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藤堂高明氏講演(全1記事)

2017.03.22

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借金17億の会社をどう立て直す? 他責からの卒業を決意した、2代目社長の逆転劇

提供:株式会社インテリジェンス

株式会社インテリジェンスが運営する、大都市圏在住者の地方就職を支援する「LO活プロジェクト」主催の特別セミナー「地方ビジネス最前線」に、ファーストグループ代表取締役社長・藤堂高明氏が登壇しました。藤堂氏は、大手通信会社勤務を経て、父親の会社を継いだ自身のキャリアを振り返り、「人生一度キリ」「他責からの卒業」「地方と首都」の3つのキーワードにまつわる学びを紹介しました。

変化やギャップが大きいところにチャンスがある

藤堂高明氏(以下、藤堂):みなさま、こんにちは。奈良県に本社がございます、ファーストグループの代表をしております藤堂と申します。今日は短い時間ではございますが、何卒よろしくお願いいたします。

今日、みなさま方にお伝えしたいこと、お話ししたいことが3つあります。

「人生一度キリ」……なんかありきたりな言葉ですけどね。それから「他責からの卒業」。それから「地方と首都」という3点でお話をしたいと思います。

まず、「人生一度キリ。トコトン勝負する」とはどういうことかというと、相対性理論で有名なアインシュタインさんの言葉に「人類最高の発明は複利だ」という言葉があります。

ご存知の方も多いかもしれませんが、複利のすごさというのは、最後の25年目とか30年目の最後の5年とか10年の伸び率がすごいんですね。

運用当初の1年目とか5年目は単利運用とたいして変わらないんですけど、利息に利息がつきますから、最後の30年目がでかい。「今日は投資のセミナーか?」みたいな(笑)、違いますからね(笑)。

私は、人生も複利かなとつくづく思います。サラリーマンで通信会社で6年働いて、その頃は渋谷で勤めていたんですけど、辞めて、父親の田舎の会社を継ぐとなった時と今とを振り返ると、まさに人生も複利かなと。

何かというと、元本はお金じゃないんですね。我々には等しく持ち合わせた財産があります。これは命ですね。命=時間ですね。

この時間というものを元本に、そこにいかに利息を乗せて、人生の満足感や納得感を最大化させるのかと。「自分が生まれてきた意味があったよね」と死ぬ瞬間に思えたら最高だと思うんですよね。いつか死にますからね。

さらに思うと、厳しい環境で優秀な人たちのなかでがんばるのもいいんですけど、投資の基本はやはり人が目をつけていないというか、「安く買って、高く売る」という基本のところだと思います。

変化とかギャップが大きいところって、実はチャンスがあるんですけど、誰もそこに価値を見出していないというところがあるわけですね。このへんをお伝えしたいなと思っています。

30歳で迎えた人生の転機

私がサラリーマンを辞めて、父の会社に入社したのが平成15年です。今、13年経ちまして14年目です。

私にとっては大変なことだったのですが、今思えば幸いというか、戻って2年目ぐらいで父親が体調を崩しまして、4年目に肝臓を悪くして他界してしまったということで、社長を継ぐわけなんですけれども。私にとっての人生の転機は、まさにその30歳の時でした。

(スライドを指して)写真は、当時働いていたNTTコミュニケーションズという会社です。今はもうスマホとかネットの時代ですけど、当時はまだ学生のところに就職本を送りつけていて、ある年の会社の顔にさせられたというか、日比谷公園に呼ばれてパシャッと(写真を)撮られたんです。

細かいところは割愛させていただきますが、かなりやりたいことをやらせていただいていて、ネットで動画を配信するとか、自分なりに立ち上げたいろんな事業を2000年の頃にやっていて、成功体験を積ませていただきました。

感謝していたんですが、大きい会社だけじゃダメということで、転職しようと思っていたところに、父親から「奈良に戻ってこないか?」と声をかけられました。

私としても「一生サラリーマンで終わりたくない」というのがどこかにありましたので、父親からは「好きに生きていけ」と言われていたんですが、「継ごう」と決意しました。

ところが、帰ったときの会社の事業は、本を読まれた方はわかると思いますが、当時は不動産事業と、もう1つが車の自動車整備工場をやっていました。

私、前の会社を辞めるのに半年以上かかったんですね。なぜかというと、技術や顧客を持ち出してほかの会社に行くんじゃないかと思われて。

最後の最後で、「実は父親の会社を継ぐんです」と言ったところ、「ああ、そうなんだ。だったら最初から言えばよかったのに」ということで、リリースしていただいたんですけれども(笑)。

