【お悩み②】半年以上”集客ゼロ”のカウンセラー「たえこさん」

茂木健一郎氏(以下、茂木):はい! 次の方! 次の患者さん、よろしくお願いします。

松岡修造氏(以下、松岡):患者さん。

茂木:これは決まっているの?

松岡:決まっていません。

茂木:順番が決まっているのかと思った。

司会者:いや、決まっていないです。

茂木:では、どうぞ。いらっしゃーい!

参加者2:夢のようなひとときをありがとうございます。

茂木:いらっしゃーい!

参加者2:大ファンです。おふたりの本を読んでます。

茂木:いらっしゃーい。

松岡:ありがとうございます。

茂木:何が悩みなのですか?

参加者2:最近、起業したのですが。

茂木:おー! すごい!

松岡:すごいですね! おめでとう!

(会場拍手)

茂木:何の会社?

参加者2:カウンセリングをしています。

茂木:へー、すごい。 というか、俺たちが、カウンセリングを受ける方じゃん!

(会場笑)

松岡:そうですよ。本当に。

茂木:どっちかといえば。それで?

参加者2:お客さまが、まだ0なんですよ。

茂木:そうか。頼む、みんな! え? どこでやってんの?

参加者2:お約束をして、来てくださった方に。

茂木:出張するの?

参加者2:どこでもいいのですが、会議室など、そうしたかたちで。英語と幼児教育。

茂木:ルノワールもあるし、スタバもあるし、みたいな。

参加者2:そうです。

茂木:そういうことですね。何が悩みなんですか?

参加者2:お客さんが来るかどうかが、すっごく心配で、それが悩みです。

茂木:ちなみに、何日目?

参加者2:11月から始めたので。

茂木:ちょっと、待った(笑)。

(会場笑)

今まで、何人? お客さん。

参加者2:だから、0なんです!

茂木:えー?

松岡:え、ちょっと待って。いつから始めて?

茂木:11月。

松岡:やめたほうがいいです。

(会場笑)

参加者2:えー? それ、ネガティブじゃないですか。

茂木:HPとかあるの?

参加者2:ブログがあります。

茂木:ブログが。

松岡:ちょっと、すごくこれ、冷静に言いますよ。

参加者2:はい。

松岡:11月からやって0人ということは、まずそもそも方法論が間違っているよね。

茂木:意外とネガティブ推しでくるね。

(会場笑)

まずは値段を下げてみよう

参加者2:すごくネガティブじゃないですか? ポジティブになってください。

茂木:ちなみに、お値段はどれぐらいで設定しているんですか?

参加者2:お値段は、2時間で32,400円です。

茂木:高!(笑)。

(会場笑)

参加者2:高いですか?

茂木:え? ちょっと高くない?

松岡:だいぶ高いですよ。

参加者2:そうですか?

茂木:それ、どう? 2時間で32,000いくら。

参加者2:はい。

茂木:えー? みんな、なんか。

松岡:それ1対1とかいうのではなくて?

参加者2:はい。1対1です。もちろん。

茂木:ちょっと、値段安くしない?

松岡:安くできませんか?

参加者2:そうですね。確かに。

茂木:いろいろ実験することが大事だから。

参加者2:そうですね。やってみます。

茂木:ただね、人によっては、高いほうが、いい人もいるだろうし。

参加者2:はい。

茂木:でも、いくらぐらいだったらいいと思います? 修造さん。これのちょっと、値段付け。

松岡:こういうのは、今1万と言われただけでも、うっ! とくると思いますね。

参加者2:あ、そうなんですね。

松岡:僕だったら、とりあえず、まずいろいろトライして。

茂木:お試し。

松岡:予算というものを、どんどん聞いていってもらったら、みんなたくさん来るのではないでしょうか。その中で「いや、先生これはもっと払わせてください」となって、カウンセリングとはたぶんそういうものだと思うのです。だって、人を変えてくれるわけだから。

参加者2:はい。

松岡:いきなり始める前に、「32,000円~」。

(会場笑)

それはなかなか……。

茂木:10分、1000円とか。

参加者2:そうですね。

茂木:そこから始まって、さらにちょっといいコースにいくみたいな。

松岡:カウンセリングは、肩もみとかと違いますから、お金で解決するというドライな感覚でお客さんは来ないと思うのです。これをポジティブにするには、どうしますかね?

