「性戯の味方」水嶋かおりん参上!

水嶋かおりん氏(以下、かおりん):皆さん、お忙しいところありがとうございます。性別の性に戯れると書きまして「性戯の味方」で十数年、人生の半分以上を風俗業界あるいは売春をやって生きております水嶋かおりんです。よろしくお願いします。

今日は本の出版記念イベントを、急遽ロフトさんのほうからお声がけいただいて、半月ぐらいの告知期間だったんですけれども、こんなに大勢の方にお集まりいただいてありがとうございます。

今日のイベントは本のことについてもそうなんですけれども、普段はなかなか風俗業界のほうで活躍されている方やお店を運営されている方、あるいはお客さんは面識を持つ機会がないんじゃないかなと思いまして、風俗イベント的な感じで開催させていただきます。

私自身は今日のお話の進行に従事していくんですけれども、実際にもうちょっと業界の話なんかも踏まえながら、本の中に書いてあることは結構堅い話が多かったりもするんですが、もうちょっと砕けたざっくばらんなお話を皆さんと一緒に楽しくやっていけたらいいなと思いますので、よろしくお願いします。

実際に本を読んで来ちゃったよという方はどのぐらいいます? あ、結構いらっしゃる。わあ、うれしい。ありがとうございます。結構文体が堅いのと、字が小さいので私は老眼で読めませんとかツイッターであったんですけれども、読めました? 大丈夫でした? 感想とか後でもしよかったら聞かせていただければと思います。

私だけがペラペラしゃべっていくのも私自身が不安になってしまうので、今日の司会進行をやってくださる野ざらしマリーさんと、現役風俗嬢の月緒さんに参加していただいて、一緒にお話を進めていきたいと思います。それではお二方、よろしくお願いします。

(野ざらしマリー氏、月緒氏が入場)

ハプニングバーでミルクを頼むときは……?

かおりん:初めに皆さんと乾杯をしたいので飲み物を注文してください。ちなみにここの飲食代が今日の出演者さんのギャラになります。皆さん、よろしかったらご祝儀だと思ってご注文がんがんお願いします。前にいる方々におごりという形で注文をいただいても全然オーケーですので、もしよかったらご協力ください。……はい、何でしょう。

月緒氏(以下、月緒):杏酒サワー。

かおりん:あんじゅ酒シャワーを1個(笑)。緊張してるから舌がよく回らないんですよね。杏酒サワーでございます。お願いします。

野ざらしマリー氏(以下、マリー):じゃあ、生ビールお願いします。

かおりん:生ビールで。はい、生。生って聞くと、生でお願いします。

マリー:スーパーセックスだけど生でお願いします。

かおりん:スーパーセックスだけど生でお願いします。では私はミルクをお願いします。そうなんですよ。これハプニングバーで頼むときはオチンポミルクくださいって頼んでくださいね。ちょっといただけない話から始まってるんですけれども(笑)。

(会場笑)

いざ、開宴!

かおりん:実際に私の本を。ありがとうございます。この本を出版した経緯とかを徐々に盛り込みながらお話をしていくんですけれども、暗くするのは乾杯してからでいいですよ。ありがとうございます。

実際に2005年以降に風俗系の本は、毎年1人ぐらい何かしらエッセイ的なものを出している方がいらっしゃる。でも、全体についてや法律に触れる話、ビジネス的な話、あとは社会環境的な背景とか、そういうものに結構ぐわっと触れられたような本があまりなくて、私自身もあまりわからなかった。

ここ3、4年ぐらいいろいろ勉強する機会を自分なりに増やしてつくっていったというところがあるんですけど。実際にこの本をつくるきっかけも、「デパートメントH」という変態がいっぱい集まる、20年ぐらいやってる地下パーティーがあるんですが、そこで知り合いになった編集の方がきっかけで、これが出来上がって。

多分、本当に風俗をやらなかったら人生はこうなってないなと如実に表しているタイトルなんですけれども、今日はそういう話とかを盛り込みながらご一緒していただきたいと。

じゃあ、もしよかったら会場の皆様もお手にグラスを持っていただいて、乾杯をさせていただきたいと思います。それでは、『風俗で働いたら人生変わったwww』に乾杯!

一同:乾杯!

吉原で女の見せ方を学んだ

かおりん:なんかもう飲み方がエロいですね。

月緒:もうセクシー。もうセクシーですよ。

かおりん:(笑)。もうセクシー。なんかこのエロさをちゃんと私は吸収して今日は帰りますみたいなね。本の中にも、「媚びをちゃんと買わせてなんぼ」みたいなところも。

月緒:ありましたね。それすごく共感できて、私はやっぱり風俗嬢として働いたときに、自分がどう商品であるか、どう見せるか。そしたらやっぱり表の顔と裏の顔があってもいいんじゃないかってなって、見た目とかしぐさというのはすごく研究しましたね。

かおりん:そうですよね。私はやっぱり風俗の所作はソープのお姉さんに講習を受けたのがハタチのとき。ハタチになったから、「よし、吉原に行こう!」みたいな感じで入っていったのがきっかけで、お店さんから講習を受けた。

そのときにお姉さんの所作が非常にしなやかで、手つきとか振り返り方、あと股を見せずにお風呂に入るとかですね。開帳して相手に見せるとがさつだから、ちゃんとお尻を向けて「失礼します」みたいな感じの講習を受けたりとかすることで、女の見せ方ってすごいあるなと思って。

手こき専門店で左右の腕の太さが変わったワケ

マリー:かおりんさん、月緒さんの紹介を。

かおりん:そうですね。ソープの話に触れたので、月緒さんが実際にどんなお仕事をしているのかお伺いしたいんですけど。今は?

