2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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高橋伸太郎氏(以下、高橋):ここまで、空撮コンテストに関するところと、2015年の無人航空機関係で印象に残っていることを中心に、パネリストの方におうかがいしてきました。
今回、メディア関係の方であるとか、ドローン産業の関係者の方が大勢いらしてますので、ここからは会場との質疑応答を交えて進めたいと思います。質問されたい方、もしいらしたら挙手お願いできますか?
(会場挙手)
高橋:早速手が挙がりました。
質問者1:先生方、どうもありがとうございます。私、運航コースを取らせていただいてる、○○と申します。
鈴木先生におうかがいしたいことがあるんですけれど、冒頭で先生がおっしゃったことで、先生の東大の研究室で実験されたときに「野球場に飛ばせない」とおっしゃったかと思うんです。
それが私すごく驚きで。と申しますのは、あそこけっこう広くて、なおかつ、先生が研究目的ということなのに飛ばせなかったというところ。もしよろしければ、どういう理由でダメだったのかをうかがえたらと思いまして。
鈴木真二氏(以下、鈴木):ここはきちんとご説明しなきゃいけないんですけども。大学のなかって、けっこう治外法権とかがあって、学生さんが車の練習を無免許でやってたりして。これは道路交通法がそういうふうにできているので、別にとがめられることはないんですけども。
航空法というのは、空を全部カバーしてるんですね。ですから「私のおうちの庭はすごく広いので、ここでドローンを飛ばしてても、ほかの人に迷惑かけないからいいじゃないか」という解釈は許されないんですね。
空というのは「みんなで管理していかなきゃいけない」という考え方で航空法が作ってある。飛行機ですから、どこでも行けちゃうというのがありますから。
ドローンはちょっと違うと思うんですけれども、基本的にそういう考え方で作られていますので、私有地であっても、人口密集地域に入っていると飛ばすことはできないということです。
東大は、もちろん人口密集地域に入ってますので、「運動場広いから」「絶対安全だから」といっても、許可なくは飛ばせないということです。ちゃんと許可を取れば、もちろん飛ばすことができます。
我々も申請を出して、許可を取っていこうとは思っております。ちょっと面倒くさくなりますけども。
それからもう1つ。室内ですと航空法には関係なくなりますので。例えば、先ほどのような小さいドローンですね。これは練習するには非常にいいんです。別に外へ行ってやらなくても、室内で練習するぶんには、東京都で遊んでも大丈夫だということはあります。いい質問ありがとうございました。
質問者1:ありがとうございました。
高橋:ありがとうございます。ほかに質問されたい方、どうでしょうか。
(会場挙手)
質問者2:お話ありがとうございます。「エンジニアtype」という媒体の編集をしてます、イトウと申します。
杉山先生を中心にした質問なんですけども、できれば御三方にご意見をうかがいたいことがあって。杉山先生はご発表のなかで、「これから求められるプロフェッショナル」というところで、「ドローンのもの作り」「ドローンを活用した機械を作っていく人」みたいなキーワードがあったと思うんです。
具体的にどういう仕事が、今後プロフェッショナルとして求められていくのでしょうか。御三方から「例えば」というところで挙げていただくような職業があれば、教えていただきたいなと思っています。
杉山知之氏(以下、杉山):僕は産業側からいくと、やっぱり「映像をきれいに撮る」とか「上手に撮る」「安全に撮る」ということで。いわゆるカメラマンとしての力も上げてく、ということなんですね。
坂本さんの前で言うのもあれなんですけど、操縦がうまいことと、さらにご存じのように、撮影用のカメラの首を振れたり、いろんなことができますので、その辺の技術を上げてくのは意外と大変なんじゃないかなと思います。
さらにクオリティを上げようと思えば、カメラは重くなりますし。そういう意味では、まだまだトップレベルのスキルの人は、日本にはそう何人もいないんじゃないかと思いますので、そこはまずありと思ってます。ということで、僕は1個だけ挙げます。