その時の送別会の状況はこうでした。「俺らは都心でがんばる。君のやってくれたやつ、あとは続きを伸ばしていくからね。遠いところから見ていてよ」みたいな感じです。

「親父さんなにやってるの?」「車屋さん? 大変だね」「じゃあ、車屋さんになるんだ」みたいな感じで、若干の哀れみじゃないですけど、「地方に行くんだね」みたいな。

その場で私も、都落ちじゃないですけど、「東京から奈良という地方に転落するのか……」という思いがちょっと芽生えてしまったと。悔しいと。「いつか首都圏になんらかのかたちで戻るぞ」と決意したのが、この辞めるタイミングでした。

17億円の借金を背負うことを決意

ただし、会社の状況は決してよくなくて、不動産は安定収益がありましたが、その利益を全部食いつぶすだけの赤字を自動車整備工場が作っていたということで、廃業寸前でした。

社内はもう仲が悪い。社員同士は喧嘩すると。24人社員がいたんですが、営業と現場でセクショナリズムを作って仲違いする。こんなことが頻繁にありました。

私が帰った時は、工場のガラスにヒビがいって、冷蔵庫がへこんでいたんですね。なぜかというと、怒り散らした職人がガラスにあたるわ、冷蔵庫を蹴るわで……。『スクールウォーズ』のような会社だったと。

挙句の果てに、車を落っことしても平気みたいなね。これお客さんの車ですからね(笑)。お客さんの車を落っことしても隠蔽しちゃうような会社だったんですね。

もしみなさまがそのような会社に後継ぎとして帰ったときにどうするかと。ぜひ、みなさんが私だったらどうするかと思ってほしいんです。

私もそれなりに会社に勤めていて勉強させていただいたので、分析をするわけです。3C分析とか、SWOT分析とか、いろいろやるわけです。

分析して出る結論は、やはり「なぜ父親はここまで放置していたんだ?」「なぜ社員同士は、こんなに赤字なのに協力しないんだ?」と。私は「こんな会社の状況になったのは、父親のせいだ。社員さんが悪いんだ」という意識だったんですね。評論家的だったわけです。

ところが、父が死んだ時に、いよいよ会社を継がなきゃいけなくなりました。父親が当時持っていた株式は51パーセントしかなかったんですね。オーナー会社じゃなかったんです。なのに、14億の借金の保証人に個人でなっていたと。これを継がなきゃいけないということになって、大変な思いになりました。

母親と喧々諤々の相続問題を話し合うこともあって、このへんの話だけで1時間ぐらいになるんですけど、結局どうなったかというと、株も株主さんから買い取ろうということで、頭を下げてまわったわけなんですが、14億の借金が3億増えたんですね。17億の借金を背負うことになったと。

もうこうなったら、ちょっと頭の線がピッと飛ぶんですね。100万円も1億もそんな変わらんくなってくる。「誤差の範囲だ」と。「だったら思いっきりやろう」と決意しました。

私にそう決意をさせてくれた方がいまして、その方が紹介してくれたのが『「原因」と「結果」の法則』という本なんです。今日は本の売り込みでもないのでさらっとご紹介しておきたい。

読んだことがない方がいらっしゃったら、ぜひ一度読んでいただきたいんですが、この本を読んで、自分が17億の借金を背負う決意をするわけなんですけれども、まさに人のせいにしていた自分から卒業しようということなんですね。

他責からの卒業とその後の変化

辞書で引いていただいたらと思うんですけれども、他責というのは、思い通りにならないことを周りのせいにしたり、上司のせいにしたり、会社のせいにすると。説明としてはもっともらしいんですよね。

「あなたはどう思っているの?」と言われたときに「いや俺、関係ないでしょ」となってしまうと。これでは中小企業がやれないんだということに、追い込まれて借金を背負う段になってようやく気がついたんです。

もともと24人いた社員が200人を超えてきて、今、1,000人の会社を作ろうとしているんですが、全員が全員前向きなわけじゃないんですね。

私は「前向きじゃない人がいてもいいんじゃない?」と思います。ただ、そういった人にも会社に貢献していただくためには、上司がそういった人たちの考え方を理解しなきゃいけないということで、こういった残念な人のPDCAというフレームワークを新たに作りました。

