ひとり遊びで鍛えられた物の考え方

司会者:それでは、次のテーマに行きましょう。次は、本セッションのタイトルにもなっている、ゲームクリエイターを目指す人へというテーマです。

例えば、ゲームクリエイターを目指している人は何をすればよいのか。続ける習慣みたいなものはあるのか。どんな人が向いているかなど、ざっくばらんに聞いていきます。こちらはいかがでしょうか?

やしろあずき(以下、やしろ):僕もそうなんですが、僕の周りや僕を累計すると、昔から1人で遊んでいる人がけっこう多いです。

僕は、一人っ子で、友だちもあまりいなかったから、鉛筆と消しゴムで遊んでいたり、身の回りのものでひとり遊びをメチャクチャしていた人だったんですよね。自分で壮大なストーリーを考えるのは、昔からしていた人間でした。

実は今となっては、それが物の考え方の訓練になっていたんじゃないかなと思っています。僕はけっこう、アイデアを褒められてゲーム業界に入った部分があったので。

1人で無限に遊びを考え続けていた幼少期が、わりと実を結んでいるんじゃないかなと僕は思います。友だちを作らなかった当時の自分の話をしています。

(一同笑)

高木謙一郎(以下、高木):確かに、僕もノートにひたすらボードゲーム作ったり、当時、『スーパーマリオ』とか、ファミコンが流行っていたので、自分でマップデザインをしたりしていました。

やしろ:やった、それ! メチャクチャやった。

高木:イメージプレイはしていましたね。ボードゲームもあまり一緒に遊べる友だちがいなかったので、1人で4人プレイをするんですよ。

木村唯人氏(以下、木村):1人でボードゲームやるやつはヤバいでしょ(笑)。

やしろ:俺は1人で「モノポリー」をやっていましたよ。

木村:1人でモノポリー? 嘘でしょ?

やしろ:親にメッチャ心配されました。

(一同笑)

やしろ:「あんた、1人でモノポリーやってんの?」って言われました。しかも1人で会話するんですよね。「お前、何やってんだよ」みたいなこと。今考えると、確かにヤバいわ。

高木:ヤバいですよ、心配になりますよ。

木村:俺、やったことはあるけど、そんなにはない。憶えていないだけかな。僕も、友だちはあまりいなかったけど。

やしろ:みんな友だちいないじゃん(笑)。

ゲームのルールを無視して自分が好きなルールを追加していた

木村:そんなにはいないけど、1人ぐらいはいて、その人の家に毎日行ってゲームをしていましたね。お二人はアナログのゲームも好きじゃないですか。僕は電気で動くゲームが好きで、電気で動いていないとあまりやらないんですよね。

高木:電気で動くってどういうことですか?

木村:電気で動くってことだよ。

(一同笑)

やしろ:ゲーム機ってことですよね。

木村:「ゲームウォッチ」とか。

やしろ:ああ、「ゲームボーイ」とかそういうやつ。

木村:ブラックボックスが見えないゲームがたぶん好きなんですよね。なにかよくわからないけど、そこに行ったらなにかが起こるというのが、なんにも見えないのが好きです。なので、カードゲームはやるんですが、ボードゲームはあまりやらないですね。

やしろ:子どもの頃はけっこうルールを無視するじゃないですか。もともとあるルールを無視して、自分が好きなルールを追加したりを率先してやる人っていますよね。

木村:僕はそれをすごくやっていました。ゲームを始める時に、新しいルールを作るんですよね。

やしろ:そういうのができる人って、わりとプランナーに向いていると思います。それって、自分で企画考えているわけなので。

「御社のゲームが好きなんです」だけはちょっと厳しい

司会者:どんな人が向いているかというお話を重点的にいただいたのですが、今目指している人は、何をすればよいか。これを今のうちにしておいてほしいことはありますか?

高木:僕は、ゲームのレビューをしても意味がないと思っています。世の中にあるものを、こうしたほうがいいというのではなくて、そのゲームを作るために何をするべきなのかを1回分解して、ゼロから作れる状態というか。

キャラがこういうふうにあって、マップはこういうのがあって、こういうシステムがあってというのを分解するのを1回やってみるといいんじゃないかなといつも思っていますね。

「このゲームはここを改良したらおもしろくなる。俺はすごくアイデアに溢れている」というのは、ちょっと違うと思います。

やしろ:でも、面接でもそういう人はたまにいますよね。

木村:ちょっと言われ過ぎて拗ねちゃってるんじゃないですか? それは特にもならないけど、別に損にもならないかなとは思いますね。

高木:まあ、そうですね。

木村:言われ過ぎて拗ねているんじゃない?