鈴木:私の立場で言えば、プロフェッショナルというのは「飛行機、ドローンの安全をちゃんと確保できる技術を作り上げられる人」だと思います。
私の研究の目標は「落ちない飛行機を作ること」で、ドローンもそうなんですけども、飛行機というのは危なくなったときに緊急停止ボタンを押せないんですね。車や電車は危なくなったら停めればいいんですけども、空を飛んでいるものは、飛行船は別ですけども、停めたら落っこってしまいます。
故障が起きたときにも、停めなくても安全に飛ばせるようなものを作りたい。技術としてそういうものを確立したい、と。人工知能を飛行機に搭載して、羽が折れてしまってもちゃんと飛び続けられることができるような、そんな技術を極めたいということが、夢としてありまして。
そういうところを担っていただく方がいらっしゃれば、それはプロフェッショナルといえるんじゃないかと思います。
高橋:ありがとうございます。では、坂本先生。
坂本義親氏(以下、坂本):もちろん、うちは空撮やってますので……僕、「空撮」と言うのが嫌いでして。「ドローン映像」と言っているのが好きなので。いや、すみません。
「ドローン映像のオペレーターが増えてもらえるとうれしいな」というところと、あとは、安全運航管理というところで1つだけ。最近、僕のなかで流行ってることがありまして。ルンバって、時々ひっかかるじゃないですか。それを直してくれるドローンがあったらいいなあと思ってまして。
別にドローンである必要性は全然ないんですよ。ただ、僕らはエンタメの会社ですので、おもしろいことってけっこう重要だと思っています。IoTのようなものであるとか、あるいは音の分野とか。今後重要になってくるのは、発想のある方ですね。
今までたくさん研究されてきた方々と、新しい発想が、これから先、ぐっと近くなって、新しい産業だったり、サービスが生まれてくる。その架け橋になるような方がプロフェッショナルとして出てくるといいなあと、僕は思います。
高橋:ありがとうございます。
質問者3:運航ベーシックコースを取っている○○といいます。
先ほどの東大の許可の件でちょっとお聞きしたいんですけど、「許可を取れば飛ばせるはずだった」というのは、具体的には大学の許可ということでよろしいんでしょうか?
鈴木:いえ、これから飛ばせなくなるということで。(2015年の)12月10日以降、航空法が施行になりますので、そこから効力が発生します。人口密集地域で勝手に飛ばすと、罰金を払わなきゃいけないという話になります。12月10日以降は、ちゃんと申請して、許可を得て、実験をやらなきゃいけなくなるんです。
学内で許可が必要になってくるかどうかは、今、実は検討しているところなんです。「法律に合わせて」ということになると思います。今までの話ではなく、これからのことです。
その許可は、現状では1年間有効ということになっています。オペレーターの人が固定されていて、機体も原則変わらなければ、1年間同じ許可で飛び続けることができるんです。
けれども、大学ですし、どんどん飛行機も変わっていってしまうので、それもちょっと難しい。なので、どういう許可の申請があるのかは、今考えてるところです。
質問者3:僕の理解が間違ってたら今直したいので聞きたいんですけど、人口密集地であっても、土地の所有者のOKがあれば飛ばせると理解していたんです。
鈴木:それではダメなんですね。
質問者3:あ、ダメなんですか。
鈴木:ダメなんです。
質問者3:土地の所有者がOKだって言ってもダメ?
鈴木:ダメです。どこへ飛んでいっちゃうかわからないので、それは許されない。
質問者3:人口密集地では、自分の庭で飛ばすのもダメだっていうことなんですか。
鈴木:ええ。
質問者3:そうなんですね。
鈴木:はい。今までも実は、東京都では条例によって公園とかでラジコン飛行機を飛ばしちゃいけないことになっています。一方で東京都の場合、大学のなかは治外法権のように思っていたので勝手にできたんです。
本格的な実験をやるときは、レンタカーを借りて千葉県に行ったり、栃木県に行ったり、茨城県に行ったりして、飛行場を借りて実験をやってます。
あくまでも実態はそうだったんですけども、これから、よりきちんと「法律に則ってやらなきゃいけない」となってくると思います。
質問者3:先ほど「車は無免許でも運転できた」というのは、いわゆる大学の自治ということですよね?