先ほどの他責がちな人は、思考停止に陥ると。そうすると、問題を放置して諦めてしまって、また他責になるという。この繰り返しじゃないかなと思っています。

その思考停止とか、それぞれの裏にはどういう意識があるのか考えてみたら、これぐらいいろいろあるんですけれども。

先ほどの藤野さんのお話ではないのですが、やはり育つ人もいるんですね。育つ人というのは、やはり一番最初に想いを持っています。

「ドキドキワクワク」とか、「ありがたい」という感謝の念を持っていたり、「楽しい」といった想いを持っていたりするのかなと。

これが行動につながり、結果につながり、自分を認めることになるんじゃないかなということで、まさにこれを、私が自分自身のこととして実感しまして、ここから思いっきりがんばろうということになりました。

先ほど見ていただいた写真の会社の工場がこれです。ここからスタートしまして、工場の数、会社の数がどんどん増えていったということで、最近はこのようなちょっとおしゃれな車屋さんを作ることもできるようになってきました。

ファーストグループを年商100億円企業に

結局、自分の「こんな店作ってみたいな」「こんなふうに世の中に価値を提供したいな」と言える店ができるようになってきたのも、つい最近のことなんですね。

最初、人のせいにしてた頃はこうだったのですが、自分が決意して、自分自身ががんばろうとすると、良いことも悪いことも自分に返ってくるんだということに気づいたところから、どんどん拠点が増えてきました。

もともと1億5,000万円だった年商が、2年前には30億を超えて、去年は40億と。今期は50億円を目指してやらせていただいています。

ですので、1億5,000万だった事業の年商が今30億超えて、20倍ということですから、地方で年商を10倍、20倍に伸ばすというのは、実はそんなに難しいことじゃないということが、自分なりにも検証できたということです。当面は(年商)100億企業を作ろうということで、今、目指しております。

ただ、一生かけてやるんじゃなくて、できるだけ早く100億企業にしようということで、私ども、社名をファーストグループと名乗りまして、日本初の業界特化型の投資と運営の専門会社になろうと志しました。

星野リゾートさんは旅館やリゾートに特化した運営専門会社、我々は自動車整備業に特化した投資と運営の専門会社になろうと思いました。

これは世の中の人たちが「イケてないな」「なんだかよくわからない業界だな」と思われる事業に投資をして、イケてる業界に転換させる会社だと。

そういう意味で、変化率の高い分野に投資をしていると。ですから、ライバルがいないんですね。みなさん、あんまり悩みもしていないというか、思考停止に陥っていて。「まあ、今のまんまでいいや」とか「どうせ車も高度化して事故も減るしな」とかね、「お客さんも減るし」なんて思っているからチャンスがあるということです。

そこで勝っちゃうと、勝てば勝つほど、さらに勝つということで、まさにこれ、ネット企業がやっている「先に顧客を取ろう」みたいなモデルというのが、実はこういった中小・零細の経営でも応用ができるんだということに気づきました。

急拡大する“廃業マーケット”

このようなロゴを掲げてやらせていただいております。戦略的シナジーグループを作るぞということで、どんどん会社をM&Aしていこうということで、今、進めております。

ちなみに、世の中に自動車整備工場がどれぐらいの事業所数あるかご存知でしょうか? コンビニが5万店舗、ガソリンスタンドが3万店舗から4万店舗と言われています。(自動車整備工場は)実は9万5,000事業所あるんですね。めちゃくちゃ多いんです。

これらがどんどん“後継者難”で廃業していくということで、私の見立てでは、これから10年間のうちに1万〜2万事業所が廃業すると見ています。調子がよくても廃業するケースも出てくるわけです。調子が悪いから廃業するということもあります。

こういったものをどんどんM&Aしていこうということで、これから廃業マーケットが急拡大するということで、我々ももう最大の刈り取り場がやってくるぞということで燃えているのですが、なにより人材がいないということです。

この投資と運営の専門会社を目指すファーストグループには、今、人・情報・金が不足しています。人材というところでは、管理ができる人材、もしくは思考ができる人材が必要です。

ちなみに私、自動車整備士の資格を持っていないんです。2級整備士や3級整備士の資格を持っていない。唯一持っていた資格が、損害保険の募集人の資格だったのですが、会社が大きくなって、今度、その資格も取らなくてよくなったので、もう運転免許しかないです。簿記の資格もなんにもない。だから無資格でやっているということです。

