Facebookのミッション
Facebook社員・チャールズ氏(以下、チャールズ):では、次はフロリダから来てくれたブランドンです。ブランドン、どうぞ。
ブランドン:こんにちは。選んでくれてありがとう。では、SMSテキストに代わることのできるWhatsAppやFacebookメッセンジャーアプリを使いながら、Wi-Fiドローンを利用した新しい超低コストなWi-Fi電話端末プラットフォームを作り、Facebookはモバイル産業にとってかわるつもりはありますか?
マーク・ザッカーバーグ氏(以下、マーク):わかりました。ありがとう。ええ、いろいろ入ってますね。私たちがやっているいろんなことに詳しいですね。Wi-Fi電話や無料通話は確かに私たちが力を入れていることです。
ちょっと前に、私たちのミッションはどうやって世界の人々をつなげる手助けをするかだということについてお話をしました。世界には、今日でもインターネットアクセスを持っていない人がたくさんいます。私たちがFacebookを始めたとき、会社の内部にいる人間は、おそらく8年前からこのゴールを持っていました。
当時、たぶん約2500万人の人々が私たちのコミュニティにいたと思います。そして人々は「わあ、きっといつか10億人の人がつながるぞ」と話し始めていたんです。そして「いや、それは無茶だよ。10億人なんてつなげられないよ」だとか「それは多すぎるよ」という感じだったんです。それから、私たちは取り組み続け、ついにその目標に達したのです。
でも、インターネットを持っている人が10億人いるから、今日では10億人の人々をつなげることは可能なのです。約25億人、27億人のインターネットを持っている人がいて、でも他の45億人の人たちはインターネットを持っていないのです。
Facebookは今日では多くの人が利用しているという意味で最も大きなインターネットサービスです。ですから、人々がインターネットを使って学んだり、仕事や健康についての情報を探したり、コミュニケーションをとったり、楽しんだり、好きなことを何でもできるように、私たちはインターネットとそれにまつわる美点を広げていく社会的な責任を持っているように感じています。
すべての人がインターネットを気軽に使える環境に
マーク:だから、私たちは多大な努力をしています。internet.orgと呼んでいるようなものや組み合わせたようなもの、それはこの産業のたくさんの他の技術会社と一緒に取り組んでいるパートナーシップですが、ひとつの会社で世界全体をつながる手伝いをすることはできないのです。
それに関連するたくさんの様々な会社が出てくるでしょう。そして、私たちはそれを根底から変えようとしていて、そうなるようにパートナーシップを作ろうとしているのです。しかし、それが起こるようにするために様々なたくさんのチャレンジがあります。
ですから、ひとつには何のネットワークもないところに住んでいる人たちがたくさんいるということです。たとえあなたが電話を買ったとしても、つないだり買ったりすることのできるネットワークがなかったら、電話は持っていてネットワークを手にするためのお金もあるのに。だから私たちがやろうとしていることの一部は、そういった場所に行ってインターネットを送るような衛星や太陽光飛行機についての調査です。
それはすばらしくて今まで見たこともないようなもので、ものすごくわくわくします。私たちはエンジニアで、それに取り組むのが大好きです。それが私たちが未来のためにやろうとしていることの一部です。
それはインターネットに到達するという意味では、実際には最も大きな問題ではありません。大部分の人々、およそ85パーセントの人々は、インターネットアクセスを持っていなかったとしても、ネットワークの領域の中に住んでいて、それに対する金銭的な余裕がないという経済的な問題が最も大きな傾向です。
だから私たちはインターネットを使うのをもっと安く、もっと効果的にする必要があるのです。そうしなければ彼らはインターネットとともに成長することができません。もしも彼らがインターネットを持つ機会があり、それにお金を払ったら、多くの人たちは「自分はこれで何ができるだろうか」と問いかけるはずです。そしてそれはインターネットを受け入れた人々にインターネットの価値を示す、教育的な挑戦になるでしょう。
