リテラシーとしてのプログラミングスキル

前田恵一氏(以下、前田):ありがとうございます。私のような者でも少しずつ、お三方の共通項みたいなものをちょっとあぶり出せた感じがしました。とくに娯楽というものが1つのテーマになってくるように思うのですが、人を喜ばせるなど、そういう価値が非常に相対的に上がってくるんじゃないか、というお話だったと理解します。石川さん、よろしければお願いします。

石川聡彦氏(以下、石川):はい。石川聡彦、聡彦石川(あきひこ・いしかわ)です。イニシャルがAIとなっています。そういったこともありまして、今AIに特化したプログラミングをやっております。

(会場笑)

社会にどういった視点が必要なのかとかいうことですが、明日からどういうスキルを身につけたらいいのか、もうちょっと足元の視点でお話しできればと思っています。この中で、プログラミングをやったことがあるって人は何人ぐらいいらっしゃいますか? ぜひ手をあげてください。

(会場挙手)

ありがとうございます。半分ぐらいですね。いや、すばらしいと思います。僕の持論なんですが、みなさん英語は、中学高校で少なくとも6年間学ぶと思います。それと同じぐらいのリテラシーとして、プログラミングのスキルは20年後30年後に普通になってくると思っています。

トヨタの競合はGoogle、Apple、Uber

石川:現代の我々は情報革命・革命時代に住んでいるんじゃないかなと考えているんです。例えば、日本で一番大きい時価総額の会社はトヨタですよね。そのトヨタの競合はどこなんだろうかと、ぜひみなさん考えてほしいんです。日産とかホンダとかが出てくるかもしれませんが、今トヨタの競合として経営者の方がおそらく一番考えているのは、Google・Apple・Uber、そういった会社だと思うんです。

なぜなら、自動運転がこれから始まってきて、それを実行するのは今申し上げたような会社だからです。つまり、車産業とソフトウェア産業が競合になり始めているんですよね。これは今までなら考えられなかったことです。

この21世紀はどういう時代かというと、ありとあらゆる産業の競合がソフトウェア産業になる時代だと思うんですよ。わかりやすいところで、例えばAirbnbで考えると、ホテルを代替をしていると思うんですよね。

ホテルの競合、コンペティターがAirbnbになったり、タクシー会社の競合はUberになったりします。ありとあらゆる産業のコンペティターが、ソフトウェア産業になっている。そういう時代に僕たちは生きているんじゃないかなと思うんです。

なので、どの業種業態に行こうとも、こういったソフトウェアを活用する話は絶対に出てくる。そういった基礎リテラシーに、これからプログラミングスキル、ソフトウェアスキル、ITスキルがなってくるんじゃないかなと思っているんですよ。

ですので、もし「今日明日からどういうスキルを新しく身に付けようかな」と思ったときに、僕であればやっぱりプログラミングをしっかりやってみるのがいいんじゃないかと思っています。

テーマは技術、マインドセット、労働環境、コミュニケーションと幅広く

前田:はい、ありがとうございます。なんとなく話が見えてきた感じはします。ひとまず、未来の話をするのであれば、お金もなくなっていくでしょうし、そもそも遊んでいても構わないような世界がやってくるんじゃないか。そういった理解をしました。

一方で、じゃあ明日から遊んでいてもいいのかというと、そんな話ではございませんと。そういうことですね。20〜30年かけてゆっくりやっていくものなのかもしれないし、急に変わるかもしれないけれども、それを導入していくお仕事はどうやら何かが発生しそうですね。

おそらくITによってどんどん発展していく。AIもそうですし、RPAもそうです。そういうものの導入がそれを加速させるんじゃないか、みたいな理解をしました。

当然その価値観に関しても、「いかに自分が好きなことをやりながら稼げるか」に早めにシフトした方がいいということもある。一方で「今の仕事を好きになれ」という言い方もできます。

自分が何に向いているかもわからないでしょうし、はたまたいきなりYouTuberになれという話でもおそらくないでしょうから。「じゃあ、どうしていきましょうか?」という話を、ちょっとだけ足元の話を継続して、なにかしら示唆をいただきたいと思っております。

