スタートアップの採用はリファラルが向いている
清水篤彦氏(以下、清水):今みなさんの会社の規模って、どのぐらいなんでしたっけ? (奥田氏に向かって)30名ぐらい……20名ぐらいでしたっけ?
奥田雄馬氏(以下、奥田):日本側が20名、ベトナムが30名、だいたい50名ぐらいですね。
清水:50名ぐらい。みなさん、どのぐらいなんですか?
安昌浩氏(以下、安):12名ぐらいです。
今田孝哉氏(以下、今田):僕らは10名ぐらいですね。
清水:なるほどなるほど。
鶴岡英明氏(以下、鶴岡):大分に12名と、渋谷に2名と、ベトナムに6名、あと福岡に1名いて。ただ受託もやっているので、SPOTSALEをやってるメンバーは、その中で5人ぐらいですね。
清水:採用媒体とか、けっこうみなさんワーッと使われてるんですか? まあ、当然Wantedlyの3万円プランみたいなのに入ってたりとかするんですかね?(笑)。
安:僕もともとHRやってたんで、そのへんすごい詳しいですけど(笑)。
清水:めっちゃ教えてほしいですね。
安:(笑)。HRサービスはやっぱり……、こんなこと言ったら、元リクルートの人間としては怒られちゃうんですけど。僕は、媒体とかはスタートアップの初期にはすごく適してないので、基本的には全部リファラルで採ってます。
なおかつ、仮想通貨ってやっぱりけっこうルールがないので、その中で自分たちを厳しく律していかないといけないんですよ。自由にやっていい、というわけではないんで。そうするともう必然的に、一緒に働いたことのある同僚とかじゃないと、わからないんですよね。
けっこうHR業界って、平気で嘘つく……ごめんなさいね、嘘つかれてる方いたら。けっこうみんな嘘つくんですよ。それで、外資系とかはリクルートのサービス使おうが、絶対リファレンスを取るんですよね。「こいつのこと知ってるか?」ってぐらい。ですので、我々はリファラル一択でやっております。
清水:媒体使わずに、コンサルタントみたいなの使ってます? それも使ってないですか? もう完全にリファラル?
安:僕はもう完全に知り合い経由で全部行ってますね。
清水:あー、すばらしいですね。
安:もうそれだけで採ってます。
清水:エンジニアも含めてですもんね? へぇ、すごいな。
まわりがやっていないTwitter採用の効果
今田:僕も基本リファラルで、それはこれからも変えずにやっていこうと思ってるんですけど。
1つだけ言えることとしては、僕はリファラルと別にTwitter採用をめちゃめちゃやってるんですよね。Twitterでつぶやいて、「いいね」が来た人にひたすらメッセージを送るという、けっこう泥くさいことをやっていまして。実はそれで数名、採用してるんですよね(笑)。しかもけっこういい人が採用できてて。
これ、なんでかというと、わりとみんなやってないという。みんなWantedlyをやってて。最初、Wantedly(をやるかどうか)迷ったんですけど、Wantedlyをやっても目立てないと思ったので、「これ、勝てない」と思って、全部Twitterに切り替えたんですよね。みんな意外とTwitterやってなくて。
おそらく、「転職はあんまり考えてないけど、なんとなく興味はある」みたいな人って意外と多くて。そういう人はまず業務委託で入ってもらって、正社員化するような作戦がけっこういいなと思ってやってますね。
清水:ちなみに、後で文言を一言一句教えてもらっていいですか?
