電柱によって「お祭り」が犠牲になっている

小池:面白いのが、無電柱化の目的っていくつかあるわけですけど、お祭りでね……雑司ヶ谷に本妙寺ってお寺があって、今回の民間プロジェクトでご住職にも参加していただいたんです。御会式っていうとても幽玄っていうか、優雅なお祭りがあって、そこで「山車」、山に車で「だし」。お味噌汁の出汁(だし)じゃないですよ。

デーブ:じゃないですね。

小池:……ちょっと無視したよね、今ね。

(会場笑)

デーブ:そこがミソなんで。

小池:(笑)。ということで、馬耳東風で。東風(豆腐)の味噌汁……。

デーブ:……だんだん、どうしていいかわからなくなってきましたけど。

(会場笑)

デーブ:お祭りはでもね、昔の風景だから。

小池:そのお祭りが、昔はすごく高かったわけですね、山車が。ところが電線に引っかかるからっていって、どんどん下がってったんですよ。

デーブ:高いのは祇園くらいしか思い付かないですけどね。

小池:祇園祭も、あれは通れるところだけとりあえず排除した。無電柱化した。だから脇道に入ろうと思っても入れないんですよね。

デーブ:でも大阪の有名なだんじり祭って、わざと電信柱にぶつけたりしてるもんね。あれはひとつの芸風になってるからね。

小池:(笑)。

デーブ:何にもぶつからないと「何だ、今年つまんない」っていう珍しいケースですよね。

小池:青森のねぶた祭りもどんどん低くなっちゃったとか。それぞれご覧になってる皆さんの地域のお祭りで、そうやって電線のために山車を低くしたとか、ウチはそういうふうになっちゃいましたとかいう方は、ぜひともご連絡をいただきたいと思います。連絡先は自民党の広報本部と言ってくだされば結構かと思うんですけれども。

デーブ:でも、さすがに金閣寺とかそういうところにはないじゃないですか。だから、止めてるところというか最初から立てないところもあるんですよ。つまり、やろうと思えば技術的にも何も問題ない。

小池:イエス。そうなの。

「無電柱化はコスト高」は真実か?

デーブ:よくコスト面のことを言われるんですよね。つまり、無電柱化すると工事費が高くなると言われるんですけど、実際はどちらなんですかね。

小池:それは高くなります。

デーブ:最初だけじゃないですか?

小池:ええ、最初ね。確かに高くなるんですけど、どこに聞くかによって倍数が違います。10倍かかると言ったり、5倍かかると言ったり。むしろ、埋めるときの工事費がかかるんです。

デーブ:はい、はい。

小池:ただし、工事は1回なんです。基本的にはね。だから、その間をちょっと我慢していただければね。それと、日本はお昼間に工事しないでしょ? 夜間工事するんです。夜間。やかん。

デーブ:お茶飲みたいからね(笑)。

小池:(笑)。それで、夜間工事だと余計に人件費が高いんですよ。お昼間はその上に鉄板とか並べちゃってまた通れるようにするんだけども、実はその数日間をちょっと我慢していただくだけで、本当はそのほうが早くできて値段が下がると。コストが下がると。そういうことなんですね。

デーブ:歯医者さんと同じですね。何回も虫歯の治療に行くんじゃなくて「1回でやってください!」って言いたくなるのと同じですよね。

小池:……あれはまた、ちょっと違うんじゃないでしょうかね(笑)。

(会場笑)

デーブ:(笑)。ようするに、効率が悪いんですよ! 夜に何回も分けるっていうのは。一気にやってほしい。お正月、全国で一気にやったらどうですか?

小池:すべて?

