IVS特別番組「Eコマースの今」

佐俣アンリ氏(以下、佐俣):IVS特別番組としてインタビューをお届けしたいと思います。テーマは「Eコマースの今」ということで、今回はお二人の方にお話を伺いたいと思います。GMOペパボの佐藤健太郎さん。

佐藤健太郎氏(以下、佐藤):よろしくお願いします。

佐俣:BASEの鶴岡さん。

鶴岡裕太氏(以下、鶴岡):よろしくお願いします。

佐俣:はじめに、簡単な自己紹介と会社のご紹介をいただければと思います。

ハンドメイドマーケット 手作り作品の通販サイト「minne」

佐藤:じゃあ自分から。もともと「ロリポップ!」というレンタルサーバーをメインでやっていまして、サーバーホスティング事業とEコマース、「カラーミーショップ」というASPのサービス、あとはコミュニティのサービスという3つくらいの事業をやっています。いま一番力を入れているのは「minne(ミンネ)」というハンドメイド・CtoCのマーケットプレイスになります。よろしくお願いします。

鶴岡:BASEという会社で「BASE」というカートシステムと、あとは7月の頭から「PAY.JP」という決済システムを提供しようとしていて、今は2個のサービスを作っています。鶴岡です。よろしくお願いいたします。

佐俣:よろしくお願いします。ちょうどこの動画の収録直前に、IVSの本セッションのほうでお二人はプレゼンされたと思うんですけど、ざっくり言うとどちらも調子がいいと。

鶴岡:minneが……(笑)。

佐藤:いや、BASEもいいじゃないですか(笑)。minneももちろん伸びてますけど、BASEも勢いあるし。

佐俣:minneはどうなんですか?

佐藤:minneはCtoCのハンドメイドマーケットというくくりで展開してきたんですけど、もともとPCベースのサービスだったんです。今年は結構「アプリのほうに注力していこう」となって、プロモーション等いろんなことをやっていって、今はどちらかと言うとPCよりもアプリベースでの流通が伸びてきている、ユーザー数も増えてきているという感じですね。

佐俣:今年はCMも開始されて。

佐藤:そうです。水川あさみさんを。

鶴岡:それは健太郎さんのアレですか?

佐藤:ちょっと好みは入ってるけど(笑)。

鶴岡:最悪だ(笑)。

佐藤:でも、いろんな人をリストアップをして候補を絞って残った人の中で「誰がいいかな」となったときに、「じゃあ一番好みの」という。

鶴岡:なるほど。そこまではフラットに選んだんですね。

佐俣:結果、CMは好調……?

佐藤:ハンドメイドにチープなイメージを持たれてしまうとよくないなと思っていたんで、「安かろう悪かろう」のイメージを持たれないCMを作らないといけないなと。でも我々がCMに思いを抱きすぎて、作家さんっぽいタレントさんとか女優さんを使ってしまうと意味がないなと。どちらかと言うと「クオリティのいいものを買いそうだな」という女性を……。

佐俣:かつ好みの?

佐藤:……好みの(笑)。結果的に「ハンドメイドってこういうもんだよ」っていう世界観や良さを伝えられたかなと思ってますね。

「minne」に創業以来最大規模の投資を実行

鶴岡:minne自体は「いきなりいくぜ」みたいな感じじゃないですか。それってどういう経緯でminne推しに開発して……。

佐俣:いいですね~(笑)。そのへんをゴリゴリ質問していきましょう。

佐藤:もうそんな話にいっちゃうんですね(笑)。いいですよ。ウチはいろんなサービスをやっていて過去に40本くらい作ってるんですけど、いま生き残ってるのは約20本くらいで。

鶴岡:ECとかサーバーとかいろいろ。

佐藤:はい。その中のひとつがminneだったんですね。会社でプロダクトポートフォリオを組んで、「今ここは伸びてるな」「ちょっとやばいから撤退しないとな」と検討していく中で、minneはユーザー数とか会員数、作家数が一番伸びてて。投資がしたいなと思ったのは、そこが伸びてたからというのがありますね。

佐俣:客観的に見ると、投資額というのは創業以来最大の規模なんですよね。

佐藤:そうですね。過去にいろんなことをちまちまとやってきたんだけど、ちまちまのレベルでしか成長しなかったというのがあって。結構そこはジレンマで、勢いよくやりたいんだけど、我々は上場企業でもあるので、マーケットに対してのコミットだったり、株価のことも気にしたりしちゃうと、なかなか大掛かりな投資はできないというのがあったんです。

でも一方で、我々とは違うスタートアップの鶴岡くんみたいな人たちって、一気に人を増やして一気にマーケティングしてスケールできてるっていう現状がある。それを見ると上場企業でそれができないのは意味がないし良くないなと思ったので、「だったら踏み込んでやろう」ということでやった感じですね。