(会場笑)
清水:きっと、Twitterにつぶやく際の「募集します」だけじゃないじゃないですか。そこになんかいろんな戦略があるんですよね? それをちょっと教えてほしいです。
今田:わかりました(笑)。
清水:僕も2,000位ぐらいをうろついてますね。なんも手入れてないんで(笑)。
鶴岡:ありますよ、Facebook。
(会場笑)
安:いや(笑)、あるのはもちろん存じあげてるんですけど、たぶんそんなにみんなFacebookやってないんじゃないかなと思って。
鶴岡:やってますやってます。
安:本当ですか? すいません、ちょっと福岡のほうがあれでしたね、遅れてますね(笑)。
鶴岡:(笑)。でも、そうですね。若者しかあんまりやってないかもしれない。
IT技術にどん欲なベトナムの採用市場
奥田:うちの場合も、本当にお三方と同じですね、知り合いの知り合いであったり。僕の場合は、だいたい社会人で言ったら、そのままサラリーマンを続けたら6年目にあたるぐらいなんです。そのぐらいって、ちょうど会社に対して忠誠心がなくなってくる頃だと思いますけど(笑)。
(会場笑)
奥田:そのあたりを狙い撃ちして、まあ、「ちょっと熱がある仕事をしてみないか?」と、もう熱血の指導で口説いたという経緯がありますね。
清水:じゃあ、昔の人たちにけっこう会ってるってことですか?
奥田:そうですね。そこが、まあ、私の場合は環境が特殊だったのもあるんですけど、中高大ずっと同じ学校だったんですね。それもあって、もうなにも言わなくても何を考えてるかわかるような相手が揃ってはいまして。その点、スタートアップとしては非常にやりやすかったなと。
日本はそれなんですけど、ベトナム側は30名エンジニアがいるうち、基本的にはそっちは全員求人広告、エージェントを使ってというかたちですね。そちらはまあまあコストはかさみましたけど、それが一番手っ取り早かったかな、とは思いました。
清水:じゃあ、結論としては、みなさんリファラルで採れているので、例えば言語が合わないエンジニアとか、こっちに流していただくっていうかたちでいいですかね?(笑)。
(会場笑)
鶴岡:言語は何ですか?
清水:Swiftです。
安:Swift、なるほど。
清水:日本でなかなかいないんですよね。今、海外のAngel List(エンジェルリスト)とか使って、今うちのCTOはイギリスとのハーフなんですけど、Angel Listがけっこうくるので。ただ、ターバンとか巻いてたり顔に布巻いている画像の人がくるんですよ。
(会場笑)
清水:海外の人たちには、Angel Listを使って。今は日本じゃなくて、もう海外にターゲットを合わせてやっていますね。
奥田:その点では、ベトナムの採用市場というのはすごいおすすめなのかなと思ったりはしますね。あっちは本当に、ベトナム戦争を経験したのがちょうど今の若い子たちの親ぐらいなので、ようやく今、ITの第1世代が出てきたぐらいで、ITに対して貪欲なんですね。新しい技術がほしい、新しい技術を学びたい。
それもあって、下手したら日本のエンジニアより新しい技術に触れてたりするのかな、と思います。というのも、日本の大企業の方々って、けっこうベトナムにオフショアを投げてるんですね。向こうはその中でも転職をしまくる文化があって、実は日本の企業のいろんな技術は向こうのほうが触れてたりするんじゃないかなと思ったりはします。
トークンの舵取りには金融の知識が必要
鶴岡:みなさんが、ご自身のサービスとSPOTSALE以外で、今一番興味があることって何ですか?
僕が今一番……、けっこう、たぶん最近のサービスすべてに言えると思うんですけど、個人と法人とかのKYC(Know Your Customer)、本人確認の部分で。今からどのサービスでも必要になってくると思うんですけど、みなさん、なにかあれば。(安氏を見て)今、調べてますね(笑)。メモ、Evernote見てますか?
柿木原:サービス?
