2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
株式会社高正工務店 西垣勝貴 氏(全1記事)
提供:サイボウズ株式会社
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西垣勝貴氏:はじめまして。こんにちは。今日は私の会社の事例を発表させていただきます。タイトルは「社長のポケットの中は宝の山」です。弊社は工務店なんですけれども、この中で工務店や建築関係の方はいらっしゃいますでしょうか? いらっしゃいますか?
(会場挙手)
あ、ちょこちょこいらっしゃいますね。あと業種に関係なくて、まだkintoneをうまく使えてないという会社さんはいらっしゃいますか?
(会場挙手)
ありがとうございます。私も1年前のKintone hiveで初めて、いろんな実例を拝見させてもらって、そこから使用のテンポが上がりました。今日はみなさんがいろいろ発表されると思いますので、それを参考に、ぜひkintoneを活用していただけたらと思います。
紹介させていただきます。私、西垣勝貴と申します。昭和60年生まれの34歳です。もともとSEの会社で6年働いておりましたので、少しITのリテラシーがあります。そのあとはぜんぜん違う業種で、お家の外構工事の会社に勤めました。こちらは近畿2府4県にある大きな会社だったので、たくさんの施工をさせていただきました。
そのあとサッシ問屋に行きまして、それから今の社長に会社を盛り上げたいということでお誘いいただいて、2年前に高正工務店に入社いたしました。
高正工務店はどんな会社かと言いますと、創業が20年になります。社長がもともと大工さんをしていましたので、その際に創業させていただきました。今は個人のお客様向けのリフォームや新築、不動産買取をさせていただいております。弊社の経営理念としましては、お客様、スタッフ、協力業者さん、みなさまの真の喜びと幸せを追求して活動をさせていただいております。
私が最初に入社させていただいたときに、お客さんを持たせていただきました。そのとき社長に、「お客さんの連絡先はどこですか?」「今あるタスクは何ですか?」と聞きました。そこで社長から出てきたのが、裏紙に書かれたToDoリストと携帯電話から出てきた顧客リストでした。
以前勤めていた外構の会社では、顧客管理がシステム化されていましたので、お客様の情報の重要性は非常に理解していました。なので、お客様の情報をまず蓄積していくことが、会社の価値を上げていく1つだと思いました。
工務店の業務をシステム化しようと思いまして、整理したところ、このような流れになります。お客様から問い合わせがあって、そのお客様の住所やお名前、連絡先などの情報と、工事の内容を管理します。
そこで打ち合わせを進めて、契約が決まったら、今度は契約金額や工事日程などの管理をする必要が出てきます。それが終わって工事が完了したら請求に進みますので、次は請求金額や、今後のアフターフォローの情報を管理する必要が出てきます。
ただ、やはりシステムを使われたことがなかったので、社長に説明をしてもなかなか必要性を理解してもらえませんでした。なので、「とりあえず3ヶ月使わせてください」というお願いをしました。
弊社は非常に小さな会社なので、そこに使う費用はなかなか経費として出てこなかったんです。今回システム化するにあたって必要となる条件は、使いながら改善ができる。費用の負担が少ないということですね。
通常システム開発となると、設計して、詳細設計・開発・テスト・リリースという順番に作業を進めていきますので、少しの変更があるだけで何十万というお金がかかったりすることがあります。なので、できるだけコストが少なくできるシステムを選ぶようにしました。
あともう1つ、条件としましてはスマホやPCでも使える点です。やっぱり現場に出ることが多いので、どこでも管理できれば、わざわざ事務所に帰る必要がなくなるので、それが条件となります。
この条件を満たすものを探したときに、kintoneに出会いました。ただ、リリース直後に京都を台風21号が直撃しました。京都はだいたい台風が弱まったくらいに来るので、ふだんはそんなに被害がないんですけれども、今回は通常にも増して被害がありまして。3日間で問い合わせが90件ありました。
通常、私たちの会社だとだいたい1ヶ月あたり10~15件くらいの問い合わせを2人で回していましたので、明らかにキャパシティオーバーで、『帰れま10』状態になってしまいました。夜中にお弁当食べて、こんな感じで僕もふてくされている感じですね(笑)。
ただ、今回はkintoneを導入していましたので、問い合わせがあったお客さんに関しましては、まずすべてkintoneに登録するというところです。それによって、従来のキャパシティを超える対応が可能になりました。職人さんが忙しかったりもするので、半年という期間がかかってしまったんですけれども、すべてのお客様に対応することができました。
