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ここまでわかる! ツイートデータから見えてくるマーケティングの未来予想(全4記事)

12月29日に最もツイートされる酒は「焼酎」--日別ツイート数から消費者心理を読み解く

日々さまざまな感情が飛び交い、賑わっているTwitter。流れていくツイートからは、どういった未来を読み解くことができるのでしょうか。WOMマーケティング協議会が主催するイベント「WOMJクチコミフェスタ2016」では、Twitter Japanの櫻井泰斗氏が登壇。年末年始の日別ツイート数からみる消費者心理について語りました。

リアルタイムでニュースを見られる新機能

藤崎実氏(以下、藤崎):私もTwitterのヘビーユーザーなんですけど、最近ニュース機能など、次々と拡充していますよね。ニュース機能、みなさんご存知ですか? モバイルのTwitterアプリの一番下にニュースがあり、ここでニュースを見ると、いろいろな情報が次々に入ってくるんです。これは報道のメディアからすると新しい出口が増えたというか、とても注目すべき現象ですよね。

櫻井泰斗氏(以下、櫻井):そうですね。Twitterのニュースの1つの特徴として、ニュースのヘッドラインだけではなく、そのニュースに対して、一般の方々がどのようなツイートをされているなども同時に見られます。

例えば、今回のアメリカ大統領選挙では(ドナルド・)トランプさんが勝ちました。そのニュースについて、著名人や政治のプロの方々がどのようなことをツイートされているのかも参照することができます。そんなかたちで、いろんな方が使えることを目指して、ニュース機能ができました。

藤崎:1つのニュースソースに対して、何件もの話題のツイートがある。私の知り合いはニュースを見ないでこれだけを見ている人がいるくらいですからね。リアルタイムでわかるので、とても便利だと思います。

櫻井:さまざまな視点を持った方がツイートをしており、「同じニュースでもいろいろな見方があるのだな」と気付かされ、ニュースを深く理解するためにはとてもいいと思います。みなさん、ぜひ使ってみてください。

年末年始の「忘年会」トピックは160万ツイート

藤崎:こういった、Twitterが持っている基本的な機能と、いろんな利用者の声を広告で積極的に活用できるのではないかというのが、今日のテーマの1つです。

つまり、過去を振り返る分析ではなく、ツイートから世のなかの流れをどんな風に予想することができるのか。今、櫻井さんがお持ちのデータをもとにお話をお聞きしたいと思います。「ツイートから世のなかの流れを予想する」を参考として、おもしろい表があるんですよね。

櫻井:はい。本日は年末に差し掛かる11月なので、12月と1月にどのような話題が盛り上がるのか。おそらくみなさん、今まさにこのあたりのプランニングをされていると思いますので、それを例にお話をできればと思います。

こちらは、忘年会、同窓会、新年会と、パーティーの席についてどんなタイミングで盛り上がるのかというツイート数です。これが、日別のツイート数になっています。ちょっと見ていただくと、いろいろ想像が膨らむと思います。

まずは忘年会ですね。これが12月に入ると金曜日、土曜日、このタイミングでぐぐっと伸び、年末に近づくにつれて増えてくる。金曜、土曜とくり返し続いて、その後が祝日の前日ですね。そして最後のピークが、仕事納めの28日。

藤崎:すごいですよね。こんなに綺麗にいくのかというくらいに、金曜日と土曜日にスポーンと上がっていて、翌日の月曜日は二日酔いで下がっていますね(笑)。

櫻井:そうですね。年末年始に160万ツイートという、頻繁に話題になるトピックです。

藤崎:28日のピークが終わって、30〜31日になる。1月1日には、さすがに忘年会はない感じですかね。

櫻井:お正月のお酒の席としては、同窓会があります。同窓会でピークが来るのが、成人式のタイミングです。若い方が故郷に集まって、同窓会を開くことで非常に盛り上がっています。

少しおもしろいのが、1月1日は谷になっているんです。里帰りが多い1月1日は、家族と過ごす時間。ただ、その前の30日や31日、その後の三が日である2日や3日は、友達と遊んでいる。人々の生活の様子が、ここから見えてきます。

藤崎:次は新年会ですね。

櫻井:意外かもしれませんが、新年会のピークは12月31日なんです。「なぜ?」と思って調べてみたところ、こんな感じのツイートが見られました。「新年会どこにしようか」「新年会のホテル、どことろうか」とありますね。こんな感じで、新年会といえど、年末から計画をするためにいろいろツイートをしている。その結果、ピークが12月31日にきている発見があります。