鶴岡:会社じゃなくてもいいです。分野というか、事業というか。
一同:……。
鶴岡:……あれ?(笑)。
安:いや、ちょっとおもしろいことが言えないな、っていうネックがちょっとあって(笑)。
鶴岡:いいです、いいです。
安:真面目に言うと、今一番気になってる分野は、やっぱり金融ですね。当然自分たちでトークンを発行して流通させていくって話なんで、金融のことをわかってないと、けっこう舵取りが難しいなというのがあって。
ただ、金融って意外と、金融に行かないと学べないところがあって。そこが今一番関心が高いので、私塾とかちょっと通い始めたんですけど、やっぱりなかなか誰も教えてくれない。なんとなくの話は教えてくれるんですけど、なんか金融をつかめた気がしないようなところで、今一番興味はあります。すいません、ぜんぜんおもしろくなくて。
(今田氏に向かって)「おもしろいこと言わないといけないのか」みたいな(笑)。あの、そんなことないので、なんか1個おもしろいものを出せたらよかったなと思うんですけど、すげー普通のことしか言えなかったです。
柿木原:(笑)。ちょっとみなさん携帯を触り出したみたいなので、ちょっと事前に作っていたお題を3つ発表させてもらいますね。
1つ目、「トークンエコノミー」。ここに関してなにかお話できる方がもしいらっしゃったら。これ、事前に3つ言ってたはずですけどね(笑)。トークンエコノミーは、よく安さんとかつぶやいてると思いますけど。
安:トークンエコノミーですよね。けっこう発表で、話したりしたことがあるんですけど、やっててすごく、ビジネスじゃない感覚なんですよ。何に一番感覚が近いかっていうと、僕、音楽に一番近いなと思ったんですよね。
仮想通貨やトークンは宗教のようなもの
安:例えば、オランダに行った時に、飲み会に行ったんですけど、サトシ・ナカモトの論文ですごく盛り上がったんですよ。めちゃめちゃ盛り上がって。僕はそれも原論文を読んでいたので、なんとか英語もわかるというので、話してる感じが同じ音楽を共有してる感覚にすごく近くって。
僕、8年ぐらい前に、イギリスで2ヶ月ぐらいギターを担いで弾いてたことがあるんですけど、そん時にもOasisとかを弾くと、「Oasis!!」みたいな感じで、すごいノッてくる感じが、すごいよかったんですよ。
なんて言うんですかね、少年の頃に戻ったような感覚わかりますか? 汚い気持ちとかから解放されて(笑)、受験とか、いろんなことを忘れて、純粋に人と楽しい時間を共有してるみたいな感覚が、トークンエコノミーとけっこう近いんですよ。
ただ、その時にすごく思ったのが、先ほどちょっと質問を投げたところにもリンクするんですけど、やっぱりみんなが価値と認めることって共有しやすい。要するに、サトシ・ナカモトの論文は共有しやすいんですけど、そうじゃないプロジェクトって、けっこう共有しづらくて、経済圏がパッキリ分かれて、なかなかここがブリッジしないようなことが起きそうだなと思って。
それこそある仮想通貨の話をしようものなら、「あんなのコピーだ」って殴りかかってくるような。(笑)。そんな感覚があるのかもなと思って。独自の経済圏ができるのはいいんだけど、「やっぱりそれがちゃんとうねりをつくって、どうやってみんなでやっていくのかな?」というのが、「できるのかな?」というところも含めて、今すごく悩んでいるところです。
というのが、この海外遠征をしてきて思ったことですね。僕の英語が正しく理解できればですけど。もうちょっとおもしろい話したほうがいいんですかね(笑)。
奥田:でも、そこはすごく共感できるところがあったりはしますね。ビットコインとかイーサリアムとか、いろんな通貨が出てきてますが、ある意味それぞれ1つの宗教だなと。ビットコイン教、イーサリアム教の流れで、トークンもそれぞれの宗教とも言えてしまうのかなと。