デーブ:すべて。全部お正月。一番ヒマですからね。

小池:でも、働く人たちもお正月楽しみたい。

デーブ:それはちょっと(給料を)プラスして。残業とかね。

小池:ただね、まず何をしなきゃいけないかっていったら、日本のこういう現状から、「日本は無電柱化するんだ」と意志を固めることです。

デーブ:そうですね。意識があんまりないですね。

小池:そのためには、皆さんに「そうだそうだ」と言っていただくことが必要で、そのためにこういう番組をやっています。それから、これは一種の……何て言うんですかね、ハコモノ行政でみんなから「何だ!」ってお叱りを受けるんだけれど、これは見えない形のハコモノ行政かもしれないんだけれども、しかし1回作ってしまうとやっぱり50年や60年は(保つ)。建設国債が60年ですからね。それを考えてみたら、これから一度やってしまうことによって、無電柱化は進んでいくというふうに思います。

デーブ:例えばローカルな区議員とか、市議員とか、そういう人たちが自分の政策のひとつとして、それこそ選挙のときの公約になるんでしょうけど、「無電柱化します!」ということを言う。それは権限として足りる(できる)ものなんですか? 政治家レベルで。

小池:それはできますよ。というか政治家が「そうだ」と言ってくれないと、それぞれの議会、地域の財政は厳しいでしょ? その中にあって「何で無電柱化なんですか?」って議員が言ってるようでは進まないわけですね。

デーブ:そうですね。

小池:「あれもやれ、これもやれ」ってみんなから受けてるけど、でも一回やることによって、これは社会資本になるということなんですよね。

デーブ:求められてないものならば、外国でこんなに割合が高くないはずですよね。

電柱の脇に経つ「黄色の棒」の存在意義

小池:それにね、やっぱりこれから高齢化ですよね。それによって車いすの人が増えていくわけですよ。下の写真なんか、車いすが両方で通るときに、いかに電柱が邪魔になっているか指し示しているんですが。

デーブ:はい。

小池:それと、同時に少子化でしょ? ベビーバギーが通りやすくしましょうね、ということで安心して通れる道づくりということになりますね。

デーブ:日本は災害、天災が多いので、下の写真を見てわかるように、外国にはおそらくないんですけど、支えるためのもうひとつもあるんですよね。この黄色い棒が真ん中にあって。おそらく外国では1本だけで済むんですけど、これも入ってくるわけですからね。狭さを見ても、真ん中に堂々と立ってますからね。

小池:ひとことで言うと、業界の力が強かったんです。

デーブ:あるね、はい。

小池:それに尽きるんです。皆さん、それに唯々諾々と応じてこられたんですよね。

デーブ:こんなもんだと。

小池:こんなもんだと。

デーブ:なるほどねー。

小池:でも、ここはデーブさんの発信力にもさらに期待をして、どんどん無電柱化があちこちで、各地で進むようにしていきたいんですけれども。

訪日外国人が撮りがちな日本の風景3つとは?

小池:それで、実は……皆さん、スマホとかお持ちでしょ? 私はいまだに二つ折りのガラケーなんですけれども(笑)。で、「上を向いて歩こう 無電柱化民間プロジェクト」の皆さんに、今キャンペーンをやっていただいております。

フェイスブックのページで作品の募集をしていますので、歩きながら……車に気をつけてね、歩きながら「えー! こんなに(電柱が)ぼうぼうになってるわ」というところの写真を撮って、ハッシュタグ「♯無電柱化」というのを付けて応募いただきたい。(すでに応募は閉めきっております)デーブさんも送ってくださいよ。

デーブ:そうですね。この、北斎の昔の絵を使ってるのが非常にインパクトがあってよかったですよね。

小池:かっこいいでしょ。

デーブ:「上を向いて歩こう」って坂本九さんの歌も。

小池:そうそう。

デーブ:これ(プロジェクト)、発足したのは7月? 6月ですか?

小池:7月ですね。

デーブ:2ヶ月経とうとしているんですけど、感触として、関心が高まって少しずつ無電柱化できそうですかね? 小池さんが見てると。

小池:進んでますね。非常に……今「国会議員など誰も信用できん」と出てましたけれども(笑)、国会議員の皆さんもとても熱心な方たちが増えてます。役所、霞ヶ関も「これはやっていきましょう」ということで、非常に協力的。それから業界関係の方々も「そうですね。じゃあどのようにしましょうか」と、具体的な話に移りつつあると。

デーブ:まあ時間はかかりますからね。実際にやるまでは。

小池:一番時間がかかるのは、なんとその地域のコミュニティの方々が「それでいこう!」と賛同されるかどうか(の段階)。特に、トランスって上に乗っかってるでしょ? ヒダの付いた丸々としたやつね。あれが地上に下りてくると、非常に無骨なのよね。

