属人化の問題が“ムリ・ムラ・ムダ”を招いた
介護の現場を救った、kintoneの「ケアの質を高める能力」

株式会社福祉のひろば​ 阿部めぐみ 氏​​

kintone hive sendai vol.2
に開催

2019年3月15日、宮城県仙台市の仙台Rensaで「kintone hive sendai vol.2」が開催されました。kintone hiveは、日常の業務でkintoneを活用しているユーザーが一堂に会し、さまざまな業務改善プロジェクトの成功の秘訣を共有する場です。本パートには、株式会社福祉のひろば​の阿部めぐみ氏​​が登壇。属人的になりがちで「ムリ・ムラ・ムダ」が多発していた同社がkintone導入でどう変わったかを熱弁しました。

提供:サイボウズ株式会社

山形県の福祉事業会社が果たした業務効率化

阿部めぐみ氏(以下、阿部):みなさん、こんにちは。山形県から参りました、福祉のひろばの阿部です。今日はよろしくお願いします。実は私、大勢の前で発表することが今日初めてなので、ものすごく緊張しています。

なので、たぶん聞きづらかったり、たどたどしいプレゼンになるかとは思うんですが、そこはぜひ大きな心で聞いていただければと思います。

では、最初に自己紹介をしたいと思います。名前は阿部めぐみです。経理部に所属しています。趣味は城攻め、とくに戦国時代の城跡に好んで攻め込みます。お城見学じゃないんです、ちゃんと足軽になった気持ちで攻め込んでます(笑)。どうでもいい話なんですが、スライド左側のお城が長野県の上田城です。スライド右側が山梨県の新府城になります。

自己紹介はこのぐらいにしておいて、弊社は山形県の北の地に位置する酒田市に本社があります。ちょうど酒田市が最北端の1歩手前のところです。そんな酒田市、人口が約10万2,000人、そのうち65歳以上が約3万5,000人と、総人口の35パーセントを占める超高齢社会の街なんです。

そんな酒田市に、昭和60年9月、有限会社庄内入浴サービスが産声を上げました。実は最初から「福祉のひろば」ではなかったんです。そして、誕生から約13年後の平成10年4月に、「株式会社 福祉のひろば」と改称しました。

もともと、最初の有限会社庄内入浴サービスとあるように、訪問入浴事業のみを展開していましたが、介護保険施行後にデイサービス・居宅介護支援・訪問介護・福祉用具と、多くの事業を展開しています。

営業所としては、鶴岡市と天童市にて訪問入浴とデイサービスを、2015年10月には酒田市の中心街にて、ビルの1階部分にデイサービスと飲食店、2階にホットヨガ&メディカルフィットネスジム、3階と5階にはサービス付き高齢者向け住宅と、子どもからお年寄りまで集える多世代共生施設「てとて中町」が誕生しています。

なぜkintoneを導入しようと思い立ったか

さて、そもそもなぜkintoneを導入しようと思い立ったかですが、そのきっかけは現在の2代目社長です。こちらが、2代目社長です。社長に「写真を使わせてください」と頼んだところ、5、6年前の写真がきたので、そのまま使わせてもらっています(笑)。

弊社はこれまで、介護のなかでも「治す介護」に重点を置き、専門職によるミーティングを重要としてきました。そのため、ミーティングの内容や、情報の共有の経過が一目でわかるツールとしてkintoneを導入したいと考えました。その後、いつのまにか社長が導入していました。

しかし介護保険制度の改定で、また職員間の教育も継続しなかったこともあり、現場からは忙しいことを理由に、「kintoneって面倒くさい仕事っぽいよね」と定着しない状況にありました。

実際、誰も社長には言わなかったんですけども、「社長、今度は何に影響を受けてきたの?」「え、kintone? 何それ」「どうせまた一時の流行りで、絶対そのうちやらなくなるって」と陰で言われていました。

また、トップダウンでも現場に落とし込めないもどかしさを感じていて、「ケアマネジメントなしでは良い仕事ができない」と揺るぎない志はあっても、社長が現場でバリバリ働いていた頃に比べ、利用者の状況もニーズの分析も少なくなっており、「あれ、時代は変わったのか?」「もう終わりか?」とあきらめを感じていたそうです。

