2024.10.10
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ゲームクリエイターを目指す人へ~木村唯人×高木謙一郎×やしろあずき 生対談~学校では教えてもらえない、今ゲームクリエイターに必要なこと(全6記事)
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それでは、次のテーマに行きましょう。次は、ゲームクリエイターの仕事と日常についてお聞きします。こちらでは、お仕事の話と、ふだんあまり聞けないプライベートの時間の使い方を深掘りしていきます。
まず、ゲームクリエイターのお仕事についてお聞きします。みなさんはプランナー職の経験者なので、プランナーのお仕事を主軸に、どういう内容があるかというところをお聞かせください。
高木謙一郎(以下、高木):プランナーがどういう役職かというのは、表現しづらいなとは思っています。
弁当を買うところから、ゲームの仕様書を書くまで全部やるみたいな感じ。ADのような感じで、みんなのサポートをすべてしながら、ゲーム開発を進めていく、推進していく役割かなと思ってやっていました。
実際、今はかなり細分化してきているんですかね。もともとは、本当にゲームデザインをしてゲームを作るというのがゲームプランナーとかゲームデザイナーだと思っていたのですが、今は本当に、パーツをみんなで一緒に作って、組み合わせて、なにかしらの形にしていくというのが多いですよね。
だから、私も一時期悩んだ時期がありました。俺が作ったゲーム感というのがすごく薄くて、もっと塊や全体で作りたいと一時期よく思っていました。
やしろあずき(以下、やしろ):雑用やりますよね。僕は、雑用って言っちゃうんですが、雑用と言っても重要なものがたくさんあります。
自分が作るゲームの仕様を知らなきゃなにもできないから、朝から晩までデバッグするのもそうですし。最初から企画書をバリッと書けるとイメージして入ると、ちょっと肩すかしを食らうかもしれない。
まあ、チームによって、ぜんぜんやることが違うので、最初からやらせてくれるところもあるかもしれませんが、けっこうやることはいろいろありますよね。俺、武器の名前とかをメッチャ考えたりしていました。
高木:僕は動きを作るのがすごく好きでした。
司会者:木村さんは、プランナー職から今はプロデューサーの経験をされていますが、プランナーのお仕事は具体的にどういうことをされていましたか?
木村唯人氏(以下、木村):そうですね、僕は、パラメーター作ったり、イベントを作ったり、ゲームを作っている感じの仕事をけっこうやっていました。デバッグもやっていたし、進行管理みたいなのもやっていました。
最初はデバッグをやるんですが、デバッグのバグをすぐに見つける人はやはり仕事できるんですよ。
高木:ああ、僕そうですね。あ、僕そうですねって(笑)。
(一同笑)
やしろ:やはり、それは重要ですよね。
木村:プランナーたる者、すぐにバグも見つけなきゃいけないし、雑用と言っていましたが、プログラムを組むのと、絵を描く以外は全部をやるという感じなので、ゲーム作りのやはり一番おもしろいところをできる。
やしろ:もし絵が描けたら、絵も描かされますからね。
木村:そう、絵も描けたら絵も描かされます。プログラムが組めたらプログラムも書かされるんだよね。
やしろ:だから最終的に、自分が一番やれることにフィットさせられる気がするんですよね。僕は絵が描けた人間なので、外注の絵描きさんの仕様書を見て、チェックバックもしていたんです。だから、結局自分がやれるところに最終的に行き着く感じはしますよね。
木村:そうですね。分野が広いので、強みはやはり活かしていったほうがいい。
やしろ:けっこう、理系と文系とで分かれていますよね。
高木:そうそう、ぜんぜん違う。
やしろ:ステータスを考えるのは、メッチャ数字を調整するから理系の人だし、俺はそれは一切できなかった。武器の名前とか、ストーリーとか、アイデアのほうでメッチャ戦っていた。
木村:右脳派と左脳派で分かれていて、いろいろな仕事がある。
司会者:やはり仕事の幅が広いというイメージがあります。今までやってきた中で、これは一番楽しかったなというお仕事とか、こういうのは好きだったなというものはありますか?