鶴岡:株式上場されてるじゃないですか。そういう意味では解約側のリスクも想定されてやられたんですか? それとも一切見ずにアッパーだけみたいな……。

佐俣:鶴岡さん、結構切り込みますね(笑)。

鶴岡:いや、僕らからしたら決算ってなかなか……。僕ペパボ大好きなんでアレですけど、ペパボの株主としては安定的な会社が好きだったと思うんですよ。ずっと積み上げてきたっていう。その中でまさかのオールインっていう。

佐藤:そうですね。でも株価が極端に下がるイメージは当初からしなくて。我々は事業が安定的過ぎるから、株価も安定的過ぎちゃってたんで。ある程度ニュースがあったほうが、たぶん株価が動く可能性があるかなっていう。あんまりネガティブな発想はしなかったですね。

佐俣:信頼感ですよね。ずっとちゃんとやってきているっていう信頼があるから。

佐藤:そのかわり「こういうことをします」というのは全部出さないと信用を失っちゃうと思ったので、そこはちゃんと(情報の)開示なり投資家さんとの対話はしてましたね。

佐俣:なるほど。さんざん聞いてましたけど、BASEは今どんな状況なんですか?

誰でも簡単にネットショップが作れる「BASE」

鶴岡:創業2年くらい経って、BASEというサービスで見ると今までは「店舗を作る」というほうに比較的注力して、予算的にはほぼそっちに突っ込んでいました。そろそろ「購入者さんに対してどうアプローチするか」というフェーズに入りたいなと思っていて、今月からチャレンジしているっていうのが1個目の大きい軸です。

もう1個、僕自身がずっとPayPalを作りたいというのがあるので、どうやってPayPalを作るかというのがビッグテーマです。その2軸という感じですね。

佐俣:「BASEってEコマースの事業ですか?」って聞かれたときに「YES」って言うんですか?

鶴岡:IT健保(関東ITソフトウェア健康保険組合)ってあるじゃないですか。IT健保にヒアリングされて、できれば入りたいと思っていて。社員も入りたいと。でもいろいろ提出したら、IT健保側からは「BASEは金融の会社です」って言われて入れなかったんですよ。就業的に。

そういうのがあったりするんですけど、僕的には一応「決済の会社です」というほうに振りたくて。カートはそれこそ健太郎さんのところのカラーミーショップとかは10年くらい前からやられている事業ですし、BASEに関してはどちらかと言うと「決済をすぐに使えます」というのが、市場に対してはイノベーティブだったのかなと思ってます。

なのでそっち側はすごく意識しているのと、昔から決済が大好きなので、決済に対して「ここイケてないよね」と思ってずっと見ていたという感じですね。

佐俣:GMOさんも、Eコマースも決済も持ってますよね。

佐藤:そうですね。やっぱりコマースの部分って、極端な話をするとASPのサービスの部分は我々はいま固定料金を取ってるけど、ゼロでもいいと思うんですよね。そのかわりトランザクションの部分で絶対に手数料を取らないといけないと思うんで、そっちのほうがたぶん儲かると思うんですよ。……まあ、絡みがなくなっちゃいそうな言い方をしちゃいましたけど(笑)。

鶴岡:(笑)。

佐俣:「Eコマースの今」なのに2人とも決済をやりたいよねっていう(笑)。

佐藤:本当に決済っていいよなあ(笑)。

日本のEコマースはまだ穴だらけ

佐俣:投資家観点から見ると、Eコマースってこの1年くらいでおもしろい動きがいっぱい出てるなと思うんです。お二人的に注目してるトレンドとかサービスとかってありますか?

鶴岡:先々週にAndroidアプリを出したんですよ。僕はiPhoneユーザーなんですけど、Androidには「ショッピング」というカテゴリがあるじゃないですか。そこを見ると、ぜんぜん日本のECのアプリがないんですよ。Amazon、楽天、最近はminneとFrilとメルカリがあって、あとはそれこそTaobao(陶宝)とかがランキングに入っちゃうみたいな。

でもアメリカを見ると、例えば赤ちゃんECがあったり、メガネECがあったり、イケてるアパレルブランドとかも根こそぎアプリでやってる。そういうのは結構大きい課題というか、最近はこんな現状なんだなと改めてわかりました。日本のECを見ると、どこかに特化する(必要がある)ということも含めて結構「穴だらけだな」と思いましたね。

その中でBASEは今15万くらいのマーチャントがいるので、それをどうやって世の中に出していくのかというのと、比較的大きい予算も使ってみたいなと思ってます。そういう意味では、アプリのほうで見るとECは結構スカスカでチャンスはあると思ってます。全体的にアメリカと比べると空きまくってるという印象なので。

佐俣:なるほど。穴だらけだと。