Wi-Fiルーターのサイエンス
ステファン・チン氏:新しい家への引っ越しが済み、家具の設置や衣類の詰め込みも終わりました。あと残っているのはWi-Fiルーターを設置して、YouTubeにある科学チャンネルの最新動画を見るだけです。どこに設置するのが一番いいのでしょうか。回線が切れないようにするのは魔法やインターネットの神さまの気まぐれに頼るしかないのでしょか。いえ、科学の力でなんとかしましょう。
覚えておくべき点は、Wi-Fiはインターネットより古い、ラジオの仕組みが基盤となっていることです。最も基本的な部分を見ればラジオ放送局のようなものです。ただ使ってるのはマイクロ波とよばれる周波数の高い電磁波です。
そのため他の電磁波と同じく、ルーターのアンテナから遠ざかれば信号はそれだけ弱くなります。ルーターから1~2メートル離れると信号は4分の1に、3メートル離れると9分の1にまで弱まってしまいます。つまりWi-Fiルーターを設置するなら、使うデバイスにできるだけ近づけるのが鉄則ということになります。
またWi-Fiで使われている電磁波は壁や床、天井に吸収されてしまいます。配管がその中にあれば、水がWi-Fiの電波を非常によく吸収するためより弱くなってしまいます。 つまり熱帯魚の水槽の場所を、電波を遮らない位置に移動すればかなりの違いを実感できるでしょう。
またあまり気にかけない点ですが、私たちもWi-Fiを邪魔する「水」なのです。部屋にたくさんの人がいれば接続状況にかなりの影響を与えます。彼らに「出て行け」と言えば、『StrangerThings』(注:アメリカのテレビドラマ)が途切れることなく快適に見られるでしょう。
あるものの表面が光っていることは、光を反射させているため、金属も電磁波をよく反射させるために問題になります。つまりオーブン、テレビ、金属製の大きなテーブルといったWi-Fiの電波を散乱させてしまいます。
周波数帯の問題もある
ルーターを最大限に活かすには、自分とルーターの間にそうしたものを置かないことです。他にも隣に住んでる人も問題になります。ほとんどのWi-Fiは2.4ギガヘルツの周波数帯を使ってますが、その周波数帯を細分化した限られた数のチャンネルしか通信に使えません。
そのため隣の人と被ってしまえば、デバイスが必要な信号を受信し続けるのは難しくなります。新しい5ギガヘルツ帯なら利用できるチャンネル数が多いため、こうした問題は少なくなりますが、すべてのデバイスが対応しているわけではありません。
ここまで挙げたやり方を試しても依然として問題がなくならないならWi-Fiブースター(注:無線LAN中継機)を買ってみてもいいかもしれません。
しかし、その前に最後のヒントを試してください。ルーターのアンテナは全方向へ同じように電波を飛ばすわけではありません。また、アンテナの先端をデバイスの方へ向けることで、一層その方向への信号が強くなると思うかもしれませんが、実際には違います。
アンテナはリング上に電波を発する、つまりアンテナを中心軸としたドーナツ型に発する時に信号が一番強くなります。
ある方向に電波を強く送りたい場合、一番いい方法は、その方向に対してアンテナを垂直にすることです。今回紹介した方法を覚えておけば、たくさんのSciShowの動画をベッドでいつでも見られますね。