なにが言いたいかというと、「誰でもできるぞ」「可能性がありますよ」ということで、この経営企画会社の下で直営事業に投資をして、今、私が黒字化しました。その黒字化したものをどんどん横展開していこうと。

全国9万5,000事業所がありますけど、ほぼ同じようなことをやっているわけです。ですから、標準化とか合理化ができるということで、会社数も今、飛躍的に伸びているということでございます。

今年からまた3月に向けて4、5社の買収を予定しています。社員は車を買い取ったりするんですけど、社長は会社を買ってくると。買取専門会社と。買った会社をよくしていこうということです。

「地方で働く=都落ち」ではない

3つ目のテーマの「地方と首都」というところなんですが、都落ちみたいな感覚で「いつかみておれ!」と思って(地元に)帰ったのですが、今、今日私はここに立っているわけですね。実はもう6年前から、こちらに1ルーム借りて、首都圏の会社のM&Aに取りかかっているというかたちです。

なにが言いたいかというと、この「LO活」とか、「地方で働く」というと、なんか「首都を捨てて地方に行く」みたいなイメージがあるんですけど、決してそうじゃないんですね。

東京というのは、やはり人口もノウハウも集積しているんですね。やはりここなくしては事業がありえないということです。ポートボールとか昔やりませんでした? 軸足を置いて回るみたいなね。軸がやはり首都なんですね。

本社は奈良にあるんですよ。地方を元気にしようということで、あえて奈良に本社を置いているのですが、活動としてはもう行ったり来たりとして、月の3分の2以上東京にいるということで、「(首都)or(地方)じゃない」ということをみなさんにお伝えしたいなと。「(首都)and(地方)である」と。

どういうことかというと、東京から奈良に戻る。奈良は大阪と30分ぐらいの距離なんですよ。私からすると、奈良も地方だし大阪も地方なんですよ。名古屋も地方。

もう都市はここ(東京)だけですよ。ここと地方をどう結ぶかということで、私は奈良で作り上げたこのエコシステムをどんどん拡大していこうと。東・名・大で自社の直営の事業所を増やしていこうと考えております。

これを「産業化」と呼んでいるのですが、プラットフォーム化と言いまして、一つひとつの会社がやっていることをプラットフォームの上に乗っけると。そうすると合理化されて、規模のメリットが活かせるようになるということです。

先ほどの(藤野氏の)ユニクロさんやニトリさんの例というのは、たまたまああなったかもしれないのですが、どこかの時点で、似鳥さんとか柳井(正)さんが「全国規模にしよう」と志したと思うんですね。もしくは「プラットフォーム化して産業化させよう」と。

年商100億円は通過点

我々も今まさに、「自動車整備業を産業化させよう」という入口に立ちつつあります。地方で大きくなった企業が都心部に殴り込みをかけるというよりも、地方で得たビジネスモデルで全国統一できるモデルをこれから作っていくという段階に差しかかってきたと考えております。それ以外の地方のところは、同盟国を作って全国を網羅していこうと思っています。

今、1拠点から始まって、もう30拠点を超えているんですね。当初、平成24年に作った展開計画では、10年後に100拠点ということで作ったのですが、平成28年の段階で30拠点を超えていて、「藤堂の会社に入れてくれ」という、後継者がいない会社がどんどん増えていますから(拠点が)どんどん増えていくと。

2万事業所ぐらいが廃業する予定がありますから、たった10パーセントをM&Aするだけで2,000事業所が獲得できるということになります。

結局、気づいたら借金が28億になりまして(笑)、減らすどころか増えていると。当然、実は資産も増えているんですね。買収するときに土地、建物も買いますからね。

ですから、その会社が黒字になると、利益のリターンだけじゃなくて、家賃収入も入ってくるということで、そういったアクティブリターンを狙いにいく、私はそんなファンドであると私は自称しています。このファンド、もしくはREIT(不動産投資信託)として上場を目指せるぐらいの会社になろうと思っております。もう今、具体的に考えております。

ということで、100億は通過点というところで、先ほど戦国時代の話も出てきたのですが、定かな数字ではないのですが、年商100億円というとだいたい10万石ぐらいだと言っていらっしゃる方もいます。

