チャンスは自ら作り出す
小野:さあちょうど時間も迫ってきたところで、皆さん忘れてるかもしれませんが、今日のテーマ「挑戦する人生」にふさわしいテーマの答えで締めくくりたいと思います。
「チャンスを逃さないために心がけていること」という話、メッセージも含めて一言ずつ締めとして平尾さんから順番に、質問に答えていただければと思います。
平尾:チャンスって意外と人生そんなにこないなっていうのは、皆さんよりもちょうど10個ぐらい上の自分から見てもそう思います。なので、チャンスに気付くかどうかっていうのはもちろんあるんですけれども「どうやったらチャンスを作れるのか」っていうのを自分はよく考えてたりしてます。
前職で「自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ」っていう素晴らしい社訓がありましたが、常に自分がそれを作っていくためにはどうしたほうがいいのか、みたいなことを考えています。
小澤さんのお風呂っていうのはすごい共感しまして「馬上、枕上、厠上」っていう、物事が浮かんできやすいタイミングを表す故事成語があるんですね。「馬上」は移動中です。「枕上」は枕の上、寝る前ですね。
「厠上」は大きい方をする方ですね、厠でございます。日々そういった時に振り返ることを繰り返しやっているのが今のところいいんじゃないかなと思ってます。
生まれ変わっても起業家をやりたい
自分は今32歳で、今日は一番若造で下っ端でございますが、この前ちょうどソニーを経営されていた出井さんに、じげんにいらしていただきました。
めちゃめちゃ威厳と貫禄があってですね、今のお年をお尋ねしたところ77歳でございまして。「何歳まで起業家、経営者であられるんですか?」とお聞きしたところ、これまでの革命というのは、パソコンが出て50年。
インターネットが出て25年。どんどん短くなってきていると。短くなっていながらも、時間軸が半分になってきているから、25年の半分だと次は12.5年以内でインターネットがコモディティ化して、次に何が起こるかっていうのをぜひ自分で体現したいとおっしゃっていました。足してください。
77歳プラス12.5年だから90歳ですね。これを見てカッコいいなと思いました。自分は本も書けないし、まだまだ有名でもなんでもないんですが、やっぱりいくつになっても起業家でいたいという形で挑戦していきたいなと思っています。
今、32歳で起業は3回目です。本当に生きてる間は起業家でいたいですし。生まれ変わっても起業家で挑戦していきたいなと。それで世の中を変えていけたら幸せだなと思います。ありがとうございました。
(会場拍手)
小野:ありがとうございます。続きまして勝屋さん、お願いいたします。
勝屋:たぶん皆さんは受験勉強していい大学入って、思考をすごい使ってきてたと思うんですけど、僕は考えていろいろチャンスを掴もうと思ったのは……。
過去この52年、あんまりいいチャンスって恵まれなかったんですけど、やっぱりご縁とか感覚的ですね。考えるよりも思考よりも、感性を研ぎ澄ますというか、というところでチャンスがいっぱい、ご縁もそうなんですけど。
なんかもうあんまりみんな勉強しないほうがよくてバカになったほうがいいかなと。アホになっちゃったほうが、チャンスっていうのが自分の心とつながって捕らえやすくなるかなって思います。以上です。
(会場拍手)
「誰が言っているか」で情報の価値は変わる
小野:ありがとうございます。はい、真田さん。
真田:チャンスを逃さない、チャンスを掴むために必要なのは、3つです。まず1つ目は、基礎体力・基礎能力を普段から高めておくこと。例えばサッカーでいいパスがパーっと出てきた、スルーパスでスーッとパスが出てきたと。それに追いつく足の早さと、追いついて正確に枠の中に蹴るキック力、これがあって初めて点が取れるわけですよね。
これ、足が遅くて、蹴ってもボールをボーンと浮かしちゃったら点が入らないですね。だから普段から基礎体力・基礎能力、いわゆる地力をつけておくっていうことがまず大前提。
これがなければいくらチャンスに遭遇しても生かせないですね。これがまず1つ目。で、2つ目、チャンスの見つけ方ですけど、今の時代、インターネットがあって、新聞とかいろいろメディアがあって、情報はあふれ返ってるわけです。
だから「チャンスがきている」っていうことは皆に等しくわかるんですけど、でもほとんどの人が気付かなくて、気付いたごくわずかな人が成功をつかむわけじゃないですか。
