2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
コミュニケーションの変容に合わせたプロダクトの拡張(LINE占い & トークCARE)(全1記事)
提供:LINE株式会社
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川野辺傑氏(以下、川野辺):さっそく始めさせていただきます。私たちは1to1ビジネス事業部で、ビジネスにおけるコロナに対してのプロダクトの価値を一生懸命考えているので、ローンチの事例やグロースの事例をお話ししていこうかなと思ってます。
その前に自己紹介させていただきます。川野辺と申します。コロナ禍なので、(アイコンは)オンラインの様子を写真にしてます(笑)。私自身は入社してからもう長くて、株式会社ライブドアの時に入社してます。「WorldCosplay」というコスプレサイトがあるんですが、そのグローバル版を作ったところから経歴がスタートしております。
ライブドアという1つの会社から、どんどん変わっていきました。ライブドア、NHN Japan、LINEということで、同じ会社なんですがすごく目まぐるしく環境が変化して、そのたびに生まれてくるサービスを一生懸命立ち上げていました。
LINEマンガの立ち上げから、今で言うと1to1ビジネスに関わるLINE公式アカウントで、LINEを通じて専門家と話し、そこでマネタイズする「LINE トーク占い」のサービスを立ち上げました。
ここでは、いろんな派生サービスを作っていくというビジョンを元から掲げておりましたので、これからお話しする白石さんと一緒に「トークCARE」「LINE弁護士相談」をやっていました。じゃあ白石さん、よろしくお願いします。
白石渡氏(以下、白石):初めまして、白石と申します。1to1ビジネス事業部というところで、川野辺さんと一緒にサービスのPMをやっています。LINEに入社してからちょうど3年目です。
入社してトークCAREというサービスのグロースを行ったり。残念ながら、LINE弁護士相談はクローズしてしまったサービスなんですが(笑)、その立ち上げを行ったりしました。そういったことをやってきて、現在はLINE占いとトークCAREのPMをさせていただいているので、のちほど事例をご紹介できたらと思ってます。よろしくお願いします。
川野辺:実際にサービスのご紹介をさせていただければと思います。「1to1プラットフォーム」は、LINE上で専門家を検索して、いい専門家を見つけたらその人に対して依頼をする。そして、実際に相談をするというアクションにつなげるものです。
基盤としては、LINE公式アカウントを使っています。専門家の数だけLINE公式アカウントを作って、そのアカウントと友だちになることで、ユーザーはLINE上でやり取りができる仕組みです。チャットをはじめ、画像であったりとか、最近ですとビデオチャットまで相談の手段として使えるようになっております。
それに付随するサービスとしましては、今は「占い事業」と「カウンセリング事業」の2つを運営しております。占い事業についてはわかりやすくて、占い師さんと実際にチャットで(やりとりをする)占いのサービスを提供しています。
カウンセリング事業に関しては、心理カウンセリングの資格を持った人や、ふだんからカウンセリングをする専門家を集めてサービスを提供しております。
冒頭でお話ししましたが、占い事業でサービスの1to1を作る際に、それを派生させてカウンセラー事業や育児相談、金融相談といった多方面につなげていきました。そうした広がりを持たせた計画のもと、今は1to1サービスで占いとカウンセリング事業メインで進行しています。
川野辺:1to1相談のニーズ。ここが数字面で見ていておもしろいところなんですが、やはりコロナによって在宅が増えたり、事業者によっては収益が下がったりするケースもあるとは思います。それによって不安になる人が増えて、コロナ前後でかなり相談件数は増えている状況です。
この伸び幅は、カウンセリング・占い、すべてを総合したものとなっております。前後で半年間比較して、17パーセントも増えています。やはり、不安からくる相談モデルというのは、コロナを皮切りに人々に使われやすくなり、そこに頼るような傾向があるのかなと思っております。