そんな社長も職員もあきらめムード満載のなか、全国介護団体の会議の場で、介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン作成等一式事業の要請を受けたんです。

「何これ?」と思いますよね。簡単に言うと、国で生産性向上に成功した事例を取り上げてガイドラインを作成し、介護業界の生産性をもっと良くしていこうというプロジェクトなんです。

要請は受けたんですけども、「そんなの効果が出るわけがない」「5Sや3Mは製造業では当たり前としている規律だけども、それを介護業界で取り入れても絶対無理だ」と社長はバカにして、あまり乗り気ではなかったそうです。

「生産性向上」と聞くと、「人員削減目的」や「質より作業効率重視」とマイナスイメージが先行しがちですが、ここで言う介護の生産性向上とは、「介護労働の価値を高める」という考えのもとに「ケアの質を高めること」を指します。

そして、「ムリ・ムラ・ムダ」を削減して効率化を図り、増えた時間をケアに充てることで、さらにケアの質が良くなるのが、このプロジェクトの目的だったんです。

「ムリ・ムラ・ムダ」が多発していた

話を戻します。もともと乗り気ではなかった社長と、「社長に言われたから」と何がなんだか訳がわからないままメンバーに選ばれたスタッフによって始まったこのプロジェクトですが、これがのちに社内でkintone浸透の起爆剤となったんです。

とはいえ、「プロジェクトに参加します」「じゃあ、kintoneを活用しましょう」なんて、そんな簡単には事は進みません。進んでくれれば簡単だったんですけど、人生そんなに甘くなかったので、まずは課題を見つけることにしました。

それで因果関係図を作ってみたところ、属人化していることに気付いたんです。ちなみに属人化とは、人が仕事に就いていることを指します。この人がいなければ仕事ができない、進まないが、まさに属人化しています。みなさん、心当たりはありませんか?

「じゃあ、この属人化している原因は何?」と考えてみたところ、作業手順がバラバラ、情報共有ができていないなどの、ムリ・ムラ・ムダが多く発生し、それによって休みづらい、時間に追われるなどの悪影響も及ぼしていたんです。

いやいや、介護の生産性向上というのは、ケアの質を高めることでしたよね。だとしたら、これはケア以前の問題だと思いませんか? 実はお恥ずかしいことに、これまで利用者のニーズ分析に力を入れるがあまり、自分たちの整理整頓や基本的なことができていなかったんです。

そして、ケア以前の問題だということを真摯に受け止め、「だったらこのプロジェクト、成功させてみる意味があるんじゃないか」とメンバーが一丸となって、本腰を入れて挑むことにしたんです。

さて、原因がわかったことで、この2つへの打ち手として、「業務手順がバラバラ」にはExcelでマニュアルを作成し、「情報共有ができていない」にはChatを活用していたんですが、「これってkintoneのほうが便利なんじゃない?」と2度目の白羽の矢が立ったんです。とはいえ、1度目がことごとく失敗しています。ここは綿密な作戦が必要なんです。

入り口のハードルを最大限下げることに腐心

そこで私の登場です。やっと出てきました(笑)。社長から「kintoneを覚えてほしい」と言われてからこの生産性向上プロジェクトが始まるまでの間、半分嫌々kintoneと向き合っていました。理由は簡単です。kintoneを使いこなせていなかったんです。

でも、「さすがにもう逃げられないな」と覚悟を決め、kintoneと向き合うことにしました。だって、「kintoneをやろうよ」と言っている人が実は内心嫌々だったら、ぜんぜん説得力がありませんよね。しかも皮肉なことに、ちゃんと向き合うようになってからは、kintoneのおもしろさがわかってきたんです。私はけっこう単純なんで、すぐおもしろさがわかりました(笑)。

この勢いのまま、「どうやって社内に浸透させようか?」と考えてみたところ、以下の3つを心がけました。

  1. 入力作業はチェックボックスやドロップダウンを使い、入り口のハードルをこれでもかと下げ、「あれ、実はkintoneって便利なんじゃない?」ということを実感してもらう。

