今後の経営目標について

記者5:どうも本日はありがとうございます。エース経済研究所のヤスダと申します。私から3つありまして。そもそも御社の冒頭の経営目標がいったいどういうふうなものになっているのかというのを教えていただきたいと思います。

今回の報告書を見ていましても、御社の経営の目標が社会貢献とか発展とかを目指したものではなくて、どちらかというと、短期的なKPIを追求するような構造になっていたかと思うんですけれども。この問題が発覚するまで、DeNAとしての会社の戦略目標がいったいどういうものであったかということをコメントいただきたいのが1つ目。

2つ目が、その経営目標に対してキュレーションという手段が妥当だったのかどうかというのをどういうふうに考えておられるのか、教えていただきたいということが2つ目。

3つ目が、この報告書を受けて、現時点で変えるべきものはどういうところにあるのかについて、コメントいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

守安功氏(以下、守安):まず1点目ですけれども、当社、創業以来、インターネットというテクノロジーを活用して、いろんな事業を展開する、いろんなサービスを提供する、いろんな価値を提供していくということを行ってまいりました。そのなかで新しいことに挑戦して、いろんなサービスを生み出してきたということでございます。

これは継続しておりまして、主力のゲーム事業に加え、今回このようなことになりましたがキュレーション事業、それ以外にはeコマース、ヘルスケア、オートモーティブ、さまざまなインターネットに関連するような領域、インターネットに関連すると申しますか、インターネットのテクノロジーを活用して世の中を変革できるだろうと、より便利になるだろうというようなものに関しては、積極的に取り組んできております。

そのなかで、やはりその時間軸といいますのは、事業によって異なってくると。例えばオートモーティブでいきますと、かなり5年後とかそういうタイミングで大きくなってくるというようなことを考えておりますので、いろんな事業が複合的に、時間軸を変えながら成長していくというような状況を出しております。

司会者:はい。よろしいですか?

記者5:ちょっと待っていただけます? あの……。

守安:すいません。2点目でキュレーション事業というものをどのようにとらえていたかというところ。

記者5:そうですね。手段として適切だったのかどうかっていうのが、我々投資家からみてるとはなはだ疑問なので、そもそもの入り口のところで、ちゃんとした評価っていうのができていたのかどうかっていうところ、守安さんがどう思っておられるかっていうのを教えていただきたいんですけれども。

守安:はい。そうですね。キュレーションという言葉が適切かどうかってことはあるんですが、いわゆる、スマートフォンでバーティカル、バーティカルと言いますのは、ターゲットセグメントを明確にして、ジャンルも絞る。いわゆるその明確なターゲットの方々に対して、欲している情報を提供していくということに関しては、非常にニーズがあると。

実際にも、非常にお客様としては喜んでご利用いただいてる面もありましたので、そういうスマートフォンで、ターゲットセグメントを明確にしてジャンルも明確にして、特定の情報を提供するというサービス自体は、非常にニーズの強いものだというふうに考えておりましたし、今も考えております。

ただ、そのやり方ですね。その手法というものが、どのようなかたちで情報を提供すれば、適切なかたちで情報が提供できるのかといった観点が、不十分であったというようなことで、手法としては間違っていたというふうに考えております。

記者5:わかりました。最後なんですけれども、今回経営目標等は、この件を受けても変更する必要はないというふうにお考えでよろしいですか? もう少し数字の部分等、理念とかそういうところをうまくすり合わせしないと、またこのような問題を引き起こしてしまうかと思うんですけれども。

守安:はい。そうですね。おっしゃるとおり。ビジョンと申しますか、ミッションと申しますか、会社としてどのような価値を提供していくのかというようなことを、より具体的にと言いますか、もう少し明確にしていきたいということと、会社としてというのもあるんですけど、各事業、いろんな事業を行っておりますので、その事業の体においてもミッション、それからビジョン、どういった価値をお客様に提供していくのかというようなことを、すべて現状行っているものを含めて明確にすべきだということを考えておりまして、会社のレイヤー、事業部のレイヤーそして各サービスのレイヤーすべてにおいて、お客様にどういった価値を提供していくのかということを今一度改めて明確にしていくべきだろうというふうに考えております。

記者5:わかりました。どうもありがとうございます。

高すぎる目標設定は妥当だったのか?