だから、私たちはインターネットを広げることを促進しようとするあらゆる異なった挑戦に取り組んでいます。
先ほど行ったように最良のメーッセージサービスの構築にも取り組んでいますし、人々が無料通話をできるようにするために必死の取り組みをしています。すばらしいサービスになるであろうWi-Fi携帯電話を使うことについても考えていますし、特にインターネットを使う余裕がほとんどないような人たちのために、彼らが無料通話を使えるようにするのはものすごいことですよ。
これが私たちがやろうとしていることのいくつかです。そして、とてもわくわくするようなことですね。目的を到達するには、長い時間を要するでしょう。一番良いケースは今から10年で返ってくるでしょう。そして、世界のみんなをつなごうとする取り組みにいくらかの発展をもたらすでしょう。しかし、これは1年や2年で達成できるような類のものではないのです。ここでは私たちの最良の人材たちがその長期的な展望に取り組み、その取り掛かりを作ろうとしています。
Facebookに「かっこよさ」は必要ない
チャールズ:それでは、最後のゲストです。スレッドより、マニッシュ。
マニッシュ:こんにちは、マーク。フリーモントから来ましたマニッシュです。まず、世界の誰とでもつながることのできるプラットホームを作ってくれてありがとうございます。それから、教育や移民、エボラのような社会的な問題についてのサポートにも感謝しています。
私の質問は2つのパートがあります。Facebookは魅力が減っていて退屈になっていると思いますか? だって、主として写真やビデオをシェアするサイトになってきていますから。毎日とても多くの写真が保存されていると思います。おそらく、4億近く。それはFacebookのテクノロジープラットホームの障害にもなるのではないでしょうか。これにはジェイが答えられると思います。
(会場笑)
2つ目の質問は、情報がたくさんありすぎて、情報過多になっていると思いますか。Facebookに24時間触れなかったら、自分のフィードをよく見なければならなくて、45分くらいかかります。多すぎて、つまり人々をフォローし始めたら、良いネットワークや友人がいたら、それを好きになり始めて、そこにはとてとたくさんの情報があります。だから私たちはニュースフィードをコントロールすることができたら、減速させたり、何かできるのではないでしょうか。以上です。
マーク:ああ、ありがとう。どちらも良い質問ですね。ひとつ目の質問はたくさんの人がする質問なのですが、それに入る前に、ジェイが頭を「ノー」と振っているのが見えたことをお伝えしておきます(笑)。写真は私たちの基盤において重荷ではありません。彼が意図としていたのは、写真が重荷だということだと思うのですが。
つまり、ジェイのチームが取り組んでいるデザインや世界中のデータセンターの運用はとてもクールなものです。だから、マニッシュの最初の質問は、みんながことあるごとに聞くような「Facebookはカッコ悪くなっていませんか」ということですよね? ええと、あなたは「Facebookは魅力が減っていませんか?」という言い方だったと思いますが。
私のゴールはFacebookをかっこよくすることではないのですから、その質問は面白いです。私はかっこいい人間ではないですし、本当にかっこよくなろうとしたこともないのです。私たちのFacebookモデルは使うのが特別わくわくするようにしたいと思ったこともないのです。Facebookが役立つようにしたいだけなのです。
私たちが世界でこうなりたいと熱望するサービスは、みんなが頼る基礎的なもので、そこにあって、もしなくなってしまったらみんなが焦るような、でも、1日中ありがたがって座っているようなものでもないのです。家に帰ったら、灯りをつけるでしょう? でも、「やったー、電気だ! イエーイ!」とはならないですよね。ただ、ちゃんと動く必要があるのです。
水だとか、そのような多くのものについても同じです。私のゴールはコミュニケーションをして、人々をつなぐような能力はそうあるべきです。人々が頼るようなことができて、みんながもっているものです。いつも目前にあるものではあるということは、「イエーイ、私たちはここにいるぞ! 私たちは電気だ! だとか、私たちはソーシャルネットワークだ!」とあろうとするみたいなことです。それはただ動けば良いのです、そうでしょう? そこにあるべきです。