気付いた人だけにその情報が見えてたかっていったら、それは公にすごい出回ってる情報なんです。じゃあどうやったら気付けるんだ? すごい簡単な方法があります。情報はメディアから取るんじゃなくて、人から取るものです。
今インターネットの会社って、皆六本木か渋谷に集まってるんです。インターネットに関する情報なんてメディアでいくらでも集まるんです。でもなんで渋谷か六本木なんだっていうと、結局肝心な情報は人と人を介してFace to Faceで伝わる。
決してメディアでは伝わらない。だからチャンスの情報なんていっぱい流れてますけど、結局は人と会って人から聞くのが一番チャンスに気付けます。だから一番簡単な方法は、このへんの人(登壇者)に会って話を聞くと、チャンスの情報はわかります。
僕はよく「人間フィルター」という言葉を使ってるんですけど、情報の価値って誰が言ってるかによって価値が全然違って、フィルター力の高い人を通った情報はものすごい価値が高いんです。
これがチャンスだっていう情報を発見するために一番いい方法は、人から聞く情報なんですけど、どんな人でもいいのかと言うと、価値が低いフィルターもあれば価値が高いフィルターもあるので、価値が高い人のフィルターを通った情報、これがチャンスを見つける一番の近道です。
そして3つ目は、とにかく即行動すること。これがもう一番です。例えば今KLabっていう会社はゲームを作ってるんですけど、5年前に「アメリカでソーシャルゲームが流行ってるらしい」という情報が、そんなのインターネットの記事でいくらでも出てるんです。
その時に気付いた人はいっぱいいるんですけど、次はじゃあ行動ですよ。それで即「アメリカに現地見に行こうよ」って言って、現地見に行って、アメリカでソーシャルゲームなるものを作ってる人たちにどんどん会っていく。
これね、理論とかじゃなくて、やっぱり現地でやってる人に会わないとわからないんですよ。現地まですぐに飛んで会いに行って、会って話を聞いて、これは日本でもいけると。
やっぱりいくら気付いても、結局行動する人が最後はチャンスを掴む。行動しない人はチャンスを掴まない。この3つです。普段から基礎能力を高めておくこと、情報はフィルター力の高い人から情報を取ること、それから気付いたら即行動を起こすこと、この3点です。
(会場拍手)
インターネット黎明期は100年に1度のチャンスだった
小野:ありがとうございました。佐藤さん、お願いいたします。
佐藤:自分は今が事業始める時って、15年ぐらい前だったんですけどね、ちょうどインターネットの産業が日本でも猛烈に立ち上がってくる時期で、これって歴史的なできごとだなって思ったんですよ。
大きな時代の流れを見た時に、100年後とか200年後とかに「ここが転換点だったね」と思えるような変化の渦がグルグル巻いてるということを感じたんですね。その時に「これはチャンスだ」と。
たぶんあと100年は来ないと。つまり、俺はめちゃめちゃラッキーだと。100年に1度ぐらいの渦が起きるタイミングに、東京でたまたま仕事してると。これがアフリカの田舎でその時自分が24歳だったら、たぶんそのチャンスはなかったですね。ものすごいラッキーだと。
ここで動かない理由がないだろうと。というぐらい、世の中の変化の節目を感じたんです。それは今日、今この時点の皆さんにとってもあるはずです、必ず。今この時点が一番変化の節目なんだっていうビジネスにしても、それ以外のことにしても、変化の節目みたいなのがあるはずなんですよね。
それって、今日皆さんにお伝えできることで言うと「ちゃんと歴史を学ぶ」っていうことですね。人の営みっていうのは、そんなに本質的な動きは変わってないんですよね。
今我々がやっているような仕事も、たまたまインターネットが普及してこのタイミングでいろいろなビジネスが立ち上がっているということなんですけど、これは100年前だって1000年前だって何万年前だって、人の営みとか人がしてることっていうのは、そんなに本質的には変わっていない。
技術とかはどんどん革新していくんですけど、人間についてより深い理解をしていくこととか、その人間がしていることの集合体である歴史について、ちゃんと学ぶこと。
これが前提としてできていれば、今目の前で起きていることが「これはあの時代のこの人がしたことにわりと近いな」っていうことがピタッと線がつながるんですよね。
そうすると、どこが時代の節目なのか、つまり質問にあったようなチャンスが生まれてる渦の真ん中なのかっていうことに気付く感度が上がると思うんですよね。