ブログを炎上させてみよう

茂木:ちなみに、ブログの読者はどれぐらいいるの?

参加者2:読者、5人です。

(会場笑)

茂木:これ(注:参加者2の着ている服をさして)、marimekkoでしょ?

参加者2:いえ、違います。

茂木:違うの? marimekkoっぽくない?

参加者2:ちょっと似ていますね。

茂木:そのイメージがブログで出ている?今お話していると、すごく楽しい感じなのですが。

参加者2:ありがとうございます。

茂木:そのイメージが、ブログに出ているのかなと。

参加者2:出ていないと思います。

茂木:あと、キンコンの西野とかがやっているのは、炎上商法。

(会場笑)

だから、なんか炎上させると。俺は違うよ? 俺は違う! 西野は毎日炎上させてるから、ブログ。

参加者2:へー。

茂木:ちょっと参考にしたら? 炎上。

松岡:そんな参考でいいんですか? そんな炎上。

参加者2:一応母親なので、あまりそういうことは。

茂木:そうか。難しいとこですね。これは。

状況に耐えながら情熱をアピールしていくべし!

松岡:先生、書いて。ポジティブアンサー。

茂木:俺、書こうか。

松岡:お名前が、下の。

参加者2:たえこです。

茂木:へー。どうしようかなぁ。

(参加者2のために松岡と茂木が、悩みのポジティブアンサーを書く)

司会者:では、次の方~!

(会場挙手)

茂木:はい。では、修造さんから。ご回答がいくみたいです。

松岡:もう、僕は話を聞いていて言います。たぶん、お金を安くとかそういうことじゃないですよ。

茂木:ない。

松岡:たえこさんは。今は、「たえこ、たえろ!」 

(会場笑)

本当、だって耐えるしかないでしょ。

茂木:いわゆるシャレというやつですね。

松岡:シャレじゃない。なぜなら、たぶん32,000円と言ったとき、ものすごく自信を持っていたのですよ。それでやりたいのですよ。でも、それで来ないということは、まだお客さんが、ポジティブじゃないんですよ。

茂木:カウンセリングだって、値段が青天井でしょ。

松岡:そうです。

茂木:セレブ向けのやつだと、すごい値段になったりするからね。

松岡:だから、とにかく耐えていく中で、必ずチャンスがやってくるから。名前通りにやっていたら。先生は? 茂木:俺は、さっき言った通り、「もえろ」です! 「もえろ!」。どういう意味かと言うと、さっき西野の話をしたけど、あいつ『プペル』という絵本を作りましたよね。ガチで炎上して、みんなが話題にする、ずーっと前から「ディズニー超える!」と言っていたから。やっぱり、燃えないと! 自分が。

松岡:燃えていない?

参加者2:燃えてます。

松岡:燃えてる。

茂木:燃えてるんだ。その情熱を、もっとわかりやすく出さないと!

参加者2:そうですね。わかりにくいですね。

茂木:そうそう。今、幸せなんじゃないか?

参加者2:いや、そうですかね。

茂木:それが、まずいんだよ! 西野、幸せじゃないもん! あいつ!

(会場笑)

松岡:もう先生の言葉というのは、ポジティブに捉えていいのか、ネガティブか、わかんないっしょ?

参加者2:わかんないです。

松岡:これが、ポジティブ。

苦しみを乗り越えたオーラが人を引き寄せる

茂木:カウンセリングに来る人は、幸せじゃない人がくるわけじゃない。

参加者2:いや、そうですか?

茂木:そうですよ。 基本! 基本! そうなの。

参加者2:えー。

茂木:そうすると、例えば江原さんなどが典型なんだけど、江原さんは子どものとき、いろいろと苦しいことがあったのよ。その苦しいことが、彼のオーラになっているわけで。(この仕事を)やっているということは、なにかあったと思うの。苦しいことやつらいことが。

参加者2:あります。

茂木:それを自分なりにうまく。

松岡:そうね。自分なりに。

茂木:乗り越えて表現できるようになると、「なんか行きたくなったなぁ」と思われるようになると思うよ。

参加者2:そうですかね。

茂木:うん。

参加者2:わかりました。

松岡:俺の場合、カウンセリングするとしたら、「いいか! 絶対できるぞ!」なんて僕、絶対言わないと思います。なぜなら、俺も弱いから、その人に共感して、ある意味自分もこういう弱さがあるよと。だからこそ、心も含めて、経験していると、それを伝えたら。