というのも、価値が変動することが、すごく影響を与えるのかなと。自分の持っているトークンが上がってほしい。上げるためにはどうすればいいか? 他のトークンをけなせばいい。そういう方向になったりすることは、すごい危惧はしてはいますね。それこそ宗教戦争じゃないですけど、そういったことにはならないようにしていきたい。「どうすればいいのかな?」というのはちょっとあったりはします。
お金の魔力の恐ろしさ
安:いや、本当にそういう感覚で。たまたまここは、たぶんイーサリアム教が揃っているので、平和なんですけど、ちょっと他のパブリックチェーンの方とかがいると、言葉を慎重に選ばないと、「イーサリアムNo.1」とか言った瞬間にね、宗教戦争が始まっちゃうというのがもう起きてるんで。
奥田:そうですね。
安:やっぱりエコノミー同士がすごく敵対しそうだから、たぶん逆に国家もできたんだろうなとも思ったりしていて。難しいんですよね。簡単に起こる気がしないという。ただ……。
鶴岡:なんか目的とはちょっとズレてきますよね。
安:そうです。
鶴岡:本来、ボーダーレスになりたいのに、分断しちゃうと。
安:そうなんですよ。それこそ、藩とかもそうじゃないですか。薩摩藩も絶対誰も入れないということとかも含めて、独自の経済圏ができていくと、ああいう感じになるんじゃないかな。それで、また日本国家ができて。
だから、なんか天秤のようになる気もするんだけれど、「どうなるんだろうな?」というのがすごい関心としてありますよね。
柿木原:いろんなコミュニティをまたげないというイメージなんですか?
安:もちろんまたげるコミュニティもあるんですけど、経済的な部分が出てくると、ものすごくいがみ合うというか、「あいつはもうゴミだ」みたいな。この業界に来て、お金の魔力の恐ろしさをつくづく感じるんですけど、めちゃめちゃ怖いんですよね(笑)。下手にトークン名とか言えないので。
柿木原:(笑)。
安:昔は「おすすめのトークンは?」って聞かれたらすぐ言ってたんですけど、今は「絶対言わないぞ」みたいな(笑)。ちょっと酔った時に攻勢されたりして、「ちょっと酔ったから言ってくださいよ」とか。でも、言わないようにしてるぐらい気をつけたりして。それが今でも起こっているので。「どうなっていくんだろうな?」とは、すごく思いますね。
みんな言うんですけど、逆に、理想の世界としては何を解決すればいいか教えてほしいです。そこに向かって、ちょっとなにかできることがあれば、僕はやっていきたいなと思うので。
トークンエコノミーのかたち
柿木原:トークンエコノミーのかたちって、人によっていろいろあると思うんですが、例えば今田さんはトークンエコノミーについてどんなふうにお考えなんですか?
今田:将来価値を現在価値に変えられる、という部分に僕としては可能性を感じています。そう行った意味で、これからあらゆるものがトークンエコノミーによってアップグレードできるなと考えてるんですけど。
1個注目してるのは、働き方がトークンエコノミーに変わっていくようなところ。例えばですが、アイスマン福留さんという方がいらっしゃって、その方が自分の時間をタイムバンク上で売ってるんですけど。現状は中々価値化できていないかもしれないんですが、もしかしたらこの人将来的に面白くなるかも?という可能性を含めて価値がついてます。
僕の友人でパルクールやってる人がいるんですけど、タイムバンクでけっこう時間が売れてるんですよね。その友人はパルクールがすごく好きで、毎日のようにインスタにアップしているんですが、もしかしたら将来的にパルクール自体の市場が広がって、その人の価値が上がるかもしれないと一部の人でもそう思えば、価値がつく。
現状は価値になりづらい仕事でも、めちゃめちゃ熱狂してる人に価値が生まれやすくなるというのはトークンエコノミーによって働き方や生き方そのものを変えられる可能性があるということだとだと思ってます。それこそ、トークンエコノミーによって好きを仕事にしやすくなる可能性があると思ってます。
柿木原:奥田さんが考えるトークンエコノミーって、どんなかたちなんですか?
