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改めて考えるERPの価値。クラウド時代「所有」から「利用」へ(全2記事)

2022.08.26

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DXを推進するコアとなる仕組みは、「基幹システム」 これからの競争力強化に欠かせない2つの要素

提供:SAPジャパン株式会社

昨今は生産性向上のために、企業の「ヒト・モノ・カネ」を効率よく管理し見える化する必要性が増しています。本記事では、SAPジャパン株式会社が主催するイベント「SAP Sapphire Tokyo」より、企業のさまざまな部門のコアプロセスを単一システムで実行できる「ERP(基幹システム)」についての講演をお届けします。クラウドERPの価値を改めて見つめ直し、ビジネスの標準化や経営の見える化といったテーマから、最新技術の動向までをご紹介。前半では、ERPを導入する顧客に共通する、普遍的な目的や事例をひもといていきます。

「守りのDX」と「攻めのDX」の両方に対応する、基幹システム

平石和丸氏(以下、平石):SAPジャパンの平石です、本日はよろしくお願いいたします。当セミナーでは、初めてERPをご検討するお客さま向けに改めてERPの価値をお伝えするほか、今後のクラウドについてご紹介します。

初めに当社の会社概要です。おかげさまで、社名はすでにお見知りおきのお客さまも非常に多くいらっしゃいますが、改めてご紹介させていただきます。今年でちょうど創業50年で、もともとはドイツのソフトウェアの会社として創業しています。日本も今年で30周年となり、日本に根付いた外資系といったところでお見知りおきいただいています。

主力製品としては、企業のビジネスを見える化するためのソフトウェア・ERPを中心にビジネスを展開しております。今ではERPのみならず、ITプラットフォームやAIまでソリューションの幅を広げております。本日はその中心となるERPについて、お話を進めていきたいと思います。

ERPソフトウェアは、企業のヒト・モノ・カネを効率よく管理して、見える化することを目的としたソフトウェアです。ちょうど日本にSAPジャパンが設立された1992年に、「SAP R/3」という製品名のERPの販売を開始しました。その流れもありまして「SAP」=「R/3」という名前をイメージされるお客さまも、今でも多くいらっしゃいます。

最新のバージョンは、2015年に発売した「SAP S/4HANA」です。インメモリの高速データベース上で稼働するERPと、本日の後段でもご紹介しますが、従来のERPの機能にさらに最新のテクノロジーを搭載して、進化を遂げています。

このERPは多くのお客さまに広くご活用いただいており、Forbes 2000の統計では、ほとんどの業種で高いシェアを占めております。また、昨今のデジタルトランスフォーメーションという観点においては、DXを推進するためのコアの仕組みとしてERPをご活用いただいております。

事例を少し取り上げさせていただきますと、例えばこちらでご紹介しているエプソンさまですが、IoTを活用して、トナーの使用量をデータとして収集をする仕組みを持っています。利用した量に応じて課金請求をするといった、バックエンドの仕組みです。

SAPは、このフロントからバックエンドの仕組みの構築をお手伝いしておりまして、「モノ売りからコト売り」を実現している例の1つとなっております。

ほかにもこちらを参考に出しておりますが、基本的にはIoTやセンサーの技術を使って、消費量や稼働状況といった情報を集めます。あとは、消費量に応じた課金の計算・請求をERPで提供していて、現在SAPでは「守りのDX」と「攻めのDX」の両方を提供しています。

ERPを導入する顧客に共通する、「普遍的な目的」

平石:それでは本題のERPに関する内容について、お話を進めていきたいと思います。「ERPを導入されるお客さまの目的は、もともと何でしょうか?」といったお話になります。今まで技術が多く進化しましたけれども、実はERPを入れるお客さまはほとんど変わらない普遍的な目的を持っています。

どの企業もみなさま「競争力の強化」を目的に、IT活用を検討されると思いますが、ERPがお手伝いできることは、こちらの2段目の「見える化」です。企業のビジネス状況を即座に見える化し、問題があればすぐに対処するというマネジメント体制を作ることが、ERPがお手伝いできることになります。

この見える化を実現するために、業務の標準化へソフトウェアとして共生していく。やはり数字を見える化するには、その管理粒度や計上タイミングを揃えていかなければいけないというふうになってまいります。その部分で、ソフトウェアとして業務プロセスをサポートするといったところが、ERPの役割となっています。

従来のコンピュータシステムは、各部門が使いやすいように個別に作られた仕組みとなっています。それが悪いということではなくて、やはり業務を回すという観点においては優れている仕組みではあったんですが、昨今のグローバルビジネスやビジネスの変化を全社として捉えるという時に、データを横串で捉えるというところが必要になってまいります。