プロダクトのローンチの事例を1つ紹介します。これは「LINE対面占い」というサービスを立ち上げた時の事例なんですが、その背景としましては、コロナによって外出する機会が難しくなった。占いの館に行きたくても、なかなか行けなかったりとか。
占い師の観点で見ても、館に人が来ないので収益面で非常にひっ迫しているということで、業界全体でオフライン事業においては課題を抱えているような状況でした。
オンライン上で調査にあたっても、コロナ禍にオフラインで対面に行く人の半数近くが不安に思っていると。じゃあ、「オンラインでビデオチャットがあった時にどれくらい使いますか?」というと、これが半分近く増えています。
川野辺:ヒアリングをかける限り、事業者側としても、集客面や営業自粛で非常に困窮している状況となっておりました。
そこに対して、プロダクト検討のプロセスとしてはどういう考え方でやっているかと言いますと、先ほどのアンケートの調査や実際のプロダクトの数字を見ながらペインポイントを抽出します。この時のケースですと、距離のハードルや行くことに対しての不安。やっぱり、コロナによるペインポイントが大きいですよね。
事業者目線でのペインポイントとしては、今までなかなかオンライン集客の経験がなかったと。オフラインメインだった人は、オンライン集客の仕方がぜんぜんわからない人たちが多いので、そこにペインポイントがあったということですね。
そこに対してのソリューションの提供として、プロダクトプランですね。私たちはLINEで提供するところに非常に重きを置いております。強みとしているLINEのコミュニケーションプラットフォームを利用することで、全国の占い師にオンラインでシームレスに依頼ができて、悩みの解決にまでつながります。
オンラインなのでコロナでも影響がなく、ソリューションとしてペインポイントに対するニーズの提供、プロダクトのプランとしてこれが確立できるだろうというところで、バーチャル体験をユーザー向けに考えました。
川野辺:事業者である占い師の方に対しても、サービスを作るだけじゃなくて、LINE上でいかに集客ができるかをベースで考えます。LINEの中で検索して引っかかるかもそうですし、LINEの中で固定でき目立つところ……例えば、サービスのLINE公式アカウント、LINEのホームタブとか。
こちらが集客のサポートをできるような体制も作って、こういったかたちでソリューションを考えています。ほかのサービスを考える時も、わりとこういったプロセスで考えることが多いですね。
ビデオ鑑定の実装というか、「こういうものですよ」という紹介なんですが、実際にプラットフォーム上で専門家を探します。いい人を見つけて、チャット、ビデオ、電話、何で相談しますか? というところで、ビデオを選びます。その時に、「何分話しますか?」という時間を依頼する。最終的にLINE公式アカウントに遷移します。
みなさんもよく使い慣れてると思うんですが、LINEの通話機能で占い師に対して電話をかけるとビデオ通話が始まるので、終わった時間によって課金されるフローになってます。
占い師にとっては、実際に課金や決済までしてくれるプラットフォームは世の中にはないので、ほかの競合との差別化ポイントになっているかなと思っています。次のグロースは白石さんにバトンタッチします。お願いします。
白石:今はプロダクトのローンチの事例だったんですが、次はプロダクトを改修していく事例をお話させていただければと思います。まず前提として、そもそもグロースする上でどういった指標を大事にして、追いかけているかのご説明です。
利用者であるユーザー側と、占い師やカウンセラーという事業者側の2つの指標があります。まず、アクセスする部分から相談依頼をするかたちになっています。占い師が相談依頼を受けたら初めて課金ユーザーとして課金が始まるので、利用者はそのフローを追っているようなかたちですね。それに対して1ユーザーあたりの売上をかけて、最終的な収益の目標を持っています。
反対に事業者側に関しては、まずはLINEトーク占いやトークCAREに登録をしてもらうところから始めます。オンラインで1to1を行うサービスですので、まず待機してもらいます。待機してもらうところと、そこから実際にどれぐらいの時間相談につながったかという、相談時間があるかたちで追っております。