(一同笑)

やしろ:僕は、面接官をやっていたこともあるんですが、たまにいるのが、ただただゲームが好きという人。「御社のゲームが好きなんです」だけ。入るのがゴールだと思っていて、何がしたいのという人がたまにいるので、その会社に入って何をしたいのか、自分のアイデアはどう活きていくのかをしっかりと考えたほうがいいんじゃないかなとは思いますね。

木村:すぐ辞めたくせに、よく言いますね。

(一同笑)

やしろ:僕は辞めちゃいましたけどね。でも面接官はきちんとやったんですよ。

木村:すごく、真面目。

やしろ:入ったら勝ち、みたいな人が多かった。入るのが夢でしたみたいな。「いや、そこからだろ」と僕は思うので。まあ、僕は辞めちゃったんですけどね。

(一同笑)

ゲーム業界にどのぐらい入りたいと思っているのか、自問自答は必要

木村:僕は入りゃいいかなと思っているんですよね。入ってしまえば、仕事は来るので。そんなに高いビジョンがなくても、本当に作りたいと思っていればいいんじゃないの。まずは入らないと始まりませんからね。入る敷居がやはり一番高いので。

やしろ:確かに、入る敷居が高い。

木村:入ってしまうと、経験者になるので、転職もできますし。

やしろ:だから、バイトでデバッガーをやるのもぜんぜんありだと思います。そこでゲーム業界を知れるし、学生のバイトを募集しているゲーム会社もあるから、そういうところで入るのもぜんぜんありだと思います。

高木:いやあ、そういうバイトをすればよかったな。

(一同笑)

高木:なんかそこに気づかなかったんだよね。

木村:なんか変なんだよ。

やしろ:僕はADもいいと思いますけどね。

木村:いや、いいけどさ。段ボール1箱分を書いたら今の世の中、絶対入れますよ。100パーセント入れますよ、段ボール1箱分書いたら。

高木:当時は、入れなかったので、たぶん僕の才能のほうがちょっとだけ上だったのかなと、今は思って……。

やしろ:才能?

高木:面接官の人たちには(僕の才能が)理解できなかったのかな。

木村:いや、そんなことはないです。

(一同笑)

木村:送り方や送る文章が間違っていたんじゃないですかね。

高木:そうかもしれないですね。

木村:やっていることはすごく正しいと思うんですけどね。

やしろ:熱意があるのはいいですよね。

木村:それだけやれば100パーセント入れる。それだけやっても入りたいと思っている人は100パーセント入れるから。

やしろ:今、段ボール1箱送る人ってたぶんいないですよね。

ジャンルを好き嫌いせずに、いろいろなゲームをやったほうがいい

木村:そのぐらい入りたいと思っているのか、自分に問いかけたほうがいいですね。ゲームが好きなだけだとよくないんですが、でもゲームは、やったほうがいいなとすごく思っています。

やしろ:ゲームをやるのは重要ですもんね。

木村:映画を見ないやつが映画を作れんのかという話ですね。やはりゲームをやらないと「あれはあのゲームのこういう感じね」と勘所を得られない。やはりジャンルを好き嫌いせずに、いろいろなゲームをやったほうがいいですね。

昔は、友だちからゲームを借りたりしていたじゃないですか。インターネットもなくて、無料で遊べるゲームもなかったから、ちょっと自分に合わなくてもやっていたんですよね。

高木:そうですね。

やしろ:やっていたな。

木村:今は、自分に合わなかったらすぐにやめるじゃないですか。体験版とか、無料で遊べるゲームもいっぱいあるし。

木村:そうそう。借りたゲームが自分にちょっと合わなくても最後までやるんですよね。

やしろ:全クリはしますよね。

木村:全クリはする。

やしろ:せっかくフルプライスで買ったんだからやろう、みたいな。

木村:そうそう。なので、いろいろなゲームをやっておくことですね。例えば、「すごくボードゲームが好きです」と言う人がいて、ボードゲームしかやらなかったら、やはり電気で動くゲームは作れないので。

やしろ:電気で動くゲームって(笑)。

(一同笑)

高木:確かにそうですね。

木村:その人はボードゲームは作れると思うけど、それとはぜんぜん違うので。もちろんアナログのボードゲームもやったほうがいいし、僕も多少はやります。

好き嫌いせずにいろいろなゲームに触れること。男の人だったら、乙女ゲーもやったほうがいいですね。そのぐらいまでジャンルを広げてやったほうがいいです。僕も何個かやったことがあります。

やしろ:僕もゲーセンで『アイカツ』をやっていました。

木村:アイカツもやったほうがいい。『プリティーリズム』だっけ、何だっけ?プリティーリズム、違うか。何だっけな。なんか似たようなセガのやつをやっていた。

やしろ:セガのやつですか。『ラブ and ベリー』ですか?

木村:『ラブ and ベリー』もやっていました。

やしろ:はいはい、『ラブ and ベリー』あった。

勉強はゲーム制作の役に立つ

木村:あと、勉強はしたほうがいいなと思います。勉強は役に立つんですよ。

やしろ:僕は勉強をしていなかったからな。勉強しました?

高木:あまり。ゲームばっかりしていました。

やしろ:僕もゲームばっかりしていました。

木村:勉強とゲームをしていました。勉強も多少はしたほうがいいです、多少は。

高木:何の勉強をしたらいいですか?

やしろ:何の勉強をしたらいいですか?

