虫たちの寒さへの適応

マイケル・アランダ氏:私たちのような内温動物とは違い、虫たちは自分たちの体温をコントロールすることができません。そのため、身の回りの環境のなすがままということになります。

では寒い冬がやってくれば、彼らはどうやって凍える寒さを耐えしのぐのでしょうか?

基本的に彼らは3つの選択肢を持っています。温かい場所を求めて移動するか、ただ冬が過ぎるのを耐えしのぐか、往生するかの3つです。

トンボや蝶など、鳥のように冬の間だけ南に移動する虫たちがいます。これらの虫たちのなかでも最も有名なのが、オオカバマダラという蝶の一種です。

通常、アメリカとカナダの北部に生息していますが、冬の間はメキシコの穏和な山林で過ごします。

もちろん、ほとんどの虫は鳥よりも寿命は短いです。そのため、移動性のあるオオカバマダラは1世代でメキシコに向かって数千マイルにも及び南下しますが、戻ってくる際には4、5世代にわたって北上してきます。

もし、冬が訪れた時に虫たちが移動することができない場合、選択肢の2つ目が寒さを耐え忍んで暖かくなるまで待つという方法です。

てんとう虫や温暖な地域に住む蝶は、土の中にもぐるか、木の葉を用いて暖かい巣を作ります。

秋の日の短さと肌寒い気温が刺激となって放出されるホルモンのおかげで、休眠と呼ばれる冬眠の一種の状態に入ることができます。彼らの新陳代謝率は激的に低下し、食べ物をあまり必要としなくなります。

また、いくつかの種類の虫は不凍剤として作用するアルコールで、筋繊維が満たされています。これらの化学物質は彼らの細胞内の氷点よりも低いため、凍結による損傷を防止しています。

その一方、コオロギやバッタのような、ほとんどの虫は温度が低下したらギブアップするしかありません。

成虫は秋に卵をうんでからこの世を去り、次世代は休眠状態の卵や幼虫として冬を過ごします。大抵の場合これらの幼虫は、生き残るためには万全な状態です。

また、卵や幼虫は成虫のように休眠状態に入ることができる上に、死体となった親の体を食料とすることもあります。

例えばカマキリの場合、彼らは自分たちの卵をタンパク質のケースで保護されたような卵を形成します。

ここ最近では、地球温暖化が虫たちの冬を越えるための策略に支障をきたしています。そして、これにより寒さに耐性の低い種がより北上していることで問題が生じています。

暖かい冬のおかげで、ある種のカナブンは活動範囲を広め、アメリカ北西部の膨大な量の木々を壊滅状態においやっています。

あなたらなら冬が訪れた時、コートをはおって暖かくしますか? それとも、ホットチョコレートを片手にブランケットの下に潜って春まで待ちますか? はたまた、オオカバマダラのように熱帯地域に向かいますか?

どのような方法をとろうと、集中暖房機能のない虫たちの賢い適応能力を参考にしてみてください。