両者がそれぞれ大事にしている指標を赤字で書いています。利用者側としては「マッチング率」。ユーザーがアクセスしてから、どれぐらいで依頼につながるかというパーセンテージです。
ユーザーは、まずはサービスに入ってきた時に「どういう相談をしていいのか」とか、そもそも「誰に相談していいのか」というモチベーションで入ってきます。そこで、いかに自分に合った占い師をレコメンドして依頼につなげてあげるかというところを、とても重要視して指標を追いかけております。
一方で事業者側に関しては、待機時間に対しての相談時間を「消化率」と呼んでいます。実際、待機しても依頼がぜんぜんこない状況だと、占い師さんもカウンセラーさんも収益につながらない時間が発生してしまうので、消化率をいかに上げるかをすごく大事に運用しております。
白石:今日は、もう少しコロナのトレンドに合わせた事例のご紹介になります。こういった運用を日々行っている中で、2020年4月に緊急事態宣言で自粛要請が発令されました。
そうなった時に、僕らのチームでは何ができるかなといろいろ考えました。「コロナの無料相談をやったらどうか」「コロナ相談にカウンセラーは対応できるか」とか。チーム内ではかなり問題が山積みであったものの、そこはちゃんと変化に対応して改修して、サービスの適応をしていくべきなんじゃないかと。
「ユーザーのニーズを最優先にして、スピード感をもったリリースをしよう」という目標を持って進めたことで、4月7日に緊急事態宣言が発令されて、4月28日に「コロナ相談」をトークCAREにおいてリリースすることができました。
それを行った背景です。これはトークCAREのLINE公式アカウントをフォローしてるユーザーに対してアンケートを取ったものなんですが、外出自粛によって8割以上の人が不安やストレスを抱えていると。あとは、そのうち6割以上が外出自粛によって愚痴やストレスを発散する機会が減っていて、かなりストレスが増えているというユーザーの環境がありました。
自分の家族には相談できないんですが、気軽に第三者に相談できるトークCAREはうってつけのサービスなんじゃないか。まずはサービスを体験してもらう良い機会だということで、コロナ無料相談の対応をさせていただきました。
先ほどトーク占いのビデオ鑑定フローのご説明があったんですが、同じような相談フローになっています。ふだんは1分あたり100円や300円の課金をすることで相談ができる仕組みなんですが、そこを無料開放しました。
白石:あとはサービス上でコロナ相談専門のページ等を用意して、コロナで抱えたストレスや不安を相談できるカウンセラーのみを集めたページから訴求をするとか、LINE公式アカウントを使って、カウンセラーからもらった「家ではこういうストレス発散をしたほうがいいよ」といった、コロナに関する悩みの記事をこの期間中に配信する取り組みを行っていました。
その取り組みを行った結果、どういう反響があったかといいますと、左側にあるのがサービス内のレビューです。「無料がきっかけで初めて相談しました」「満足度が高くて、今後も相談したいと思いました」「コロナに関する悩みを的確に解決できた」といった、すごく良い反響をいただきました。実際にサービスとして体験してもらうことで、すごく良い取り組みになったかなと思っています。
これは相談してからのレビューではないんですが、この取り組みについてSNSでもいくつか反響があって。「これでユーザーが急増しそう」「めちゃめちゃいいサービスですね」と、社会的にも一部サービスとして貢献できたかなと思っています。
実際にサービス内の数字はどう変化したか。オレンジ色が有料相談なんですが、有料相談自体は期間中に少し減っている部分はあったんですが、無料相談にかなり多くの相談がきておりまして、総相談数自体もすごく増えました。
あとは、冒頭で説明した消化率が約480パーセントアップしていました。その期間中は常に、カウンセラーが待機したらすぐに相談が入る環境を作れていたので、カウンセラーの収益や知見にもつなげられた良い取り組みになったかなと思ってます。
白石:最後にまとめです。「ユーザーの変化の波に合わせてどのように適応していくべきか」ということで、今の取り組みも通してわかったことを整理しました。
