DMM亀山会長の社員育成法

小澤隆生氏(以下、小澤):やっぱし何回聞いても、亀山さんの話はすーっと入ってくるんですけど、すごい感がないじゃないですか。

亀山敬司氏(以下、亀山):すごい感がない? しょぼい感?(笑)。

小澤:いや、結果すごいですけど、亀山さんご自身で成功、ここまで来られたポイントはどこだっていう認識でいらっしゃるんですか?

亀山:ああ。というか、まあ結局はその……ここ(G1カレッジ)にいるのはけっこう頭が良さそうな人だけだけれど、やっぱりうちはもともとビデオレンタルとか飲食店だったので、まずはもう「みんな金を盗まないでおいてくれ」というところから始まった。「商品を盗むな」とか「金を盗むな」みたいな。「みんなちゃんと会社に来てくれ」「店を開けておいてくれ」と。時々行ったら、もう(店が)閉まってて、みんなそこで寝てるからね。

小澤:(笑)。

亀山:1人が商品を盗んだのを見つけたら、芋づる式に10人いて、社員が半分いなくなったりとかね。その中で真面目に残ってたやつが「お前、今日から店長!」というような(笑)。

そういう時代を経て現在にいたっているわけなので、今(会社に)入ってくる大学生とか見ると、もう感謝の気持ちしかない。誰も盗みそうにないし、もう「よくぞ来てくれた、うちの会社に」みたいな。

そういうかたちでいうと、その中で、当時金を盗まないで真面目にやってきたやつが、今の幹部になってるわけ。エプロンをつけてたやつに、「もう今からビデオレンタルじゃないから」というので、見込みがあるやつに「インターネットの勉強しろ」ってやらせてきた。

小澤:すごい。

亀山:だから企業の中に入ってから、人がどんどん成長する会社と、中にはだんだんダメになってくる会社もあると思うんだよね。言われたことしかやらないみたいな。場だけ与えておけば、けっこうみんな勝手に伸びていくところがある。だから成長する産業で好きにやらせていくということね。

社長の座も買収もとにかく任せきる

小澤:これは深いですよ、みなさん。起業家というと、孫(正義)さんとか堀(義人)さんとか三木谷(浩史)さんという非常にカリスマ性の強い、方向性を指し示し「俺についてこい!」という方々がいる中で、もう今のお話。任せ切るんですよ。どれぐらい任せ切るかというと、今年、社長を譲ったんですよね?

亀山:はいはい。ええ。

小澤:何歳ですか? (現社長の)片桐(孝憲)さん。

亀山:30歳……今34歳かな、35歳ぐらい。

小澤:サッと譲っちゃうんですよ。もう好き放題やらせてますよね。

亀山:好き放題ね。最近いろいろ買ってるけど。CASHとかね。

小澤:CASHって会社。

亀山:nana(music)とかね。まだ1回も(アプリを)ダウンロードしていないんでね(笑)。

(会場笑)

小澤:こんな人いますか? 圧倒的な人への信頼と任せ方なんですよ。僕はこんな人見たことない。もう全部、自分でやりたくなっちゃう人ばっかり知ってる。

亀山:(笑)。

小澤:70億円の買収も、「なんか買っちゃった」「(自分は)使ったことない」って言ってるんですよ。これはおそろしいですねぇ……。

亀山:結局、インターネットがわからないことを自覚しているので、できないことを自覚しておけば一応やる。新しいことをやろうと思えば、それしか手がないということになるかな。

小澤:FXとかやったことなかったらしいですよ。

亀山:うん。いまだにFXの売り買いをやったことないので(笑)。

小澤:(DMM FXの取引高)世界2位。だから、大人たちがよく言うじゃないですか。「好きなことをやり遂げなさい」ってね。それも大事かもしれないです。ただ、組織や人や事業を動かすときに、徹底的に人に任せ切るとこういう事例があるということなのかもしれません。

亀山:まあときどき金を盗まれることもあり(笑)。

小澤:先月、片桐さんに聞いたんですけど、「DMMには2つ決まりがある」と。なんでしたっけ? 1つは金……。

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