だいたい10年ぐらいで辞めるカルチャー

田中研之輔氏(以下、田中):ちょっとリクルートの話が出てるんで聞きたいのは、スドケンさんの場合は執行役となって、いわゆる幹部研修みたいなのに土日に出てたわけでしょ? 会社の費用で。

須藤憲司氏(以下、須藤):はい。

田中:そうすると、会社側はこの人材は抜けてほしくないわけじゃないですか。この人材に組織を担ってほしいと思ってる人がスパーンと出ていっちゃう時って、ハレーションは起きないの?

須藤:起きるんじゃないですか、やっぱり(笑)。

田中:起きる?

須藤:うん(笑)。

田中:「なんでだよ!」みたいな?

須藤:あ、言われた。言われました。

田中:「おまえは行かないでくれ」とか?

須藤:引き止めみたいなの。あります、あります。

田中:それはある。

須藤:もちろん、はい。

田中:だけども、「やりたいこと、志があるんで出ます」と。

須藤:そうですね。なんだろう、でも、基本的な会社の姿勢として、だいたい10年ぐらいで辞めちゃうんですよ。辞めちゃうというか、会社のカルチャーなんですよね。だから、退職することを「卒業」って言うんですよ。誰々さんの卒業式とか言って。僕、新入社員で入ったんですけど、直属の先輩とか、超尊敬してた上司とか、ボコボコ辞めていくんですよ。

(会場笑)

須藤:だから、送り出す側になってるから、気持ちはわかるんですけどね。「そうなんだな、人の人生ってさまざまなんだな」って。

田中:出ていってもつながってるから。

須藤:あ、そうそう。

田中:「元リク」とかなんか言ってつながってる、すごいですよね。

地頭の良さと自責思考、そして好奇心

須藤:そうですね。今の質問で、僕はあんまり答えられてないけど、逆に僕が「自分で面接する時に何を見てましたか」っていうこと。僕は最終面接だったので、基本的には3つしか見てなくて。

1個は地頭の良さっていうのをすごく見るんですけど、地頭の良さってなにかっていうと、よくGoogleとかだとフェルミ推定っていって。例えば「サッカー場の砂の数って何個?」とか、難しい推定をしていく、考え方ですよね。でもそれは別に正解を求めてなくて。

リクルートの場合は、基本的には「なんであなたはそう思ったの?」ということをすごい聞いてくるんです。「なんで、なんで?」って。それってなにを見てるのかっていうと、地頭の良さをすごい見てる、物事の考え方ですよね。考え方、捉え方とか。

なんでそんなことを見てるのかっていうと、リクルート自体が事業を変えていったり、新しい事業を作ったりっていうことをやるんで、ベーシックな頭の良さ。頭の良さって、勉強ができると頭がいいっていうのとちょっと違うんで。僕なんか勉強はぜんぜんできないので、そういうのはたぶん落ちるんですけど。そういう地頭の良さっていうのはすごい見てますね。

それって、実は「なぜ?」っていう質問にも出るし、あと、コミュニケーションにすごい出るんですよね。「この人頭いいな」っていう人って、会話のキャッチボールがうまいんですよ。

田中:うんうん。

須藤:コミュニケーション能力とかよく言うけど、あれは何かっていうと、会話のキャッチボールとか返しがすごくうまくて、話が盛り上がったりとか。あれは特徴的にすごく出るところなのかなと。

地頭の良さでしょ。もう1つはね、自責思考かどうかをすごい見てますね。自分事になるか。要は、他人のせいにしないってことですよね。

田中:自責。

須藤:「自分の責任」って書いて自責。自責思考があるかどうか。僕はあと、もう唯一、これは絶対自分の中で見てて、これがなかったらもうダメってしてたのは、好奇心があること。