デーブ:どこに置くとか。

小池:そうそう。「ウチの前に置かないでね」みたいな、そういう話なんですね。

デーブ:それは言われますよね。トランスはひとつのコミュニティにあるわけですよね。

小池:あれはどうしても必要なんです。高圧で来たものをどうしても分ける必要がありますので。地下に埋めるということは、まず難しい。それから大きさも、急に小さくは……携帯電話の電池も小さくなりましたけれども、さほど小さくならない。であるならばね、それをむしろ……。(職員がスタジオ内に入ってくる)

デーブ:(笑)。

小池:職員の人が、まったく関係なく入って来られましたね。

デーブ:これ、番組やってるって実感がまったくないですよね。

(会場笑)

小池:(笑)。

デーブ:まあ、小さなトラブルというか悩むことはいっぱいあると思うんですけど、少しずつやっていけば。だって実際になくしてるところだってあるわけですよね。

小池:はい。ということでね、今日は……まだもう少しありますけれども。

デーブ:なんかまとめに入ろうとしてるんじゃないですか? さっきから。

小池:(笑)。

デーブ:何かあるんですか? 次が。

小池:大丈夫(笑)。でもね、このことは意識してない人としている人の差があまりにも激しい。ウチの党の職員も、この番組始めてから「そういえばそうだ」って、今気になってしょうがないって言うんですよね。(職員に向かって)ね?

職員:はい(笑)。

デーブ:お店の方はあんまり気にしてない様子ですよね。

(会場笑)

小池:気にしてないですね。普通にね。

デーブ:現状維持って感じがしますけどね。でも、海外生活している政治家も多いんですよね。子どもとか。だから違いがわかってると思うんですけどね。

小池:外国人観光客が日本に来て、例えば赤坂に行って写真を撮る。その対象物が3つある。何でしょうか?

デーブ:まあ電柱でしょうね。

小池:まず電柱。それから?

デーブ:……カラス?

小池:カラスじゃない(笑)!

デーブ:何ですかね?

小池:パチンコ屋。

デーブ:ああ、はいはい。

小池:あれはね、「みんな前向いて熱心に仕事をしているけれども、何の工場ですか?」って聞くんです。

デーブ:あ、ピンと来ないんですね。

小池:「そのわりには派手ですね」って言うんですね。で、みんな写真撮るんです。あと、3つ目。立体駐車場。

デーブ:そうですね。ないんですよ。

小池:車がゴンドラに乗って動いていて、「ディズニーランドか」って言うんですよね。

デーブ:あと円盤(ターンテーブル)もそうですよね。

小池:円盤もくるくる回ってね。

デーブ:不思議なんですよね。

小池:でも一番写真を撮るのが、さっきのニューヨークの(フリップにあった)電柱とクモの巣のシーン。あれを皆さん撮るって聞きましたね。

デーブ:タイムスリップしてるみたい。日本で時代劇とかなかなか撮れないんですよね。なぜかっていうと、どこかに電信柱があるから撮れないんですよね。

小池:そうですね。これからもね、あちこちのテレビ局をジャックして、突然話を変えて「ところで無電柱化について……」とか言って無理にでもやっていただければと。

デーブ:これほどゆっくりはしゃべれないと思うんですけどね。

(会場笑)

デーブ:もうあれですか? 次回の……。

小池:次回のお知らせに入っております。次回の放送ですけれども、8月25日(月)17:30から……ロバート・フェルドマンって知ってる?

デーブ:知ってますよ。アナリスト。証券会社のね。

小池:蝶ネクタイのね。

デーブ:ちょっと日本人離れした顔してるね。

(会場笑)

小池:外国人だよ(笑)。

デーブ:でもこれ、さすが小池さんはベテランで17時半って時間帯はいいですよね。ニュースを避けてるよね。ちょっと暇ネタに入るところ。「ラーメン激戦区」とか。

小池:そうそう。

デーブ:これ、17時か18時だとちょっとアウトですよね。

小池:17:55くらいから全国ニュースになりますからね。ということでございまして、今日はデーブ・スペクターさんをお迎えしての無電柱化対談でございました。どうぞ今後ともよろしくお願いします。ありがとうございます。

デーブ:ありがとうございます。

(拍手)