鈴木:それも大学で認められているかというと、あまり大きな声で言っちゃいけないんですけども。
(会場笑)
鈴木:少なくとも、警察の道路交通法上は問題なかったということですね。
質問者3:国立大学であろうと私立の大学であろうと、人口密集地であれば、敷地内では飛ばせないということで。
鈴木:そうです。
質問者3:なるほど、わかりました。
鈴木:私有地であろうと、航空法上は全部かかってきてしまうことになります。車の法律とは、ちょっと違っているということです。
実は、今度(2015年)12月17日に「緊急セミナー」がありますが、そういったいろいろなご質問を、今、JUIDAのほうにたくさんいただいております。
航空局の安全課の課長さんにも来ていただいて、今までいろいろ聞いてきたので、わかってるつもりでいるんですけども、実際に聞いてみたいことがおありでしたら、JUIDAのHPにアクセスしていただきますとよいかと思います。
質問者3:わかりました。ありがとうございます。
高橋:ありがとうございます。ほかに、いかがでしょうか。
(会場挙手)
質問者4:リスク管理についてご質問したいんですけど、産業利用だと、その機械であったり、工事するなら工事管理者がいて、リスク管理について社内で講習することを厚労省とかで義務付けてます。そうすると専門の資格者が必要になったりするんですけども。
ドローンに関して、リスク管理について「こういう資格をこれから取りましょう」とか、「こういう勉強しました」とか、具体的にガイドラインがあったりしますか?
坂本:僕でよろしいですか?
質問者4:はい。
坂本:今のところ、国で指定されている資格免許等はないんですが、JUIDAさんのほうで、安全法管理者と操縦技能の部分については、免許状みたいなものを発行されてらっしゃいます。
今回のロボティクスアカデミーのドローン専攻でも、事前準備というかたちで、免許状を出すところもあります。
質問者4:「詳しくはこの講座を受けてください」とかになると思うんですけど、ドローンのリスクアセスメントの重要なポイントがあったら、ぜひ教えていただけますか。
坂本:それは、どのような分野についてのお話でお考えですか?
質問者4:空撮なんですけども、あとはとくに物に近寄って点検したり、そういう需要に対して。
坂本:すみません、鈴木先生のほうから。
鈴木:要は「何かあったときに、どういう対応を準備しておくか」ということだと思います。物に近づいて点検しているときに、物にぶつかってしまったりすることがありうる話なので、そういうときにどういう対応をとるかということを、事前にきちんと準備しておくことが、安全管理で一番重要な視点かと思います。
やはり「落ちたらどうするか」「ぶつかったらどうするか」というのを、その場で考えるのではなくて、事前に「どうするか」ということを準備しておく。それが一番重要な視点ではないかと思います。
まだ国の制度はありませんけども、JUIDAとしてそういうものを、デジハリさんと一緒に作っております。そういった資格を持っていることを申請書に書けば、たぶん通りがいいんじゃないのかなと、今、考えております。
質問者4:ありがとうございます。
高橋:ありがとうございます。
(会場挙手)
高橋:どうぞ。
質問者5:貴重なお話ありがとうございました。日本経済新聞社のナカヤマと申します。
鈴木先生に、まず1点おうかがいしたいんですけれども、官民協議会で、官民協力してルール作りを行っている段階だと思うんです。
鈴木:これから。
質問者5:あ、これから。官と民で、現場のなかでの意見のギャップとかはあるのでしょうか。
