空はみんなで管理するべきもの

高橋伸太郎氏(以下、高橋):ここまで、空撮コンテストに関するところと、2015年の無人航空機関係で印象に残っていることを中心に、パネリストの方におうかがいしてきました。

今回、メディア関係の方であるとか、ドローン産業の関係者の方が大勢いらしてますので、ここからは会場との質疑応答を交えて進めたいと思います。質問されたい方、もしいらしたら挙手お願いできますか?

(会場挙手)

高橋:早速手が挙がりました。

質問者1:先生方、どうもありがとうございます。私、運航コースを取らせていただいてる、○○と申します。

鈴木先生におうかがいしたいことがあるんですけれど、冒頭で先生がおっしゃったことで、先生の東大の研究室で実験されたときに「野球場に飛ばせない」とおっしゃったかと思うんです。

それが私すごく驚きで。と申しますのは、あそこけっこう広くて、なおかつ、先生が研究目的ということなのに飛ばせなかったというところ。もしよろしければ、どういう理由でダメだったのかをうかがえたらと思いまして。

鈴木真二氏(以下、鈴木):ここはきちんとご説明しなきゃいけないんですけども。大学のなかって、けっこう治外法権とかがあって、学生さんが車の練習を無免許でやってたりして。これは道路交通法がそういうふうにできているので、別にとがめられることはないんですけども。

航空法というのは、空を全部カバーしてるんですね。ですから「私のおうちの庭はすごく広いので、ここでドローンを飛ばしてても、ほかの人に迷惑かけないからいいじゃないか」という解釈は許されないんですね。

空というのは「みんなで管理していかなきゃいけない」という考え方で航空法が作ってある。飛行機ですから、どこでも行けちゃうというのがありますから。

ドローンはちょっと違うと思うんですけれども、基本的にそういう考え方で作られていますので、私有地であっても、人口密集地域に入っていると飛ばすことはできないということです。

東大は、もちろん人口密集地域に入ってますので、「運動場広いから」「絶対安全だから」といっても、許可なくは飛ばせないということです。ちゃんと許可を取れば、もちろん飛ばすことができます。

我々も申請を出して、許可を取っていこうとは思っております。ちょっと面倒くさくなりますけども。

それからもう1つ。室内ですと航空法には関係なくなりますので。例えば、先ほどのような小さいドローンですね。これは練習するには非常にいいんです。別に外へ行ってやらなくても、室内で練習するぶんには、東京都で遊んでも大丈夫だということはあります。いい質問ありがとうございました。

質問者1:ありがとうございました。

今後求められる職種とは

高橋:ありがとうございます。ほかに質問されたい方、どうでしょうか。

(会場挙手)

質問者2:お話ありがとうございます。「エンジニアtype」という媒体の編集をしてます、イトウと申します。

杉山先生を中心にした質問なんですけども、できれば御三方にご意見をうかがいたいことがあって。杉山先生はご発表のなかで、「これから求められるプロフェッショナル」というところで、「ドローンのもの作り」「ドローンを活用した機械を作っていく人」みたいなキーワードがあったと思うんです。

具体的にどういう仕事が、今後プロフェッショナルとして求められていくのでしょうか。御三方から「例えば」というところで挙げていただくような職業があれば、教えていただきたいなと思っています。

杉山知之氏(以下、杉山):僕は産業側からいくと、やっぱり「映像をきれいに撮る」とか「上手に撮る」「安全に撮る」ということで。いわゆるカメラマンとしての力も上げてく、ということなんですね。

坂本さんの前で言うのもあれなんですけど、操縦がうまいことと、さらにご存じのように、撮影用のカメラの首を振れたり、いろんなことができますので、その辺の技術を上げてくのは意外と大変なんじゃないかなと思います。

さらにクオリティを上げようと思えば、カメラは重くなりますし。そういう意味では、まだまだトップレベルのスキルの人は、日本にはそう何人もいないんじゃないかと思いますので、そこはまずありと思ってます。ということで、僕は1個だけ挙げます。

ルンバを直してくれるドローンが欲しい

鈴木:私の立場で言えば、プロフェッショナルというのは「飛行機、ドローンの安全をちゃんと確保できる技術を作り上げられる人」だと思います。

私の研究の目標は「落ちない飛行機を作ること」で、ドローンもそうなんですけども、飛行機というのは危なくなったときに緊急停止ボタンを押せないんですね。車や電車は危なくなったら停めればいいんですけども、空を飛んでいるものは、飛行船は別ですけども、停めたら落っこってしまいます。

