『結婚しない男たち』著者が語る、ソロ男のリアル
西野亮廣氏(以下、西野):荒川さん、荒川さん。
絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):あー、荒川さん。はい。
のぶみ:これがあって、『結婚しない男たち』ですね。博報堂の人で、ソロ男プロジェクトっていうやつをやってる荒川さんが、今日ゲストで来てくれています。
西野:はいはいはい。
のぶみ:すいません、お待たせしました。長々としゃべってしまって、申し訳ない。真ん中でいいですか?
山口トンボ氏(以下、山口):どうぞどうぞ。
のぶみ:ソロ男っていうのはわかりやすく言うと何なんですか?
荒川和久氏(以下、荒川):要は、結婚してない独身男性のことなんですけど。
西野:はいはい。
トンボ:それをソロ男と呼んでいる。
荒川:ええ。
のぶみ:独身の。
荒川:ソロ活動系男子っていうのを略して、ソロ男っていう。
のぶみ:ソロ男の人いるかな? これ見てる人で(笑)。
荒川:(笑)。
西野:僕もそうですよ、まさに。
トンボ:そうですよね。
日本の約300万人の男性は結婚できない?
荒川:みなさん意外に知らないんですけど、300万人ぐらい。結婚してない男って女性に比べて多いんですよ。
西野:へぇー!
荒川:もともと男性のほうが多く生まれるんで。
西野:はー、なるほどなるほど。
荒川:幸い日本は平和ですから。それで医療も発達してるので。要は300万人の人は、女性が100パーセント結婚しても、実は結婚できないんですよ。
西野:はーー、そうなんだ! 余るようになってるんですね。
荒川:そうなんです。余るんです。
西野:おもしろ!
のぶみ:あ、そうなんだ。
荒川:そうなんです。
のぶみ:(笑)。
西野:男、ちょっと不利じゃないですか。
荒川:ジタバタしても、結婚できない人はできないんですよ。
のぶみ:荒川さんはソロ男なんですよね?
荒川:ソロ男です。300万人分の1です。
トンボ:この本はソロ男の人たちを全肯定してるような内容の本、ということなんですか?
荒川:全否定したら、私、自分で自分を全否定することになる(笑)。
西野:まあ、そういうことになりますね。どういうことが書かれてるんですか?
ソロ男はニートでもオタクでもゲイでもない
のぶみ:僕ちょっと、さっきおもしろいなって思ったのは……前書きがあって、「ソロ男はニートではない。ソロ男はオタクではない。ソロ男はゲイではない」って書いてあるんです。
(一同笑)
のぶみ:これはよく、「あ、もしかして……?」みたいなことを言われることが(笑)。
荒川:まあ20代の方は結婚してなくてもなんとも言われないですけど、30代後半とか、40過ぎて独身だと、「あの人、なんで独身なんだろう」ってみんな思うようになるんですね。
西野:はいはいはい。そうですね。
荒川:普通なのに、「独身でいるのにはなにか理由があるに違いない」って、みんな勘ぐるんです。
西野:あーー。
のぶみ:ネガティブなほうにね。だって、荒川さんなんて博報堂ですよ。一流企業だから。
トンボ:そうですね。
のぶみ:「え、それで……」ってなるよね。
荒川:「こっち?」みたいな。
西野:あーー。
荒川:そういう話とか言われるし。まあそうでなくても、やっぱ結婚してないと、すごい偏見とか先入観あるんですよ。
西野:そうですよね。
荒川:ニートで、働いてなくて、引きこもりでとか。なんかそういうイメージがすごい。アニメオタクだったりとか。申し訳ない、今わかりやすく言ってるんですけど。
のぶみ:そうですよね、今けっこうアニメオタクの人いるからね(笑)。
トンボ:あー、そうなんですね。
ソロ男が結婚できない理由
荒川:けっこう偏見で見られることがあって、それ以外の人もいっぱいいるのになって言って調べたんです。3000人ぐらい調べたんですかね。
西野:へぇーー!
のぶみ:3000人調べたんだ!
荒川:3000人調べたんですけど、途中で「やっぱこれ、女の人調べれば良かった」って思ったんですよね。
のぶみ:ソロ女のほうを?
荒川:ずっと男ばっかりやってて、めげちゃうなって思って(笑)。
(一同笑)
のぶみ:そうだよね(笑)。ソロ女のほうずっと調べてたら、結婚できたかもしんないですよね!
荒川:そうそう(笑)。
西野:なるほど。
トンボ:ほんとそうですよね。
荒川:それで調べていくと、けっこうみなさんおもしろくて。性格もけっこうおもしろいんですよ。
のぶみ:え、なんで結婚できないんですか? ざっくり言って、一番の理由は何だったんですか?