藤崎:新年会は必ずしも1月から始まるわけではなく、実はその前から始まっているというわけですね。そして金曜、土曜などにくりかえされて上がって、また徐々に新年会が終わっていく。

櫻井:そうですね。Twitterは広告媒体としても活用できますので、例えば12月初めからぐーんと上がってきているトレンドに注目し、この時期に新年会とツイートしている人をターゲティングして、広告を配信することもできます。そうすれば、新年会の予約、来店誘引につながるケースも出てくると思います。

これが、2015年から2016年にかけてのデータなんですね。だいたい毎年同じような波形になりますので、こういった波形を見て、こういう流れで世のなかが動くという考えを元にプランニングをしていくと、よりうまくキャンペーンが組めます。

12月29日は「焼酎」が最もツイートされる

藤崎:今教えていただいたのは全体的な動向ですが、当然、そのグラフの波線のなかには1人ひとりがいるわけですから、ミクロに入っていくと各個人のツイートがわかるわけですよね。

櫻井:人がそこにいるということですよね。

藤崎:今日はこの2例しか持ってきていませんけれど。このグラフのなかには160万人のツイートが入っていて、その2人分を抜き出すとこういうことになります。こういうことができるので、Twitterデータの活用には大きな可能性と、広告への利用価値があるのではないでしょうか。

次の事例に移ります。

櫻井:お酒の話が続きますけれど、こちらの折れ線グラフ、あらゆるアルコール飲料の名前を検索クエリにしてツイートを数えてみると、こんな波形になります。金曜、土曜がぐぐっと伸びて、ピークが12月31日。おもしろいのが、それぞれのアルコール銘柄を見ていくと、少し違った動きをしているのです。

例えば、この期間で発泡酒が最もツイートされるのが12月9日なんです。他のアルコール飲料のピークと比べてみると、年末にはかなり値段の張るお酒を飲む機会が集中するので、このあたりは発泡酒なのかな(笑)。そういうツイートが見られました。

12月24日はワインやシャンパンのピーク。ここらへんはクリスマスですよね。そしてなぜか12月29日に焼酎のピークがきています。12月31日はウイスキー、酎ハイ、梅酒、ビール、そして1月1日は日本酒のピークなんですね。カクテルのピークは1月11日にきていますが、これは若い方の成人式ですね。

藤崎:おもしろいですよね。年末年始は高いお酒を飲む機会もあるし、それなりにシーンに合わせて飲むお酒が違うことが読めます。

櫻井:これが先ほどの、12月29日の焼酎。「なんで焼酎か?」と思って調べたところ、仕事納めの日なんです。1年の仕事が終わったタイミングで、1人で飲む方が多かったということです(笑)。

藤崎:(笑)。

櫻井:仕事納めの日は、すでに忘年会も終わっていたりします。「仕事終わった。じゃあさっさと早く帰って、とっておいたいい焼酎を1人で飲もうか」と、そんな感じです。

藤崎:これは心理的には、すべて終わって1人でゆっくり飲むときに、とっておいた焼酎をしみじみ飲むということなんですかね?

櫻井:そこはワインではないんでしょうね。データから見ると、やはり焼酎なんでしょうね。

藤崎:ものすごい量のツイートから、こういうことが読めるんですね。

櫻井:もちろん1人ではなく、仲間とお酒を飲んでいる人もいるかと思います。でも、ちょっと焼酎が目立っている感じです。

藤崎:おもしろいですね。

櫻井:こちらは先ほどのカクテルですね。若い方がこの日は非常に多く「カクテル」とツイートをしています。ただ、さっきのツイートはおじさんのツイートだったと思うんですけど、こちらは若い人が多いですね。絵文字を使ったりしていますし。こんなかたちで、ツイートから、生活の様子と、消費者心理を垣間見ることができます。これがTwitter分析のおもしろいところかと思います。

藤崎:次のお話もお願いします。

櫻井:お酒ばかりですみません。みなさまのなかにお酒を飲めない方もいらっしゃると思いますので、わかりやすい恋愛ネタにいきます。

これが、「イルミネーション」「デート」です。スパイクがある日は想像に難しくない、クリスマスイブです。イルミネーションは、実は12月は下がりつつあるトレンドで、11月後半の「イルミネーション始まりました」が一番盛り上がるタイミングだったりするんです。そのため、週末ごとにちょっとずつ下がっていくんです。ただ、クリスマスイブは再浮上しますね。デートのイルミネーション需要がかなりあるところが、右の「デート」と照らし合わせるとわかると思います。