やしろ:メチャメチャ中二病なので、武器の名前を考えるのがすっげえ楽しかったです。昔の西洋の武器一覧みたいな、でっかい辞書を先輩にもらって、それを見ながら、全部に名前をつけていくみたいなことをやっていました。
最初は超楽しいんですが、後半はマジでなんにもなくなるんですよ。バスタードソードみたいな名前を全部つけちゃったら、もう名前がつけられなくなって、どんどん、漢字でかっこいい中二病みたいになる。
木村:スーパーバスタードソードにする。
(一同笑)
やしろ:どんどんバカになっていきますよね。最終的には、漢字でメチャメチャかっこよくしたりして。こうやってダサい武器の名前ができていくんだとわかりました。
木村:きちんと、レベル感も作らなきゃいけないから。全部がかっこよかったら、成り立たないんだよね。
やしろ:最初のほうは、本当にダサい、ソードみたいなものから始まって、最終的には、阿修羅なんとか牙狼剣みたいになっていたり。
(一同笑)
木村:ぜんぜん統一感ないよ。
やしろ:それも楽しかったなって、すごく思いましたね。
司会者:高木さんはどうですか?
高木:僕はそうですね。やはりプランナーは、絵や音楽と比べると直接自分が作ったものが世の中に出ることは少ないので、初めてエクセルでステージの仕様を切って、それが画面に映った時の興奮は今でも忘れられないです。目の前に自分が思い描いていたものが出てきた時に、「ああ、やはりプランナーは楽しい」と思いましたね、未だに思います。
やしろ:そこで作ったものは自分しか遊べないですよね。世に出るんですが、そこからどんどん直していくので。
高木:そうですね。
やしろ:自分で直して、どんどんやっていくのは楽しいですよね。
高木:今だとわりと「Unreal Engine」とかですぐ出ちゃうので。
やしろ:「Unity」とかでね、すぐできちゃうので。
高木:昔ほどは感動しないですが、でもそこは憶えています。
司会者:木村さんはどうですか?
木村:僕は、ゲームを作ることであれば全部楽しいです。僕はパラメーターを作るのが好きなんですが、目には見えないけれど、プレイヤーが楽しんでいく過程を作るのは楽しいです。
パーツと言いますが、遊ぶところには絶対出てくるので、目に見える必要もぜんぜんなくて、なにをやっても楽しかった。イベントはすごくよく見ますが、僕はパラメーターがすごく好きで、それを作るのもすごく楽しいです。
もともと商社に勤めていたので、ゲームを作ってお金をもらえるのが意味不明なぐらい楽しくて。なんでゲームを作ってお金もらえるの? みたいな感じ。なにをやっても楽しかったですね。
あと、昔ミニゲームを全部作らせてもらったことがあって、本当に自分だけで作っていく感じで、それも楽しかったです。
やしろ:だって、武器の名前を考えるのって、中学生の時に自分の漫画とかでみんなやりますからね。あれをやって月給がもらえるんですよ? 「ヤバッ」と思って。中学時代の昼休みにやっていたことでお金をもらっていると思ったこともあって。そういう意味でも仕事自体が楽しいですよね。
木村:なにをやっても楽しいですね。ゲームじゃないことはあまり楽しくないけど、ゲームのことだったらなんでも楽しいですよね。
やしろ:好きなことですからね。
司会者:ゲーム業界を目指すきっかけは、やはりみなさんゲームが好きだったから目指すというのが大きかったですか?
