赤い着色料に隠された秘密

オリビア・ゴードン氏:ストロベリーヨーグルトは朝食に、そして3時のおやつにぴったりですよね。みなさんはこのピンク色は赤いイチゴと白いヨーグルトが混ざってできた色だと思っていますよね?

実はそのヨーグルトの原材料の中にカルミン酸、コチニール、E120または赤色4号が含まれている場合、そのヨーグルトの色は粉末状の虫で着色されているのです! 

ほかにもこの虫は、ピンクや赤色の食品の着色料の中に含まれます。ゼリーやキャンディの中、そして口紅などの化粧品にも含まれることがあります。

食べ物の中に虫が入っていると聞くと気持ち悪く思うかもしれませんが、これは自然の着色料ですから、あなたがアレルギーを持っていない限り、口にしてもまったく害はありません。この明るい赤色は特定のある小さな昆虫、メスの「コチニールカイガラムシ」から作られます。

彼らはウチワサボテンに生息し、何百年にも渡って染料として使われています。

オスは羽が生えているため飛んで、交尾をしたり敵から逃げたりすることができますが、メスの生態は単純で、樹液を吸って身を守るだけです。メスは生まれるとまず、自分が住み着くサボテンに口の部分をくっつけ、食事をとり始めます。彼女はそれから一生その場所に留まり動きませんが、身を守るためにいくつかのトリックを使います。

ワックス状の白いコーティングを分泌し、カルミン酸を合成するのです。カルミン酸分子は彼女の血リンパ内で塊となって保管されます。血リンパとは昆虫が持つ、人間でいう血液に当たるものです。

それにより、アリや有害な微生物などの天敵を撃退するのです。このカルミン酸がたまたま明るい赤色をしているのです。そしてコチニールカイガラムシの乾いた体重の20パーセントほどがカルミン酸でいっぱいなのです。この昆虫1匹はだいたい米粒一粒ほどの大きさです。ですからそれを集めて、乾かし、潰すという処理をしなければなりませんが、一キロの染料につき、何万匹もの昆虫が必要となります。

大変な仕事ですが、カイガラムシは少なくとも10世紀頃から、アステカ人やメキシコの先住民たちにより飼育されてきました。そして彼らを16世紀に征服したスペインの植民地住民たちにとってその染料は大きなヒットとなりました。

彼らはコチニールを「赤い金」のように扱い、コチニールの商品、もっぱらコチニールで染めた布を世界中ではじめて売るようになりました。今日、赤い染料の主な輸出国はペルーとカナリア諸島で、そこでは昆虫がウチワサボテンの中で養殖されています。

ですから、みんなが昆虫からできた染料と聞いて快く思わないかもしれませんが、実際人類は何世紀にも渡り同様の染料を使ってきたのです。しかし、ストロベリーヨーグルトにあのピンク色をつけるのに昆虫を使わない方法もあります。トマトから採取される「リコピン」、そして赤キャベツから採取される「アントシアニン」を使う方法があります。

それに、当然ですがイチゴの色だけを使って白っぽい色のままにすることだっていいわけです。