年末に増える「こわい」「やばい」ツイート

藤崎実氏(以下、藤崎):もう1つ、年末がありますよね。

櫻井泰斗氏(以下、櫻井):年末のデータを引っ張ってくると、いろんなことが見えてきます。

まず、高校生が「こわい」「やばい」という言葉をツイートしています。これは受験ですね。一方、大学生や主婦は、「忙しい」という単語でした。大学生はバイトが忙しい、主婦は大掃除や家事が忙しい。30代男女は働き盛りです。私もここに属する世代ですが、「めんどい」が出ます。

藤崎:「めんどい」は、すごいですね(笑)。

櫻井:「仕事が忙しい」じゃなくて、「仕事がめんどくさい」かと思うのですが。期末ですので、いろいろ締めなどがあり「めんどい」というツイートがありました。

藤崎:「こわい」「やばい」のツイートが高校生で増えるのは、受験にまつわるので切実なんですね。試験が迫っていたり、そういうことですね。

櫻井:受験生向けになにか応援メッセージを出したいときには、こういうツイートの波がわかっていると、どのタイミングがベストかもわかると思います。

藤崎:「こわい」「やばい」は、ピックアップした言葉なんですか。

櫻井:そうですね。たくさんの形容詞を属性別に見ているんですけれど。

藤崎:「こわい」「やばい」は本当の生の、彼らが出している単語ということなんですね。

櫻井:そうですね。

感情の波を理解してキャンペーンを立てる

藤崎:その年末の形容詞が、お正月にはどうなるんでしょうか?

櫻井:高校生だと「こわい」「やばい」の話をしているんですが、「悲しい」の単語が、正月は減少に転じることがありました。代わりに上がってくるのが、高校生、大学生、20代女性で「あつい」なんですね。よく見ていくと、この「あつい」は、スポーツの文脈で語られていることがわかっています。

藤崎:スポーツ……箱根駅伝とか、そういうことですか。

櫻井:最近はラグビーも人気ですし、高校サッカーもありますよね。応援する気持ちがあるので、高校生も正月はスポーツを見て……。

藤崎:「こわい」「やばい」がいったん休止するわけですね(笑)。

櫻井:休止して、家族と楽しい時間を過ごしているのかなと思われますね。これを踏まえて、どのようにマーケティングを組み立てていくかは、けっこうヒントになります。

藤崎:「悲しい」が下がっているのは、日本で一番幸せな時期ということですかね。

櫻井:お正月が悲しいと思っている人はあまりいない。この結果を見て、思うんですよね。

藤崎:たしかに、あまりいないですよね(笑)。おもしろいですね。次、いきましょうか。

櫻井:「悲しい」を軸にキャンペーンを組むなら、クリスマスと年末がベストですね。

藤崎:「悲しい人キャンペーン」をやるなら、年末とクリスマス(笑)。

櫻井:そこはあらかじめ、「悲しい」の単語が出るとわかっているので。今日のテーマでも、ある未来予想をして、それに対して、どういったキャンペーンを当てていくか。感情の波を理解してキャンペーンを組み立てる、新しい方法だと思います。

藤崎:これはすごく使えますね。後追いで調査結果を出すのではなくて、未来予測のデータとしてTwitterが使えるというお話ですね。

次は、成人式です。

櫻井:成人式は、20代女性の間で「なつかしい」という言葉が増えたりします。成人式以降には「こわい」がたまに上がります。これはなにかを見ていったところ、「雪」の関連語が多く出てきました。よくよく見ていくと、「雪が降って運転が怖い」が、主婦や30代女性で増えていました。

藤崎:男女で運転が上手い下手などではなく、例えば「雪の日はチェーンをどうしよう」も含めて、女性にとっては運転が怖いということなんですか?

櫻井:そうですね。雪の日にチェーンやタイヤ交換の宣伝を打つときは、ターゲットを女性にするといいかもしれないですね。

藤崎:なるほど、そういうことですね。チェーンやスタッドレスタイヤなどのCMには、よく男性の有名タレントが出てきて、カッコよくメッセージしています。

でも、主婦を代表するような女性タレントが出てくるなど、女性目線でメッセージしたほうが、主婦や30代女性には刺さるかも知れませんね。あるいは、男性タレントでも「奥さんっ! このタイヤを使えば大丈夫です」と言うと、「なるほどね」と思うかもしれない。

櫻井:そうなんですよね。実際に使っている方と、購入決定をする方が違うケースもあると思うんです。ツイートを見ていくと、どういうベネフィットを感じているのか、あるいは、どういう不安を感じているのかが見えてくる。そのインサイトを、キャンペーンのクリエイティブに落とし込むのも、1つあると思います。

藤崎:この「なつかしい」「こわい」は、本当に生のつぶやきから抜いてきているということですが、ソーシャルメディアユーザーは素直なので、その単語を使ったキャンペーンを打つと、反応してくれたり、リツイートしてくれたりすると思います。

Twitter最大の強みは「リアルタイム」

では、次のスライドに行きます。本日のまとめですね。

櫻井:今日はいろいろと例を紹介しました。本日いらしているお客様にどういう業界が多いのかわからないので、ぜんぜん合っていない人もいるかもしれません。ですが、今日お伝えたかったことは、この3つです。

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