社内の“モンスター”と化していたkintone

小林信也氏:みなさま、こんにちは。アソビューからまいりました、プロ雑用の小林信也と申します。

これまでの4人の方、すばらしい発表だったと思うので、わざわざ私がこの場で発表することはあるのかと思うんですけれども(笑)。みなさんもお疲れだと思うのですが、もう少々お付き合いいただければと思います。

まず最初に当社のことをご説明させてください。私どもは「ワクワクを、すべての人に。」というミッションを掲げて、asoview.comというサイトを運営させていただいております。全国の遊びをご紹介しているサイトでございますので、「週末何しようかな」というお悩みがございましたら、これを機会にぜひご利用いただければと思います。

当社ではkintoneは2016年から使っておりますが、私は最初から担当者だったわけではございません。私が担当者になったのは途中からなんですが、実はこういうことが起こっておりました。

いろいろなことがございまして、担当者が不在になっちゃったりして、もういろんなことが起こって、社内でkintoneがすごく嫌われてたんですね。「kintoneなんか使いたくない」というような状況になってました。つまりkintoneが“モンスター”になっちゃってたんですよ。

私は別の仕事をしていたのですが、そのときに「なんとかしてくれ」ということで担当を任じられました。私がモンスターとなったkintoneをどうやって倒したのかということを、今日はお話しさせていただきます。

モンスターを倒すためのたった1つの秘訣

最初に申し上げたいのは、その秘訣はたった1つです。このたった1つで、私はkintoneをなんとかしました。それがこちらでございます。「目的にこだわる」。

私も最初から「目的にこだわる」ということに気がついていたわけではないんですよ。いろいろなことがありまして、この真理にたどり着いたのですが、今日はその紆余曲折のお話をストーリー仕立てでお話しさせていただきたいと思います。

私が目的にこだわるために、申し上げるポイントは3つ。たった3つです。このポイントはみなさんも真似していただくことができます。

私はこれを「三種の神器」と呼んでおります。みなさんもお使いいただくことができるので、ぜひ使ってみてください。では、さっそくまいりましょう。

まず1つ目の神器、「頼みの鎧」。私、悩んでたんです。初めてkintoneの状況を見まして、「いや~大変だ」と。モンスターが出現しました。たくさんのモンスターがいたんです。アプリはカスタマイズされまくって、いろんなつながりをしていて、もういじれなくなっているし。

もう2年くらい使われてましたので、中にあるデータが全部テキストデータで、10万件とか膨大にたまっているんですよ。どうしたもんかと。その間にエクセルはどんどん増えていく。もう大変なことになっていました。

私はちょっと頭を抱えて、「これは大変なことを請け負っちゃったな」と思いました。どうすればいいかわからない。

まずはkintoneのことについてより深く知る必要があるなということで、実はちょうど2年前に幕張に来たんですね。2年前に、このCybozu Daysにまいりました。

そこでいろいろと勉強させていただいて、「kintone、すごく使えるじゃないか」と。めちゃくちゃいいツールだなということだったので、壁を越えるヒントをいただいたんですね。

それを皮切りにいろんなイベントに参加させていただく。また、ネットを使っていろんな事例をたくさん学びました。

さらに確信を高めた私は、会社のメンバーを説得したんです。実は私、このお仕事を請けるときに「kintoneで続けるか、別のツールに移るかも含めて考えてくれ」と言われたんですね。

「kintoneでいけます!」ということを確信を持ってお話をさせていただいて、最終的にこちらの取締役の宮本(武尊)さんと、カスタマーサービスの責任者である中野卓さんに協力していただいて、やることになりました。

私は「頼みの鎧」をここで装備したんですね。外のコミュニティと社内の仲間の力を使って、モンスターの攻撃に耐えられるようになったんです。

ヒントはリアルにあります。話を聞いて事例を学べば、いつの間にか仲間が増えている。これがkintoneの魅力だと思います。仲間は必ずいるんです。kintoneのコミュニティのパワーは本当にすばらしいのでね。

再利用をやめて、すべてのアプリをゼロベースで設計

次の神器のお話です。私、またまた悩んでたんです。kintoneでいろんなことができるということがわかった。それを社内で実際に使うとき、どこまでやるか。どこまで改革していくかということを悩んでいたんですね。そう、またモンスターが現れたんです。

今のままのアプリを少し変えればいいんじゃないかとか。“メンドクーサイ”(笑)。ちょっと面倒くさいなというところ。それから自信がなくなってきた。どんどん不安になってきちゃったみたいなところがありましたので。私、立ち止まって考えました。「私はkintoneを使っていったい何を実現したらいいのか? するべきなのか?」。そこを真剣に考えました。

そのときに、この「ワクワクを、すべての人に。」というミッションを会社側のメンバーが実現するために、私は何ができるのか? それを考え抜いて、こういうことを決めました。

すべての業務のボトルネックをなくす。みんなが顧客に全力で向き合える環境を作るという自分のビジョンを設定し、これをkintoneで実現しようと決めたんですね。ここで私は「決断の盾」を装備したのです。