木村:何の? 全部ですよ。

やしろ:全部? 全部やっていないですよ、この2人なんか。

(一同笑)

木村:理想を言えば全部です。

やしろ:まあ、できないよりはできたほうが。

木村:得意なものからでもいいですが、勉強は役に立ちます。国語は文章を考えるのに役に立つし、数学はゲーム制作に絶対使うし、歴史も意外とストーリー作る時や、キャラ作る時にすごく使います。

やしろ:勉強もそうですが、さっきの話に戻ると、やはり突出したものがあるといいですよね。ゲーム作りプラス絵がメッチャ描けたり、勉強がメッチャできるから知識があったりというのがあると強いのかな。

プランナー職に就くためにゲーム以外にやったほうがいいこと

司会者:ゲームクリエイターの中でも、デザイナー、エンジニア、プランナーといろいろあるじゃないですか。デザイナーになるためだったら、デザインの勉強をする、エンジニアだったらプログラミングの勉強をするというところがあると思います。

じゃあ、プランナー職になりたい人は、ゲームをプレイする以外に、なにかありますか? これをやっておいたほうがいいとか。就職活動の場で必要になってくることとか。

やしろ:僕はあまりやっていなかったし、たぶんここらへんの人もみんなやっていないかもしれないですが、今は、プロに交じってゲームを作るイベントがけっこうあるんですよね。「Game Jam」とか、24時間でゲーム1本作るとか。

本当にプロの人とゲームが作れるから、ゲーム作りに関して、多少学べるんじゃないかなと思います。そういうのに積極的にチャレンジしていくのは、就活でわりと言えることになるかなと思います。

本当にプロの人と一緒にチームを組んでゲームを作る中で、しっかりと修羅場も経験できるので、ありなんじゃないかなと思います。僕はやっていないんですけど。

(一同笑)

高木:やったほうがいいっていうと、何だろうな。恋愛ですかね。

(一同笑)

高木:恋愛はやったほうがいいかなと思います。振り回されたり、自分の想いを伝えたりというコミュ力もそうですし。あと、自分の中にぜんぜん知らない発想が入ってくるので、そういう意味ではすごくいいんじゃないですかね。

木村:恋愛はなかなかハードルが高いな。意外と役立つのが、なにかのリーダーになることですね。バイトリーダーでもなんでもいいんですが、なにかのリーダー。生徒会長をやっていましたが、けっこう役に立ちますね。

高木:いいですね。

やしろ:それは、組織を動かす指示とか……。

木村:チームプレーと、上の人のいろいろなことが理解できる。あとは決断力もつくのはいいかもな。そういうことも、なんでもやったほうがいい。

構え過ぎず、なんでもやってみることが大事

やしろ:今の話をまとめたら、人生経験ですよね。

(一同笑)

やしろ:人生経験しているほうがいい。

木村:企画職は、やはり人生経験なので。その人から生まれるものなので。

やしろ:ゲームプランナーって、人生を通して学んできたもの全部が活かせるんですよ。だから本当に、いろいろなものを体験してね。

木村:やれることは全部やったほうがいいですね。

やしろ:ちょっとでも興味あることはできる。今、日本は恵まれた環境があると思うので、なんでもやってみたほうがいいと思います。特に学生の時なんて時間もあるんだから。

高木:本当にそうですね。

やしろ:お金があまりかからなくてもやれることは今いっぱいあるので。

木村:でも、プランナーになるためのハードルがかなり上がりましたね。

(一同笑)

木村:どれかしらをやっておけばいいですよ。1個ぐらいでいいですよ。

やしろ:全部やる必要はないですよ。

木村:全部やるのは無理。いろいろとお勧めがある中で、どれかやっておけばいい。

高木:ちょっとずつやっていけばいいんですよ。

木村:そうそう。僕は、プランナーになるのはそこまで大変じゃないと思っています。

やしろ:なり方もいろいろありますからね。

木村:そう。いろいろななり方があるし、あんまり構え過ぎて、自分じゃできないんじゃないかと思わないでほしいな。

けっこう敷居が高いと思われがちですが、逆に最初はきちんと雑用からやらせてもらえます。いきなり役に立たないと言われることはないので。あまり敷居が高いとも思わなくていいかなと思います。

やしろ:正直、裸で飛び込んでもね。

木村:裸で飛び込んでもね、葉っぱがもらえるので。

やしろ:そこはそんなに難易度高く思わないでほしいですよね。

木村:僕なんて、最初にスーツで行って、みんなに変な目で見られましたからね。

(一同笑)

やしろ:営業の人かな? みたいな。

木村:「なんか変なスーツのやつが来たぞ。こいつプランニングはできるの?」みたいな感じ。いやまあ、そりゃ未経験だしできないけどなと思ったけど。

スーツで行って、浮いていましたね。1週間ぐらいで着るのをやめました。新入社員だからね、スーツぐらいは着ておくかと思っていたんですけど。

高木:そうですね。最初ぐらいは。

やしろ:えっ、最初スーツで行きました?

高木:いや、行っていないと思うね。

やしろ:ですよね。俺は、『アイマス(アイドルマスター)』の「働いたら負け」と書いてあるTシャツで行きましたよ(笑)。

木村:そういうのもいいですね。

(次回へつづく)