2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:ターゲットメディア株式会社
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鍵山仁氏:続きまして2つ目。興味・関心を深掘って、より多くのユーザーにアプローチする話をいたします。
興味・関心を用いたアプローチはビヘイビア・ターゲティングといわれていまして、例えばユーザーがYahoo! JAPANのなかで「自動車を検索しました」「自動車の広告を見ました」「自動車の広告をクリックしました」といったことをもとにユーザーの興味・関心の深さに応じてターゲティングする手法です。
こういったユーザーの行動が深くなればなるほど、この興味・関心のカテゴリーがより細かくなる。このユーザーははじめ自動車に興味があったんだけれども、最終的にはこういう車種タイプに興味があるというところまでわかります。
これが約2,000種類あります。より生活に密着したもの、お仕事に密着したもの、趣味に密着したもの、いろんな興味関心、2,000じゃ足りないかもしれないんですけど、わりと多い方だと思います。
そしてYahoo! JAPANのサービスは全部1つの会社のドメインでやっているので、より効果の高い興味・関心のターゲティングができるようになっています。データの質が高いことになります。
(スライドを指して)これ、お肉です。みなさんもうごはん食べましたよね。焼肉が好きな人、ちょっと手挙げていただいてもよろしいですか? しゃぶしゃぶか焼肉かでいったら焼肉、という人。
(会場挙手)
しゃぶしゃぶが好きな人いらっしゃいます?
(会場挙手)
だいたい半々くらいかな。それがみなさんの興味・関心なのですが、このお肉をテーマにお話ししていきたいと思います。
お肉を販売しているお客様がいらっしゃいました。みなさんにお肉を売りたいので、焼肉に興味を持っている人としゃぶしゃぶに興味を持っている人に対して、「広告によってコミュニケーションをしたらいいんじゃないかな?」と思ったわけです。今さっき私がみなさんに聞いた上で、決めるならまだしも、そんなことはできないので、この決め方は、勘ですよね、完全に。
そうして勘で、「焼肉」「しゃぶしゃぶ」に興味関心を持つユーザーに対してキャンペーンプロモーション、つまり広告配信を始めるわけなんですけれども、この図の右側にあるようにコンバージョン(CV)が、「焼肉」ターゲティングより、「しゃぶしゃぶ」ターゲティングのほうが効率がいいとわかってきます。
これで見るとちょっと「しゃぶしゃぶ」のほうが「焼肉」よりもCV数の割合が高いですよね。
これは、効率の高いところに予算を寄せていくことなので、広告配信においては、普通にやっていることです。
ただしこのコンバージョンは、キャンペーンが始まってから集めていたコンバージョンデータで、結局そこからどのターゲティングの効率がよかったかを逆引きをしても、そもそものコンバージョン数が少ないんですよ。もっとたくさんお肉を売りたいのに、効率が悪いから「しゃぶしゃぶ」好きにしかプロモーションできないという結果になっていくわけです。「もっと肉好きはいないのか!?」という課題です。
では、またお客様のデータを中心にこれを説明していきます。
Yahoo!タグマネージャーからコンバージョンデータをYahoo! DMPに蓄積します。コンバージョンデータは先ほど言っていた個別のキャンペーンのコンバージョンではなく、オーガニックのコンバージョンも含まれます。オーガニック検索からのコンバージョンデータもありますので、このお客様のすべてのコンバージョンデータです。
すべてのコンバージョンデータから、Yahoo! JAPANの興味・関心ターゲティング2,000種類でそれを逆引きしていきます。
図でいうと、すべてのコンバージョンデータの上に先ほどの、「焼肉」と「しゃぶしゃぶ」以外にも、「鍋」、「ステーキ」、「ロールキャベツ」が出てきました。特に「ロールキャベツ」は思いもよらなかったと思います。これらは、データをYahoo! DMPに蓄積しているからこそ、プロモーションを実施する前に知ることができるのです。
コンバージョンの中身を見てみたときに、そこに対する興味関心の含有率が大きいものはなにかがわかるので、ロールキャベツ、ステーキ、鍋、こういったものに興味を持っている人がいて、過去にお肉を実際に買っていたこともわかりますので、このような興味関心ユーザーに広告を配信していきます。もちろん効率の悪そうな焼肉を除外し、過去のコンバージョンも除外して、効率の良い新規のユーザー層にだけキャンペーンを打つことができるのです。
