もっと知りたい火山の秘密

マイケル・アランダ氏:「火山」と聞いて思い浮かぶのはきっと、流れる溶岩、南の島、またはもしかしたらポンペイで起こった悲劇が挙げられるかもしれません。しかし火山はあなたが想像するよりもさらにずっと大きく、広大な規模での影響を及ぼすことがあるのです。

巨大な火山の噴火後には、他の自然災害が引き起こされたり、広範囲に及ぶ冷却があったり、病気を引き起こすバクテリアのDNAが出てくることすらあるのです。火山は、地下にある時「マグマ」と呼ばれ、地上にある時「溶岩」と呼ばれる溶岩石が地球の表面に、押されて出てくることを言います。

それらが形成されると、それは地球を大きく変えてしまいます。「地質構造プレート」と呼ばれる地球の2枚の層が互いに離れると、マグマが入り込む隙間が生まれ、新しい層が形成されます。

そのようにして大洋中央海嶺が形成されたのです。または、2枚のプレートがお互いに向かって動くと、重い方のプレートは一方の下に沈み込み、温度の上昇と共に溶けてしまいます。

その両方の場合において時に、マグマが地表の亀裂から速度を上げて地表に出てくると、火山の噴火が起こるというわけです。火山はまた、ホットスポットの上に形成されることもあります。それは地層の下にある、非常に高温な場所のことで、地質構造プレートを溶かすことができるほどです。プレートが動いている間、そのホットスポットはその場に留まります。それゆえにハワイのように鎖状の火山が形成されるのです。

基本的な火山活動のサインは、溶岩の流れと熱です。しかしそれはただの始まりにすぎません。爆発が始まるとさまざまな物質やガスが周囲に向かって吹き出されます。みなさんもご想像の通り、それが問題を引き起こすのです。

それら化学物質の中には「温室効果ガス」として知られる化学物質も含まれ、それは二酸化炭素のようなものです。火山噴火により現在放出される二酸化炭素は、現在人間が放出している二酸化炭素の1パーセントにも満たない量です。しかし大昔にはもしかしたらたくさんの巨大な火山噴火が起き、それにより地球温暖化とその悪魔の双子である、海の酸化が生じてしまったのかもしれないのです。大気中の二酸化炭素は海水にも溶け出し、それにより高濃度の酸性にしてしまうため、さまざまな海洋動物に深刻な危険を及ぼしかねないのです。

火山がもたらした自然災害

最近起こった噴火でも大きな被害が生じました。例えば二酸化硫黄による被害です。それが成層圏に入り込むと、水蒸気と反応して、硫酸の雫がたくさん形成されます。それが太陽の放射線を反射させ、下部の大気を冷やします。

その噴火の規模がどれくらいのものかにもよりますが、硫黄の煙霧が極小の灰の分子と混ざり、大気中にしばらく滞留することがあります。その冷却は地球の非常な広範囲に影響を及ぼし、「火山の冬」を引き起こします。心配なのはそれだけではありません。大きな火山の噴火は雨粒が形成枯れるのを阻害するため、旱魃につながります。

水の分子が極小の塵の粒子とくっつき、どんどん大きくなって空気中に浮遊できなくなると、それが雨粒となります。しかし大気中に灰などの他の粒子が浮遊していると、雲の中の水分が広がり、水滴がたくさん形成されてしまいます。それぞれの水滴が大きくなるのには時間がかかるので、雨となって降ることができず、雲の中に止まってしまいます。

水に関する問題はそれだけではありません。火山は津波を引き起こすこともあるのです。大きな地下水の爆発、火山性倒壊、火山爆発により出てくる高温の岩屑が海に流れ込むことで、巨大な波が引き起こされるのです。1883年に起きたクラカタウの噴火がその一例です。

その時記録的大津波が観測されました。一番大きな津波は高さ40メートルにもなり、世界中の海面に影響を及ぼしました。

基本的に、火山はさまざまな災害を引き起こします。その噴火が大きいほど、その被害も大きくなるのです。ではここで、人類史上最大の被害を及ぼした噴火を見てみましょう。1815年、インドネシアにあるタンボラ山が噴火し、約150立方キロメートルにも及ぶほどの火山灰を噴出しました。

その時同時に大量のその他のゴミが大気中に放出されました。もちろん地元住民にとってそれは甚大な被害となりましたが、同時に世界中に影響が及びました。火山から放出され大気中に拡散した粒子は大気中に2年にもわたり留まり続け、地球の気温を最大で摂氏3度ほども下げたため、1816年には「夏のない年」というニックネームが付けられました

。植物は成長するために太陽光と熱が必要です。そして人類は食物を得るために穀物に頼っています。それで、太陽光の欠如、過度の凍結、寒い夏が北アメリカやヨーロッパにまで及び、結果的に世界規模の飢餓が生じてしまいました。

そしてこの噴火は疫病も引き起こしました。噴火により放出された硫黄の煙霧はインドの気候に影響を与えました。初めに干ばつが起こり、そして後に洪水が起こりました。この異常な気候の変動はベンガル湾の生態を変えてしまいました。それにより新種のコレラのバクテリアが生まれてしまったのです。

このバクテリアは腸に住み着き、下痢、脱水、時には死に至ることもあります。コレラ菌はそれまでガンジス川洲にありましたが、この新種の菌はあっという間に世界中に増え広がりました。近年でも毎年非常に多くの疫病が報告されています。

世界中に蔓延するそのような疫病の他にも、奇妙な気候が生み出したものがあります。レマン湖にメアリー・シェリーと彼女の共同執筆者が滞在した際、その鬱蒼とした濃霧が、小説「フランケンシュタイン」を執筆するアイディアとなったのです。

ですから火山は、自然災害の大元となるだけではなく、モンスターまで生み出してしまったのです。