尿検査でわかること
オリビア・ゴードン氏:1日にトイレの水を何度も流していると思います。とくに何も考えずにそうしているでしょうが、おしっこは体調についてたくさんのことを教えてくれるんですよ。
妊娠しているか、ドラッグを使用しているかどうかだけでなく、尿は体に必要な成分の有無を教えてくれ、医師であれば尿から病気の手がかりも探します。尿には腎臓で濾過された毒素や老廃物、血中の過剰な物質が含まれているため、医師にとってはとても重要です。
つまり摂取すべきでないものを摂取していたり、腎臓に異常があったりすれば、尿はすべて教えてくれるのです。
またトイレに行くだけで採取も終るので簡単です。尿検査が素早くできるため、最初の検査はスムーズになりました。
こうした種類の検査では、専用の紙片を尿に浸し、その化学反応によって変わった色から多くのことが分かります。
pH値、特定の物質の濃度、細胞や亜硝酸塩分子の状態などです。
通常であれば尿には亜硝酸塩は含まれておらず、硝酸塩だけ含まれています。ですが、ある細菌が出す酵素によって硝酸塩が亜硝酸塩に変化すると、余分な亜硝酸塩が尿に含まれます。こうした場合、大抵は尿路の細菌感染が疑われます。
何かの病気に感染していれば侵入者と戦うために体は白血球を増産するため、尿には白血球が多く含まれるようになります。
一方で、タンパク質が多く含まれていれば、腎臓の異常や病気が疑われます。通常であればタンパク質は再利用されるので排出されないからです。
さらに、グルコース、つまり糖が過剰にあれば糖尿病が疑われます。
試験紙による尿検査に異常があれば、医師は遠心分離機にかけることもあります。分離させた成分を顕微鏡で観察し、細菌やバクテリアの有無、赤血球や白血球の有無から出血や炎症の状態を調べるのです。
他にも異常を調べる手法として、尿円柱と呼ばれる、細胞やタンパク質の固まりを調べるものもあります。
大抵は尿細管の中で形成されるため、尿円柱があれば腎臓病の可能性があります。
さらに、色々な形や大きさ、物質でできた結晶が見つかる場合もあります。
尿に結晶があるということは、腎臓結石になっているか、化学療法の危険な副作用が出ているか、不凍液などの毒物を摂取した可能性も考えられます。
尿の状態から自分で診断するのは難しいですが、実際に症状が現れる前に医師が異常を発見するために使う方法としてはとても有用です。
病院で検尿カップにするのは恥ずかしい検査かもしれませんが、医師にとっては純金のように貴重なサンプルなんですよ。