株式会社ミヤツーの2代目社長が登壇

吉田建是氏:みなさん、こんにちは。地元仙台から参りました、株式会社ミヤツーの吉田でございます。

私からは、具体的なテクニックではなく、「どこにポイントを置いて作れば、会社に浸透して、みなさんにいいように使ってもらえるか?」というところに絞ってお話ししたいと思います。

私は、宮城県の亘理町というところの出身でございます。岩沼や名取という地名はみなさんも知っているんですけれど、「亘理ってどこ?」とよく言われます。でも、これを出すとみなさんけっこうよくわかりますよね。「はらこ飯」の発祥の地でございます。

この中で、どのぐらいの方が「はらこ飯」を知っていらっしゃいますか?

(会場挙手)

あっ、けっこういらっしゃいますね。去年食べましたか? おいしかったですか? そうですか。このあと私と名刺交換をしていただければ、もっとおいしいところをご紹介しますので……実はあるんです。地元の人しか知らないところが。ぜひ名刺交換させてください。

私は武道家の長男として生まれて、仕事のかたわら、週末には空手教室をやらせてもらっております。この真ん中の赤いところが私なんですけれども、ちょっとさすがに古いですね。この写真しかなかったんですよ(笑)。これは、高校ぐらいの時の写真ですかね。すみません。謝っておきます。

昔は何をしていたかというと、中学生の頃からもう解体屋が好きで、山積みのバイクを見ると、もう血が踊るんですよ。

それで、親にバイクも買ってもらえなかったものですから、解体屋さんに行って、バイクの山からダーッと見つけてくるんです。もう引きずり出してきてですね。こっちのバイクからハンドルを取って、こっちのバイクから椅子を取って、こっちのバイクからガソリンタンクを外して、1台のバイクを作るんですよ。

それに中学時代に乗っていたということ……あっ、すいません、すいません。乗ってないです、乗ってないです。準備をしていたということですね。はい。

プライベートでは「アメ車を愛するディズニーマニア」

今はというと、「アメ車を愛するディズニーマニア」という、ちょっと訳のわからない話になっちゃうんですけれども。

こちらはGMのシボレー・カマロという車で、今はけっこう希少価値が高いんじゃないのかなと勝手に思っているんですけれども、排気量が5,000ccあります。軽自動車にすると7台分ですよね。

ハイブリッドの時代に逆行しているんですけど、今ハイブリッドというと、リッター30キロ……もっと走りますかね。そのぐらい走るなかで、この車はリッター3〜4キロしか走りません。まさにガソリンを焚く機械ですね。この時点でもう車じゃないです。

あともう1つ、これはうちのかみさんと娘なんですけど、けっこうかわいいですね。すいません(笑)。こうやって映して見るとですね。まぁ、「言え」って言われました。

私はディズニーランドが大好きで、年に10〜12回ぐらい、ほとんどもう毎月行っているような感じで、もう家族ぐるみで大好きなんですね。ハウツー本が書けるぐらいで、執筆依頼が来ないかなと思っているんですけれども。それぐらい好きで、この前カリフォルニアのディズニーランドにちょっと行ってきました。

カリフォルニアのディズニーランドの近くに、サンタモニカとか、あとはロサンゼルスとか、(観光地が)いっぱいあるんですよ。いっぱいあるんですけれども、ずっと5日間ここ(ディズニーランド)だけに籠もってですね。それぐらい、もう大好きなんですね。もう脇目も振らずここに行っていたという、それぐらいちょっとキチガイな家族です。

ここでもう1つ質問。ちょっとおもしろい質問があるんですけれども、日本のディズニーランドのミッキー・ミニーと、海外のディズニーランドのミッキー・ミニーの大きな違いって、なんだかわかる人はいますか?

(会場挙手)

おもしろいんですけれども、海外のディズニーランドのミッキーは瞬きするんです。もうパチパチ。サインを書いてくれている間も、もうパチパチパチパチ。日本はしないですよね。私もびっくりしました。

今年の4月に東京ディズニーランドのミッキー・ミニーの顔が変わるそうです。もしかしたら瞬きをするかもしれません。乞うご期待で、みなさま、ぜひ4月から行ってみてください。

照明や音響から防犯カメラまで設計・施工

すいません、ちょっと長くなりました。うちの会社の紹介です、仙台の地で創業45年になります。こうなるとけっこう長い会社ですね。私は2代目ということで。

最初はジュークボックスから始まりました。おそらくジュークボックスと言っても、なにがなんだかよくわからない方がほとんどだと思うんですけれども、中にレコードが入っているんです。針で音楽をかけるやつ。ターンテーブルですよね。これがいっぱい入っているんです。