Facebookのコンテンツの多くはビデオになる
マーク:私たちは実際、私たちが継続的に取り組んでいる変化がたくさんあります。でも、それらを自然にしようと努めています。間違っていたり、仕事があるべき状態よりもスムーズにいかなかったりしたときに人々は気がつくのです。例えば、メッセンジャーについての最初の質問ですが、私たちが新しいアプリをインストールするようにお願いするということに多くの人々が動揺するという問題につながる理由のひとつはそれです。
たぶん、私たちはトランジションという観点で、私たちができるよりもそれをスムーズに扱うことができないのです。しかし、私たちの作る、とてもスムーズなトランジションはたくさんあります。例えば、あなたはFacebookのほとんどが写真であると話していました。それはそうですね。
5年前、Facebookのほとんどは文章でした。もし5年間を早送りしたら、たぶんそのほとんどはビデオになるでしょう。人生の一瞬を捉えて、教諭するのにビデオはより簡単な方法です。そしてそれはジェイにとってより技術的な挑戦になるでしょうし、そのストリームを扱うというのはね。
しかし、私たちはそれをやるでしょう。世界のトレンドが進むにつれ、テキストのような統計的なものや、ビデオのような豊富な形式のコンテンツを共有したりしながら、私たちはそこにいたいし、みんながそれを気づかないようにして5年後にはあなたのFacebookにある多くのコンテンツはビデオになってます。そして、あなたは「ああ、これつまらない」と言うんです。これはそうあるべきなのです。
別の例は携帯電話です。数年前、ほとんどの人はFacebookをPCで使っていたと思います。しかし今は多くの人がモバイルデバイスを使っています。そのためモバイルアプリケーションをもっと高速化しようとしています。まだまだ私たちが考える100%には至っていないというのが実情です。ここ数年集中して開発を行ったことで、Facebookのモバイルアプリはかなり高速になり改善されました。
スピードというのは、信頼性を考える上で重要な観点です。ただそこにサービスがあって、スムーズに動作する。ある種のインフラとしてFacebookを考える上で、モバイルアプリは重要です。
ニュースフィードのランキング分けについて
マーク:もうひとつの質問は、情報過多についてでしたね。これは多くの人が気にしているであろう別の質問に繋がります。その質問とは、ニュースフィードのランキングについてです。論理的な別の秩序を作ることはできないのか、とよく聞かれます。
ユーザーの元には、毎日1,500件の投稿がシェアされてきます。しかしひとりが見ている投稿の数は100程度です。私たちがやろうとしていることは、8%から10%のランダムな投稿を見てもらうことではなく、同じ数の最も重要な投稿を見てもらうことです。例えば友人に赤ちゃんが生まれて、その子が元気であるという情報は、みんなが知りたいと思います。ユーザーが知りたい情報を得られるようにしたいのです。
今ニュースフィードチームが取り組んでいるのはこうしたことです。個人レベルで人々がどんなコンテンツに注目しているのかを明らかにしています。コンテンツについても同様です。写真よりもニュースの方が見られているのなら、ニュースをもっと表示するようにしたい。もしあなたがビデオを見るのが好きなら、ビデオをもっと表示したい。友達の近況のほうが知りたいなら、そちらを表示するようにする。それぞれに最適化されたニュースフィードが表示されるようにしたいのです。
私たちは、ユーザーがもっとプロダクトをコントロールできるようにしたいと考えています。それぞれがニュースフィードを調整して、もっとこれが欲しい、こっちが欲しい、といった要望を反映することを可能にしていきたい。こういった要望が多く寄せられているため、私たちとしても出来る限り応えていきたいと思っています。
マニッシュ:友人やあなたのような有名人を選択することで、その人の投稿だけが流れるようにするフィルタリングなどは検討していないのでしょうか?
マーク:検討しています。実際に似た機能は今も実装されていますが、もう少し時間をかけてブラッシュアップしていきたいですね。