
2025.03.19
急成長するドバイ不動産市場の今 投資のチャンスと注意点を専門家が解説
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大島周氏(以下、大島):ここからセミナーに入っていきたいと思います。
今回の連載企画の最初がRevCommさんということで、我々が勝手に「ここがすごいぞ、RevComm」というのをまとめましたので、ご紹介したいと思います。大きく3つに整理しています。
1つが圧倒的な成長スピードです。ローンチ半年でARR(年間経常収益)1億円、2年で10億円。さらにそこから驚異的な成長スピードを実現していらっしゃる。マーケットのあと押しのみならず、しっかりと再現性のある磨き込まれたグロース戦略の中でやっていらっしゃいます。
そこは事前の打ち合わせでも「めちゃくちゃすごい」と思いまして。今回ぜひRevCommさんにご登壇いただけたらなとお呼びしました。もしよろしければ、権田さんからも解説をいただけたらと思います。
権田和士氏(以下、権田):そうですね。グロース解説員は初めて拝命した役職ですけど、にぎやかしというかたちでやっていきたいと思います(笑)。
今回大島から「シリーズものをやりたい」と言われ、1発目はRevCommさんが一番いいかなと思って私から會田さんにお声がけさせていただきました。理由は3つあって、それをちょっとお話ししたいと思います。
1つ目、RevCommさんのすごいところは手順がめちゃめちゃクリアなんですよね。
通常スタートアップは「だいたいこんな感じかなぁ」とふわっとしているケースが多い。でも意外と1手目、2手目、3手目、4手目と、どの手順で登っていくかが重要なんです。會田さんは1個1個の手順がめちゃめちゃクリアなんですよ。
例えば最初のターゲットをHR市場に定めた点からしてもそうですが、「最初はここに行きます」「次はここに行きます」とターゲットの展開イメージがクリアですし。「何を」に関しても、最初は売上アップではなくコスト削減を打ち出していくなど。どのように進めていくかをふわっとさせずに、一段一段ちゃんと登っていく。
当たり前のように見えますが、1手目、2手目、3手目と明確し、着実に進めていくことはけっこう重要かなと思います。今日はぜひそんな話も聞きたいと思います。
2つ目は、カスタマードリブン(顧客主義)とイシュードリブン(問題解決主義)がある時に、會田さんは明確にイシュードリブンでお話しされること。
往々にして「誰に何を」になっちゃうと「すべての人たちに」とか、狙い定めたところで一生懸命いろいろやってしまうことがあると思うんです。
でもカスタマードリブンじゃなくて、本質的に「何が重要か」というイシューを定めながらやっている。ここを見定めてやっていくことは、SaaSにおいてはとても重要なことだと思います。特にToBの文脈の中では手順やイシュードリブンであることは欠かせないと思っています。
権田:最後の3つ目は、のちほど會田さんにうかがいたいことですけど。よく「0→1は起業家、1→10は事業家、10→100は経営者」と言いますが、起業家気質の人や経営者気質の人がいろいろといる中で、會田さんはけっこうバランスがいいなと思っています。
曾田さんはアントレプレナー(起業家)的なところもあるし、事業としてグッといくところもある。ポートフォリオ(資産構成)で経営者的なところもあったりする。
この3つの役割を1人が兼ねるのは、けっこう難しいと思うんです。もともと曾田さんがどの特性なのかはわからないですけど、とてもバランスよくやっているなと。
今日のテーマの中では1→10の事業家的な文脈がけっこう強いのかなと思いますが、もともと會田さんはどこを意識しながら運営されていらっしゃるのかも、ぜひうかがいたいと思っています。以上です。
大島:ありがとうございます。我々が勝手に曾田さんについて語るところからスタートしてしまい、ちょっとすみません。ここからは具体的なお話を聞いていきたいと思います。
一応最初に論点として、当社で整理していることをみなさまに簡単にお伝えします。
Go to Market(GMT)に進む時の論点として、「目標売上を達成する時の顧客構成はどんなイメージなのか」「お客さんとそのお客さんのセグメントに対しての提供価値の組み合わせにはどんなものがあるか」。
「どんな順番で開拓をしていくのか。その上でお客さんを狙う時のチャネルはどんなものが最適なのか」。あとは「自分たちに合うグロースモデル、組織モデルとは何なのか」「グロースに必要な資金をどう調達するのか」「どんな人材が必要なのか」、こんな論点が必要になるかと思います。
Go to Marketにおいても初期・中期・後期で考えないと、論点が異なっていくと思います。