こんな冷蔵庫みたいな機械で、お金を入れて音を聴いていたんです。そういったところから始まりました。まぁ、今はiPodみたいな小さい機械で音楽が聴けちゃったりしますけど、昔はこんな感じだったんですね。

今の仕事は、ちょうど今この会場にあるようなプロジェクターや照明・音響(システムのご提案・設計・施工・メンテナンスなど)ですね。こういった仕事をさせてもらっております。

そして、今は防犯カメラがすごく普及してきていますけれども、このとおり、JR様やNEXCO様、こういった交通市場でも仕事をさせていただいています。仙台駅の1番線から8番線までのホームの上に吊ってあるカメラやモニターなども、うちの会社でやらせてもらってます。ぜひ今度気にして見てください。

仕事で言うと、電気通信工事業という業種になります。

こちらは、うちの会社の社員全員で書いた、「将来、こういう会社になりたいね」とか「こんな家族になったらすごい楽しいね」とか「こんな会社作ろうよ」とか。これは「ミヤツードリーム」というみんなで書いた将来の夢です。

結局、うちの会社の経営方針が「ワクワクする仕事をしよう」というふうに掲げておりますので、こういったことをやっている、ちょっとおもしろい会社でございます。

100%下請けとして仕事をするメリットとデメリット

ここの電気通信工事業ってどういう会社か、という話をちょっとさせていただきます。

実は、電気通信工事業は、下請けがほぼ100パーセントです。下請けで仕事をもらうのが当たり前の業界になります。(スライドを指して)ここですね。要するに大手建設会社様などのゼネコン・サブコン(サブコンストラクター)から仕事をいただいて、その仕事をこなす。

仕事が途切れないんです。建物が建ち続ける間は、ずっと経営が安定するんです。ただ、その反面、「依頼どおりの仕事だけ」「きつい値引き要求」「感謝されない」。この業界は「ありがとう」と言われないから、「つまらない。辞めたい」というふうになるんです。

(スライドを指して)こんな感じですね。「私たちは、いったい何のために仕事をしているんですか?」ということになりました。十数年前は、実はうちの会社はそんな状態でした。なので十数年前からもうやめたんですね。要は社員がどんどん辞めていくんですよ。とにかく辞めます。こんなのおかしい。もう人間を否定されちゃうんですよね。

なので、今は直接取引100パーセントにこだわって、下請けはゼロです。もう思い切って全部やめました。

それによって、どういうことが生まれたかというと、お客様のメリットとしては、「同じ予算で期待以上の品質と機能がいただける」。私たちのメリットは、「ダイレクトに課題が聞ける」「なによりも『ありがとう』と感謝される」。こういう仕事ができるようになったんですよ。なので、今はもう楽しくてこれをやめられないということです。

ここで覚えてもらいたいのが、私たちはちょっと変わった会社だと。おそらくこの業界でこんなことをやっている会社は、うちぐらいです。断言します。おそらくうちしかないです。

結局、うちの社員はみんなこんな感じです。大きなやりがいを持って仕事しています。もう達成感ですよね。もうおもしろくてしょうがないです。お客さんから「ありがとう」と言われますからね。こういう仕事をしている会社でございます。

「自分さえよければいい」という社風とムダの三重奏

それでは、さっそく本題に入ります。まず導入のきっかけですね。導入のきっかけは、これです。実は10年前に「能力開発制度(人事評価制度)」を導入しました。

要は、年功序列を排除したかったんです。若い人が一生懸命仕事をしているのに、ぜんぜん給料に反映されない。かたや、歳をとっていて、ただ単に仕事を長年やっている人が評価されて、給料が高くて部長になっている。私は、こういうものが絶対におかしいと思っていたんです。なので、これをやりました。

そして、具体的には、部門別に売上・利益・経費を全部ガラス張りにしました。結果は出ましたね。誰もが納得のいく分かりやすい公正な評価ができまして、若い人はどんどんがんばるようになりました。業績も上がりました。

ただ、負の副産物も生まれました。反面、「自分さえよければ、それでいい」というふうになったんですね。どういうことかというと、社内の風通しが悪くなったんです。せっかく業績は上がったのに、みんなバラバラですね。空中分解ですよ。

それで、実際にはどのような状況に陥ってしまったかなんですけれども、情報を出さない。それぞれが仕事に出て会社へ帰ってきても「いや、俺、関係ないし知らないし。いや、それ……」みたいな感じですね。