やしろ:僕はそうですね。やはり好きなことじゃないとやりたくないなというのが、漠然とあったんですよね。自分の性格的にも、自分がはまることじゃないとたぶん仕事は続かないなというのがあったので、漫画なりアニメなりゲームなり、なにかしらでやりたいという気持ちはありました。
高木:そうですね、本当に好きなだけです。すごく昔から、漠然とスーツを着て仕事はしたくないなというのをすごく思っていたんですよね。
やしろ:わかる、すげぇわかる(笑)。
高木:それもあって、漫画家かゲームをずっと目指していましたね。
木村:すごいね。
やしろ:あ、そうだ。漫画家も目指していたんだよね。
高木:一応そうですよ。でもすごく描けるわけじゃないので、やはり漫画家さんは超人だなと、いつも思います。
やしろ:いやいやいやいや。
(一同笑)
木村:やしろさんはムッチャ真面目で、毎日絶対1話を描いていますよね。どんな時に仕事をしていますか?
やしろ:実は、僕も最近すごいんじゃないかなと思い始めましたね。
木村:いや、すごいよ。どんな時でも空いた時間を見つけて漫画を書いているから。すごいなと思っています。
高木:持続するのが難しいですもんね。
木村:そうそう、僕は三日坊主なので、仕事じゃないとなんにもできない。
やしろ:僕も、本当にそれぐらいだったんですよね。最終的に続けられたのが漫画だけだったので、結局ここに落ち着いたみたいな部分もあって。僕は毎日会社に行くのが嫌いな人間だったので。
木村:でも、そういう才能があってよかったね。危なかったね。
(一同笑)
やしろ:ゲームによってそこが培われた部分が、僕はけっこうあったんでね。業界には感謝しています。
木村:ちょっと話が戻りますが、僕もゲームがすごく好きで、ゲーム人間だったので、家にいる時は1日何時間もゲームしていたんですよね。
でも最初商社に入った時、僕の世代は、ギリギリゲームの仕事に就くのはあまりよくないみたいな、クリエイターの地位がけっこう低くて、安定もしていないし、遊んでいるようなものだと思われていたんですよね。
なので、ゲーム業界に入るのは親不孝かなと思って商社に入ったんですが、ゲームが本当に好きだから1回挑戦してみようかなと思って、結局辞めて、ゲーム業界にチャレンジしてみたんですよね。
司会者:なるほど。ゲームプランナーというと、おもしろい企画をどんどん考えないと仕事としては成り立たないのかなと思ってしまうのですが、実際にはいろんと幅広いお仕事があるというところで、初めて知る方も多かったのではないかなと思います。
あとは、やはりゲームが好きであること、ゲームをプレイしていることがとても大事だなというところですね。
それでは、次のテーマに行きましょう。次は、ゲームクリエイターのあるあるについてお聞きします。ゲーム業界でお仕事をすると、こんなことがある。ゲームクリエイターにはこういう人が多いなど、なにかありますか?
やしろ:自由な人が多いですよね。僕、一番記憶に残っているのが、新卒で入ったゲーム会社で、給料日を初めて迎えて、「やった!」と思って、みんなは何に使うんだろうなと思ったら、昼休みに、メッチャ、ガチャを回していて、「あ、やはりゲームに課金するんだ」と思って。何に課金しているのかと思ったら、その時自分が作っていたゲームにメッチャ課金をしていて、「何で会社で、この人たち給料サイクル回しているんだろう?」と思って。
でも結局、それは、作っていくとわかるんですよね。僕もメッチャ回すようになって。だから本当にゲームがすごく好きな人というか、自分が作ったゲームに愛を持っていて、自分の給与でそこに課金をしていく人みたいなのが、けっこう多かったイメージがありますね。
木村:コミケにみんなで休んで行ったり、逆にそういうゲームの大きなイベントは、仕事で行ってきていいよとかあったりするのも、ゲーム会社ならではだし。
超大作が出たら、みんなででかいテレビでその日にやったりしますよね。『FINAL FANTASY』が出たらみんなでやったりしましたね。
やしろ:有休をメッチャ取りましたよね。『ドラクエ』のオンラインが出た時、みんなメッチャクチャ休みましたもんね。
