「お金に騙される人、騙されない人」を書いたきっかけ
副島隆彦氏(以下、副島):はい、こんにちは。
西村博之(以下、ひろゆき):こんにちは。
相馬裕子(以下、相馬):よろしくお願いします。ニコ生トークセッションとして、副島隆彦先生とひろゆきさんによる「騙されるな!儲け話のここがウソ!」をお送りします。
副島先生の簡単なご紹介だけ先にさせていただきますと、副島国家戦略研究所主宰で評論家でいらっしゃいます。それで、もうさまざまな本を書かれているんですけれども、『属国・日本論』にはじまって、あと最近では『世界権力者 人物図鑑』などを書かれていらっしゃいます。
その中で、幻冬舎から4月に出た『お金で騙される人、騙されない人』という本があるのですけれども、これが3刷の7万部になっておりまして、内容的には株とか投資信託とかFX等で保険商品等を買って大損をした人たちがこれだけいるという実態と、だまされないためにどういうふうにすればいいのかということが書かれた本です。
それで、今日はこの本の話から入らせていただきたいのですけれども……。
ひろゆき:お姉さんの自己紹介はいいのですか?
相馬:すみません、この本を担当しました幻冬舎の相馬と申します、よろしくお願いします。
ひろゆき:よろしくお願いします。
相馬:よろしくお願いします。それで、先生がこの本を書かれたきっかけからお願いしたいのですけれども。
副島:副島隆彦です。ニコニコ動画っていうのは私よく分からないので。
ひろゆき:こんな感じのです。
副島:ええ。本だけは100冊以上書いてきて、半分以上はベストセラーに入れているのだけれども。もう57歳だからジジイなので若い人たちの気持ちも分からない。去年までは大学の先生をしていましたけれども、辞めてしまいまして。
今は、原稿料一本だけで食えるようになりましたので。弟子が54、55人いますから。上がね、ひろゆき君と同じぐらいの34、35、36(歳)なんですよ。私は本を書いているから、本屋さんに行けば私の本はあるのだけども。
この、お金、金融商品というのを買わされてひどい目に遭ったのは、たいていおじさん、おばさんたちで、これを観ている人たちのお父さん、お母さんとか、おじいちゃん、おばあちゃんたちだと思う。もうこの人たちはね、3000万円、5000万円、1億円、2億円やられているのですよ。全国に何百万人もいる。
テレビ、新聞は絶対に取り上げません。というのは、売っているのは証券会社とか大銀行とか生命保険会社とかね、やっぱりいちばん大きなお金を動かしている人たちだからなのですよ。それで、私は嫌われ者ですから。どれだけ嫌われてもいいから、本当のことしか書かないよという。
ひろゆき:なんだか「嫌われ者ですから」というキーワードが好きですね。直接誰かに「おまえのこと嫌いだ」とか言われたのですか。
副島:みんな嫌いですよ、私のことなんか。
ひろゆき:幻冬舎の方も。
副島:例えば幻冬舎の○○さんとか私のこと大嫌いですよ。
相馬:そんなことは言えません。
ひろゆき:あっ、そうなんですか。へえー。
副島:昔、20年前に同じ勉強会をやっていたのだけれどね。私はひろゆき君にお会いしたかったから出てきたのだけれど、12年ぐらい前にね、私の学問道場というのを始めたころ、私の読者が言ってきましてね。1999年ごろ始まったのだけれども、私はもう字を書くしか能がないので。
CCC4、C4というものがあって、ちゃちゃちゃ倶楽部というのですよ、C4で。これはね、小林よしのりさんという漫画家を支援するサイトで、小林さんが全くネットを相手にしなかったものだから、私のところへ来てしまったのですよ。
ひろゆき:でも、副島さんはネットをやっていなかったのですよね。
副島:私はネットができないけれども弟子たちが勝手に始めてくれて、字を書くだけなのです、今も。それで、全角と半角の違いが分からなかったから、アップロードという言葉の意味が分からなかったんだよ。
ひろゆき:そのころ、ワープロぐらいはありましたよね。
副島:ワープロはやっていたのだけれども、インターネットとはどういうものかよく分からなかった。それでも、貧乏だったし弟子は寄ってくるから「義援金を下さい」って言ってお金を集めて、それで学問道場というものを開いて。それで、政治家を育てるとか言論人を育てるというのは今もやっているのですけれどもね。
ひろゆき:育った政治家はいるのですか。
副島:だから政治家は止めた。
ひろゆき:ああ、止めたのですか。
副島:うん、言論人、知識人、学者。
日本人の知らない、世界権力者の人間関係
副島:現実の政治の世界は、汚い恐ろしい怖い。裏はものすごいですよ、やっぱり。
ひろゆき:汚いものには、ではあまり近づきたくないですか。
副島:いやいや、見には行きますけどね。自分が汚れますから恐ろしいのですよ。人間関係から始まり、政治家やら官僚たちやら財界人やらね。もう私は57歳だからそれなりに見るべきものは見てしまった。私のもともとの専門は「アメリカ政治思想研究」というかたいことをやっているのですけどね。ですから……。
ひろゆき:もともとは政治思想の方なのですか。
副島:そうです。それで、私しか知らない、日本初輸入のような知識をいっぱい持っていましてね。
相馬:あの、先生の本でいろいろ……。
副島:それで、受けているのだけれども、ほかの出版社の宣伝をしてはいけないのだけれども。
相馬:本当はね、そうなのですよ。
ひろゆき:それは幻冬舎ではないのですか。
相馬:そうですよ。でも面白い本なのです。
副島:これは『世界権力者 人物図鑑』という。今、女の人たちの雑誌の横に並んでいるのですよ。もう、次の大統領になるのはヒラリーだと。決まっているの。ヒラリーの愛人とかね。