記者6:BuzzFeedのフルタと申します。よろしくお願いいたします。先ほどの質問者の方にあった、村田さんと中川さんの処分の件なんですが、昨日の取締役会でお2人が辞任の意向を表明されたと。ただし、今日の発表をみると中川さんは辞任、村田さんは辞任の意向を表明と2つ書き分けがされています。その違いの原因は何なんでしょうか。その違いは何なんでしょうか?

2つ目の質問なんですが、すべて報告書を読ませていただきました。繰り返しその守安さんがその目標設定をされたであるとか、運営の方針を決定された、またSEOを中心にするということを決定されたということが書かれてます。その目標に対して、村田さんのほうから、「それはちょっと強気な目標ですね」というふうなやり取りがあったということも、先ほど第三者委員会の会見のほうで指摘があったのですが、であるとすれば、この村田さんと中川さんの責任というのは具体的にはなんなのでしょうか?

その責任とその全体の方針を決定されたという守安さんの責任とどちらが重たいとお考えでしょうか?

守安:はい。まず、1点目の辞任意向と辞任の違いになるんですけども、いわゆる書類として判と申しますか、書類としてもらっているかメールベースでもらっているかということで、村田の場合は海外在住ということもあって、まだメールベースということで辞任意向ということで、そこに違いが出ているということになります。

続いて2点目になるんですけども、高い目標設定だったのではないのかということで、そうですね。これは非常に、どのぐらいの目標が妥当かということころも議論があるかと思います。これまで私もいろんな、それこそ南場に高い目標を設定いただいて、というか設定されて、それをどうクリアするかというか達成するのかというところに、知恵を絞る創意工夫をしていくというようなことを行ってまいりましたので、そういう意味で高い目標自体が問題なのかと言いますと、これもまた議論があろうかと思います。

ただ、その目標設定のあり方等に関して、コミュニケーションであるとかが不十分であったのであれば、それは私のコミュニケーションとして、うまくそこが伝えられなかったのかなというふうに考えております。

そして事業責任者の責任ということになるんですが、やはりその事業を伸ばしていくということは当然なんですけども、そこが法令遵守、倫理的な問題を含めて当然足場が固まった上で事業を推進しなければならないということになろうかと思います。いわゆるその事業部内でのルールを決めてそこをきっちり管理をしてチェックもして、そのうえで事業推進をするということが当然ながら必要なるわけなんですけども、そこが事業責任者として今回の事案に関しては不十分であったということで、そこが処分としては大きなところになろうかというふうに考えております。

記者6:すいません。追加の質問なんですが、2018年3月末までにMERYで400万DAU、四半期の営業利益が10億円、残りの9サイトにおいて1,000万DAU、営業利益10億円。これは法令を遵守してコンプライアンスを守っても達成できる数字だったとお考えだったということでしょうか?

守安:その時点では、そうできるのではないかと考えていたということです。

記者6:ありがとうございます。

記者7:毎日新聞経済プレミア編集部のイマザワと申します。報告書にキュレーション事業の時価総額目標というのが出てきてます。それで、2015年10月に2,500億円という数字がいきなり出てきて、私から言うと相当無理なものだと、積み上げでなくていきなり出てくるのは相当無理だなという気がいたします。

それと、さらにその1年後になって、その倍の5,000億円という無謀すぎる目標というふうに拝見いたしますが、それと営業利益200億円というですね、これは当時守安さん、どういうふうに考えられてたんでしょうか? それとですね、南場さん、おそらくこれはご承知だったと思うんですけども、こういう目標をご覧になっててどう思われていたでしょうか?

守安:はい。まず目標設定に関して、私のほうからお答えさせていただきます。おっしゃられるように非常に高い目標だというふうには考えておりますが、それが無謀なのかというと、ストレッチして達成も当然可能性はあるというふうに考えて設定した目標ですので、目標自体が無謀かというと、そうではないというふうに思っております。

一方で、攻めと言いますか、その事業推進するというだけでなく、本来それが適切な運営体制、管理、手法に基づいて行われないといけないんですが、やはりそこに対する十分な検討であるとか、認識であるとかそこらへんが足りていなかったのかなということで、その点について大いに反省をしているところでございます。

南場智子氏(以下、南場):はい。時価総額目標についてなんですけれども、事業はかなり成熟期に入って利益を出しているものから、例えば自動運転であるとかヘルスケアのように、まだまだ入口にいて、数年、5年とかあるいはもっと長いスパンで事業を組み立てていかなければいけないものがあります。