たくさんのお客様に喜んでいただくことができて、ほかの工務店さんで断られたお客様に対しても受付することができましたし、損傷状態に応じてお客様の対応順序を決めるような対応をしました。
病院関係さんでも、症状が重い方を先に治療されると思うんですけれども、そのように対応させていただいたおかげで、その後、お客様となられてリノベーション工事まで依頼をいただくことができました。
では、実際にアプリの作成の状態を見ていきます。先ほど説明したとおり、このような3つの流れで管理できるアプリを作る必要が出てきます。私たちは、この情報を1つのアプリに集約しました。
案件管理アプリというものを作りました。左が画面の全体の姿なんですけれども、その中で上部ではお客様の情報ですね。
お名前ですとかご連絡先、担当者、工事の内容を入力しております。中段に来ると、契約情報や請求金額、請求状態の情報が入っています。
下段にいくと、工事の情報になります。着工日がいつかや、引き渡しの予定と実際の引き渡し日。あとは今後のアフターフォローの情報ですとか。また、別のアプリにはなるんですけれども、クレーム管理のアプリがあります。こちらもこのアプリに紐付けて管理するようにしています。
ただ、あのアプリをずっと一覧にしただけでは、どのお客様が見込みなのか、契約なのか、工事が完了しているのかがわからないです。なので、ビューという機能を使って、今回それを管理するようにしました。
これが見込み管理のビューになります。この中で見込み客を判断するのに必要な情報としては、顧客名と工事名、見込みのランクといって、工事の確度ですね。確度の高いお客様を上位に表示し、低いお客様を下に表示する。あと、だいたいいつごろの契約になるかというものと見込みの金額ですね。それを担当者ごとに見込みランク順に出るようにしています。
工事が決まった現場については、現場管理ビューというものを作りました。これに関しては、工事に必要な情報になりますので、担当者ごとに着工日順で並べています。ですので、担当者が次にどの現場が来るかが一目でわかるようにしています。
また、引き渡し予定日を入れておくことによって、ほかの人が見たときに「この工事、まだ終わってないけど大丈夫?」というフォローもできるようになっています。あと、必要な情報としては契約日や契約金額を表示するようにしました。
工事が終わったお客様に関しては、請求管理画面に表示されるようになります。やっぱり、お金がちゃんと集金できるまでが工事なので、こちらでは引き渡し日順と入金額合計の順に並べています。まず、お客様に請求して入金があると、経理の人が入金額合計のところに金額を入れていきます。
なので、上部に空欄があるところはまだ入金がない工事、その下は入金がある工事になります。請求金額が入っていますので、そこと見比べて、入金額に差異がないかという確認もできますし、まだ入金がないお客様がどれだけいるかも一目でわかるようになっています。
もう1つ使わせていただいているのは、プリントクリエイターという機能ですね。これは別途契約になるんですけれども、お客様の情報をもとに、お客様シートや契約書、請求書やほかの帳票を出力するようにしています。
ですので、案件管理のところでお客様の情報をしっかり管理しておけば、外出先でも携帯でPDFを出力して、コンビニのプリンターで出力できますので、臨機応変に対応できます。
弊社は今年、東京営業所を開設させていただきました。また社員も5人に増えております。そのような事業拡大にも対応ができます。なので、業務管理についてはkintoneを使わせてもらって、ファイルのやりとりはDropbox、スケジュールに関してはGoogleカレンダー、連絡ツールはLINEという4本立てで業務を遂行しています。
私も東京に出張することが多いんですけれども、だいたい連絡や書類のやりとりはこの4つがあればできますので、事務所にいなくても業務が進むようになっています。
最初は社長と2人でいろんな業務を……台風もあったりして大変だったんですけれども、社長のポケットの中を取り出していくことによって、2年で社員が3倍になりました。売上も3倍になりました。
今、このメンバーで会社をやっております。たくさんのお客様に喜んでいただいておりますので、これからもたくさんのお客様にリフォーム・リノベーションをお伝えしていければと思っております。
今日はご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
サイボウズ株式会社
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