ひろゆき:クリントンじゃないのですか。
副島:クリントンは下の方にいて、こっちが普通の夫婦関係。男と女って、デキている関係はこういう冷たい顔をするのですよ。愛人関係はこういう、温かい顔をするわけですね。
ひろゆき:それは、たまたまそういう写真を撮っただけではないのですか。
副島:写真だけでもたいへんな価値があってね、前の大統領のジョージ・ブッシュと愛人であったコンドリーザ・ライスという官房長官、外務大臣ね。
ひろゆき:ライスさんは、愛人だったのですか。
副島:そりゃそうですよ、「ご養育係」だもの。ほら、記者会見の時にこういう顔をしてキスするのよ。
ひろゆき:まあ、アメリカ人は男同士でも普通にキスしますからね。
副島:それで、これがローラという立派な奥さんなのだけども怒っている。こういったものが本屋さんにありますから、私がウソつきだったら「おまえはバカ野郎だ」と言ってくれればいいのですから。私はうそをつかないで生きてきましたから。
ひろゆき:でも、ライスが愛人かどうかは調べようがないので、うそつきか本当のことか僕には分かりようがないですけれども。
副島:それは、アメリカ人の記者や政治関係者はみんな知っている。
ひろゆき:そうなのですか。
副島:気付いている人は、みんな気付いています。
ひろゆき:というのを輸入するのが政治思想というわけではないですよね。
副島:だけど、分かりやすくやらないと結局皆さんには分かってもらえないから、分かりやすい人間になってしまったのです。
ひろゆき:今回の本は、政治思想はあまり関係ないのですよね。
若いうちはだまされて痛い目に遭えばいい
相馬:すみません、お金の話です。
副島:もう10年も前から金融商品についての紹介本のような……(当時は)金融商品という言葉もなかったのですよ。株や債券、国債から始まって、やがていろいろな種類の変額年金保険とかね。外国為替証拠金取引、FXといいますけれども、恐ろしい"博打"をやっている人がたくさんいるのですよ。
博打というのは、死ぬまで止められない。だから、男女関係とお金の関係、変な趣味の世界、あとお酒が好きな人ですよね。結局はその人が持っている人間の基本的な部分の病気ですから。繰り返しますが一生止められないですから、それはそれで大事にしてくださいと。
ひろゆき:お酒やたばこは吸わないんですか。
副島:私はあまり好きじゃない。飲めない、あんまり。
ひろゆき:そうなのですか。
副島:少しだけなら調子がいい。だからもう、私の歳になると酒の飲み過ぎのやつはもうさっさと飲んで死んじゃうのですよ。私は死なないで、ここまで生きてきた。
ひろゆき:さあ、本題にどうやって行きましょうかね。
相馬:そうですよね、なかなか行けません。どうしましょうか。
副島:だまされるのだって、結局人生。だから若い人たちはね、バイト先のバイト代払ってもらえないとか、サービス残業やらされるとか、ひどい目に遭うのです。あと、訳の分からない「国家資格試験受けませんか」と言われて50万や100万ふんだくられるとか、予備校でふんだくられるとか、訳の分からない勧誘に遭って、エステでも何でもいいけどね、みんな気をつけないと痛い目に遭う。でも、若いうちは痛い目に遭えばいいのですよ。
ひろゆき:それ、若いうちは遭ったほうがいいのですか。
副島:そう。後で勉強になるから。
だまされるお年寄りは本当にかわいそうか
ひろゆき:でも、本の中で「かわいそうなお年寄り」って表現がありましたけれども、年取っているのだから社会経験豊富なわけじゃないですか。
副島:うん。
ひろゆき:むしろ老人のほうが、何か社会経験豊富で、若者がだまされるほうがかわいそうという図式になりませんか。
副島:本当はそうなのですよ。ところが、世の中が老人がバカにするっていうことになっているから。でもね、「かわいそうかわいそう」って言うけど、変な証券マンやら銀行員が来て、だまし取っていってお金とか返さないのだけれども、かわいそう、かわいそうと言うけれども、この本の結論としては、誰もなんにもしてくれないのですよ。
「裁判で訴えればいいじゃないか」と言ったって、またお金かかるしね。どうせ銀行や証券会社は、「あなたが3,000万円、5,000万円損をしたのは、あなたが自分の責任でやったことですから」ってことで責任取らないでしょ。結局、警察はそういうことを事件として発表しますけれども、「あなたのことです」と。誰もそんな弁償なんかしてくれないですよ。
ひろゆき:よく分からないのですけども、生命保険会社や銀行を、なんでそんなにお年よりは信用しているのですか。
副島:何回も一生懸命真面目な顔して「お願いです」って言いに来て、信用、信頼関係をつくってしまうからですよ。それで、「あなたを信用して5,000万円買ってあげるわ」とか言って買ってしまうのですよ。
ひろゆき:じゃあ、5,000万円分信用してだまされたのだから、自業自得じゃないですか。
副島:そういうことです。
ひろゆき:じゃあ、「別にかわいそうじゃない」で、いいんじゃないですか。
副島:かわいそうじゃないです、別に。私もね、そういうこと言うと嫌われるのですよ。どうせ誰も、そんなものお金返してくれないのですから。だから、結論から最初から終わりまで全部「気をつけなさい」「注意しなさい、警戒しなさい」と。そうしたら「くだらない結論だ」と文句が来るわけよ。
痛い目に遭ってひどい目に遭った人たちは、よく分かるのですよ。「本当だった」って。「崖から落ちる直前に気をつけて、そっちへ行かなければよかった」とか。