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2000年代に話題になった「狂牛病」の現在

2000年代に話題になった「狂牛病」の現在

日本では2000年代前半に話題になった狂牛病。正式にはBSE(牛海綿状脳症)と呼ばれるこの病気は、イギリスでは1986年に2つの症例が見つかったことに端を発し、世界的に広がる問題となりました。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、狂牛病の歴史と感染方法、現在の危険性について解説します。

シリーズ
SciShow
2017年9月20日のログ
スピーカー
Stefan Chin(ステファン・チン) 氏
参照動画
What Happened to Mad Cow Disease?

狂牛病とはなんだったのか

ステファン・チン氏 もしあなたが90年代、とくにイギリスに住んでいたなら、狂牛病による当時の混乱を覚えておられるかもしれません。 80年代から90年代にかけてわけもわからない間に数千頭もの牛が死に、しかも人間にも感染する可能性があるということで多くの人はパニックになりました。 今ではより安全な牧畜が行われるようになったことで、いたずらに心配する必要はなくなりました。専門家もすべてを解明したわけではありませんが、これだけは言えます。食べるステーキが感染している可能性はおそらく、まったくと言っていいほどにありえません。 狂牛病とは、BSE(牛海綿状脳症)の別名で、牛の神経系に感染する進行性の病気です。何年もかかって脳と神経系に深刻なダメージを与え、やがては歩いたり立ったりするのが困難になり、周囲の状況に過剰に反応して攻撃的になります。 「海綿状」という言葉にはスポンジ状という意味があり、牛の脳の本来なら細胞があるべき場所に多くの穴が空くことに由来しています。 最初に見つかった2つの症例は1986年のイギリスでしたが、実際に発症するまでに時間がかかることから、専門家たちは最初の感染が起こったのは70年代にまでさかのぼるだろうと考えています。流行のピークは1993年で、毎週数千頭もの牛が新たに感染しましたが、それ以来急速にその数は減りました。 BSEは、プリオンと呼ばれる自己複製型の奇妙なタンパク質によって引き起こされます。バクテリアやウイルスといった他の病原体はDNAを介して自らを複製しますが、プリオンは細胞膜に存在する通常のタンパク質が変形したものです。 時折こうしたタンパク質が本来の持ち場を捨てて変形するようですが、実際のところ何がどのように起こっているのかその理由はよくわかっていません。 さらにタンパク質がプリオンに変わると、別のタンパク質も引き寄せて同じように変形させ、さらに別のタンパク質も破壊していくというふうに続いてくのです。こうした動きが脳や神経系にまで広がっていくとついは脳にダメージを与えることになります。 Image01 ですがこれには時間がかかり、1年程度かからないと発症しません。

人間への感染方法と危険性

BSEは恐ろしいものですが、その感染方法はとりわけゾッとします。牛の餌となっている、羊や他の牛の肉や骨を混ぜ合わせたものが原因と考えられるのです。うぇっ! 羊にはスクレイピーと呼ばれる別のプリオン病があるので、このプリオンが羊から牛にエサを通じて直接入り込み、一連の混乱の原因になった可能性もあります。一方でタンパク質が別の方法で折りたたまれ、BSEの原因になったかもしれません。どんな原因だったにせよ、牛のエサが自体を悪化させたのは間違いないでしょう。 BSEで死んだ牛は、粉砕されてそのまま健康な牛のエサにされたので感染の広がりに拍車をかけました。 残念ながら狂牛病は人間へ感染する可能性もはらんでいます。ヒトへ感染したBSEは変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)とよばれ、同じく変形したタンパク質が原因となっています。 感染した牛を食べたことが原因なのかははっきりしていませんが、どちらもプリオン病で発症した時期も同じであるため研究者たちはその可能性を指摘しています。 狂牛病と同じようにvCJDも発症に数年かかりますが、一度発症すると急速に進行します。脳の萎縮が数ヶ月で進み、震え、認知症、歩行障害、ついには昏睡に至るのです。 今のところ治療方法はなく、患者は大抵1年以内に死亡します。世界的には280例のvCJDがあり、そのうち180例はイギリスで起こっています。残りのほとんどがヨーロッパで、たった4例のみがアメリカで発症していますが、それも海外で感染しました。90年代以降感染者の数は低下しましたが、牛から感染する以外のvCJDもあるため研究が続けられています。 狂牛病が広がりを見せるまでクロイツフェルト・ヤコブ病は珍しい疾患で、遺伝子変異の遺伝や臓器移植によって起こるタンパク質の変質が原因と考えられていました。 今では牛に安全なエサが与えられ、神経系の組織が混ざり込まないようにされているため、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の危険性は押さえられています。 さらにリスクの高い国に長い間滞在したり、ヨーロッパで輸血を受けたりした人は、リスクが少ないとはいえプリオンが血中に広がっている可能性がある貯め、アメリカで献血することができません。 とくに牧畜の手法が新しくなったことで感染をコントロールできたので、感染が広がって以来初めて、2016年にはイギリスで新たなBSE感染牛の報告はありません。達成感と安心感が広がりますね。 また狂牛病は神経系に広がる病気のため、牛乳や、ハンバーグやステーキに使われている部位から感染した証拠はありません。なので、ローストビーフで感染する可能性はありません。ぜひ知っておいてくださいね。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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