SAPのERPは、この部門を横断した業務をすべて1つのつながっている仕組みで実現しており、その情報・データも1つの器にすべて入っています。そのため、必要なデータをタイムリーに取り出せます。

レゴブロックを組むように、自社に合った基幹システムを構築できる

平石:また、業務の標準化という観点においても、あらゆる業務の雛形がパッケージソフトウェアの中に内包されております。SAPの場合は、これをレゴブロックに例えてお話させていただいていますが、数万を超えるレゴブロックが用意されておりまして、御社の必要なものを組み合わせて形を作っていくことで、基幹システムの導入ができるようになっています。

このブロックの数が非常に多く、25業種ぶんのブロックが用意されております。それは日本国内のビジネスだけでなくて、海外のビジネスのプロセスも用意されております。

大きな強みとなっているのが、このグローバル対応ですね。言語の対応も39言語、各国の法改正・税制にも対応をしており、企業のグループ経営をサポートできる仕掛けとなっています。

先ほどのレゴブロックは、非常に多くの業務を内包していますが、これはある業務のプロセスを表した1つの業務範囲の例です。会計業務、購買業務、販売業務、生産管理業務といったものを中心に、非常に広い業務を先ほどのブロックでカバーしており、ERPの中からお客さまの必要な業務プロセスを選べます。

また経営の見える化という観点においては、グループ経営管理を行うというコンセプトを持っています。組織の管理の体系の最上位は、会社ではなくて企業グループですね。さらに上位のところで括れるようになっていますので、法人をまたいだセグメント別の集計も、システムの中で簡単にできます。

ERPを1枚で表現したスライドがこちらです。「どこで何をいくらで調達して、今どれだけの在庫があって、何をいくらでどれだけ販売したのか」といったところを、全員が同じデータベースを見て確認できることが、ERPの仕組みの原則となっております。

グローバル企業も、リアルタイムでの「経営の見える化」が可能

平石:実はSAP自身もこのERPを使って、「経営の見える化」を実現しています。どう活用しているのかを、こちらのビデオで少しご紹介させていただければと思います。

男性1:こちらは当社のCFO、ルカ・ムチッチ氏です。SAP Digital Boardroomを使ったリアルタイムな経営について、説明してもらえますか?

男性2(ルカ・ムチッチ氏):やあ、ルーベン。もちろんいいよ。CFOにとってデータや数字は生命線だからね。

では仕組みをご説明しましょう。この使いやすいダッシュボードによって、私を含めて役員会のメンバー全員が世界中の販売拠点を一目で見渡したり、それぞれの実績を確認したりしています。

例えばSAP Germanyを見ると、新規クラウド契約の予算が表示されています。アメリカを見ると、クラウド契約のターゲットがはるかに高いことがわかります。ここで注目していただきたいのは、今表示された数字はすべて、選んだ拠点に応じて自動的に更新されるという点です。さらに重要なことに、パイプラインの予測やパフォーマンスもここから見ることができるのです。

しかも操作はとても簡単です。もう一度ダッシュボードを見ると、今度はSAPのすべてのパイプラインが地域別に分析されています。現地の各ビジネスで想定される成長率なども確認できます。さらに詳細なレベルの情報が必要な場合も、このダッシュボードから表示できます。

例えば欧州地域を開けば、そのサブ地域もすぐに表示できるのです。EMEA(ヨーロッパ)と中欧・東欧地域です。各地域の値や予測も見ることができます。

またパイプラインヘルス・トラッカーを利用すると、過去の実績とのさまざまな比較分析を表示できます。例えばリニアリティについて、2017年第1四半期と2016年第1四半期とを比較できます。しかも情報はすべて「リアルタイム」なのです。では次に移りましょう。

強力なレポート機能についてご説明します。当社のすべての販売拠点の業績を、極めて正確に把握できるのです。今はこのように贅沢なレポート機能一式をオンラインでリアルタイムに使えますが、オフラインではこうはいきません。例えばPowerPointでこのレポートを作成するとしたら、スライド100枚ぐらいの複雑なドキュメントになってしまうでしょう。それを今はインタラクティブなシステムに凝縮できるのです。これこそSAP Digital Boardroomの真の力です。

(動画終了)

日本のモノづくり企業が、世界各国の顧客を増やすために必要なこと

平石:今、SAPの活用例をご紹介させていただきましたが、次の章では実際に日本でご活用いただいているお客さまのERPプロジェクトのインタビューと、プロジェクトの中で特に気をつけなければならないポイントを、少しかいつまんでお話しさせていただければと思います。

