ですよね。
鎖があって、鎖の強さってどこで決まるかっていうと、鎖って、チェーンでつながってるじゃないですか。一番硬いところで決まるんではなくて、一番弱いところで決まるんですよ。弱いところがひとつ混じってると、それが鎖の実力です。
会社でも同じです。よくこういうことが言われるんですけれど、会社のブランドって何で決まるかっていうと、ものすごく商品が良い、製品が良いだとか、ものすごく物流がしっかりしてるとか、そういうことがあったとしても、どこで決まるかっていうと、強いところで決まるんじゃなくて、弱いところで決まるんですね。
カスタマーサービスが10点満点中2点だったら、その会社のブランドって2点になっちゃうんですよね、他がいくら良くても。それと同じことが、英語力ってやっぱり総合力だから、同じことが言えるなと思って。それを当てはめると、あなたの英語力、あるいは日本人の英語力はどこで決まるかっていうと、一番弱いところで決まってしまう。
よく「聞くのが苦手」だとか「僕は話せない」って言うんだけれど、それはそうですよね、37点とか32点だから。それはそれでできてないんだけれど、でもそれよりも根本的に書くことが、できないっていうかやったこともないから、ものすごく低くなってます。
そこで決まってしまうから、なおさら書くっていうことをもっと重点的にやっていかないといけない。
でもそれができるようになってきたら、だんだん他のものも浮き上がっていくので、これから本当に英語をやってみようと思われる方は、そのことを意識していただければと思います。とはいえ、実際に仕事をするとなると、書けるだけでもダメですよね。
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