右側のデートを見ていくと、クリスマスイブは感覚的にわかると思うのですが、1月上旬に、12月の水準よりちょっと低くなることが見えると思います。1月1日に谷ができていますけど、これは家族と過ごす日だからでしょう。それから12月のクリスマスでデート需要が刈りつくされたのか、1月を通じてデートは低調で(笑)。再浮上するのは、バレンタインデーを待つことになります。そんな感じの波形が見られます。

藤崎:これは244万ツイートの総意からわかったことで、さらに1つひとつのツイートを見て行くと、きっとそれぞれの生活が見えてくるはずです。とても興味深いデータですね。

櫻井:そうですね。

藤崎:1月1日はやはり家族の日で、1回下がっちゃうんですね。

年末年始、「ダイエット」より「太った」のツイートが多い

次にいってみましょうか。

櫻井:次はかなりマーケティングのヒントが見えてくる例です。

先ほどお酒の話もありましたし、忘年会の話もありました。デートでおいしいレストランに行くなどあると思うんですが。

年末から年明けにかけて、「太った」というツイートが増えてきます。ただ一方で、「ダイエット」というツイートは増えないんです。いつ増えるかというと、1月4日、5日あたり。仕事始めのタイミングです。これは非常におもしろくて。この2つのデータがあると、例えばスポーツジムが販促をするタイミングはいつがベストか、そのヒントが得られると思います。

実はこのデータから考察すると、「新春キャンペーン」というかたちで1月1日から宣伝するのではなく、もしかしたら仕事始めの日に、通勤通学中の方々にビラを配るなどした方がいいのではないかと、実務にも活かせるようなヒントが見えてきます。

藤崎:実感値としても、お正月太りは「おいしいものをたくさん食べて太っちゃった」がけっこうあると思います。その直後にダイエットが出てくるんですね。しかも「太った」より「ダイエット」のほうが数も多い。これはダイエットの機運が高まるということなんですか。

櫻井:そうかもしれませんね。1年の初めでなにかを決意をしようというとき、ダイエットがある。そういったことも、ここから見えてくると思います。

藤崎:一般的に夏前に「身体を絞ろう」という意識が高まり、6月ごろにスポーツジムなどのチラシが入っていたりしますが、実は食べ過ぎてしまったり、ダラダラ過ごしたりしたお正月明けが、需要に応えるタイミングかもしれないことがわかりますよね。

櫻井:そうですね。例えばスポーツメーカーが戦略をを組み立てるときに、競合ブランドの評判を調べる、いわゆるエゴサーチが、クチコミ分析の1つの方法かなとは思います。ただ、スポーツを軸に、どういった動機でスポーツをやりたいのか、そういったところまで分析対象をに広げていくと、こういった「感情」や「ベネフィット」などをキーワードにしてクチコミ分析をすることもできます。そこから、実際の消費者の姿が見えてくる。これがTwitterならではの分析の視点なんだと思います。

藤崎:最初にエゴサーチの話がありましたが、昔のブログで言うと、あえて書かなければ顕在化しなかったような人々の声が、ソーシャルリスニングをすることで、広く拾えるという1つのサンプルですね。櫻井さん、これらのツイートはどこまで細かく見ているんですか。

櫻井:この後に形容詞の分析があるんですが、実際の分析は、いろいろな本能に近い部分のキーワードを拾って、それがどういう波形をしているのか、時間帯別に見るとどうなのか、派手に跳ねるキーワードなのか、緩めに跳ねるキーワードなのかを見ます。

例えば「眠い」でツイートを検索すると、24時間ベースで見るとピークは3つあります。朝とランチの後、深夜ですね。これはだいたいわかると思うんですけれど、土曜と日曜には、ランチの後のスパイクがなくなるんです。なぜかというと、みなさんを仕事しているときはランチの後が眠いんですが、遊んでいるときはランチの後も眠くない。そういうところも見えてきます。

より人間の感情に近い部分を分析してみると、人間の心理などが見えてくるところはあると思います。

藤崎:すごいですね。櫻井さん、リサーチャーとして人間心理のプロになってきますね。Twitterを見ながら。

櫻井:そうですね。Twitterを見ていると、いろいろな発見があります。ツイート分析はマーケターにとって、とてもおもしろい領域だと思いますよ。

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