奥田:そうですね。今の今田さんの話にすごく近い部分はあるんですが、例えば、具体的にサービス名を挙げてしまうと恐縮なんですけど、VALU(バリュー)というサービスがあったかと思ういます。話を聞くと、あれでけっこう有名になった方々って、それまではそんなに表に出てこなかった方々が多い、と聞いたことがありまして。
それこそ自分に株式みたいなものを発行して、それで初めて世の中に出ていくことができた。そのきっかけがトークンエコノミーだったのかな、と思ったりはします。
ただ、トークンが乱立してくる時に、それらをどう管理していくかが重要になってくるかなと。そこでやっぱり重要になってくるのが、ウォレットというサービスかなというのが、私の立ち位置でございます(笑)。
(会場笑)
柿木原:かち込んできますね(笑)。時間がないので、たぶんみなさんが一番聞きたいところを、ちょっと先に聞かせていただきたいなと思います。次のお題にいかせてもらってもいいですかね。今みなさんがやっているサービスや会社で、イグジットについてどう考えられているのかを、ちょっと聞かせていただければなと思います。
スタートアップ企業のイグジットの考え方
清水:最初はイヤだなあ(笑)。「我こそは」みたいな方にお譲りいただいたほうがいいかも。
柿木原:……いないみたいなんで、お願いします(笑)。
清水:でもなんか、安さんが「我こそは」みたいな顔をしてますけど(笑)。
安:いや、そんなことないです(笑)。
清水:(笑)。そうっすね。そもそもスタートアップ2回目なので、まずはけっこうイグジットの方向性も考えて会社をやってるんですけど。
ここはもう本当に、マーケットのわかりやすさと競合と、いかにイノベーションが起こせるかという観点。そこから見て、さらに大手が市場でまだやってないから、大手がいることによってM&Aの可能性があるところは、ある程度考えてサービスをつくってたりはありますね。
ICOをしてらっしゃる方たちからすると、あんまりあれかもしれないんですけど、まだまだ普通にスタートアップベンチャーとして資金調達したり、普通にエクイティファイナンスをするというのが、ある程度まだ主流というか、投資環境もいいと思うので。
それを狙いながら、IPOを目指しながら、徐々にICOも取り入れながら、買われるなら買われるというような選択肢、常に複数の選択肢を持ちながら、どこでも打ち手がある状態を保ってやってますね。
柿木原:ありがとうございます。奥田さん、どうですか?
奥田:そうですね。イグジットに関しては、今のところなんの予定もなくて、それを目標にもしていないというのが正直なところ。取締役全員もそう思ってるはずだろう、と思います。でも、やっぱり自分たちが使いたいものをつくり続ける、まあ、エンジニアの根性みたいなものが据わっているのかなと思ったりしますね。
ただ、1つの目標といいますか、指標としてのイグジットは、ありにはなってくるかなと思ったりはします。ただ、最近はICOで100億、200億を平気で稼ぐような団体もありますから、買収を待つだけが選択肢ではないのかな、と思ったりもしてはいます。
大きくなる会社の2つの共通項
鶴岡:うちも1億以上エクイティファイナンスしてるので、なにかしらのかたちでのイグジットを考えているんですけど、それがIPOなのか、ICOなのかは、まだまったく決まってなくて。
それよりもSPOTSALEに上場してくれるクライアントさんが1個のイグジットのような。そのイグジットの数を増やしていきたいなと思ってます。
安:まあ、ある意味イグジットスタートしたようなものなので、「もうイグジットしてます」という話なのかもしれないんですけど。もう投資家がいて、みなさんがトークンを持ってくださって、価値を信じてくださってるという話なので。
僕たちはどちらかというと、その価値を上げることにただ専念するんですけど。組織の形態として、やっぱり考えてる方向性はたぶん大きく2つだろうなと思っています。