鈴木:第1回目が来週の月曜日ということになりますので、開いてみないとわからないというのが実態です。これからかんかんがくがくが起きてくるんじゃないかと思います。
質問者5:あと最後にもう1点、3人に聞きたいんですけれども、農業とか測量とか医療とか、ドローンの可能性がどんどん広まってきてはいるんですけれども、そのなかでも特に注目している産業ですとか、すぐに実現が見込まれそうな分野とかありましたら、教えてください。
鈴木:やはり、ドローン撮影というのは非常に重要な産業だと思うんです。私、前に「減らせ突然死プロジェクト」というのをやりまして。お医者様方が作っている……いわゆるAEDですね。心臓発作のときにAEDで処置をすれば助かるんですけども、心臓が止まってますから、10分以内にAEDで処置をしないと助からないんですね。
(AEDは)いろんなとこに置いてあるんですけども、郊外で広いところになると、すぐには届けられないことがありまして。医学部の学生さんだったんですけど、「減らせ突然死プロジェクト」のお医者さんから「ドローンで運べないか」とご相談を受けました。
海外でも実験をやられてたんですけど、日本でもやってみようということで、ゴルフ場をお借りして実験をしました。ゴルフコースって、けっこう高齢の方が運動をされますので、数は出てこないんですけども、心臓発作が起こりえます。実際起きてもいますので、バイクで急いで届けるよりも、ドローンで届けたほうが確実に早く届けられるということを確認しております。
そういった使い方、「人の命を助ける」ということは、お金に換えられないところがありますので、非常に重要なルートになってくるんじゃないかなと思っています。
杉山:僕のほうは、実はこの数日の中で、いろんな関係者の方と話してるんです。我々、やはりこういった技術を使ったサービスを考えている立場なので。今、介護が必要な方が入っている高齢者の施設の方と話しています。
身体は動けないので、例えば「故郷を見たい」とか「家の周りを全部見てみたい」というときにドローンを使える。
それに対しても、ボランティアベースで、サイトで募集をして、地方にいる若い方に、昔住んでいた田舎を撮っていただいて、それをネットで届けていただいて、高齢者の方々とヘッドマウントディスプレイでぐるーっと見ると。「はあ~」っていうかたちですよね。
その辺は少し具体的にやってるんですけど、そういったサービスがどんどん出てくると思うんですよ。その辺がおもしろいと思いますし、小規模なベンチャーの人たちで、すごく楽しくそういう事業をやられるところが増えるんじゃないかなというのが僕の考えです。
坂本:直近で立ち上がるビジネスとしては、空撮とか測量とかは、もう実績があると思ってまして。
そういうことを言うよりも、僕的なお話で、飛ばしてるほうからすると、「隣りからまたドローンが飛んでくるかもしれない」と。我々も飛ばしてますので。
もちろん航空管制とまでは言うつもりはないんですけど、「どこにドローンがいるか」というのが掴みきれていないところが、正直あります。なので、そこを一生懸命やりたいなと思っています。
配線の問題であったり、日本ではドローン自体にSIMを乗せられなかったり、意外といろいろなところで壁はあります。
ただ、今のところ、日本製のドローンももちろんあるんですけど、僕らが空撮で使っているのは、DJIとか、海外メーカーのものが多い。そのなかで「今どこに、どのドローンが飛んでいるのか」が、あんまりわからない。
そこについては、事業化というよりも、まず先にやっておきたいところだな、と僕は思っています。説明になってますでしょうか。大丈夫でしょうか?