流出・検索のお話をしたときの図と同じような見た目なのですが、興味・関心を持っているユーザーが横軸。縦軸がお客様のコンバージョンデータですね。これに対して焼肉が0.03パーセント。30万人の焼肉に興味を持っているYahoo! JAPANのユーザーに対して配信しても、これくらいの割合でしかコンバージョンしないことが事前にわかるわけです。
事前にわかるのであれば「もうこれやめましょうよ」という話だと思います。こんなにユーザーが多いとコストだけかかってしまうので。「しゃぶしゃぶが大きいから打ちましょうよ」という話になりますし、鍋やステーキも出てきて、ロールキャベツも出てきました。ロールキャベツなんか、0.1パーセントで非常に高い含有率なので、焼肉より3倍の効果を出せるかもしれないことが事前にわかるんです。
で、ここ(図の薄いグレーの部分)ですね。ここは、肉屋さんが知らなかったお肉の価値を発見できたわけです。「じゃあここに広告のプロモーションをしましょうよ」と、ロジカルな話になります。
もともとDMPを使わなければしゃぶしゃぶと焼肉でしかプロモーションがされていなくて、最後はしゃぶしゃぶに絞られました。ステーキや鍋、ロールキャベツに興味を持っている人たちに対してお肉が売れるとわかったので、量を担保して、しかも質を高めるという話です。
ロールキャベツに興味があることがDMPでわかったので、ロールキャベツを当てていく施策のプランニングをしていくことになります。これが配信前に「興味・関心を深堀る」ということです。
3つ目は、行動を「精緻に」予測して、ターゲットユーザーを獲得する話です。機会学習の応用技術で、私たちは行動予測と呼んでいます。これからなにが起きるかを予測して、その人に対してコミュニケーションする手法です。
よく、ターゲティングユーザーを増やすために、「拡張」と言っている方がいらっしゃると思うのですが、「拡張」には、属性が似た人に拡張するのか、行動を予測した拡張なのかを明確にすべきです。
より多くのコンバージョンデータがあれば、そのコンバージョン行動を説明しているYahoo! JAPANの中での行動はなんなのか、機械学習を活用してビッグデータを分析して「行動のモデル」を作ります。お客様個別の行動のテンプレートみたいなものだと考えてください。
その行動のテンプレートから、同じような行動をしている人たちを探しだして広告を打っていくんですけれども、これに対しても、膨大な量の行動データを利用しています。先ほどの話で、興味・関心や流出、検索がありましたが、それらも含めてYahoo! JAPANのサービスから得られる行動データから探しにいきます。
実はこのようなターゲティングも、もうすでに結構行っていて、リターゲティングと同じくらい効果があがっています。
これが「行動予測」なのですが、ちょっと話を変えて説明しますと、「今日みなさんどういう目的で来られたか」に少し興味があって、というのも、このセミナーの参加応募Webページでは「未来への話」とテーマに書いてあったので(笑)。
「俺、未来への話聞きにきたんだけどな」と思っている方もいらっしゃるかもしれないですし、「とりあえずお昼にヤフーのセッションしかないから聞いておこう」という人もいらっしゃるでしょうし、「明日使えるかもしれない」と思っている方もいらっしゃると思います。
ここに来られたみなさんにもいろいろな目的があるわけですね。でもみなさん、Webサイトで「セミナーに行く」という登録コンバージョンをしたわけです。でもそれぞれのコンバージョンは違うわけですよね。なので、もともとそのコンバージョン行動データは1つではなく、複数のコンバージョンに分けられるのです。かたちが違うんです。
「どんな商品を買ったんだっけ」「なんの目的でその商品を買ったんだっけ」「誰が買ったんだっけ」などいろいろな種類があります。
予測モデルを作るときのコンバージョンデータを、私たちは「種」と呼んでおり、行動予測は、コンバージョンデータを種にしてYahoo! JAPANのデータで探しに行っていますが、それをさらにグレードアップさせています。その例がこちらです。
広告主様に旅行会社様がいらっしゃいます。海外旅行の予約のコンバージョンデータを使った行動予測をやっています。(スライドを指して)これがコンバージョンデータに対して、拡張したものです。
つまり海外旅行に行きそうな人でセグメントができます。そこに対してバナーを打てるわけですね。「ハワイのリゾートです」と。
でも実は、その拡張のために使ったコンバージョンデータは、「ハワイのリゾートに行った」コンバージョンもあれば、「ヨーロッパの旅に行った」コンバージョンデータもありました。
ヨーロッパへ旅行したコンバージョンを説明している行動、例えばヨーロッパの地図を見るなどの行動をしている人に対して拡張し、同じような行動をしている人たちにハワイのクリエイティブを当てても、「別にハワイ行きたくないし」と、質が低下するわけです。