それから、社内に個人商店がいっぱい。「もううちの予算はこれだけ達成すればいいんだ」「よそは知らない」という感じですよね。横のつながりは一切なし。

それから、実績があっても、各々がゼロから提案書を作成していたんです。せっかくAさんがほかで提案書を作った実績があるのに、Bさんはゼロから夜な夜な提案書を作っている。

ムダの三重奏ですよね。社員はこうなりました。「もう帰宅時間だけど、帰れない」「有休なんか取れない……」「あれもやらなきゃ、それもやらなきゃ」。「うわ~」みたいな感じですよね。疲弊と不満、大爆発です。業績が上がっているのに、会社がこんなふうになっちゃったんですよ。

絶対やるべきたった1つのルールは、日報を書くこと

そこで私はあれもこれもやれと言うんじゃなくて、「絶対やる!」を1つにすればいいのかなと思ったんです。そうすれば早く帰れるし、有休も取れるし、ムダがなくなるじゃないですか。

ただ、すごく考えたのは、「全員が納得する1つって何だろう? 文句を言わないでやってくれることって何だろう?」。私がこんなことをやるとたいてい、「また社長、余計なことを考えやがって。それはまたさらにやれってこと?」と言われるのが怖かったんです。

そこで、私はひらめいたんです。「そうだ、日報だ!」。日報なら全部門のみんなが毎日書いているんですよ。その日報をちょっと変えてみようと思ったんです。

これは、うちの会社にもともとあった紙ものの日報です。「振返日報」と書いてあります。「いつ、どこで、誰に、何を、どうした?」。この5つさえ書けば、早く帰れる仕組みがなにかできないかなと思ったんですよ。

これです。日報さえやれば終わりという世界ですね。もう1回繰り返します。「今日、どこで、誰に、何を、どうした?」。この5つさえ書いてしまえば、今までエクセルでバラバラに入力していたものが、案件情報にも顧客情報にも自動的に反映される。

そして、設備台帳。我々は機械を扱っていますから、設備台帳に記録を残さなくちゃいけないんですけれども、これにも自動的に反映されるものを作ったんです。

そしてなによりもこれ(日報アプリ)ですね。これを全員で共有しています。「どこのお客さんの情報?」と言ったら、みんな日報を見にいけばいいですね。「この機械なんだけど」「このお客さんなんだけど」「この案件なんだけど」。これを全部みんなで共有しています。

すごく余裕ができました。みんな早く帰れるようになりました。余裕ができたので、こういった見積もりアプリを作ってみたり、会議室予約アプリを作ってみたり、回覧板もアプリ化しました。全員でこんなことを共有しています。

社員の余裕がアイデアや問題提起を生み、モチベーションも向上

効果その1。「必ずやる」を1つにしたら、気づきが多くなる。気づきが多くなると、アイデアが出るんです。アイデアが出れば、稟議書も出しやすいんですよ。さらに稟議書が出たら、トップの意思決定が早いです。これをアプリでやっていますから、超早いんです。今までは社長や部長が出張していると1〜2日かかっていた承認が、アプリだとぼんぼん飛んできますので、あっという間にポンッと承認。

うちの会社は、稟議書が通ると本人に「稟議が通ったよ」という通知が行くようになっています。そうすると、「書いてよかった! 達成感!」という感じです。「認められた。俺ってすごいかもしれない」という自己肯定感が生まれて、モチベーションがアップします。これってちょっと勘違いかもしれませんけれども、ものすごく大事なことなんですよ。

余裕があるから気づきが多いんです。本人の名誉のために目を隠してしまいましたけれども、施工管理課のOさんの日報です。これは日報アプリなんですけれども、問題提起ということで、ここに必ずその日になにか自分の感じた問題点などを書いてもらうようにしているんです。

さっきの紙の日報のところにも、もともとこういった「問題提起」というものがあるんですけれども、今までは書いてもらえていなかったんです。とくにこの人は一切書いていませんでしたが、このアプリを立ち上げたあとは、これだけ書いてくれるようになりました……。

まず、何て書いてあるかというと、「この前、施工をやって、自分の知識のなさにすごく気づきました。反省しました」と書いてあるんですよ。私、これを読んだ時にものすごく感動しました。今まで書いてくれなかった人が書いてくれるようになったんですよ。びっくりしました。実は、涙をこぼしちゃいました。

経営判断のスピードが上がり、社員の潜在能力を見える化

それに対して、毎回必ずやっていることがあるんです。このコメント欄にコメントを書くようにしているのですが、ここで大事なのは声がけです。

実は、昔は声がけをやっていませんでした。やっていなかったらどういうことが起きたかというと、社員との間に溝が入りました。ただ文書対文書だけでやりとりすると、お互いの解釈が違うので、間違って伝わるんですね。なので、必ず翌日には声がけフォローをやるようにしております。