田中:うんうん。

須藤:知らないことに対して、貪欲に知りたいと思う気持ちがあるか。なんでそんなのを見ていたかというと、社会人をやってたら、はっきり言うと、フレームワークとかさっきの英語とか会計なんか、「やれ」って言ったら勉強したらだいたいみんなできるんだよね。

だけど、そういう根源的な部分って教えてあげられないから、「好奇心を持て」って言っても持てないんだよね。もうその人が育ってきたことで決まっちゃうから、後天的に植えつけられないんで。例えば、さっきのフェルミ推定を知ってるとかどうでもいいわけですよ、こっちは。そんなの勉強すりゃいいじゃん、って。

だけど、そのことに対して興味を持ったりとかっていう気持ちは教えられないので、それをとにかく見てましたね。それがなかったら、絶対伸びない。だから、それがある人とない人で、伸びの差が激しすぎる。なんでもおもしろがって、「何ですか? これ」みたいな人はスポンジみたいにサーッと伸びていく。

油断をさせて相手の好奇心を測る

田中:面接をしてる時に、「この人、好奇心があるな」っていうのはどういうふうにしたら……普通にしゃべってたらわかりますか? 地頭がいいとか、キャッチボールがうまくできるっていうのは。

須藤:僕はずるいんで、油断させるんですよね。面接も、「面接を始めます」って言うまで面接を始めていないふうにして、雑談を始めますね。「今日は暑いね」とか言って。

田中:そういうところで見るんだ。

須藤:「今日は何回目なの?」とか、「どうだった? 今まで」とか言いながら、「ちなみに、最近何のアプリを使ってるの?」とか。まず使ってるアプリでけっこう、最近の子たちの好奇心は測れるな、と。

田中:そうですね。感度がありますもんね。

須藤:僕はSnapchatとかぜんぜん意味がわからない派なので。

(会場笑)

須藤:使ってるけど、ぜんぜん楽しくない派だけど、「なるほどね」みたいな。

田中:「Snapchatはいいです」とかどんどん言ってくるとね。

須藤:そうそう。なんだっけ、そういうのいっぱいあるじゃん、カメラアプリとか。「けっこう新しいの使ってるけど、なんで?」って。やっぱり新しいもの好きの人は好奇心が強いケースが多いよね。

田中:そうですよね。

質問者3:先ほどスドケンさんが、最終面接の時に意識してる3つの要素みたいなものを、好奇心に関しては後天的につけることがけっこう難しい、とおっしゃっていたじゃないですか。これを学生時代に養うとすれば、なにかいい方法って思いつきますか?

須藤:好奇心?

質問者3:好奇心……まあ、その3要素なんですけど。

須藤:そうだね。思うんだけど、興味のあることをやってみることじゃないかな。「これって何だろう?」って思った時に行動に移せるかどうかって、けっこう大きな差になるから。なんでもいいんだけど、「あれやってみよう」ってパッと思いついて。それをちゃんと本当にできるかどうかとか。

あとは旅行に行ったりっていうのもいいと思います。別にインターンするのでもいいし。会社でインターンしてみるとか、なんでもいいんじゃないですかね。でも、行動したほうがいいと思うね。

好奇心を養うには“人に会う”こと

田中:ちょっと今の質問は橋本さんにも聞きたいですね。橋本さんはたぶん、いろんな社長に会ってると思うんですけど、好奇心の塊だなと思って。好奇心って言うとあれですけど、吸収度が半端ないかなと。あと、スドケンさんがさっきおっしゃってた、行動に移すスピードと実行力がすごいかなと思って。

お忙しいと思うんですけど、こうやって「スドケンさんがやる」って僕がソーシャルに書いた時に、パーンとすぐ連絡が来て、「じゃあ、ぜひぜひ」って。ここに来る前に、「スドケンさんに言わないようにしてサプライズしましょうよ」みたいなことをやって楽しんでた、っていう。