そして、もうすべてのアプリを再利用するのはやめました。ゼロベースですべてのアプリを設計しました。これがベースの設計図です。アプリを作る前に、一番最初に「kintoneで何ができるか」ということを(考えて)、会社のすべての業務をアプリに落としたらこうなるであろうというものを作ったんです。

これをもって、自分の弱気な心をすべて撃退することができました。

kintoneはなんでも作れるんです。みなさんご存じですよね。なんでも作れるんです。だから、自分のやりたいことを徹底的にぶつけられる。できるかできないかではなくて、全部できるんだと思ってやるというところです。ビジョンがあれば、あとは手を動かすだけ。

ブレない想いが結果を呼ぶんです。まずは1個のアプリでもいいから作ってみて、やることが大事だと思います。ここまで盾を装備し、鎧を着込みました。次は槍。攻撃です。

わずか1.5ヶ月で生産性が290パーセント改善

私はまた悩んでいたんです。アプリを作ったけど、設計もしたんだけど、はたして本当にこっちの想定通りうまくいくかなぁというところ。またモンスターが出てくるんですね。時間泥棒。あっという間に時間が過ぎていく。

当社はベンチャーでございますので、刻一刻と状況は変化する。うかうかしていられない。焦っちゃう。それから、「慣れてるほうがいい」と言われるんじゃないか。新しいアプリなんか使ってくれないんじゃないかという不安がございました。

そして私はそのために「疑いの槍」を装備したんです。ところでみなさん、疑いってめちゃくちゃネガティブなことだと思ってませんか? 違うんです。疑うは、探究というQuest。めちゃくちゃポジティブなところ。そもそも興味がないと疑うことができませんから、好奇心なんですね。

この好奇心を持って現場の状況をよくよく観察いたしました。そしたら、こんな課題がたくさん出てきたんです。もうおわかりですよね。これだけの改善の種が手に入ったら、あとは改善サイクルをガンガン回していくだけ。PDCAサイクルを高速で回していく。そしたらこんなことになりました。

ある部門では、わずか1.5ヶ月で生産性が290パーセント改善。そのほかにもメンバーからはめちゃくちゃ喜びの声がもらえた。「めちゃくちゃ使いやすくなった」とかですね。これはほんの一部なんですけど、こういったことが起こったんです。

kintoneはご存じのとおりすぐに直せるし、何度でも変えられるんです。ですから、すばやくPDCAサイクルを回すことができる。これは本当にkintoneの特徴だと思います。探究心なくして発展はないんですね。kintoneは思考の実験場としても、非常に優秀だと思っております。

kintoneをうまく使いこなすコツは「目的にこだわること」

さあ、ここまで三種の神器を追ってきました。頼るのは、仲間づくり。決めるのは、自分がブレないため。疑うのは、探究し前進していくためということです。

そう、私は三種の神器を身につけて、このとき初めて「なるほど!」と。目的にこだわることこそがkintoneをうまく使いこなすコツなのであると私は目覚めました。

目的にこだわる。これさえ徹底的にすれば、結果はおのずとついてくる。アプリ制作だろうが、業務改善だろうが全部うまくいくという確信を持ちました。そこからが私のターン。2018年は私はkintoneを使って社内の業務改善に徹底的に取り組んだ年でございました。

それは今も継続しております。最新のアプリですと、社内の資産管理のアプリですとか、電話番号の内線管理のアプリなんかも作っております。そういったもので、モンスターと化したkintoneは見事、復活いたしました。

私、目的は理想だと思うんですね。理想がないとどこに行けばいいのかということに途中で道を迷ってしまうと思うんです。そここそがkintoneをうまく使いこなすコツであると私は思います。

kintoneはDIYツールだと思います。なんでもできるんです。道具が揃えばなんでもできる。だからこそ、目的がないと当社アソビューが私が関わる前のような危機的な状況になってしまう。もうみなさん次第で、kintoneは可能性が無限大のツール、すばらしいツールだと思っています。

来場者は「三種の神器」のうちの1つに手をかけている

最後にお話したいのは、今日この場に1,000人くらいのみなさんがいっらしゃっているとお聞きしております。私も去年はそちら側におりました。まさかこの場にこうやって立たせていただけるとは思わなかったんですけれども。それもこれもkintoneのコミュニティであるとか、kintoneの可能性がすばらしかったからだと私は確信しております。

ぜひ今日と明日のCybozu Daysでたっぷりと学んでいただいて。今日ここに来ているみなさんは、先ほどご紹介した三種の神器のうちの「頼りの鎧」にはもう手をかけていらっしゃる。あともう少しです。順番に三種の神器を身につけていけば、目的にこだわって、自分の理想をkintoneで叶えられると僕は信じています。

すばらしいkintoneがこれからも誕生することを私は願って止みませんし、私自身もこれからもkintoneを使って社内の業務改善をどんどんどんどんと進めていきたいと思っております。

それと資料作りにはぜひ、いらすとやさんを使っていただければと思います。まるでkintoneのようだと思いますけれども、さまざまなイラストがご用意してありますのでね。そういったことで、今日の私の発表を終わらせていただきたいと思います。ご清聴誠にありがとうございました。アソビュー株式会社プロ雑用の小林信也でした!

(会場拍手)