そういった異なるステージにある事業をどのように目標を管理していくべきかというところは、社内で何度も議論されています。

例えば、収益であるとか、売上なのか利益なのかとか、経営指標としてなにを重視して、というのがございますけれども、1つの考え方で、私たちは株主に役員として選ばれているということで、株主利益にもっと寄り添って推進していく、そしてその時に利益が出せないステージにある事業であっても、例えば良質なビッグデータであるとか、あるいは特筆すべきAIのディープラーニングのスキルであるとか、そういった先端的で、社会に意義のある取り組みをすることができれば、それが必ずしも同じ利益という指標でなくても想定利用価値というかたちで共有できるのではないか。

例えば、米国の企業でヘルスケアの先端的な企業でまったく収益を出していないのに1,000億、2,000億という事業価値をつけている企業もあり、そういったところがいかに先端で世の中の役に立っているのかということを議論しておりました。

ですから、1つの手法としてですね、時価総額というのを掲げるというのは、今申しましたとおり株主価値に寄り添うということと、違う異なるステージの事業を評価するということで有効なのではないかというふうに考えた、プロセスがございました。

ただ、当然のことのようにですね、そういった高すぎる事業目標、数値目標を掲げたのであれば、掲げて、それがきちんとしたコンプライアンスの下で行われて達成可能であるというふうに我々が現場のオペレーションを詳細を見ずに持っていたわけですけれども、そうでなかったということに関しては、深く反省をしそれによりご迷惑をおかけしてしまったみなさまに改めてお詫びをしたいと思っております。

南場氏と守安氏の役割分担

記者7:すいません。追加でもう1点です。南場さんにおうかがいいたします。先ほどの質問で、著作権侵害の可能性がある記事2万件、それから画像74万点ですね。受け身の体制で、受け身ながらやるという推移が守安さんにありました。それで、今回、代表権者が2人となってですね、1人の判断ともう1人の判断、そこでどういう判断するかっていうところで、先ほどのすでにやったやつをとりあえず放っておくっていう、言ったらなんですけど、そのまま放置になってしまうと思うんですが、南場さんのその代表権に戻られて、それでいいんですか?

南場:そちらにつきましては、守安がご説明したとおり、いろいろな方法を検討してまいりましたが、やはり現実的に連絡がつく方とつかない方が非常に多いと、ついたとしてもその方が権利を保有してらっしゃる方かどうかの確認の方法が非常に煩雑であるということ、仮にできたとしても、それが本当に信頼しているのかどうか、大変に複雑な分析、専門家をいれた分析に1件1件入らなければいけないことなど、総合的に考えまして、本当に現実的にできることがあるのかどうか、偽りなく真摯に検討はしたんですけれども、実行論上、困難であるというのが現時点での私たちの結論です。

これは大変に申し訳ないことですので、なるべくちょっとでもどうなのかなと、すでに見ることができないサイトなんだけれども、心配があれば、具体的でなくてもけっこうですので、どうかお声かけいただいて、どうかお問合せ窓口にお申し出いただくことをお願いするという次第でございます。大変申し訳ございません。

記者8:朝日新聞のノブハラと申します。被害者の方への賠償についてちょっとまとめてうかがいたいんですけども、1つは新たに名乗り出る方、来てくださいということなんですけども、一方ですでに名乗り出ている方との交渉といつまでも長引かせるわけにもいかないと思うんですけれども、賠償の負荷を判断される目途、時期の目途などがあれば教えてください。

すいません。もう1点が、第三者委員会の指摘にもあるんですけども、書いたのが内部ライターか外部の一般投稿かということでプロバイダ責任制限法の対象となるかならないかという問題もあるかと思うんですけれども、これはやはりその内部ライターであったり契約ライターであったり、そういったライターの方が書いた記事については賠償して、一般投稿については賠償をしないというような切り分けになるのでしょうか?

ごめんなさい。3点目は、一般投稿の場合、その賠償に応じられない場合、今度は誰が書いたのかという開示請求を求められたりする可能性もあるかと思うんですが、そういったことには答えていかれるんでしょうか?