1個目はDAO化です。どこまでDAO化できるかわかんないですけど。Decentralized Autonomous Organization、要するに非中央集権型組織で、誰か主体者がいなくてもサービスが成り立つところに、どこまで寄せていけるかという話と。
もう1個、例えばIPOももちろん考えてはいます。要するに、僕はトークンエコノミーを加速させるためにも、株式市場とか資本主義市場に殴り込みにいかないといけないと思ってるんですよ。
「価値だ」「価値だ」と言っていても、やっぱり物事は動かないと思っているので、お金とかをどううまく絡ませるかと考えた時に、トークンがそこに殴り込みにいくかたちで、後続のトークンプレイヤーにもいい先例がつくれたら、けっこうIPOもおもしろいのかなと思うんですけど。できるだけ早くDAO化したい気持ちがありますね。イグジットとはちょっと違うんですけど。
今田:イグジットは、もちろん1つの方法として考えていまして。どちらかというとイグジットするためというわけじゃないんですけど、(会社を)大きくするために、まず2つ意識したことがあります。
まずいろんなイグジットした会社やユニコーン企業を調べて、共通点を見つけたんです。見つけたというか、自分の中で「これだ!」と思ったものが2つあります。
まず1つ目はプラットフォーム事業であること。AirbnbとかUberとか、ユニコーン企業のほとんどが(60パーセント以上)がプラットフォーム事業をやってるんですね。
2つ目は時代の変革期を捉えているサービスであるかということ。FacebookもAmazonもUberも新しいテクノロジーによって時代が変わるタイミングにしか誕生してません。なので時代の変わり目はどこなんだということを考えました。僕にとってはそれがコミュニティとトークンエコノミーだったというところですね。
なので、少し話が逸れてしまうかもしれませんが、僕自身は、イグジットの方法というよりもスケールさせる事業を作る方法を考えてます。
取引所のハッキング事件は、中央集権ゆえの悲劇
柿木原:ありがとうございます。次のお題お願いします。「分散化」は誰がしゃべりやすいですか?
安:ウォレットもある意味、分散化なので、僕もたぶん話せるんですけど。
奥田:そうですね。最近で真っ先に思い浮かぶのは、分散化の対になる言葉、中央集権化のところです。それによる悲劇が大手取引所によるハッキング事件だったのかなと。あれをきっかけに、「中央集権がそろそろ限界きてるんじゃないの?」とか「中央集権がすべての選択肢じゃないんだよ」というのが見えてくるのかなとは思います。
またちょっと製品のことになりますけど(笑)、本来暗号通貨というのは自分がウォレットで管理すべきものだったんですね。ただ、そうではなくて、投資による差額で利益を出したいために、多くの方々は取引所に自分の資産を預けっぱなしにしていたと。
そこ(取引所)が当然ハッキングを受けやすくなってくるので、ああいう結果になってしまったんですが。これからもどんどん分散化は見直されてくるかなと思います。
安:ちょっと分散化なので、DAOの話というか、「結局、じゃあ、DAO化するために何が必要なんだっけ?」とか、ぜんぜん考えられてないので、当たり前のこと言うんですけど。
間違いなくまず、組織を統べるルール。ゴールがあって、それを達成するためのルールみたいなものと、それを達成した時の報酬みたいなものが出てくる時に、単純作業みたいなものはけっこうやりやすいなと思います。DAO化しやすい。
よくタクシー会社などはやりやすいと言うんですが、普通にメーターに沿って、運んでいったら乗車代を取って、運転手にはどれぐらい乗せたかで給料を払うというのは、ルールがすごく単純でやりやすいと。
でも、たぶんそんなに単純なものはあんまりないと思うんです。だから、「ルールを単純化できない中で、どうルールをつくれるか?」という。できるかどうかちょっとわかんないんですけど、プラクティスがたまるのをちょっと待たないと、DAO化はけっこう難しいなと思っています。
ベンチャー界隈からムーブメントを起こしていきたい