なので、歴史をしっかり学ぶことと、人の営みについて深く洞察して、人間に対して興味を持つこと。目の前にいる誰かに対して興味を持って「この人はどんな人なのかな?」「なんでこう発言してるのかな?」ってとにかく目の前で起きていることについて、人間について深く洞察することができていれば、自然と感度が上がると思います。以上です。
(会場拍手)
チャンスに気付く力が大事
小野:ありがとうございました。では最後に小澤さん、よろしくお願いします。
小澤:「今日は皆さんに出会えて本当によかったです。これが僕にとってのチャンスです。ありがとう」……というわけでですね。
(会場笑)
小澤:皆さま方から素晴らしい話をいただきましたので。僕は真田さんの言ってることに共感するんだけど、最後、僕は具体的に何をやってきたか、どうやってチャンスをつかんできたかっていう話をしたいと思います。
要はなるべく普遍化して話していただいたことに対して、最後は具体事例で話します。まず僕たちがここに座ってるっていうことは、インターネットに早く、まさにチャンスだって気付いた人だと。
とにかく気付く力っていうのがまず1つはすごい重要です。「これチャンスだぜ」って。だって同じ時代に生きてた僕らと同い年の人たちはスルーしてて、僕らはチャンスだと感じた。能力や才能、これはあんまり差がないかもしれないけど、気付いてその後、会社作るなり何なりの行動をしている。
それで僕らはこっちに座って偉そうに「お前ら聞け」ってやってるわけですね。
劇団四季に入れず「買収してやろうかと思った」
小澤:で、あと2つだけ事例でお話をしましょう。僕、劇団四季に入りたいんです。
今でも入りたい。ライオンキングが大好きで。劇団四季に入るためのチャンスは何だって言ったら、オーディションなんですよ。
私ね、2006年の劇団四季の40周年記念オーディション、楽天の役員辞めて受けてるんですよ。チャンスをつかみたいから。書類で落ちたんだけどね。
(会場笑)
小澤:アクションしてるんですよ、ちゃんとね。オーディション受からないから、もう買収してやろうと思ってるんですけど……。
(会場笑)
小澤:まぁ虎視眈々と狙ってるわけですよ。で、劇団四季のオーディションに落ちて「これどうすっかなぁ……」と思ってNHKのニュースを見てたら「東京坊主コレクション」っていうイベントをやってたんですよ。
「東京ガールズコレクション」じゃなくて、東京「ボーイズ」でもなくて、東京「坊主」コレクション。お坊さんが7人手を合わせて「ヤー」とかやってるんですよ。
築地本願寺でなんかお坊さんがキャットウォークしながらお経を読むみたいな。「何だ、これ!?」と思って。これをすごいなって思ったら、とにかく本願寺に電話ですよ。
「すごいおもしろいじゃないですか!」って。当時楽天球団の取締役、楽天本体の役員を辞めて劇団四季浪人中。「私、プロ野球球団を作りまして黒字化をした人間ですけども「このイベントに何とか携わらせていただけないでしょうか!」って言って。
それで結局プロデューサー側に回って実際やったりとかもしました。とにかくテレビニュース見てるだけでも、代表電話でもかけていくということですよね。こういう活動をしてます、未だに。
プロ野球チームをやってね、東京坊主コレクションも盛況に終わりましたと。次、暇だなぁと。劇団四季のオーディションまでまだ1年あるし。で、プロ野球チームやって本当に楽しかった。本当にスポーツは素晴らしかった。
好きなことは金を払ってでもやったほうがいい
これ、次はねぇ……。やっぱりプロ野球どころか、スポーツの最高峰をやってみたいと思って「オリンピックを呼ぼう、東京にオリンピックを!」って思ったら、なんか都も呼ぶみたいな動きがあって。2006年ぐらいですよ。どうしようかなぁと思って。
オリンピックを呼ぼうと思ったらどうしますか? オリンピックの招致活動に関わりたいと思ったら、ほとんどの人は、わかんないけど招致委員会に入ろうとする。
招致委員会に「プロ野球チームで成功した小澤ですけど」って電話したらダメだった。ちくしょうと思ってどうしたかって言ったら、寄付し狂うんですよ、東京都にバンバン寄付する。結果的に個人で最も寄付した人間になって、そうすると「小澤様」ってなるんですよ。
(会場笑)
小澤:でも100万でいいんですよ。100万なんて軽自動車も買えないですよ? だからすごい金額ではない。でも、今から8年前の2006年~2007年のタイミングで東京都の招致委員会に100万円を寄付する人なんていないんですよ、1人も。