本日ご紹介させていただく例は、スポーツ用品のメーカーであるヨネックスさまです。ヨネックスさまがどういったことを狙ってERPの導入を決定されたのかをまとめた、インタビューの動画をご覧いただければと思います。

男性3(林田草樹氏):良いものを作って、多くの世界のお客さまに貢献をしていく。創業の精神とデジタルをどう融合させて、これからの世界にそれを伝えていくかということを強く考えています。ものづくりというものは我々の自己満足だけではいけない。良いものづくりとは、やはりお客さまの想像を超えるものを作っていく(ことです)。

我々の強みは開拓者精神。私はもう自信を持って言えますけど、どこのメーカーよりもお客さまと接する時間、機会を多くとっています。お客さまとの接点を多くするという意味では、そんなに大きな変化はない。ただデジタルを使いながら、より多くのお客さまに。我々の動く力と発信する力を兼ね備えれば、他社にはないパワーが生まれてくると確信しています。

男性4(西原巌氏):やはり日本は少子高齢化。そういった中で重要なのは、これから世界のお客さまを増やしていくという中で、海外各国の状況を捉えていくことは今後さらに重要になってきます。これまでの直接的な接点を大切にした営業スタイルに加えて、これからはeコマースの両輪で、より多くのお客さまに良いものをお届けしていく。

世界でお客さまを増やしていくためには、やはりデータに基づいてどこに経営視点を注いでいくべきか(を考える必要があります)。(その)判断をしっかりしていくためにはDXを進めていくことが重要であると思います。

業務プロセスを標準化し、業務の改善・効率化を図る

男性5(高柳卓士氏):グローバルでの仕組みの再構築、全世界で標準のプロセスで数値を適時把握していくというところで、SAPが最適というふうに考えました。利用することそのものが業務プロセスの標準化につながると考えて、それに集中することによって業務の改善・効率化が生まれると思っています。そのぶん付加価値の高い業務へ人をシフトして、新たなDXの活力としていきたいと考えています。

SAP Analytics Cloudという1つのツールを使うことによって、営業計画や売上の実績把握、予算、AIやこれから発展していくであろう機能を活用できるようになっています。SAPさんと連携して、グローバルに挑戦していきたいと考えています。

女性1(岡田朝子氏):今の業務を変えていこうという強い気持ちを持って臨んでいます。みんなが「変えよう」という同じ気持ちで進んでいけたら、大きなやりがいになると感じています。

オンラインに変えざるを得ないような状況、どんな状況であっても、お客さまの要望に最善の答えや提案をしていくことが、最終的にお客さまの信頼につながることだと考えているので。SAPを導入して、最強のパートナーになってくれることを期待しています。

男性4:SAPソリューションの導入にあたって若手のメンバーを中心に、今後ヨネックスがどういう方向に向かっていくべきか、新しい働き方や業務のやり方について考えており、それを作り上げていく大きな力になっていくと考えています。

(動画終了)

ERP導入は、「改善」ではなく「改革」のマインドが必要

平石:今、ヨネックスさまのインタビューをご覧いただきました。ヨネックスさまは「グローバルの見える化」を目標にシステムを導入されました。実はこのERPパッケージは、用意されている機能をそのままご活用いただければ、グローバルの見える化はすでに実現できる仕組みになっています。

例えば建売の家のように、そのままの仕様のものを使っていただければすでに快適に活用できる仕組みになっているのですけれども。やはりプロジェクトを始めますと、これまで不便だった機能をもっと良くしたいといった議論も当然出てきますし、個別の仕様を追加したいという議論になりがちです。

ただ、必要と思った機能をすべて取り込んでしまうと、そのあとのメンテナンスや継続性という観点においては、非常に難しいものができあがってしまいます。やはりERPを導入する時には、改善ではなくて改革といったマインドセットが必要になってまいります。

この「改善から改革」といった考え方ですが、「改善」は基本的には、現在の業務プロセスを変えず、それをいかに良くしていくかを目指すことになります。「改革」は、目的に対してどういった手段でそれを実現するのかといったプロセスを見直すという考え方になります。

こちらのスライドの例では、目的が「田舎のおばあさんに写真を送ろう」という場合に、昔の現像するタイプのアナログのカメラですと「カメラで写真を撮って、現像をして、郵送をする」といったステップ。

これをいくら改善していっても、現代のスマートフォンで「写真を撮ってメールで送る」といったステップのスピードには敵わないといったところですね。こういった、目的を実現するためのステップを変えていくのが改革となってまいります。

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