安:あと、ビットコインは本当に美しい分散化の(かたち)で、僕は、本当にあそこに全部プラクティスが詰まってるなと思います。あれもけっこうルールは単純というか。例えば、ALIS(アリス)みたいな「信用できる記事ってなんだ?」となった瞬間に、難しくなるんですよね。
それをいきなり、「分散化で全部やりましょう」というのはけっこう難しいので、僕はやっぱりある程度中央集権的に誰かが引っ張りながら、プラクティスをためて、「これだったら全部DAOできるよね」というところをやっていくことが大事だと思います。けっこうプレイヤーがどんどん出てこないといけないなと思っています。それこそウォレットも然りですし。
その中でやっぱり日本は、どうしても海外と比べると、すごくプレイヤーが少ない印象です。例えばオランダのミートアップに行くと、30人ぐらいだったんですけど、普通に歩くとICO実施者に会うんですよ。30人中5人ぐらいはICOやってるような。
「俺もICOやってるよ」みたいな、「俺もクラウドセール中だぜ」みたいな(笑)。「どんだけICO実施者いるんだ?」っていうぐらいいるんですよ。みんな当たり前のように情報共有をしていて。
でも、日本ってそうじゃないじゃないですか。ICOもぜんぜんやってないし。これはブロックチェーンプレイヤーも同じ話です。だから日本は、もっともっとスタートアップ界隈からどんどんつくっていかないといけない。なぜなら、今の大企業が自分たちのサービスを分散化する理由はないんですよ。
僕はリクルートで新規事業をやりながらそういうことを肌身で感じたので、本当にベンチャー界隈から、ムーブメントを起こしていかないといけないんですよね。「みなさんで盛り上げていきましょう」というだけのただの思いなんですけど。分散化に関してはそういうふうに思いますね。
分散化が進むまでには時間がかかる
今田:それで言うと僕も、けっこう分散化が進むのは時間がかかるなとすごく思っています。中央集権的に管理するほうが、今はわりとメリットが大きいなと思ってるんですよね。
例えば、そもそもメルカリを分散化させると、詐欺というか、うまく回らないことはけっこうあるなと思ってて。例えば、変な出品をするとメルカリ側がサポートで止めるとか、ちゃんと管理してるからうまく回っていて、安全安心なサービスが成り立っている側面がすごくあると思うんです。
そういうことをいきなり分散化してしまうと、おそらくかなり大変だなという。たぶん、いきなり分散化するというよりは徐々になっていくと思っています。
鶴岡さんが先ほど「NPOを分散化でつくってく」という話をされていて、すごく興味深かったんですけど、それはどんな感じで分散化させていくんですか?
鶴岡:まさに考えは一緒で、今、人力で中央集権的にやってるところを、例えばAIが勝手に判断してくれるようになるまでは、本当の意味での分散化は難しいんじゃないかなと思います。人がつくったものっていつか死んじゃうと思うんですけど、やっぱりシステムで動く以上は、今は死ぬ確率が一番低い方法が分散化させる方法だと思うので。
NPOってやっぱり資金調達が難しいというのと、社会貢献的なところがあるので、分散化させて、みんなで育てていくようなシステムがつくりたいという思いがありますね。そういう意味では、NPO版のSPOTSALEのほうがICOは向いてるんじゃないかなと考えてます。
柿木原:ありがとうございます。今日来ていただいた方も含めて、最後に一言ずつ、メッセージいただけたらと思います。
事前のコミュニケーションが価値になる
清水:「本日はご清聴いただきまして、ありがとうございました」という、まずはそのお礼ですかね。みなさんありがとうございました。ちょっとこの中では、おそらく僕だけ毛色が違ってたのかなと思うんですけど、今後、美容業界だけじゃなく、予約と物販が発生するところは全部横展(開)していこうと思っています。例えば歯科領域ならホワイトニング材とか、歯ブラシを売っていたり。それで歯科医の先生がおすすめするとか。
