Rubyコミュニティの魅力

よう氏(以下、よう):言語的な側面はこのへんにして、次に、コミュニティとしての側面の話をしたいと思います。

Rubyにはどのようなコミュニティがあるかという話ですね。

これだけではありませんが、代表的なものとしては、地域に根付いたRubyコミュニティがあります。

私がよく行っていて好きなのは「Asakusa.rb」という浅草でやってるやつです。浅草ってどのへんかというと、だいたい全世界に広がっているという(笑)。

(会場笑)

これ、Asakusa.rbに出てる人たちにしかわからない話でごめんなさい(笑)。Asakusa.rbでは、Asakusa.rbに参加した人がいるところを浅草と定義してしまっているので、そういうことになっています。

このように、Asakusa.rbに限らず、地域ごとに地域Rubyのコミュニティがあります。例えば、渋谷のあたりだと、「Shibuya.rb」とか「Omotesando.rb」とか、そういったコミュニティがあります。「Tokyu.rb」もこのへんかな。

あとはRails Girlsですね。先週もありましたが、Rails GirlsはRailsを学ぶGirlsとしての応募には制限がありますが、普通に参加する方法のほかに、コーチやスタッフ、オーガナイザーとして参加することができます。実はそちらのほうがやりがいがあるというかおもしろみがあるので、ぜひそういったかたちで参加するのもいいと思います。

あとはRubyKaigiですね。4月18日から「RubyKaigi 2019」が福岡であります。

ほかにはこういったイベントに参加して仲良くなる。これも1つのコミュニティ活動になります。

日本のRubyコミュニティの特徴

日本のRubyコミュニティの特徴ですが、ほかの言語と比べて何が特徴的かというと、我々日本人にとっては、(言語が)日本で作られているということが一番の特徴になります。

なので、Rubyを作っているコミッターたちがそのへんにいるわけですね。RubyKaigiになると、こういう感じです。

これはRubyKaigiの1つのセッションで「Ruby Committers vs the World」というセッションなんですが、ピンクのTシャツを着ている前の壇上に上がってる人たちは、全員Rubyのコミッターと言われる、Rubyを作っている人たちです。

こんな光景はRuby以外では日本では絶対に見ることができません。なぜなら、海外の言語だと、海外の開発者がみんな日本に来てこうやって並ばなければいけないからです。ですが、日本で作っているからこそ、日本でこういうことができるという話ですね。

あとは、コミッター以外にも技術的に尊敬できる人はたくさんいます。Rubyは日本で作られているというか、日本人が作っているので、Rubyが作られた頃からRubyのコミュニティも存在しているわけです。最初はまつもとさんと圭樹さんだけみたいな感じだったかもしれませんが、すぐに広がっています。

そういうわけで、Rubyのコミュニティは歴史が長くて成熟しています。私の印象かもしれませんが、成熟しています。

技術コミュニティのホモソーシャル性について

ネガティブな話をすると、技術コミュニティのホモソーシャル性というのがあります。今日は女性向けのイベントということなので、このへんの話もちょっとしておこうかなと思います。

男性が多いと話題が偏るという話です。男性が多いとというか、偏った属性を持っている人が多いと話題が偏ります。

例えば、我々は技術のコミュニティなので技術の話に偏るわけですね。それは別に我々は技術のコミュニティとして集まっているからいいんですけれど。男性が多いというのは、別に男性だけを求めているわけではなくて、女性もコミュニティに入りたいのに、男性固有の話題に偏ってしまうことがあります。

それは偏っていることが問題としてあるわけですね。だから、女性だけの場合でももちろん起こりうるわけです。

ただ、そこは誤解されないように気をつけていただきたいんですが、これは人数が偏っていることによって起きているわけですね。

それをどうやって乗り越えるかというと、その偏りをなくしたり、気遣いとか、そういった大人力で解決していく必要があります。

今日のこのイベントはまさに偏りをなくしていこうという試みなので、開催してくれたことに圧倒的感謝ですね。ありがとうございます。

Rubyコミュニティの大人力の高さ

Rubyコミュニティはどうかというと、Rubyコミュニティはこれまで大人力によってこのようなことはないようにやってきた感じがします。

これは私の感想ですが、こう言うからには一応根拠はあるわけですね。「なぜ?」という。

例えば、RubyKaigiというのは今年で13回目を迎えます。つまり、13年ぐらいやっています。Asakusa.rbは去年で10周年になりました。今年11年目です。Ruby自体は26歳になりました。去年25歳の誕生日会をやって、今年は26歳になりました。

26年経っているわけですね。26年前ってなにがあったかというと、だいたい日本で一般の人たちにインターネットが普及してきた頃です。なので、Rubyコミュニティの歴史はインターネットとともにあると言っても過言ではありません。

このように、昔からコミュニティ活動が盛んで長くやってきているので、Rubyのコミュニティは成熟しているんじゃないかというのが、私の持論です。

ということでまとめます。

私のRubyの好きなところを話しました。その1つとして、みんなオブジェクトということがあります。あるいはブロックですね。「ブロックはとてもよい割り切りをしていてよいよね」という話です。本当はもっといっぱいありますが、今日は時間が足りないのでこれだけにしました。

あとは、成熟したコミュニティがとてもよいところです。「Rubyをみんなで楽しみましょう」ということで終わりたいと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)

Rubyで自然言語処理を行うモチベーション

司会者:ようさん、どうもありがとうございました。Rubyを始めた人にはすごく参考になるガイド的なお話を隅から隅までしていただいた感じがあります。「ようさんにこれ聞いてみたいな」という話がある方?

質問者1:Rubyで自然言語処理や深層学習、人工知能のなにかを進めていらっしゃると聞いたのですが、いかんせん今の人工知能の主流と言えばPythonじゃないですか。なので、Rubyで進めていくことの良い点というか。逆に「Rubyはここが弱いけど、Rubyで人工知能を進めていったらこういう良いことがあるよ」みたいなことを教えていただければ。

よう:まずモチベーションとしては、私はRubyが好きだからです。「Rubyでやりたい」というのが一番のモチベーションです。

私がRubyでやりたいと思っているのは、Rubyは普及している言語だし、そう思う人はわりといるんじゃないかと思うんですけど、やっぱりRubyってすごく書きやすくて、表現力として自然言語に近いみたいな話もありますが、すごく手に馴染む書きやすい言語だな感じています。

それでも、やはり自然言語処理は難しいですよね。難しいので、ロジックをなるべく簡潔に書きたいといったモチベーションがあります。なので、そういう部分もありますし。

あとは、私は日本語の自然言語処理とにフォーカスしているんですが、それはなぜかというと、Rubyが日本で作られた言語だからです。なので、もしかしたら日本語の自然言語処理というコンテキストにおいては、Rubyのほうがもしかしたら潜在的に有利かもしれないし、これからRubyのほうがよくなるかもしれないという期待を持っています。

質問者1:ありがとうございます。

司会者:時間が来てしまいましたので、これで質問も終わろうと思います。ようさん、どうもありがとうございました。

(会場拍手)