橋本真里子氏(以下、橋本):そうですね、はい(笑)。

須藤:(笑)。

橋本:好奇心を養うのは、私は小さい頃からけっこう好奇心はあったほうだなと思うんですけど、でも、まさか自分が起業するとは思ってなかったです。企業に至った理由の1つとしてたくさんの人に出会って刺激をもらって、背中を押してもらいました。、須藤さんに会ったりとか、タナケン先生に会ったりっていう、いろんな人に会うことをおすすめします。

田中:うん、いろんな人に会いますね。

橋本:私はいろんな好きな人がたくさんいるんですけど、その好きな人が興味を持って話してくれたことって、「知りたいな」と思ったり、「それってどういうことだろう?」と思って調べてみたりとかするので。

それを自然と……たぶん彼女とか好きな人ができて、その彼女がこういうものが好きだとか、こういうことを勉強してるんだと思ったら、仲良くなるために、距離を縮めるために、勉強するじゃないですか。

なので、とにかくいろんな人に会って、人にまず興味を持って。その人がどういうものに興味を持っているからこういう考え方なんだ、と。とにかくいろんなところに行って、いろんな人に会うのって、けっこう変えられると思います。

田中:すばらしいサジェスチョンだと思いますね。やっぱりスドケンさんもいろんな人に会ってるんですよね? 会わざるを得ないっていう立場でもあるけど。

須藤:そうですね。

田中:そういう意味では、大学の頃もそうでした?

須藤:うーん、ぜんぜん。なんて言うか、もう本当に不真面目だったので。

田中:(笑)。ここカットで。

(会場笑)

人には歴史体験が詰め込まれている

須藤:ずっと麻雀してたし、誰か代返してくれる人をとにかく募集し続けるとか。確かに人っていうのは「そうだな」と思います。でも……そうか、僕は意外と外部からの刺激というより、やっぱり内発的な動機の人なんですよ。

田中:うんうん。

須藤:僕はあれなんですよ、根暗なんですよ、たぶん。だから……ちゃらんぽらんに見えるんですけど。

田中:わかる。しっかり考えてるよね。

須藤:あ、そうそう。だから僕、いろんな人に会ったりとかしても……。タナケンさんとかすごいんですよ。多動症だから(笑)。

田中:そう。

(会場笑)

須藤:もう本当に。ほら、「ワーッ!」とか、「パーティー、イェイ!」みたいな感じなんだけど。

田中:(笑)。

須藤:僕は家で1人で本とか読んでいたい派なんだけど、確かに今橋本さんが言ってたみたいに、人に会うってけっこう刺激になるから、それはすごくいいよね。

田中:人って、僕は歴史だと思ってるので。その人が、こうやってその人の、自分ができなかった歴史体験をこの身体に詰め込んでるわけじゃないですか。だからほしいよね、どんどん。

須藤:うん。

田中:スドケンさんとか、スドケンって本当に……。ちょっと前だけど、デジハリでやった後に西野たちと飲んだ時に、なんか国家の話とかしたよね。

須藤:うん。

田中:この人おかしなこと言い出したよなっていうぐらい、あのね……。僕の中ではスドケンさんとか、名前出していいかわかんないけど、VOYAGEの宇佐美さん、あとはウォンテッドリーの仲さん。この3人は起業家の中でも、哲学、理論思考というか、論理的思考が強いというか、好きというか、大事にされてる人だなと思ってて。宇佐美さんとスドケンさんは思考が似てると思うんだけど。まあ、それぞれだと思うんですよね。僕はそういうのあんまり好きじゃないから、実は(笑)。

須藤:(笑)。

田中:一緒にやって、人との化学反応でインスピレーションがわく系で。

須藤:僕は掘る派ですね。だから、1人で掘りたい。

田中:ね、掘るよね。ディギングだね。

須藤:そう、穴を掘りたい派です。

橋本:私は掘るのは嫌いなので、掘ってる人の話を聞いて勉強する。

田中:あ、一緒だ。

須藤:(笑)。

(会場笑)