教育問題における「2・3・4・5の法則」

堀潤氏(以下、堀):さぁ、続いて荻原さんお願いします。

荻原博子氏(以下、萩原):今日は「2・3・4・5の法則」、私が発明した法則なんですけど。

:©荻原さんじゃないですか!

萩原:その前に、今日は教育費の問題をやりたいと思います。

(テーマ「2・3・4・5の法則」について)

脊山麻理子氏(以下、脊山):文部科学省が発表した諸外国の教育統計によりますと、日本とドイツ、フランスの大学生に対する公的支援が極端に違うことがわかりました。

:学費負担が大きい日本の大学。諸外国の教育統計によると、日本の国立大学は入学料、授業料合わせて81万7800円。公立大学は93万5578円。私立大学は131万2590円。

ドイツは、私立を含めて授業料・入学料なし。一部の大学で公共交通機関利用パス代と学生福祉会経費などおよそ3万6000円を負担しているということです。

フランスでは、国立大学では授業料・入学料なし。ただし、年間学績登録料およそ1万8500円程度を負担ということです。

日本の大学の学費、奨学金の問題なども絡んで、最近非常に高いよねというのは、ようやく議論の対象になってきましたね。

みなさんはどうですか。「日本の学費は高いと思いますか?」せーの、どん!

やっぱりそうでしょうね。1203票「高い」。「妥当」129票。「安い」30票。「その他」87票という結果になっています。

国の教育費負担の割合はOECD32ヵ国中最低

荻原:本当に高くて。大学4年間行かせると、平均で670万円かかるんですよ。2人行かせたら、1300万円もかかっちゃうということですよね。

昔日本は、頭のいい子は国立大学、お金持ちは私立大学という住み分けがあったんですが、今国立大学で4年間行くとどのくらいかかるかというと、これは文科省が出していますけど、511万円なんですね。2人国立大学に行かせると、1000万円かかっちゃうんですよ。

なんでこんなに教育費が高いのかというと、これは国がお金を出さないから。

:教育費の割合がねぇ……。

荻原:OECD(経済協力開発機構)の中で、国が教育費を負担している、例えば、さっきおっしゃったフランスとかドイツというのは、全面的に国が見ていますから、国民の負担はないですよね。

ところが、日本はOECD32ヵ国中最低ということになります。国がお金を出さないので、自前でやりなさいということになると、500万とか600万とか出さなければいけない。とてもご家庭では出せないので、しょうがないから奨学金を借りるということになりますよね。

この奨学金も、今ものすごく返済が厳しくなっていて。実はこの10年で、滞納者返済請求が100倍起きているんですよ。

2002年には58件だったのに、今や6193件。これは、みんなが踏み倒しているというだけではなくて、大学卒業したけれどもフリーターで、奨学金が返せないよという人がものすごく増えている状況があると思いますね。

ただ、今自治体でも、徳島などでは「うちに来て働いてくれれば奨学金返してあげますよ」みたいな制度とか。そういうのがいろいろできていますが。

とにかく、奨学金が高いことで、優秀な学生が行けないと。

さっきの「2・3・4・5の法則」なんですけど。

:これ何ですか?

荻原:みなさん、「大学まで行かせると、どれくらいお金がかかるの?」という話なんですけど。これは、小学校でだいたい月2万円くらい。中学校で月3万円くらい。高校で4万円くらい。大学は月10万円くらいかかるんですけど、半分くらいは本人がバイトしたり、奨学金をもらったりして、なんとか半分くらいは親が出すということで、「2・3・4・5」と覚えておくと。

だいたい小学校6年生の子だったら、あと小学校1年間・中学校・高校3年間・大学4年間。だいたいこれで516万円かかると。だいたいそういう目安が経ちますね。

ですから、だいたいこれで目安を立てておくといいんですけど、とりあえずこんなにお金がかかるということなんで。

従来の就職システムと社会の乖離

ただ、日本はいつの間にか……社会の中はそんなに学歴だけで人を採用したり、学歴だけで一生安泰という時代じゃなくなっているのに、まだ学歴信仰がすごく強いんですよね。

:そうですよね。

荻原:なんで強いのかというと、今の40代くらい。ここは本当に「学歴だよ、お前は!」と上の世代から言われてきている。だから、もっと自由にいろんなことを商売したり、稼いでいくんだという感覚を身につけていい若い人たちが、上から「やっぱり学歴だよ!」と言われて。

:従来の就職のシステムだと、人材の選別のコストを考えると、企業採用者側は安全牌として、それを1つの基軸に持っていますね。力のある企業は、きちんと実力で見るということもしていますけどね。

荻原:それは、「米百俵と言った人は誰ですか!」という話なんだけど、そうやって国がちゃんと教育というものに力を入れなければ、日本の国力もどんどん。人数が減るだけじゃなくて、教育レベルで落ちていく。

片岡亮氏(以下、片岡):学歴をお金で買うみたい。

萩原:東大生の6割のお家が約1000万円以上の収入がないと(入れない)。

:裕福な家庭だから国立大学に行けるという。かつてとは少し状況が変わってますからね。

荻原:そこら辺で、国がお金を出すという。

高橋浩祐氏:荻原さんにあえて反対の見方というか。僕はアメリカの大学院へ行って、学費が1年間で300万円。ニューヨークだったので、生活費が300万円。2年間行ったので1200万円。日本は、アメリカナイズされているという感じがします。

なおかつ、さっき「国がお金を払わないといけない」と。ただ、アメリカだと私立大学でけっこう優秀なところがあるじゃないですか。国が独立して研究などが左右されずにというのもアメリカの考えで。今、日本は中途半端ですね。奨学金はアメリカの……。

片岡:アメリカの大統領選で、サンダース上院議員は、学費の問題を出していますからね。大問題だと。

萩原:アメリカで、医者も自殺というのが多くて。この間、堤未果さんに聞いたんですけど、なぜかというと奨学金が払えない。だから、追い詰められちゃってという方がけっこう多いらしいんですよね。

だから、日本もこんなに学費が上がっていくと、そういうふうになっちゃう。

:ずっと言っていて、なかなか変わらないですけど。言い続けることが大事ですからね。