福祉の現場スタッフのストレスを軽減したい

石井優氏(以下、石井):2人目は、福岡の宮近整形外科医院の中村様です。では、お願いいたします。

(会場拍手)

中村義雄氏(以下、中村):みなさん、こんにちは。宮近整形外科医院よりまいりました中村と申します。本日は20分と短い時間ですけれども、ぜひよろしくお願いします。

先ほど「kintoneを使っている」と言われた方がいらっしゃったと思うんですけれども、みなさんは誰のために作っていらっしゃいますか? 

私の場合は、ここのタイトルにあるように、現場のスタッフのために作っています。サブタイトルとして「バックオフィススタッフとしての執念」。(バックオフィススタッフというのは)私のことで、「絶対にやってやる!」という思いを込めてつけさせていただきました。

まず、kintoneを導入した結果です。みなさん、もう答えはわかるとは思うんですけれども、業務の効率と質の向上は当然です。だって、システムを入れてお金を払っているんですから、ということですね。

もう1つ、私は今「現場スタッフのため」と言いました。やはり、現場スタッフのストレスを軽減することが目的の一つだったんです。これは、私がこのkintoneに携わって3年を経過した結果です。

実際、当院がkintoneを導入する前はどういう状況だったか。これは私から言うのもちょっとシビアなんですけれども、ITリテラシー、ITに関する知識がすごく乏しい。そして、ファイルの管理がとてもずさんでした。

これを言うとちょっと怒られるかもしれませんが、現実にそうだったんですね。なので、ITリテラシーが低い点が問題になります。例えば、文字の半角と全角について、「それってなに?」というところから始まるほどだと思っていただければ十分です。

続いて「kintoneの導入の対象として」とタイトルをつけています。(みなさんは)我々が整形外科で病院だと思われていると思います。そこは間違っていないのですが、その導入の対象として、3年前に開所したばかりの「放課後等デイサービス」を選びました。

その(放課後等デイサービスという)事業を行っていく上で、当院でゼロからスタートする。私は、これは格好のターゲットだと思いました。つまり、ゼロからスタートすれば、一から現場のスタッフと協力していけると思いました。

最大の課題はITリテラシーの低さ

「放課後等デイサービス」という名前を聞いたことがある方はいらっしゃいますか?

(会場挙手)

あっ、いらっしゃいますね。放課後等デイサービスをご存じない方のために簡単に申し上げますと、障がいをお持ちのお子様たちを、学校が終わったあとにお預かりするサービスだと思っていただければ十分です。

ここからは私の自己紹介です。これは私の趣味で、バイクをいじっている写真です。ここに書いてありますとおり、手を動かして形になるもの全般が私の好きなことです。簡単な料理から、最近はやってないんですけれども、裁縫もできるだろうと。あとはプラモデルや日曜大工。

最近、我が家のシャワートイレが壊れてしまいまして。外で修理を頼むと3万円ぐらい取られてしまうので、某通販サイトで1万円ぐらいで買って自分でつけました。そういった、手を動かして形になるものが好きな人間です。それが、これからこの業務に携わっていくというところですね。

課題の整理です。ファイルの管理がずさんであるならば、kintoneはクラウドなので、先ほどいろいろ説明があったように、アプリの単位で「この書類はここだ」と管理していけば改善できるだろうと。ここはあまり問題ではありませんでした。

もう1つの大問題が、やはりITリテラシーが低いところです。必ずしもではないですが、一人ひとりの名前をキーボードで入力するだけでもかなりの手間だと思いました。実際、これは現場の人間にとっては、かなりのストレスになっていました。そこをまず簡素化する必要がありました。

もう1つがデータの集計です。売上が毎日あがっていきます。月単位でまとめて計算する業務は必ず発生すると思います。でも、それも日々ちゃんとデータを入れておくことで、月の終わりに簡単に集計できるように自動化してしまおうと。そうしたら、管理職も手が空くだろうというところですね。

これをどのように実装していくかということで、可能なかぎり自力で、他社の力を借りない。自社内解決することが私のテーマでした。

(経営陣からは)とくに「他社に依頼してはダメだよ」という制限は受けていなかったんですけれども、私自身が(kintone、放課後等デイサービスの両方のしくみを)理解するためにも、これを自分の制限としておりました。

利用者の記録は病院にとって死活問題

こちらは放課後等デイサービスの、実際の現場の写真です。たくさんのお子さんがいます。車椅子に乗っている方から、医療ケアと言われる医療機器を必要とされるお子さんまで、ひとりひとり違った障がいを持ったお子様がいます。

障がいがないんじゃないかというような軽度の方もいらっしゃるんですが、多種多様なお子様を預かるにあたって、現場の人間はいろいろな対応を迫られます。

その中で、我々の業界は、毎日の利用者の一人ひとりの記録がとても重視されます。これを怠ると「国に請求したお金を全部返しなさい」とか、ペナルティとなるほど危険な代物です。

この多種多様なお子さんたちを相手にしながら、戦場のように駆け巡りながらも、データ入力しないといけないんですね。

ならば、「事務員を雇えばいいんじゃないか」と思うかもしれませんが、実はそういう問題ではなく、専門性のある文章が必要になるんです。(データ入力は)事務員を雇ったからといって解決するものではないんですね。こればっかりは、現場の人間の専門知識を借りる必要があります。