今、40億ですから4万石? ちょっと寂しいなと。やはり狙うは100万石だなと。ですから、1,000億円ぐらいは目指していきたいなと思っております。

ということで、今日は「人生一度キリ」「他責からの卒業」「地方と首都」というポイントについて、簡単に自己紹介をかねてお話をさせていただきました。

小学校5年生の男の子に内定通知

最後に、やはりなにより人材が必要ということで、これは「クッピーラムネ」なんですけど、これはなにかというと……。

実は私のお客さまの子供で、当時小学校5年だったのですが、その子が私にクッピーラムネを差し入れしてくれたんですね。

「社長さんへ」「ラムネを持ってきたから食べて」と。私は不在がちで、あんまりいないので、書き置きしてくれたんです。

彼がなぜクッピーラムネをくれたかというと、その3ヶ月前に、たまたま奈良に戻って、本当に古くから付き合いのあるお客さまがいたんですね。商談しているところに行って、「ご無沙汰してます」ということで。

子供さんがいたので、「将来の夢はなんだ?」と聞いたんですね。そしたら、「将来、車屋で働きたい」と言うんですね。「こんな車離れな時代に珍しいなと」。

「なんで?」と聞いたら、「お父さんがトラック運転手をやっている」「お父さんが車好きなので、よくプラモデルを作る」と。

「お父さんと一緒に色を塗るんだけど、お父さんが塗ると、つやつやでキレイな色で塗れるけど、自分が塗るとうまく塗れないんだ」と言うんですよ。

「なんでうまく塗れないの?」と聞いたら、「使っている道具が違う」と。「お父さんのスプレーガンは高価なやつで、調整機構がいっぱいついていて、自分は安物を使わされている。調整機構がないから手で苦労しなきゃいけないんだ」と。「ぼかしがどうだ」とか「つやが……」とか「塗装の肌がどうだ」とか小学校5年生がすごいマニアックなことを言うわけですよ。

これはすごいなと思って、その時に、たまたま(ポケットに)クッピーラムネが入っていたんですね。それで、これをやると。「これはきびだんごだ」と。「世の中にはでっかい会社がいっぱいある」と。そのでっかい会社がおっちゃんの業界を食い荒らしているんだと。

「俺と一緒に多店舗化して、会社をM&Aして、でかいのを作るから、鬼退治しような」と言って渡してたんですよ。それを覚えていてくれて、3ヶ月後に私があげたクッピーラムネの3倍のラムネを返してくれたと。

私は「すごい」と感動しました。もう2つの点で感動した。1つがこのクルマ離れの時代に車が好きな子供はめちゃくちゃ希少ってこと。

もう1つが、将来雇ってくれるかもしれない会社の社長に贈り物をするというこの処世術!(笑)。小学校5年にしながらすごいと思いまして、この人材を逃しちゃいかんということで、2日後に内定通知を出したと。

(会場笑)

「これは絶対採れ」と言って、内定通知を出した。ただし、「平成35年に採用だぞ」と。「条件が3つあって、3つの条件を破ったら、内定取り消しだぞ」と。

「お父さん、お母さんの言うことを聞け」「勉強もしなきゃいけないけど、遊べよ」と。それから3つ目、「車が好きでいてね」という3つの点を約束しろということで、内定通知を出して、内定式をやったわけです。

もう超青田刈りですよ。私、経団連とか入ってませんからね。誰にでも内定を出す。青田買い。

(会場笑)

この時が小学校5年生で、お父さんもお母さんも大喜びで、「息子が内定もらった」と言って、職場で自慢しておられたんですが、この子が今どんどん大きくなっています。

半年に一度の感謝祭イベントにずっと参加してくれてるんですが、2014年の春夏モデルはこんな感じで、どうですか? ちょっと大きくなって、中学校2年生なったんですね。

秋冬モデルはこんな感じです。やはりちょっとしゅっとして、大人になってきているんですね。

2015年はどうかということなんですが、実は2015年から欠席。感謝祭に来てくれないと。今、思春期に入っていまして、お母さんが「社長さんよ」と言うと、「うるせー、クソババア」ぐらいの感じに睨んじゃっているんですよね。地方の男の子いいでしょ。こういう子を将来ね。

思春期ってやはり心のバネだから、伸びたり縮んだりしながら精神が育成されて、高校を卒業したらぜひ入ってきてほしいなと。

今から入る人たちは漏れなく社長になれるチャンスがあるわけですからね。こんなありがたい話はないですよ。

日本の国全体で2人が1人のお年寄りを面倒を見るのと同じで、会社も一緒なんですよ。会社も面倒を見る人がいない。だから一緒にやっていきましょうということで、この彼にも今呼びかけております。

非常に短い時間ではございましたが、ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

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