  2. アプリの改善には即座に対応し、「やっぱりExcelのほうが良いじゃん」と思わせない。

  3. スマホやタブレットに不慣れなスタッフに対しては、周りがアドバイスできる体制を作る。

このように、入り口の挫折感を最小限に留める作戦に出ました。

電話連絡のムダをkintoneが削減

見づらいかとは思うんですけども、例えばこの無駄手間カレンダーは、日々の業務のムリ・ムラ・ムダをカウントし、一定の情報が集まったところでそれをもとに検証。そして、改善へつなげるために使っています。曜日をチェックボックスにしたことによって、ワンクリックでOKです。無駄手間リストのカウントも、ドロップダウンなので回数を選ぶだけです。

こんな感じに入力作業の手間を最小限に留めたことで、入り口の挫折感を与えることもなく、さらには、訪問介護のように常にミーティングの時間を設けるのが難しい事業所では、情報共有の場としてkintoneをフルに活用しています。

他にも、伺い書や報告書・グラフも活用することで、見える化が実現し、ムリ・ムラ・ムダが減ったことで、業務の効率化もアップしたんです。

なかでも、日々の業務報告をkintoneを使っている訪問介護では、もともとこの業務報告が電話連絡だったんです。そのため、常に誰かが電話対応していなければいけないというムダが発生していました。

しかし、電話からメールに変更したところ、業務報告の電話はなくなりましたが、「自分が次回訪問する利用者の、前回の訪問の状況を知りたい」という確認の電話は減りませんでした。kintoneを使うことで、業務報告も確認の電話もなくなり、常に誰かが電話対応していなければいけないというムダを省くことに成功したんです。

kintoneを導入することでスタッフの業務効率が上がり、それによってケアに充てる時間も増え、利用者の満足度も向上しています。

kintone導入が「ケアの質を高める」につながった

kintoneを使ってみての感想をスタッフに聞いてみたところ、一番多く声が上がったのが情報の共有でした。みなさん、思い出してみてください。一番最初に因果関係図を作ったときに、属人化している理由の1つに「情報の共有ができていない」とありましたよね。

まさにkintoneを活用したことで、弊社が抱える課題の原因をピンポイントで潰すことができたんです。単純な私はもううれしくて仕方がなかったです。もう1人で「ヤッター!」という感じでした(笑)。

あと、このkintoneの浸透によって気付いたことがあります。それは、自分1人ではここまでやり遂げられなかっただろうということです。周りが協力してくれたことによって、最初は嫌々でも、使っていくうちにkintoneの良さを実感してくれました。

いまでは「こんなアプリ作れない?」と、みなさんのほうから相談してきてくれます。私も期待に応えたいがために、そのときは張り切って「作りますよ!」と、アプリの作成に取りかかってます。

今日この場に立てているのも、周りの協力があったからこそなんです。このスライドを作成するときに、何度も行き詰まりました。でも、そのたびに相談に乗ってくれたり、アドバイスをしてくれたり、ときには私がスライド作成に集中できるよう、ふだんの私の仕事を代わりに担ってくれたりと、本当に助けられました。

こちらが福祉のひろばのスタッフです。kintone単体では小さな力でも、その小さな力が業務効率化で莫大な能力を発揮し、それによって最終的に介護の生産性向上、すなわち「ケアの質を高める」につながることを証明できたと感じます。

しかし、これが弊社だけで完結しては何の意味もないんです。介護は家族とケアマネージャーとサービス事業所、ときには医療機関や地域ともタッグを組んで、チームでケアをしていくものです。今回は「社内でのみkintoneを活用して効果が得られた」という事例でしたが、これがチーム全体で共通の情報を共有していくことができたら、本来の意味でのチームケアが発揮できるのではないでしょうか。いや、発揮できます!

そのきっかけが弊社であるよう、これからも山形県の最北端の1歩手前の酒田市から、いろいろと発信していきたいと思います。

(動画が流れる)

女性:(動画内で)ご清聴ありがとうございました!

一同:イェーイ!!

(動画終了)

阿部:すごくブレてますが……(笑)。「スライドに写真を使いたいので、協力してください」と言ったら、社長の一声で「それ、動画にしましょう」ということになって、動画になりました(笑)。はい、以上です。ありがとうございました。

(会場拍手)

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