高橋:ありがとうございます。先ほど手を挙げられていた方。
質問者6:先ほど一番最初に「ドローンの音がうるさい」というのがあったと思うんですけど、私も常々思っていまして。あと、友人に昆虫とかを撮っているカメラマンがいるんです。
「静かに飛ぶ」というのは、あんまり研究しているという話を聞いたことがないんですけど、みなさんはどういうふうに思ってらっしゃるのかうかがいたいです。
高橋:では、鈴木先生から。
鈴木:電動でプロペラを回してるので、実は私なんかは「すごく静かだな」と思うんです。エンジンをやっている立場から見ると、エンジンは排気ガスもすごいし、音もけたたましいですから、ドローンは静かだなと思うんです。けど、初めて目にしたらたぶん「うるさい」ということで。
プロペラの風きり音を小さくするような研究は、地道にやってらっしゃる方もいらっしゃいます。そういった成果が活かせるときが来るんじゃないか、とは思いますが、本質的に音を消せるわけではないので。確かに課題としてありますね。
杉山:音の問題は我々も気が付いているんですけれども、今のところは、少し音がしたほうが、近づいてきたらわかるし、安全という意味ではいいかなと。でも確かに、昆虫には逃げられちゃいますね。
ただ今度、固定翼のほうが音が小さくできる可能性があるんですね。しばらく滑空できますので。
大学院を出て、その後東大を出た末田(航)さんという、今シンガポールのほうで研究してる人がいるんですけど。彼が、「カラスと話せるドローンを作ろう」ということで、ファンディングでみんなから集めたりとかやってるんです。そういう変な研究してる人もいる。それは本当に、「固定翼で、カラスと一緒に飛ぼう」という話なんです。
高橋:続いての方、どうぞ。
(会場挙手)
質問者7:今日、途中から参加させていただいたので、もし最初のほうで出てたら申し訳ないんですけども、「許可なしで飛べるものは、施行後はなくなる」ということなのでしょうか。
鈴木:「許可なしで飛べる」というカテゴリーはもちろんあります。1つは、200グラム以下のドローンは許可なく飛ばせます。
それから、人口密集地域を外れて、昼間、目で見える範囲で、他人やほかの人のものに近づかないもの。広いところ、安全が確保できるようなところで、目視できる範囲であれば、許可なく飛ばすことができます。ちょっと故郷に行って、広いところで飛ばすというのは、全然問題ありません。
質問者7:例えば、私の実家は神奈川県逗子なんですけども、逗子は人口密集地に入りますか? どこからが人口密集地になりますか?
鈴木:それもいろいろあります。東京にいると全部ダメですから、はっきりしてるんですけど。ちょっと地方に行くと、許可なく飛ばせる範囲と、そうでない範囲が、非常に入り組んでいます。総務省のHPで確認できるんですけど、パソコンがないと見えませんので。
今JUIDAでは、スマホのアプリでそういった地図情報を簡単に確認できるようなものを提供するように、準備を進めているところです。そういうのができれば、簡単に確認していただくことができると思います。そういう状況です。
質問者7:じゃあ、そういうロケーションに行って、「ここは飛ばせる」「ここは飛ばせない」ということが、ぱっと見れるという。
鈴木:はい。スマホですから、GPSで自分がどこにいるかわかりますので、それは非常に便利に使っていただけるんじゃないかと。
それから、飛行場の近くは飛ばしてはいけないことになります。ここはちょっとなかなか。普通の飛行場だと、6キロだか8キロだか離れる必要があって、大きな羽田とか成田だと、20何キロという、相当離れないといけないところがあります。
質問者7:ありがとうございました。
質問者7:あと、「Movie Contest」に興味があるんです。過去に撮ったものも大丈夫ということなんですが、例えば過去に撮ったもので、都内で飛ばしたものがあるのですが、大丈夫ですか?
杉山:12月7日以降は「違反だろ」という映像が来たらどうするか、ということですね。それも僕ら想定していて、「見て考えよう」というところです。とんでもない映像が出てきたら「これ、ちょっと倫理的に問題じゃないか。楽しいけど」ということもあり得るので、そこは討議したいところですね。
鈴木:さかのぼって罰金取られることはないと思うんですけれども、多くの人の上空を飛んでいるような映像は、やっぱりちょっと問題があります。明らかに「落ちたらどうなるの?」みたいなものは危ないと思いますので、それは多分お断りすることになると思います。
高橋:1つ補足すると、基本的には、その当時の法律に基づいて撮影されたものであれば大丈夫というかたちではあるんです。けれども、今、鈴木先生からご説明いただいたとおり、許可がない状況で、人口密集地で人の頭の上を飛ばすのは危ない行為ですので、そういったものに関しては、できれば審査から外したいと考えています。