プログラミングもそうですし、RPAもそうですね。技術ドリブンみたいなところもある一方で、意識みたいなものや、単純にどういうところで働くのかみたいなところ、人の関わり方の違いみたいなものなど、いろんなテーマになってきそうなんです。

機械学習に足りていないのは、エンジニアよりもビジネスプランナー

前田:この10年ぐらいで、どういう働き方をすれば「遊んでいてもいいんだよ」みたいな社会を作れるのか。そもそも、それは仕事なのか。こういったところについて、ちょっと考察を深めていきたいと思います。

10年以内に活躍しうるとか、もしくはご自身でこういうことをやろうとしてますといったことについて、なにかご意見があればいただきたいと思っています。

石川:先ほどのプログラミングスキルの話の続きでもあると思うんですが、この前のセッションを僕も聞いていまして、AIの話がよく出てきたかと思います。AIというキーワードで僕も話させていただくと、これは僕の所感ですが、AIの一分野である機械学習で一番足りていないのは、エンジニアではなくビジネスプランナーだと思うんですよね。

つまり、ありとあらゆる分野でAI・RPA・機械学習といったテクノロジーを設計する人がまだまだ少ないんじゃないか、という印象を覚えています。前田塾にいらっしゃる方にはエンジニアが少ない感じがしていて、どちらかというとビジネスプランナーとかマーケティングといったことをされている方が多いと思うんです。

そういった方にこそ、AIや機械学習の勘所をつかんでほしいなと思うんですよね。例えばみなさんがAIに持っているイメージは、この道の権威だと東大の松尾豊先生という方がいらっしゃるんですけれども。松尾先生は「機械学習によって、機械が目を持つようになる」とおっしゃっています。

インプットとアウトプットの定義ができる能力の市場価値

石川:これは「機械が目を持ち始めたから大きなインパクトがあるんだ」ということなんですね。これって、三葉虫が目を持ったことでカンブリア紀の大爆発が起きたという、生物史と絡めてのご指摘だと思います。

もしかしたらみなさんも、こういった松尾先生の名言はご存知かもしれません。ただ、明日明後日からどういったビジネスを考えればいいのかと言うと、そこにはかなりの乖離があるんですよね。じゃあ、今の機械学習・人工知能のテクノロジーのコアは何なのか。

例えばディープラーニングと呼ばれているものがあります。ディープラーニングのコアは何なのかって言うと、関数と一緒なんですよね。関数とは、ある入力があった時にある出力を返すような、そういったボックスだと思っていただいていいんですけども。この関数を自動的に作っているに過ぎないと。

なので、何を入力データとして与えれば何が予測できるのか。これはまだまだ人間が考えなきゃいけないし、それを考えられる人がぜんぜん足りてない、と思ってるんですよね。

なので僕は、ビジネスプランナーとかマーケティングの担当の方にもプログラミングを学んでほしいし、それで「エンジニアになれ」って言ってるわけじゃなくて、今申し上げたような、インプットとアウトプットをしっかり定義するような能力をつけてほしいと思います。こういったことができる人は本当に少ないので、ものすごく市場価値って上がるんじゃないかなと。

先ほどの最初のセッションで、「ヤフーのトップページでは、AIによって自動的に画像がいい感じにトリミングされる」っていう話があったじゃないですか。それは、インプットとしての画像データがあって、アウトプットデータとして何を見せたいのかがある。その領域をラベリングしてるんですよね。

つまり、その2つのデータをたくさん教師データとして学習させれば、クリック率を高めるような自動トリミングの話ができるんじゃないか、っていうのがわかったりします。

1番わかりやすいのだと、メルカリの例などがあります。今メルカリで出品しようとして写真をパシャッと撮ると、「このカテゴリーじゃないですか?」ってレコメンドが来るんですよね。それも、ある写真があって、それはどういうカテゴリーなのかっていうたくさんのデータがあれば、予測できるんじゃないかと。

こうやって機械学習のどういうモデルを作っていけばいいのかを考えられる人は本当に少ないんです。なので、プログラミングを学ぶとかAIを学ぶといったことを通じて、どういうデータで何を予測するのかを考えられる頭を作ってほしいと僕は感じています。