守安:はい。まず、その解決する時期の目途ということになるんですけれども、基本的には個別にご相談させていただきながらということになるかと思いますので、その点真摯に対応させていただきながら、なるべく早く納得のいただけるような解決を目指していきたいというふうに考えております。

そして次の2点目、当然ライターが内部ライター、業務委託のライター、それから一般投稿のライター等いろいろございます。法的な観点でいきますと、当然いろんな解釈ができるのかと思っておりますが、やはり今回の問題におきましては、当社として非常に体制が不十分であった、かつそのサイト見てもどういうライターさんがそもそも書いたものかもやはり判断できないということで、いろんな誤認、誤認と言いますか、そういうことも生じているということが、事実だというふうに思っておりますので、そういった意味で、えー権者さんと申しますか、お話をさせていただく際には、やはりそのライターの種類、ライターの種類というか、どういった方が書いたかと言うことにはかかわらず、一般投稿の方も含め、それは賠償というかたちというよりは、どちらかというとご迷惑をおかけしたというようなことでお話し合いをさせていただくという、そういうスタンスで考えております。

記者9:東洋経済のヤマダです。南場さんにお聞きします。昨日今日と取締役会があって、代表権者になる、戻るということですけれども、不祥事を受けて代表権者が辞めるっていう話を聞くんですが、代表権者を増やすっていうのは基本あんまり聞いたことがないので、この2日間の取締役会で、そもそも確認したいのは、本人から南場さんから代表権を戻るとおっしゃったのでしょうか? それとも社内取締役やその代表権のない他の取締役からぜひやってくれと、あるいは守安さんからやってくれと、あるいは代表取締役になるけれども今回のこの苦情処理だとかそういったことに特化するんだとか、なにかもう少し情報がないと、なぜこう不祥事をうけて代表権者を増やすのかというのは理解しにくいので、教えていただけないでしょうか?

南場:はい。突発的に本日と昨日とで考えたことではなく、この事態になりまして、どのように力を合わせてこの会社を立て直していくということは、ずっと守安とも相談しておりましたし、それから社内取締役はもう1人川崎がおります。この3人でもずいぶんと議論をいたしました。そして社外取締役とも面談、そして電話等で非常に頻繁にご相談をさせてもらっていました。

私としては役割分担等につきましては正式に決定したのが本日でございますので、ゆっくりと考えていきたいのですけども。やはりどちらからどうということではなく、取締役会のなかでいろいろな選択肢が出てきたなかで、これでやろうというかたちで決まったものであります。

私たちが非常に気にしているのは、やはり冒頭に守安が申したように、DeNAが再度しっかりと世の中に信頼していただける企業になれるのかどうか、そのためには今回ご迷惑をおかけした方に、きちんと真摯に向き合っていくことと、それから今後の事業の進め方を変えていくということ。

そして世の中、それからご迷惑をおかけした方たちだけでなくて、ほとんどの社員が高い遵法精神と高い倫理観を持ってお客様にどういう喜びを届けるかということで毎日汗をかいています。そういったなにも悪いことをしていない大多数の社員とその家族が、今回非常にこの会社が起こしてしまった問題によってやはり傷付いていると思うんですね。そこに対するケア等、本来1人の代表、執行のトップが1年掛けてやることを、本当に短い時間で、しかも間違いのない判断で、それぞれのケアをやっていく必要があるということで、それはやはり2人でやっていこうと。

そして私は創業者ですので、それなりに役に立てる部分があるのではないかと思いますので、もちろんご指摘のように今回このような問題を起こしたという責任は守安も私も重うございますけども、今後に向けてしっかりと力を合わせてやっていこうということになり、それが取締役会においても、それが一番いいオプションではないかという結論に至ったということでございます。

記者9:今一度役割分担を簡単に教えていただけませんか?

南場:まず当面の間はすべての意思決定を2人で複眼的にやっていくと。その2人の意見が合わない場合は取締役会に上げるということを当面の間はやっていくことになると思います。しかし、さきほど申し上げたように、私が代表取締役に復帰するということは、1つの執行における経営トップ構造の強化ではありますけども、それだけでは非常に不十分でありまして、今後コンプライアンス体制をどう強化していくかなど、しっかりと手を打っていかなければいけません。

そういった意味で布陣が整った時にですね、きちっと役割分担について明確にしていけたらなと思います。当面は2人で全ての意思決定を一緒にやっていこうというつもりでおります。