そして、余裕があるからアイデアが出るんです。社員自らアイデアが出るんです。

これは、社内の稟議書アプリです。エンジニアリング課のYさんの稟議書なんですけれども、この人も年に1回書くか書かないかですよ。この人もなんにも言わないんです。要は「脚立を載せたいので車につけるキャリアを買ってくれ。今はこういう仕事を受けるようになったから」という話なだけなんですけれども。

ちょっと見えづらいんですけれども、稟議書にいっぱい書いてくれるんです。下の方は隠れている部分もあるんですけれども、「ここにこういう効果があるよ」「これからこういう仕事をしていくのですごく伸びるよ」ということが書いてあるんです。

私も、この人の稟議書にはびっくりしました。とにかく社員から業務改善につながるアイデアがどんどん出てくるんです。

効果その2です。今度は経営者側からの視点なんですけれども、良くも悪くも問題提起がどんどん出てくる。それから、今まで見えなかった問題が噴出。すぐに改善しよう。すぐに採用しよう。そして、経営判断のスピードが上がるんです。私はスピードはブランドだと思います。スピードが速い会社は絶対伸びると思います。

ここでちょっと寄り道します。社長は意外と見えていないんです。見えているのは、売上や利益という数字、あとは社員の表情ですよね。「今日はサトウ君、ちょっと元気ないな」とか。そういうことは見えるんですけれども、社員が現場でどれだけがんばっているか、社員の抱えているいろいろな意見、社員がすごく悩んでいる問題は、社長には見えないんですよ。

その先に、実は潜在能力というものが隠れているんですけれども、現場のがんばりや意見、問題などが見えていないので、潜在能力はさらに見えないんですね。

うちの会社はkintoneを導入することによって、「がんばり」「意見」「問題」、すべてが見えるようになりました。大事なのは、社長が見えるようにしたんじゃなくて、社員自らが出してくれるんです。なので、私は楽して見えるようになったんです。

そして、すごくよかったのが、その先の潜在能力が見えるようになったことなんです。

成功の理由は「社員主導」と「必ずやる!」を1つにすること

ここに至るまでの苦労なんですけれども、若い人はスマホでサクサクどんどん活用するのですが、年配の人はパソコンが苦手なんですよね。そこで私は気づきました。「あっ、忘れてた。うちの平均年齢は45歳だった」ということに気づいたんです。

なので、とりあえずやったのは「うちの会社ではもう『kintone、kintone』と言うな。ミヤツークラウドだ」ということです。うちの会社はkintoneという言葉は禁止です。「ミヤツークラウドと言え」ということまでやっています。

そして、とにかく浸透するまで「楽だよ」と言い続けました。「こっちの水は甘いよ。こっちをやろうぜ」。そして、やっぱり使っているとすごく難しいので、操作を簡単にするため修正の努力を日々やりました。

私は、自炊ができるのがkintoneの最大の魅力だと思います。ここでいう自炊というのは社外に委託するんじゃなくて、気づいたらすぐ自社で改善でき、すぐに試せるところですね。

今は現場での時短化をやっています。社員は現場に出ると、納品書を出したり領収書を出したり、やることがいっぱいあります。「伝票を書かなくちゃ。あっ、間違えちゃった! ああ、次のお客さんに間に合わない……」。今までこんなことをやっていたんです。

なので、うちの会社は、オーダーアプリからボタン1つで、モバイルプリンターを使って伝票を自動で出すようにしました。これはサイボウズスタートアップス様の「プリントクリエイター」とJOYZO様の「手書きプラグイン」を使わせていただいております。おかげさまでうまくいっています。ありがとうございます。

ポイントは、社員主導じゃないといけないと私は思っています。経営者主導じゃない。「必ずやる!」を1つにする。余裕ができて「気づき」と「アイデア」が出る。それが採用されて、社員自身が「自己肯定感」に満たされる。そうすると、やる気が出てワクワクした楽しい会社になる。私はそういうふうに思っています。

うれしいことに、今はこういうことになっています。PDCA。Plan、Do、Check、Action。社員が立てたプラン・計画、それを自ら行動に移して、それを自らチェック・改善して、社員主導で勝手に回り始めています。

「悩みが同じ」「共感する」「高い離職率」「無理無駄が多い」こういった悩み・お困りの方、いつでもお声がけください。情報公開します! 私たちと一緒に楽しいワクワクする会社を作ってまいりましょう!!

以上、ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)