杉山:そうですね。ゲリラ的に「お祭りの上を通っちゃった」みたいなのは、いくら故郷の素晴らしい映像でもちょっと、ということになると思います。
高橋:では、そろそろ時間になりましたので、質疑応答に関しては、この後のお時間で個別にしていただければと思います。
最後にまとめにいきたいと思います。ここまで90分間、ドローン映像に関することで、無人航空機産業の展望についてディスカッションにて発表してきたわけですけれども、最後にパネリストのみなさんに一言ずつ、来年に向けた展望であるとか、会場の方へのメッセージをお願いします。最初に鈴木先生から。
鈴木:ドローンは、これからいろいろ活用が期待されているところなんですけども、やっぱり人間ですから、使っていてヒヤっとしたり、落としてしまったりすることがあり得ます。また、機械も完全なものではありませんので、風が強かったりすると、そういうことが起こり得ます。
そういうときに「隠しとこう」ということではなくて、それをみんなで共有しながら、正しい使い方、安全な使い方が確立していくような環境を作りたいと思うんですね。航空の世界では「自主申告制度」みたいなのが作られています。
「ひょっとしたら事故になるかもしれない」という状況を体験した人は、匿名でちゃんと申告していただければ、そういうのが集まってくる。そしてハインリッヒの法則じゃないんですけども、「危ない」ということがだんだん認識されていきますので、そういった文化がドローンのなかに形成されていけばいいかな、と思っております。
高橋:ありがとうございます。では、杉山先生。
杉山:この分野ではどうしても、土地が広いアメリカが先行してると思うんです。先ほどAmazon PrimeのPrime Airを見ていただいて、ああいうのがあるということなんですけども。
もう1つは、「250グラム以上のものは登録制にしよう」という流れのなかにあって、このサンクスギビングからクリスマス商戦まで、アメリカでは40万ぐらいのドローンが売れるんじゃないかっていう予測があったんですね。ついちょっと前、1日か2日前、Googleが、航空管制的なものを売り出そうかという話になりました。
今のコンピュータの処理能力でいったら、ほかのドローンを見つけてばっちり把握できると思うんです。ただ、そうはいっても全地球上に飛んでいる旅客機の数より多くなるようなものを、低い位置で飛ぶところまで見て、航空管制するというのは、相当な技術とか、いろんな問題が起きるんだろうなと思います。
追々、日本でも大量に飛ぶようになったら、航空管制的なものが出てくると思うんです。でも、ここはなかなかやる人がいない、ポケットのようなところだと思いますので、頑張っていただきたいと思います。そういうところまで話が及んでいくんだろうなあと思います。
ただ、そうやって管理されるなかでも、やはり、どこまで自由に創造力が発揮できるかというのが問題になる。うまく文化として残しながら、ルールとして残しながらやらないと、単純にすべてお上に管理されていると「ここ、つまんないな」「やりたくないな」となってしまう人も出ると思います。
その辺が本当にいいところですね。要するに、本当にちょうどいいところを探していくということを、やっていかなきゃいけないんじゃないかと思っています。
坂本:僕らは「ユーザー体験をデザインする会社」というのでずっとやってきまして。エンタメ分野から、ドローンを飛ばすところに至るのに、ものすごい障壁というか、壁がありました。在庫も持たないITの開発の会社が、メンテナンスなども自分たちでしながら一生懸命やるというのは、意外と骨が折れます。
僕もだいぶ現場で日焼けをしました。「時計の跡ができるIT社長」はいかがなものか(笑)。というところで、この1年半やらせていただきました。
やはり僕らはエンタメの会社なので、もちろん物流であったり、航空管制であったりが進んでいってもらいたいと思う反面、やはり日本発の遊びの文化として、ドローンを使ったものを。
先ほど、「ルンバを起こすドローンがあるといいな」と言いましたが、ルンバはけっこう重いので、ものすごいペイロードだと思いますよ。それが家の中で、軍事利用じゃなくて、ペットみたいなかたちの文化として、日本の中に根付くような年になると、僕らとしては、おもしろいかなあと思いました。ありがとうございます。
高橋:ありがとうございます。今回のシンポジウムでは、ここまで90分間、2015年の無人航空機産業の展望とドローン映像について、セッションを行ってきました。ご来場いただきましたみなさんに、改めてお礼を申し上げます。そして、鈴木先生、杉山先生、坂本先生、ありがとうございました。
以上で終わりにいたします。ありがとうございました。
(会場拍手)
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