月緒:今は吉原のほうのソープで働いていてます。以前というのがさかのぼること20年ぐらい前、銀座から始まって。

かおりん:お口のサービス。

月緒:お口だけのサービスから始まって、イメクラ、ハコヘル、ビデオボックス、手こき専門店。

かおりん:手こき専門店に行ったんですね。

月緒:はい。いました。

かおりん:腱鞘炎にならなかったですか?

月緒:ならなかったんですけど、筋肉がすごくついて。

かおりん:そう。なる、なる。背中とか結構ごりごり。

月緒:左腕と右腕の太さがすごく変わってしまって。

マリー:手こき筋ってあるんですよね。

月緒:そう、テコ筋! これがもうついてしまって、職業病だと思いながらやりつつ、あとはSMクラブとかパーティー系、デリヘル。あとソープですね。

かおりん:結構いろんな種類のところをやっている感じで。

月緒:はい。やってきましたね。

経験をお金に還元したかった

かおりん:実際に結構顔出しをしてイベントでしゃべりができる人って業界に少ないんですよね。背景とかをあまり想像せずに、風俗やっていると結構マイナスイメージみたいになる部分で、わりと最近出始めた理由とかを、もしお伺いできれば。

月緒:今年でちょうど20年になるんです、風俗が。せっかく20年やってきたんだから、やってきた経験をお金に還元してもいいかな。

かおりん:経験オールね。今度は媚びを売るところか。経験オール。メモってくださいね。パーソナルブランディングをやり始めていこうと。

月緒:そしたら、やっぱり書くことよりもしゃべることのほうが最近ふえてきて。ほかにもなぜかSMショーに出たりとかもしちゃってるんですけど。

かおりん:パフォーマンス、見せる経験。

月緒:パフォーマンスもするようになって。これからまたやるんですけど。

風俗嬢は「気持ちを共有できる場所」が少ない

月緒:でも、自分1人で悩んじゃうのが風俗嬢なんですよね。

かおりん:そうなんですよね。

月緒:誰にも相談できなくて自分で抱えて重症化させちゃう。せめてね、話すだけでもこういう人間がいるんだみたいな場所があってもいいかなって。

かおりん:そうですね。なんかわりと風俗サイドでは顔出しして、お客さんとして会いに行けば接触できる機会は増やせたりとかすると思うんですよね。

私自身も顔出ししてのパフォーマンスが23ぐらいから始まって、2009年に自分の自叙伝を出したんですけど、それも自分のために書いたというよりは、その業界にいる人に「つながれる人がいますよ」というアイコン的な存在で。

私にかかわることによって、何かその人のきっかけにできたらいいなというのをすごく考えていて、そういうのって経験してると孤独感とか孤立感とか、やっぱりありますよね。

月緒:すごくありますね。

かおりん:そんな中でも、仕事の中でお客さんに触れてたときに結構おもしろい経験とか。

月緒:ありますね、いっぱい。

かおりん:そうそうそう。あったりとか。そういうのとかも共有したらおもしろいなと思って。

月緒:なんか風俗嬢の子たちって結構マイナスなことばかり吐いちゃうんですよね。吐ける場所がないから、ネット上でも吐いちゃって。でも、それ以前におもしろいことももっとピックアップしていったら楽しいし、それを共有できると風俗も楽しいんだなって意識転換をできるかなって。

かおりん:気持ちの持っていき先をばらつかせるほうが、一遍にくらうより細かく、細かくリスクヘッジみたいにしていたほうがやりやすいかなみたいな。

桃色ページ担当、野ざらしマリー氏の自己紹介

かおりん:そんな中で、今日司会というかタイムキーパーをやっていただく、野ざらしマリーさん。ちょっと野ざらしさんの経歴をご紹介したいんですけれども。

マリー:野ざらしマリーと申しまして、普段は男性週刊誌で、桃色のページのやたら多いほうの男性週刊誌で編集をやっております。風俗ページの担当もしておりますし、今回ゲストのデッドボールさんなんかもちょっと縁がある週刊誌のほうで働いていまして、個人的にずっとセックスワーク、性産業、風俗業界にずっと興味があっていろいろな経験を経て、今日ここでベル役をね。チーンって。

月緒:チンチーン。

かおりん:あっちのチンチーンじゃなくて、そっちのチンチーンを。

マリー:皆さん、本当に話すことがたくさんあるので、ちょっと今回は。普段、セックスワークサミットという風俗業界の話をするところの司会をやってるんですけれども。もう皆さん今日は話すことがそれ以上にいっぱいあるので、ベル役をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

射精介助サービス「ホワイトハンズ」

かおりん:ちなみに折り込みの中にセックスワークサミットのチラシを入れてるんですが、これはホワイトハンズという性の介護、要するに障害を持っている方で自分で射精行為ができない方のサポートなんかをするために、射精介助をやるサービスを提供するところの団体さんがあるんですけど、そこで毎年何回かやっています。

それのチラシが入っているので、もしよかったら参考に。あと私が登壇したサミットのレポートと、これから出てくる工藤ちゃんも出演しているセックスワークジャーナルっていうのがあるんですけど、これもそこの横っちょで販売していますので、もし業界のことを勉強したいという方がいたらご参考にしてください。

マリー:勉強という堅い感じじゃなくても、本当にいろんな情報が集まっているので、書評ですとかざっくり何をしているのかなみたいな感じでぜひ。

かおりん:そこの中にデッドボールさんも紹介されているので、なんてすてきなと思って。ご縁があるわ、みたいな。

マリー:ぜひぜひ。サミットって堅くつけてますけど硬軟織り交ぜた内容になってますから、よろしくお願いします。

かおりん:お手にとってみてください。

制作協力:VoXT