初期は営業の型を作ってターゲットを絞って開拓していくフェーズ。徐々にそこからドメインを広げて、人を採用して拡大していくフェーズ(中期)があって。最終的に本丸のエンタープライズや海外にも攻めていく(後期)。
初期・中期・後期の順に沿って、RevCommさんがどう成長してこられたのかを深掘っていけたらなと思っています。
大島:ではさっそくGo to Marketの初期、PMF(プロダクトが市場に適合している状態)を感じた後から深堀りしていきたいと思います。
最初に「どこまでマイルストーン(中間地点の設定)として目標設定をされたのか」についてうかがいます。會田さん、いかがでしょうか。
會田武史氏(以下、會田):ありがとうございます。まず冒頭の過分なご評価、大変プレッシャーがかかっているわけですが……。
権田:(笑)。
會田:初期にどの程度の目標を設定したのか。まず私の思考プロセスは、演繹(えんえき)的思考法なんです。マクロからミクロ、抽象から具体なんで、ゴールドリブン(ゴールからマーケティングを組み立てる方法)なんですよね。
当時思っていたのが「1兆円の企業を作る」と。だから一定のGross Profit Ratio(粗利益率)があれば、PSRマルチプル(株価売上高倍率)で20倍ぐらいつくでしょうと。
ARR(年間経常収益)は500億円。それをMRR(月次経常収益)に分解すると41.7億円になるわけです。41.7億円から逆算するとARPU(1ユーザーあたりの収益)がどれぐらいなのか。我々の初期のARPUは13,000円ぐらいでした。
13,000円で割るとユーザー数が出てくるわけですよね。どのタイミングで何社取れるのか、1社あたりの社員数は何人ぐらいなのか。さらに毎年ARPUを20パーセント伸ばしていったとすると「このタイミングで500億円いけるよね」というのが見えてくる。これはもちろん絵餅(絵に描いた餅)のようなものですけど。
そこから逆算して、この1年間で何社を取らなきゃいけないのかになってくる。さきほどの質問に対しては、「1兆円企業を作るための目標設定、KGI(経営目標達成指標)・KPI(重要目標達成指標)設定をしていました」ということで、答えになっていますかね?
大島:ありがとうございます。
大島:今のお話の中にいろいろなヒントがあったかなと思います。しっかりと因数分解しながら、その数字を達成するためにそれぞれで戦略を描き、どう実現をしていくのかを考えていかれたんですかね。
會田:そうですね。
権田:ARR500億円と言ったら、ある程度グローバルも最初から組み込んでいた?
會田:いや、日本のMiiTel事業単体だけで500億円はいけるなと。そもそものTAMが日本だけで3.3兆円ぐらいあるので。それ以外の海外のファクターなども入れると、あまりにも不確定事項が多すぎる。
何かダメだった時に「じゃあこっち」となりがちなんで。権田さんが最初におっしゃっていましたが、集中はけっこう重要だと思っています。言い訳を作らないという。
1つの単体事業、1つのマーケットでTAMが1兆円くらいないと「そもそもやる意味があるんだっけ」という話になってくると思うんで……。
権田:先に登る山を決めるということですよね。
會田:僕が好きなYコンビネーターのポール・グレアムの言葉で、「Small fish in a big pond(大きな池の小さな魚)」と「Big fish in a small pond(小さな池の大きな魚)」のどっちを選ぶかで言うと、僕はもう圧倒的に「Small fish in a big pond」だった。
「pondのサイズが一番なんだよね」と。彼の言葉はここからが怖いんですけど、「市場は変えられないけど、経営者なんていくらでも変えられるじゃん」と。
OpenAIのCEOだったサム・アルトマンじゃないですけど、経営者なんていつでもクビにできるんですよ。でも市場は変えられない。
だから市場のデカさが一番重要なんだよね。いくら優秀な人が500円玉をピッカピカに磨いたとしても、くっちゃくちゃの汚い1万円には勝てない。やっぱり市場選択はかなり重要かなと思います。
キャピタルマーケットのTopTier(トップクラス)の投資家さんとお話しても、「とにかく市場規模がキャップ(上限)を決めちゃう」と言います。レイター(後期)になればなるほどキャップがちっちゃいマーケットは苦しいと。
それこそAUM(運用資産残高)がbillion(10億円)以上になってくると、チケットサイズが数十億円、数百億円になってくる。そこから逆算したら「もう事業は伸びないじゃん」「もうIRR(内部利益率)が担保できないじゃん」という話になっちゃうから、でかい事業は作れないですよね。
権田:孫さんもよく言いますもんね。登る山の大きさが一番重要で「登る山が決まればもう50%は達成している」ということかなと。