荒川:だいたい性格がみなさん頑固です。
西野:あーーー。よくわかるなあ。
のぶみ:西野先生!(笑)。
「なんで結婚しないの?」って聞くやつに物申す
西野:いや、でもこれは、ちょっと僕1つ……この本にじゃないですよ。世間のみなさまにちょっと言いたいのは。
トンボ:お、物申す?
西野:物申したいのは、例えば僕、子供のときからいうと、バスケ部やって、陸上部やって、ハンドボール部やって、吉本興業に行ったんですね。これは別にバスケットやってるときも「いいんじゃない、いいんじゃない」と。
トンボ:いや、かっこいいかっこいい。
西野:ハンドボール部でも陸上部でも「いいんじゃない、いいんじゃない」、吉本興業でも「いいんじゃない、いいんじゃない」なのに。
トンボ:はいはい、もちろんもちろん。
西野:全部自分の人生だから、自分がなにしたって別にいいじゃないですか。やる・やらへんも。
そのときにサッカーが流行ってようが、別に僕はこっちがいいからなとか思って。これまでずっとそれで来れてたのに、結婚に関しては「なんで結婚しないの?」って言われる。
(一同笑)
西野:いや俺、結婚するなんてひと言も、生まれたときに、「僕はこの人生で、結婚する人生です」って表明してないんですよ!
のぶみ:(笑)。
トンボ:いや、まあまあまあ。
西野:表明してないのに。
トンボ:たしかにそうかもしれない。
西野:なんかその違和感がちょっとあって、急にあるとき首根っこつかまれて、「なんでおまえ将棋部に入んないんだ?」って言われてるような感じで。
トンボ:あー、そんな感じなんだ!
西野:将棋部入るとか1回も言ってないのに。
トンボ:なるほど。
西野:結婚に関しては、急にみんな。
トンボ:たしかに言いますね。
将来、生涯未婚率は30パーセントに
西野:結婚してる人が多いからでしょうね、それは。ほんとにナイナイの岡村さんと一緒で、「みんなやってるんだから、お前やれよ」っていう。
トンボ:なんでみんながやってるあれをやってないんだっていう。
西野:そういうものがあるんちゃうかなあ。
荒川:まさにそうですよ。
のぶみ:そうなんですか?
荒川:日本って95パーセントだったんです、結婚率。
西野:あー、そうなんですか!
のぶみ:そうなんだ、だからか!
荒川:要するに5パーセント以外は、全員結婚してるんですよ。
西野:へぇーーー!!
のぶみ:そうなんだあ。
荒川:そういう時代があって、今は生涯未婚率が30パーセントとかって言われてて、けっこう上がってるんですよね。
のぶみ:5パーセントから30パーセントに上がったんですか?
荒川:まだ上がってないですけど、30パーセントになるって言われてて。
西野:へぇー。
荒川:そうなってくると、少子化の問題とかもあるじゃないですか。結婚しないとお子さんがいないってことだから。そういう話になると、「結婚しないやつはダメ」っていうレッテル貼りを。
西野:なっちゃうんだ。
荒川:そうすると、「なんで結婚しないの?」「結婚しなよ」と。
西野:あーーー、なっちゃうんだーー!
ソロ男が増殖したのはなぜ?
のぶみ:ちなみに、5パーセントから30パーセントに上がった理由は何だったんですか?
荒川:1985、1986年ぐらいにバブル崩壊したじゃないですか。そうすると、給料が年功序列で上がっていく時代から、そんなことやめましょうと。
実力主義、成果主義にしましょう、アメリカのようにがんばりましょうみたいなことになったのはいいんですけど、そうするとやっぱり格差が出てくるんですよね。
みんながみんな約束された未来っていうのが提供されなくなってくるので、そうすると「おれ40歳になって、もしかしたら年収下がるかも」とか、将来が不安になるんですよね。
トンボ:あーー、なるほどねえ!
西野:養っていけないですもんね。
荒川:ということと、男女雇用機会均等法が始まったんですね。女性が活躍するっていうのはその時代から始まって、女性が仕事に燃えだすと、「別に結婚しなくても」って女性が思うようになるんですよね。
トンボ:そうか。頼っていかなくてもいいから。
荒川:そうやっていくと、男性がプロポーズしても、「いや私、今は仕事に燃えてるから」みたいな話にもなる。
西野:はいはいはい。
荒川:あと、お見合い結婚がガクって下がった。
西野:あー、なるほどなるほど。
のぶみ:お見合い結婚ねー。まあ、恋愛結婚のほうがいいっていう感じもあるもんね。
荒川:その3つが理由で、結婚が少なくなってるんじゃないかな。
のぶみ:荒川さん、反響がすごいです(笑)。
(一同笑)
のぶみ:みんな、これ気になってるんだ、結婚のこと(笑)。
荒川:いや、気になってると思いますよ。