故障が起きたときにも、停めなくても安全に飛ばせるようなものを作りたい。技術としてそういうものを確立したい、と。人工知能を飛行機に搭載して、羽が折れてしまってもちゃんと飛び続けられることができるような、そんな技術を極めたいということが、夢としてありまして。

そういうところを担っていただく方がいらっしゃれば、それはプロフェッショナルといえるんじゃないかと思います。

高橋:ありがとうございます。では、坂本先生。

坂本義親氏(以下、坂本):もちろん、うちは空撮やってますので……僕、「空撮」と言うのが嫌いでして。「ドローン映像」と言っているのが好きなので。いや、すみません。

「ドローン映像のオペレーターが増えてもらえるとうれしいな」というところと、あとは、安全運航管理というところで1つだけ。最近、僕のなかで流行ってることがありまして。ルンバって、時々ひっかかるじゃないですか。それを直してくれるドローンがあったらいいなあと思ってまして。

別にドローンである必要性は全然ないんですよ。ただ、僕らはエンタメの会社ですので、おもしろいことってけっこう重要だと思っています。IoTのようなものであるとか、あるいは音の分野とか。今後重要になってくるのは、発想のある方ですね。

今までたくさん研究されてきた方々と、新しい発想が、これから先、ぐっと近くなって、新しい産業だったり、サービスが生まれてくる。その架け橋になるような方がプロフェッショナルとして出てくるといいなあと、僕は思います。

今後は国の許可が必要

高橋:ありがとうございます。

質問者3:運航ベーシックコースを取っている○○といいます。

先ほどの東大の許可の件でちょっとお聞きしたいんですけど、「許可を取れば飛ばせるはずだった」というのは、具体的には大学の許可ということでよろしいんでしょうか?

鈴木:いえ、これから飛ばせなくなるということで。(2015年の)12月10日以降、航空法が施行になりますので、そこから効力が発生します。人口密集地域で勝手に飛ばすと、罰金を払わなきゃいけないという話になります。12月10日以降は、ちゃんと申請して、許可を得て、実験をやらなきゃいけなくなるんです。

学内で許可が必要になってくるかどうかは、今、実は検討しているところなんです。「法律に合わせて」ということになると思います。今までの話ではなく、これからのことです。

その許可は、現状では1年間有効ということになっています。オペレーターの人が固定されていて、機体も原則変わらなければ、1年間同じ許可で飛び続けることができるんです。

けれども、大学ですし、どんどん飛行機も変わっていってしまうので、それもちょっと難しい。なので、どういう許可の申請があるのかは、今考えてるところです。

土地の所有者の許可だけではダメです

質問者3:僕の理解が間違ってたら今直したいので聞きたいんですけど、人口密集地であっても、土地の所有者のOKがあれば飛ばせると理解していたんです。

鈴木:それではダメなんですね。

質問者3:あ、ダメなんですか。

鈴木:ダメなんです。

質問者3:土地の所有者がOKだって言ってもダメ?

鈴木:ダメです。どこへ飛んでいっちゃうかわからないので、それは許されない。

質問者3:人口密集地では、自分の庭で飛ばすのもダメだっていうことなんですか。

鈴木:ええ。

質問者3:そうなんですね。

鈴木:はい。今までも実は、東京都では条例によって公園とかでラジコン飛行機を飛ばしちゃいけないことになっています。一方で東京都の場合、大学のなかは治外法権のように思っていたので勝手にできたんです。

本格的な実験をやるときは、レンタカーを借りて千葉県に行ったり、栃木県に行ったり、茨城県に行ったりして、飛行場を借りて実験をやってます。

あくまでも実態はそうだったんですけども、これから、よりきちんと「法律に則ってやらなきゃいけない」となってくると思います。

質問者3:先ほど「車は無免許でも運転できた」というのは、いわゆる大学の自治ということですよね?

鈴木:それも大学で認められているかというと、あまり大きな声で言っちゃいけないんですけども。

(会場笑)

鈴木:少なくとも、警察の道路交通法上は問題なかったということですね。

質問者3:国立大学であろうと私立の大学であろうと、人口密集地であれば、敷地内では飛ばせないということで。

鈴木:そうです。

質問者3:なるほど、わかりました。

鈴木:私有地であろうと、航空法上は全部かかってきてしまうことになります。車の法律とは、ちょっと違っているということです。

実は、今度(2015年)12月17日に「緊急セミナー」がありますが、そういったいろいろなご質問を、今、JUIDAのほうにたくさんいただいております。

航空局の安全課の課長さんにも来ていただいて、今までいろいろ聞いてきたので、わかってるつもりでいるんですけども、実際に聞いてみたいことがおありでしたら、JUIDAのHPにアクセスしていただきますとよいかと思います。

質問者3:わかりました。ありがとうございます。