権田:さっきの起業家、事業家で言うと、會田さんは事業家気質がすごく強いなと思っています。思いやルーツも、それはそれであるのかもしれないですけど、事業の入口として演繹的に考えるところは強いですよね。
會田:はい、そうですね。
権田:ToB SaaSの特徴として、そういうビジネスリテラシーのある方がが成功しやすい特徴はありますよね。
會田:そうですね。私もエンジェル投資をしているんですけど、世の中の企業の思考プロセスは帰納的と演繹的の2つに分解できると思っています。
帰納的とは、目の前にこんな課題があって「これを解決したら、めっちゃええやん」というもの。演繹的は、今後世の中はこうなるから「このマーケットでこうすべきでしょ」というものですね。
だから演繹的はマクロからミクロ、抽象から具体。帰納的はミクロからマクロ、具体から抽象なわけです。どっちがいいかじゃなくてトレードオフです。僕は情理と合理だと思っていて、すなわち感情とロジックですよね。
演繹的思考法はマクロから考えるので「AイコールBイコールCの世界」ですから、ロジック、合理が担保されやすい。だけど「そこに愛はあるんか」なんですよ。愛がなかったら、結局その戦略を立てたとしても実行しきれない。実行する中でいろいろなピープルイシューがあるんで、そこで折れちゃったら終わりですから。
一方で帰納的思考法は、なんかめちゃくちゃ熱く語るんですけど「TAMはどうなんですか?」「戦略・戦術はどうなんですか?」と聞くと「いや、いけるんすよ」という。
権田:はい。
會田:「ごめんなさい!」というケースもあるじゃないですか。やっぱりBtoBはロジックもちゃんと伴っていないといけない世界。ロジックが伴っていればわりといける世界なんで。
権田:おっしゃるとおり。
會田:情理と合理のバランスは、まあ少なくとも合理が5割担保されていないと厳しいのかなと。一方でToCという遊びの世界もあって、「TikTokなんやねん」という。「ショートムービーがいいやん」と誰がロジカルに説明できるんですか。ロジカルな説明が無理な世界もあるわけです。
権田:おっしゃるとおり。
會田:だけどToB、キャピタルマーケットで株式会社という形態でやっている限りは、基本的にはみなさんBS、PL、キャッシュフローの極大化を目指す。投資以上にPLのPが伸びるのかLが下がるのかが言えて、変な政治や個人的な感情を抜きに合理的な判断をすれば、絶対に物は売れるんですよ。物は100パーセント売れるんです。
つまり「ロジカルな設計のストーリーさえ担保できていればいいよね」「BtoBはロジカルに攻められるといいよね」という話です。
権田:そうですよね。今回のグロースの観点で、會田さんの説明は「ToBでロジカルで」というのがわかりやすいなと。ToCになると、またぜんぜん違う話になってくるので、1発目にお呼びするのに(曾田さんは)非常に相性がいいなと思っていました。
あとちょっと付随すると、実はファウンダーマーケットフィット(FMF)がけっこう重要で。會田さんがどうやって選んだのかわからないですけど、ファウンダーマーケットフィットの観点で「ToBでSaaSでこの事業で」というブラックボックスを解消するサイズ感ですよね。
グローバル的な相性も含めてすごくいいフィット感のものを選ばれたなと、はたから見て思っていました。そこはけっこう練りに練ったんでしょうね。
會田:そうっすね。まさに演繹的に。プロフェッショナル経営者というか、プロフェッショナルサラリーマンが起業する時に僕がおすすめしているのが、演繹的思考法です。絶対にやったほうがいいと思います。
プロフェッショナルサラリーマンは、ロジカルに考えることが他の人よりも得意な人が多い。あと大企業の新規事業の担当者や責任者も、とにかく演繹的に考えるといい。
今の時代テクノロジーは外せないじゃないですか。僕がおすすめしているのは、「今後3年から5年でくる要素技術」掛ける「日頃自分がペイン(課題・悩み)に感じている」こと。この2軸で考える思考プロセスです。
そうすると、なんらかのドメインが決まってくる。これのいいところは、「日頃自分がペインに感じていることはなんだっけ?」「好きってなんだっけ?」という帰納的なスパイスも入るんですよ。
権田:なるほどね。
會田:だから、愛も担保されつつロジカルに事業ドメインが決められる。事業ドメインが決まったら、それをただ経営戦略に、戦術に落とし込めばいい。
「今後3年から5年でくる要素技術」掛ける「日頃自分がペインに感じる、および好きなことはなんだっけ」からスタートすると、なんとなくの事業ドメインが決まるんですよね。
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