木村:有休を取る場合もあるし、朝買ってきて、みんなでやることもありますよね。
やしろ:ゲームをやること自体がある種研究になりますからね、という言い訳をしながら。
高木:言い訳ですよね。
(一同笑)
木村:言い訳をしながら。でも実際に勉強になる。
やしろ:デスクにPS4を置いて、普通にやっていましたよ。でもそれで怒られることはない。でも、商社でそれをやったら、たぶんクビになりますよね。
木村:それはもう仕事に関係ないからね。
(一同笑)
木村:そういうのも、やはり楽しいですよね。楽しいし、ゲーム会社なんだなという感じがすごくします。
司会者:周りにゲームが好きな方も多いので、ゲームの話で盛り上がれるというところもいいかもしれませんね。
木村:そうですね、みんな、昼休みにゲームをやっていますからね。『モンハン』とか出たら、昼休みにやるし。
やしろ:飲み会でも、みんなスマホをいじっていますからね。マジで、がぶがぶお酒飲むというよりは、本当に自由。みんなゲーム好きだから、飲み会で、コミュニケーションがやはりしやすい部分があって、だいたい発売したゲームの話や新作の話をします。アニメが見たいから帰るというのも許されますし。ゴリゴリな「やれ飲めやれ飲め」みたいな体育会系の飲み会は、あまり俺はなかった。
木村:ゲーム会社は、飲み会が大人しいというか、そういう感じです。
やしろ:そう、平和だった。
木村:平和ですよね。
高木:そうでしたか?
木村:えっ、そうじゃないの?
(一同笑)
高木:いや……一概には言えないと思って。
やしろ:大人しくなかった?
木村:たまにすげぇやつがいる(笑)。
やしろ:たまにすげぇやつはいる。
木村:全体的には、そうですよ。
商社だとやはりすごく厳しい。「肘突くな」とか「注げ」とか。
やしろ:上司にお酒を注がなきゃいけないみたいなのはないんですか?
木村:それはあまりないよね。ある会社もあるかもしれないですけど。
(一同笑)
やしろ:あるかどうかは会社によりますもんね。
木村:そんなにはないね。
やしろ:うちもぜんぜんなかったですね。
木村:形式的にカラオケは最初に歌わなきゃいけないんですよね。
やしろ:そんなんあるんですか?
木村:一発目は新人が歌う。
やしろ:俺はそれ、絶対嫌だよ。
(一同笑)
やしろ:嫌な部分見ちゃった。俺はそんなのなかった。
司会者:高木さんが先ほどお話ししていたように、業界的に、服装や髪型も基本的に自由ですよね。
高木:そうですね、そこは自由です。サンダルを履いていたり、途中で風呂に行ったり。
(一同笑)
やしろ:仕事中に風呂行くやついますからね。
高木:デスクにフィギュアを置いたり、漫画を置いたり。
木村:フィギュア置いてある会社は多いですよね。
高木:その自由さはいいですよね。お菓子食っていても別にいいですからね。
やしろ:オフィスグリコ、メッチャよく食っていました。
高木:一時期、オフィスグリコで生きていましたからね。
やしろ:オフィスグリコのキャラメルみたいなのを無限に食っていたらメチャメチャ太りましたよ。
高木:「ビスコ」で生きているみたいな感じ。
やしろ:見た目もみんな若いんですよね。
高木:確かに、それはそうだよね。
やしろ:ゲーム業界は、実年齢より若く見える人がメチャメチャ多いんですよ。漫画家もそうなんですが、激務の部分もあるけれど、たぶんやはり自分が好きなことやって、ストレスなく生きているから、老けづらいのかな。
高木:常に新しい仕事ができますしね。繰り返しにはならない。
木村:そうですね、ルーティンワークがあまりない。
やしろ:ルーティンはないっすね。特にプランナーはないですね。だから、プロジェクトが変わると会社が変わったみたいになるんですよね。チームが違うと、本当にやり方が全部変わっちゃうので。毎回毎回フレッシュな感じで、良くも悪くもできる気がします。
高木:それは楽しいですね。
やしろ:楽しいですよね。
(次回へつづく)
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