茂木:早い話が松岡修造というキャラクターは、完成された作品ですからね。この人、もともとこんな。よく言うじゃん! 修造が来ると、気温が3度上がるとか。

(会場笑)

これは、この人のひとつの作品なんですよ。もともと、この人はいろいろ大変なことがあったわけだよ。周囲の聞き込み調査の結果、そういう結論に達した。

(会場笑)

ここまでいくのに大変だった。だけど、このオーラは、やっぱり今いいでしょ。

松岡:すごい、先生と話していると燃えてくるわけ。勝手にポジティブが入ってくるのよ。

茂木:だから、がんばって。貼るから。marimekkoじゃん!

参加者2:違います。

茂木:はい。貼りました。ありがとうございました。たえこ、がんばって!

(会場拍手)

気を付けて帰ってください。

【お悩み③】旅仲間が欲しい旅行作家志望の高校生「長田くん」

司会者:次の方! どうぞ。

参加者3:はい!

松岡:もりしーなに?

茂木:テープチェンジ。

松岡:あそこ炎上してるのかと思った。

(会場笑)

茂木:現場では、よく厳しい言葉が飛び交います。

松岡:真面目ですよ。彼は。

茂木:どうぞ。来た感じしますね。

松岡:お名前は?

参加者3:長田です。長田まことです。

茂木:昔の『うしろの百太郎』とか、ああいった漫画の主人公っぽいね。

松岡:いや、知っている人が少ないから。

(会場笑)

茂木:どうぞ、(真ん中に来るよう、手招きして)もっと。どういうお悩みが。

参加者3:自分、一人旅が趣味でして。

松岡:一人旅。似ていますよ。

参加者3:夏休みとかに、ママチャリで、テントを後ろに背負って、長野一周をしたりするんですよ。去年の夏ですが。

茂木:君、学生?

参加者3:学生。高校生です。

松岡:高校生?

参加者3:そうです。

松岡:もうちょっと見えるようにがんばれ!

(会場笑)

茂木:そうかそうか。偉いじゃん! とりあえず、偉い!

参加者3:暇な友人がなかなかいなくて、困っているんですよ。

茂木:二人旅したいの?

参加者3:二人旅というか、なかなか趣味の合う、気の合う人がいなくて。

松岡:友達を作りたいの?

参加者3:友達というか、はい。

茂木:高校は、行ってるよね?

参加者3:はい。行ってます。今日は、テスト帰りです。テスト終わってから、部活終わらせて、そのまま来ました。

茂木:ちなみに、共学?

参加者3:共学です。

茂木:どっちが欲しいの? 男の子と女の子の。

参加者3:それは、趣味が合うなら、まぁ……はい。

(会場笑)

参加者3:炎上させてしまってすいません。

松岡:いいんだよ、ぜんぜん。

茂木:同性の友だちと異性の友だちでは、ちょっと意味合いが違ってくるんだよね。とりあえず、男の子の、同性の友だちでいいの?

参加者3:はい。

実は“周囲に合わせるタイプ”の修造さん

茂木:ちなみに、俺、前から疑問に思ったんだけど、修造さんのこのテンションに合うお友達っているんですかね?

(会場笑)

松岡:みなさんが思っていることは、茂木先生のテンションに合う人はいるのだろうかということでしょ? 僕よりぜんぜん熱い。気付いていないだけですよ。

茂木:俺もオードリーの若林とかに「友達いないでしょ?」って言われたもん。ま、それは置いといて。みんな同じだということで。

松岡:みんな同じ。

茂木:修造さんは、どうやって友達見つけました?

松岡:僕はどちらかというと、人と仲良くしたり、明るくさせることが好きなんですよ。だから合わせることが好き。

茂木:相手に?

松岡:自分勝手にいくというよりも、周りに。みんなたぶん、そうは受けとってはいないと思いますが。

茂木:今、微妙な空気。

松岡:だから、どちらかというと、天然と思ってくれているほうがうれしいのですが、周りをどうやって盛り上げるか? 自分というよりも、周りという感覚はすごく強い。

茂木:なるほど。

参加者3:周りに合わせようと。

松岡:合わせちゃダメ。

茂木:合わせようとは。

松岡:君は、絶対ダメ。合わせたら。

ひとり旅にとことんこだわれ!