なので、ハワイリゾートのコンバージョン、ヨーロッパの旅というコンバージョンをあらかじめ区別して、コンバージョンデータとしてYahoo! DMPに蓄積していただいています。
コンバージョンを「精緻化する」と私たちは呼んでおり、これ(グレーの円)はそういった精緻化をせずにやった場合の円。膨らませた、先ほどのボリュームのユーザーに対して、少し小さくなっています。
ハワイリゾートに行こうとこれから考えている人は赤い円。でもこの円がはみ出したところにも、実はユーザーがいたことがわかりますので、ハワイ旅行をしているユーザーに対してはハワイのクリエイティブを当てますし、ヨーロッパ旅行のコンバージョンをしたユーザーに対しては、ヨーロッパの旅を当てることになるわけです。
さらにこの人たちはヨーロッパのどこへ行くかとなるのですが、細かく区切りすぎるとデータが蓄積するまでに時間がかかりますので、そこを鑑みながらコンバージョンを区別し、精緻化していくことが非常に重要です。
これで量を担保しました。区切れば区切るほど量が少なくなりますが、区切ったものに対してそれぞれ拡張させれば量は多くなる。そして質を高めていくわけです。
これはある健康食品を扱う広告主様で、配信ボリュームが増えてCPAが改善した事例です。コンバージョンデータを性別や年齢で分け、蓄積し、それぞれ拡張させた例になります。
次は不動産の広告主様の事例で、以前は超ダイレクトレスポンスでリターゲティングしかやっていませんでした。
リターゲティングしかやっていなかったので、知らないお客さんに対してどうアプローチすればいいのかわからない、でもコストはあまりかけたくないとのことでした。先ほどのようなアプローチで提案させていただいて、都度レポートを出しながら配信をしていきました。
興味・関心、競合流出、行動予測、これらを掛け合わせ、広告主様のユーザーの特徴をコンバージョンデータから取り、それでセグメントを作って、もちろん重複なども全部排除して、配信をしながらチューニングにかけていった結果、CPAも30パーセント改善して、獲得数1.5倍、ご出稿額も増えています。
この広告主様は私たちのアプローチやデータに対して価値を感じていただいていると私たちは思っています。
本日の題材の3つのポイントとして、広告主様が持つ顧客のデータをYahoo! DMPで分析していただいて、それをベースに物事を考えていくこと。
それで、誰を振り向かせたいのかが大事です。そのためのコストがいくらなのかをちゃんと判断していただく。かわいい子を振り向かせたいときには、やっぱりいいレストラン行かないとだめじゃないですか。それと同じ話だと思っています。
あとは狙いを明確にし、決してぶれない施策の方針を立てることです。結局、1週間2週間経っても獲得できなくて、リターゲティングにまた寄せようとなりやすいので、ここはぜひ踏ん張って、長期的な目線でデータに向き合っていただきたいなと思っております。必ず結果は出てくると思います。
私は今後のデータ戦略をこう考えています。
近い将来、ミッションとしてより多くのユーザーが、より多くの企業様と適切に出会うかたちを作るための支援をしていきたい。そのためのプラットフォームを作っていきたいと思っています。
データの種類や量をより拡充し、データを強化していくことは、これからも継続していきます。みなさんにご活用いただけるくらいまでプロダクトを強化していき、そうなった時に、先ほどのようなインサイト機能を提供して、それを応用していただけるようになればと思います。
それと、デジタルマーケティングの領域をさらに広げていくことと、機械学習をさらに活用していこうと考えております。
いろいろニュースを見ていると、アドテクが進化しすぎて「ようわからん!」っていう話があるじゃないですか。
でも「大事なことはどういうメッセージを伝えるか」という点だけは絶対に変わりません。もちろん、今後は機械がそれをやることもあるかもしれませんが、まだそういう時代ではないので、どういうメッセージを誰に伝えるのかを、みなさんにしっかり考えていただきたいと思います。
そうしないと結局、人の心に刺さらないことになるので、エモーショナルに訴えかけるために、相手のことを知ることがまず重要だと思っています。
相手が1人ならその相手とたくさん話せばわかるのですが、実際はたくさんいます。みんながなにを考えているかは、データをYahoo! DMPで分析すればわかります。データを分析して、「あ、そうなんだ!」とわかった上で、しっかりメッセージを考えていただきたいと思っております。
セッションは以上になります。これからもデータを活用し、みなさんのご支援ができるようにできたらと思っております。
ご清聴どうもありがとうございました。
(会場拍手)
ターゲットメディア株式会社
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