あとは農業だと、生産者の顔を見て、野菜を売りたい人と買いたい人がいると思うんですが、そういったところのマッチングをライブコマースで伝えていく。そういうことは、どこでも起こりえるんじゃないかなと思っています。そういった購買におけるミスマッチをなくすような領域は常に模索して考えながら、プラットフォームを拡大していければ、と思っています。
みなさんもまだまだライブコマースで、販売・購入をしたり、「自分が配信者になろう」という方は、まだあんまりいないと思うんですけど。そういったところに注目していただきながら、1回試しに使っていただいたりすると、自分の髪の悩みや肌質についてコミュニケーションしながら、予約に行った時に「違ったな」ということをなくせるので。
事前にコミュニケーションを取ることはどんどん重要になっていって、みなさんがそれを価値だと認識していくことになるんじゃないかなと思います。以上になります。
(会場拍手)
奥田:今日は本当に、長時間にわたりありがとうございました。私はイーサリアムに特化した会社を経営する身ではありますが、本当にこれからお金の在り方が変わってきて、価値の在り方も変わってくる社会に生きてるんだなと、この業界にいて肌で感じております。
だからこそ、ここでしゃべられた方々のサービスを使ったり、それを第一歩として、本当に新しい生き方、新しいサービスに触れていくことが、これからは本当に重要になってくるのかなと思います。まずはSPOTSALEさんやALISさん、すべてのプロダクトに1回触ってみてほしいな、というのがあります。今日は本当にご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
トークンエコノミー領域は日本にもチャンスがある
鶴岡:今日はまず、こういう方々と話すことがめったにないので、こういう場をつくっていただきましてありがとうございました。
柿木原:ありがとうございます。
鶴岡:僕らの分野は、やっぱりまだ「これが正解」みたいなものが、あんまりちゃんと定まってなくて、日々、成長と退化を繰り返しながら成長してると思います。みんなで意見を出しあったり、切磋琢磨していきながら、一緒に成長していければいいなと思っています。今日はありがとうございました。
(会場拍手)
安:まずお越しいただいたみなさま、ありがとうございました。運営の方々も本当に、このおもしろいディスカッションの場に呼んでいただいて、ありがとうございました。
僕もちょっと同じようなことを伝えるんですけど、やっぱりこれって答えがない。なんとなく「理想はこっちだろうな」と見えてるけど、道筋や答えがないような、大海原へ漕ぎ出すような感じで。僕は「人生で生きてる間にこない」と思ってたんですよ。インターネットが取っちゃったんで。でも、いきなりブロックチェーンがやってきて、「きた!」という感じなんですよね。
今の状況だと、本当に難破する可能性のほうがぜんぜん高いと思うんですけど。僕たちもそこにチャレンジしていこうかなと思ってるんですが、やっぱりこれはコミュニティのみなさんとのチャレンジであって、別に僕たちの会社のチャレンジではないので。
少しでも興味を持たれた方は、ちょっとALISのDiscordなどに参加していただいて、クローズドβにも登録していただいて、一緒に新しい世界の片鱗をつくっていければと思います。今日はありがとうございました。
(会場拍手)
今田:今日はありがとうございました。今、安さんや鶴岡さんが言ったこととすごく似てるんですが、やっぱりトークンエコノミー領域の事業をやっていて思うのは、海外を見てもまだなかなか成功事例がないんです。だからこそこの分野だったら、日本初のスタートアップが世界的をリードしていけるんじゃないかと、すごくチャンスを感じているんですけど。
今、話を聞いてると、感じている課題や法律の部分は、けっこう近しいんだなと思いました。こういった場で意見を交換して、ライバルとしてじゃなく、一緒に業界を盛り上げていきたいと思いますし、非常に貴重な機会だなと思いました。ありがとうございました。
(会場拍手)
柿木原:本日はありがとうございました。
司会者:ということで、登壇者のみなさまにもう一度大きな拍手をお願いいたします。ありがとうございました。
(会場拍手)