茂木:将来は何したいの?

参加者3:旅行作家になれたらと。

茂木:旅行作家か。

松岡:1人の方がいい。1人で行けよ!

(会場笑)

茂木:文章は書いてるの?

参加者3:文章は、まだ書いていないんですが、自分の日記のようなものがあって、それで少しそれを模写していけたら。

茂木:それブログかなんかに書いてる?

参加者3:ブログにはしていません。

茂木:ネットでやると読者つくから。友達、自然に増えるよ。

松岡:そうだね。

茂木:ブログ開設してないじゃん。

参加者3:開設ですか。パソコンは、あまりやっていないので。

松岡:なに言ってんの?

(会場笑)

茂木:今だって、スマホ持ってるでしょ?

参加者3:スマホあります。

茂木:スマホで、ぜんぜんいける!

参加者3:ブログやったことないんで。

松岡:でも、そんなのすぐにできるよ。

茂木:修造さん。だって、一人旅するほうがすごくない? ブログなんて簡単じゃん!

松岡:そう! 二人旅になったら、めんどくせぇぞ。好きなとこ行けなくて。

(会場笑)

茂木:しかも、ママチャリで行ってんだろ?

参加者3:そうです。

“自分だけの望遠鏡”を見つけるべし!

松岡:そう! だから、すぐ答え出た!

茂木:もう書いたの?

参加者3:答え出ました?

茂木:早いなぁ。

参加者3:長いに田んぼと書いて“おさだ”と言います。

松岡:おさら?

(参加者3のために松岡と茂木が、悩みのポジティブアンサーを書く)

松岡:まず高校生でね、こういうかたちで。(スタッフに向かって)まだ見せちゃダメ。

(会場笑)

高校生が、こうやって1人で出てきたということに、拍手送るわ。緊張してたもん。

(会場拍手)

もう声が震えていたからね。

茂木:えらい! なんか持ってる。

松岡:先生が絵でくるから、僕が先にいく。長田くん、俺は絶対1人の方がいいと思う。なぜならそれが自分の個性でしょ? 自分で一人旅をしていって、コメントをだしていれば、勝手にこれ仲間が出てきますよ。長田のコメントが好きだなと。長田しか書けねぇもの。

だから、道の一人旅じゃないけど、「長太ひとり旅」。絶対一人旅で行け。俺は、もうそれしかない。先生は?

茂木:俺ね。羽生さんという、将棋の人知ってる?

参加者3:最近有名な。

茂木:最近じゃない!

(会場笑)

昔から有名だわ。お前おもしろい! 持ってるわ。羽生さんは将棋が得意だけど、周りにいないじゃん! どうしたかというと、将棋会館というところに行って、奨励会に入って。つまり、遠くに行かないと、君の志と同じ人はいないの。ということは、遠くを見なくちゃいけない。これ下手くそな絵でごめんね。 

松岡:遠く。

茂木:望遠鏡。遠くを見ている。遠く。近くを見るな。遠くには、君と気が合う人が、絶対いるから。それならどうやったら、この望遠鏡を手に入れられるかということを考えたらいいじゃん! ブログを書くのも1つの望遠鏡だし。

今日ここにくるのも、1つの望遠鏡だった。ここには、編集者が推定……そうだな。7人はいるわ!

朝日出版社の編集者も今確認したけど。電通の人もいる。君という人間、今なんだか認識されたわけだから。

ひょっとしたら、あのカメラマンの人が、局に帰って、ディレクターに「高校生でママチャリで一人旅してるやついるんですけど、どうっすかね?」みたいな。わかんないけど。みんなにそれを知ってもらえたらええやんな。

松岡:だから、高校生でしょ。君には、もう失敗なんかないんだから。

茂木:そうだよ!

松岡:とにかくまずは今、「長太ひとり旅」。

茂木:そして、「遠くを見よう」。よし!

松岡:おめでとう! がんばれ!

(会場拍手)

茂木:がんばれ!

松岡:ちょっと待って、あと何分あるの? これちょっと申しわけない。

茂木:ラストか。

松岡:もうちょっとやっていい? 帰り仕事ある? 大丈夫? 先生、大丈夫?

茂木:いや~大丈夫ですよ。

松岡:先生から、すげぇためになるわ。

茂木:大丈夫ですよ。あの子が。