次に、参考として実際に必要とされるアプリを抜粋してみました。3年間かけて、かなり簡略化はしてあるのですが、スケジュールの管理であったり、利用者ごとの記録になります。(をするアプリがあります)。

あとは送迎。一人ひとりどこのルートでどう送ったかという送迎の記録も重要なんです。これがないと、さきほどと同様に送迎に対するペナルティが発生します。もうとんでもないですね。そのあとに当日、トータルでどういう利用額が発生したかも記録しておきます。

この赤い枠が1日単位で作っていくべき記録です。次に、この1日単位の記録が完成したなかで、月の終わりに集計をかける。

これは一般的だとは思いますが、「あなたはおいくらですよ」という、利用者一人ひとりの月の利用額。あとは、会社としての月の総利用額の計算ですね。この2つが必要になります。

実際、1日で10名ぐらいのお子さんが利用されます。10名が利用してアプリがもし4つあったとしたら、10名分を4回入力しないといけないんですね。40名分の名前を入力しないといけない。

そうなったときに「これは、先ほどの戦場のような現場でどうやってやるんだ?」と。1分1秒でも惜しい状況で、これはなんとかして是正したい、改善したいと思いました。

戦場のような環境で働くスタッフの負担を減らす

このスケジュールは簡単な図ですけれども、その日に誰が利用するかだけは、とりあえず10名分だけは入力してくれとお願いしました。それさえ入力してくれれば、あとはこちらでカスタマイズして、ほかの3つのアプリにレコードのベースを作成して、名前などの入力を自動で、作ってあげるように仕向けました。

日々激務のなか入力してくれたデータを活用して、月の集計を簡単にする。つまりは蓄積したデータは、そのまま自動集計するように仕向けています。これでだいぶ時間は削減できたのではないでしょうか?

ここからが実際に使用しているアプリです。これが利用者の基本となるデータベースです。ここにだいたい基本となる情報を全部入れておきます。「変更があったらその都度変えてね」「1回入力してしまえば、もう同じことはしなくていいから」というものです。

次に、これも現場が使っているもので、スケジュールを管理するアプリです。ここにスケジュールがあり、当日の利用者が10人なら、10人分を入れておけば、もうそれだけでいいよと。

障がいの重いお子様もいますので、当日キャンセルやお休みになられることは多々あります。そのときは、利用者のリストから(名前などの入っている)行をそのまま消して「利用」というボタンを押せば自動で処理します。

操作の順番を間違ったとしても、1(ワン)ボタンで処理してしまえばなんの苦労もないだろう、という工夫ですかね。

次も現場担当者が入力する代物です。こちらは利用者のお母様たちに渡す記録で、そのベースを作っています。あとは専門職の方たちが専門(家)の目で記録を書いてお渡しすればいいというものですね。これだけは私もちょっと手を出せません。

こちらも先ほど説明した送迎の記録です。

「どうやって送迎しましたよ。どの車で、ルートがあって、運転手は誰で、同乗者は誰で」。このへんもやっかいでした。それもある程度までは自動で入れられるようにして、時間の削減を図っています。

月額の利用額をボタン1つで集計・グラフ化

もう1つが、当時の利用金額を集金するアプリです。我々はよく「単位」と言われる数字を使っていて、だいたい1単位=10円ということが多いです。こういった複雑な単位を使っています。加算といって、基本のサービスのお金に付随して、何をサービスしたらプラスが増えていくかというシステムです。

これも基本自動で算出するようにしています。間違っているところは現場の担当が手動で直します。ゼロから入力する必要はなく、消していくだけでよいというところです。

それらの日々の業務が積み重なって、月の終わりに「結局いくらだったの?」ということを集計するアプリも、ほとんどボタン1つでここまでバーッと計算します。これはちょっとデータが少ないので1回ずつしかないんですけれども、30回だったら30回出るようになっています。ここまで(データを集計)して、グラフでも見ることができます。

これはけっこうありがたがられますね。kintone導入を考えられている方は、ぜひ「あっ、使えるんじゃないかな」と思っていただければと。

次が当月の請求額情報です。「請求担当が」と書いてあるんですけれども、私も一応請求担当を経験しています。私自身が不便に思って、「どうやったら正確にデータを打ち込めて間違いが起きないかな?」という思いで作ったものなので、ここはちょっと凝りすぎていますね。ちょっと難しいですけれども、これがあるおかげでミスは減ります。

今は私ではなくパートの女性の方にやっていただいています。その方は、実際これをやり始めてまだ6ヶ月ぐらいです。でも、すでにミスはかなり少ないです。これだけあればデータは全部揃いますので、これだけでもだいぶ改善ができていますね。

これはちょっとおまけです。cybozu developerサイトというものがございまして、もし(みなさんの中に)顧客情報を入力して誕生日を管理されている方がいらっしゃれば、誕生日を入力しておけば、次に開いたときに自動で誕生日を更新してくれるものも紹介されているので、けっこう便利ですね。