ビジョンは登るべき山、パッションはエンジン
斎藤祐馬氏(以下、斎藤):私もいろんなベンチャーさんとか大企業さんを見て、新しいことをやる方法は端的に3つあると。
1個が、まずベンチャー企業の方って始めたときなにもないんですね。お金もないし、人もいない。だけど、プレゼンテーション資料だけは作れるんですよね。
これで思いっきりビジョンを語って、今はなにもないけど大きくのっていく。まず「こんな話があるよ」という話をスタートするんですね。
2つ目が、そのビジョンでお金とか人とかいろんなものを集める。リソースを集めるのが2つ目。
3つ目が、ほかのものでもいいんですけど、それがなくなるまでの間に、言ってた大きな話と実体の乖離を埋める。
この3ステップが、大企業でもベンチャーでも、新しいことをやっていく方法だなと思います。
これはJカーブと言うんですけどね。なにかを始めるときにいきなりこうはいけないので、潜っていくタイミングが必要です。大きく潜れば潜れほど、大きなものにいける可能性がある。
ここを生き残るためには、それこそコミュ力というか、大きなビジョン、より大きな共感を得ないと潜り続けられないんです。
そういう意味では、すべてがビジョンとパッションなんですね。これはFacebookでもなんでも、どんなベンチャーの社長でも、ビジョンとパッション。
ビジョンというのは登るべき山を大きく示せる人で、パッションはエンジンなんですね。この2つがあると間違っていてもいつかは上がれる。
『情熱大陸』の取材候補者の精査
福岡元啓氏(以下、福岡):僕なんかは、毎週何人も見ていくと、気をつけないとすぐ斜に構えちゃうんですよ。
というのは、やっぱり番組の企画書となってくると、最初は風呂敷が広いんです。「こんなにいっぱい取材できますよ」「こんなに大丈夫ですよ」となったときに、風呂敷なのかそうじゃないのかというのをすごく精査しますね。「この人の言ってること大丈夫かな?」と。
とくにテレビ業界って山師みたいな人が多いんですよ(笑)。もう「いけますよー」みたいに。昔の業界人ってそんな感じじゃないですか。そういうのって本当に信じられないので。
「実際はどうなのかな?」というのを精査するために、そういうところはすごくコミュニケーションを取りますね。
自分が信頼できるディレクターだったりすると、もう「この人は嘘つかないな」とわかっているので、「この人の風呂敷はここまでの風呂敷だから絶対大丈夫だ」とか。
「この人はこのぐらいのこと言ってるけど、たぶんこれぐらいなんだろうな」というのがだんだんわかってくるんですね(笑)。それってやっぱり時間がいるので、わからないですけどね。
どうやったらその風呂敷が見破れるのかというのは、やっぱり最後はちょっと動物的な勘だったりするんですよ。結局「これに賭けてみようかな?」ということもありますし。そうするとやっぱり、「野生力」を磨かなきゃいけないのかなと思って。
最終的にはいろんな理論じゃなくて、サッカーの日本代表もそうだったみたいですけど、「野生」がないと勝てないという。巨人の原(辰徳)元監督も、「鬼にならないと勝負にならない」と言っているというような(笑)。スポーツの世界でもそうなんですけど。やっぱり最後は動物的勘を磨かないと、なかなか難しいところはあるかもしれない。
企業家・経営者は画になりにくい?
斎藤:本質をちゃんと作ってる人って何が違うんですか?