まずは「最終目的の共有と役割の整理」です。一番最初に緊急事態宣言が発令された時は「何をしていいかわからない」「何を目的に走っていいか」「どうやって変化すべきか」と、チームの中ですごく意見が割れたりしていました。
そういった時にスピード感をもって変化するには、目的の共有やそれぞれの役割の整理を速やかに行うことで、早いリリースができるかなと思っています。
2つ目は「一過性の利用から定着へ」です。今回、トレンドに合わせた特別仕様で作ってはいるものの、この流行から集客したユーザーを実際にどう定着させるかが、次は非常に大事になってくるかなと思っていて、そこで学びがあったなと思っております。
3つ目は「汎用的な実装」が必要ということです。今回、コロナ無料相談のための実装にはしているものの、コロナ相談以外にも、無料相談の実装をほかのキャンペーンで使ったり。コロナ無料相談を契機に実装はしたんですが、その後の施策にも活かせるように実装をしています。
なので、一過性の実装ではなくて今後も使える仕組みとして実装しておくと、その後のトレンドがあった場合にも同じような仕組みで対応ができるよということで、汎用的な実装を心がけるのがいいんじゃないかと思っております。ちょっと早足になったかなと思うんですが、以上です。ありがとうございました。
司会者:ありがとうございます。時間が押し気味ではあるんですけれども、せっかく質問をいただいてるので、いくつか回答する時間にできればなと思っています。
最後に白石さんから説明いただいた、「コロナ後のユーザーの維持」が課題になってくるのではないかという質問を頂いています。実際に飲み屋とかの飲食業界であればリアルに流れてる話があると思うんですが、そういったところで施策として実施されていることや、考えているところがあったら教えていただけますでしょうか。
川野辺:例えばOMOでの施策に関して言うと、(数としては)少ないものの、実際に店舗に来店した人に対して「引き続きコミュニケーションしたい場合は、LINEトーク占いを使ってね」というカードを渡してるんですね。
なので、できるだけオフラインの事業活動を支援して、リレーションシップを図るためのツールとして、店舗に使ってもらう取り組みは強化してます。今はどこもやってないので、なかなか手探りではあるんですけれども。
司会者:なるほど。ありがとうございます。回答の途中にはOMOといういい感じの言葉が出てきましたけれども、リアルで接したあとのフォローアップをデジタルで行う仕組みを作ることで、オフライン・オンラインのトータルで見ると、ちゃんとプラスを生み出していくところに進められているんですかね。
川野辺:そうですね。
司会者:ありがとうございます。事前に聞いてなかったので、「あんまりないです」と言われたらどうしようかなと、戦々恐々としながら聞いてたので(笑)。めちゃめちゃいい回答をいただけて安心しました。
川野辺:(笑)。
司会者:じゃあ、もう1個だけ聞いちゃってもいいですかね。占いの質を担保するのはすごく難しそうな気がするんですが、占い師の方の質はどういうふうに担保されていますか?
川野辺:これはわりと泥臭い話にはなるんですけれども、一人ひとりとコミュニケーションをして、オンラインでのチャットの返し方、コミュニケーションの仕方、そしてお客さまが喜ぶような印象の与え方を手探りでレクチャーしてますね。
司会者:なるほど。ある意味、社員教育的な感じですね。
川野辺:そうですね。占い師教育的な感じですね。
司会者:確かに、(占い業界は)ほぼデジタル化はされてない業界ですからね。
川野辺:私たちには占い自体の知識はないんですよ。でも、チャットコミュニケーションやトークコミュニケーションにおいての最適なコンサルティングはできるので、そういった部分でのサポートをやってます。
司会者:なるほど、おもしろい。いろんな業界に横展開もできそうなスキームという感じがしますね。では、これでトーク占いの川野辺さんと白石さんには登壇を終えてもらおうかなと思っています。みなさん、画面ないし音でもいいので、盛大な拍手をお願いします。ありがとうございました。
LINE株式会社
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