だから金の使い方っていうのはこういうことで。真田さんのおっしゃってることで好きなことを仕事にするっていうのがありますけど、僕は好きなことをするんだったら金払ってでもやったほうがいいと思うね。
逆に金を払ったほうができる。よく例え話で言うんですけど、ゴルフが好きで、ゴルフをやる。ゴルフで金稼げる人なんてたかが知れてて、ほとんどの人は金払ってゴルフをやってるわけだよね。
好きなことっていうのは、金払ってでもやったほうがいい。僕はオリンピックの招致活動、どうにかしてこのチャンスをつかみたいと思った時、やっぱりお金を払ったよね。みんなは払ってないけど、俺は払った。
招致委員会に「小澤様、なんでこんなに寄付してくれるんですか?」って聞かれて「オリンピックが呼びたいからです、大好きだからです」と。あなたたちがやれてないことを全部私が引き受けさせていただきます。お金は全部私が持ちます」ってね。
当時の2016年の招致活動は、最終的に僕は「チーフインターネットオフィサー」っていうさっぱりわからない肩書きをいただいて……。
(会場笑)
チャンスを見抜いてアクションを起こす
小澤:モバイルのサイトを僕が作ってたんですよ、ボランティアでね。その時、最終的にオリンピックの招致活動の資金がなくなって、最後のイベントができないと。
覚えてるかもしれないですけど、今回ロゲ会長が「Tokyo」ってやった時にワーッて各地でイベントやってましたけど、そのオフィシャルのイベントができないってなりまして。
「私がやりましょう」って言って、ヤフーの副社長の川邊っていうのと、大塚製薬の大塚君と、3人で東京タワーを借りきって。個人でですよ。イベント会場に仕上げて。
これ何もかも、関わりたいなぁと思ったら自分からアクションを起こしてる。たかだか100万ですよ、みんなでも出せる金額だよね? ここがチャンスだなと思った時の行動の仕方には、インパクトの出し方っていうのがあると。
こうやったらインパクトが出せるというのがある。東京坊主コレクションのニュースを見て、代表電話にかけてくる人はあんまりいないですよ。
僕は「楽天の役員辞めてまで劇団四季に入りたいんです」っていうセコい作文を書いてしまったけど、そこまでやれる人もなかなかいないと。まぁ書類で落ちてるんですけど。で、その先に買収まで考えてるんだと。こういうのがオフィシャルに載ったらマジで怒られると思いますけどね(笑)。
まぁただチャンスを見抜く力と、それに対してアクションを起こす、これを本当にちゃんとやれているかどうか。私は未だに代表電話にかけてます(笑)。
知らない人に話しかけることで何かがはじまる
なので、皆さま方は学生だから失うものもないと。失うものはないと言ったら言い方は悪いかもしれないけども、まだまだアクションができると。まだまだチャンスを敏感に嗅ぎ取る力は足りてないと思うけど、それをちゃんと見抜いた上でアクションをしてほしいと。
ただ、君たちあなたたちは本当に素晴らしい。それはなぜなら、今日ここに来てるからね。家で寝てることも、友だちと遊んでることもできたかもしれない。でも頑張ってここに来た。
で、横の知らない人とひょっとしたら話したかもしれない。話した人が偉い。人との出会いっていうのはすごい。横に座ったらとにかく話しかける、そこから何かが生まれると。そりゃあ電車で横に座った人に話しかけたら変かもしれないけど。「いやぁ、どちらまで?」って、こりゃ変だ(笑)。
(会場笑)
小澤:でも今日はいいじゃないか、だって同じ志を持って座ってるんだから。これからパーティーがある。いつもの友だちと3人で話して「なんか今日の話おもしろかったよね」っていう人と「いやぁなんだか、もう、ワァー!」って興奮しながら、もう見知らぬ人に興奮し狂って「アッハッハー!」っていろんな人と話しちゃうやつは大きな差が出る。
とにかく人に会って、変な雰囲気じゃないんだったら話しかけろ。ただ電車の中はやめろ(笑)。全部チャンスだと。見知らぬ人がいて、話しかけることがOKだったら、それはチャンスだと。チャンスはいくらでもある。行動を起こせ。以上、現場からお届けしました。
(会場拍手)
小野:ありがとうございました! 以上、ちょっと時間は過ぎましたけれども、最終セッションを終わらせていただきたいと思います。
最後に、今日の話は良かったという方はぜひ行動に移していただいて、ぜひ立ってスタンディングオベーションで拍手をお願いいたします。今日は本当に素晴らしいパネリストの皆さま、ありがとうございました!
(会場拍手)