エンジニア兼人事担当者が踏みとどまっているところは?
モデレーター:なんとなくステージはわかりました。HRTech。それが世界と、さっきこう、向こうが進んでるって言ってたんだけど、どんなもんなんですか? その進んでいる具合っていうのは。僕あんまり肌感としてよくわかってないんで。
なんか、mesoさん(ドワンゴ・清水俊博氏)は「Workday(ワークデイ)」一択だって言ってたよね。人事管理、財務管理。知ってます? すごい高いらしいですけど。
庄司嘉織氏(以下、庄司):検討してたりはしてます。
藤本真樹氏(以下、藤本):検討してたりはしてます。
モデレーター:こういうのを使うとなんか変わるんですか? わからない。単に便利? そこまで分析できてない?
庄司:正直そこまでわかりません!
藤本:でも、当たり前の話ですけど、入れただけで変わるわけねえだろっていう、あるある(笑)。
庄司:HRTechに含めていいのかわかんないけど、Googleとかはよく社内で作っています。たぶんみんなも見たことあると思うんだけど、Googleは「こうこうこういうことを試してみましたが、それが生産性に寄与しないことがわかりました」みたいなのってよく発表されるじゃないですか。
それね、実はすごいことだと思うんですよ、彼らは生産性を可視化してるっていうことだよね。数値化できて見えるから、生産性に寄与しました・しませんでしたが言えるんだよね。でも、僕だけじゃないと思うんだけど、みんなも「生産性って可視化できてる?」って言われたら、できてないよね。
そう考えると、まだまだすごいものっていっぱいあるんだろうなとは思ってる。だから、なんだろうな……。使ってはいないけれども、すごく良くなるんじゃないかなぁとか。
モデレーター:未来は。
庄司:未来はあるんじゃないかなぁとは思います。
モデレーター:そのぐらいの感じ?
庄司:そのぐらいの感じです。なんかね、もっとすごい話ができたらよかったんだけど(笑)。はい、現実はこんなもんでした。
(会場笑)
藤本:なんかこんな話でいいのかよくわかんない。
モデレーター:いやいや、あのね、たぶん重要なことは、「エンジニアが人事になりました、わー!」だけが切り取られると、すごい先進的な取り組みをやっててヤバい。でも逆に、それでもやっぱり「まだこのへんで踏みとどまってます」ということは、それはそれで貴重な情報だと思うんで、それは別にいいと思うんです。
藤本:こんなもんです。
人事マスターができないと、新ツールを導入しても意味がない
モデレーター:それでね、僕ちょっと思ったんですけど、書いたんだけど。なんか話をしてて2つあるなと思ってて。僕らの言葉で言うとUXとUIなんだけど。
そもそも効率化とか自動化とかプロジェクト管理みたいな、「本来正しくやればきちんと終わるのに、すごく手間かかってるやつを効率化しましょう」っていう話と、先ほど言っていた「エンゲージメントを高めましょう」「離職率をAIで割り出しましょう」など、今までできなかったことができるようになることって、たぶん2つの軸があるんですよ。
なんか、前者の方はこう、あれだよね。あまり深いこと考えなくてもできそう。
庄司:前者の方は、どっちかというと「IT化」みたいな感じですよね。
モデレーター:そうそう。で、後者のほうが、先ほど言ったSaaSとかがけっこう目指してる世界なんだけど。ちょっとこれは、新しい体験だからまだちょっとよくわからないなっていう感覚というか。
藤本:順番から言って、前者ができてないと後者はけっこう難しい。
モデレーター:そうそう。それこそ、その人事マスターとかをきちんと作ってないのに、そういうエンゲージメントツールとか入れても、「ぜんぜんデータないじゃん」みたいなことが起こるわけですよ。まず最初は前者の方から取り組まなきゃいけないのかなっていうのは、ちょっと。
庄司:聞いておもしろかったのが、離職率のところなんだけども……。前なんかで聞いたんだけど、離職率って要するに、自分の会社の社員にしか使わなそうな気がするじゃん。離職率を調べるのって、自分の会社の社員に対してしか使わない気がするんだけども、実は採用で使われてて。
モデレーター:採用?
庄司:どういうことかっていうと、例えば、人間は転職してから3年以上が離職率が高くなるとか。
モデレーター:あ~。
庄司:そういうのがけっこう統計とかで出てる。それを使って、逆に「この人は3年前に転職してるから、もうそろそろ声をかけたほうがいいんじゃないか」みたいなものを出したりとか。「LinkedInのプロフィールが更新されたから、最近活動してるぞ」みたいなのを出して、逆に採用側に使ったりとかにもつながるっていう話です。
モデレーター:それでさっきの、なんだっけ?
庄司・藤本:Workable。
モデレーター:そういうのがデータを出してくれて。
庄司:そうそう。そんな話を聞いて、確かにけっこうおもしろいなぁっていう。
藤本:似た話だと、USでスタートアップやってるCTOの友達がいるんですけど。彼は採用したい人リストを最初に作っていて、3ヶ月に1回、pingを打っていれば、3年あればだいたい採れるって言ってて。
3年それをやってれば。3年前に作ったリストがあったとして、単純に2~3ヶ月に1回はコンタクトするようにしてました、と。そうなると、人間だいたい3年に1回は辞めたいと思うタイミングがあるんで、3ヶ月ぐらいに1回それをやってると、そのあと来てくれるかどうかは別ですけど……。やばい、ぜんぜん関係ない話になった。
(会場笑)
モデレーター:そういうデータを使ったりとかっていうので、UXが変わっていきますみたいな話。
藤本:ただね、「全般としてそんな派手じゃなくてもできることいっぱいあるんだ」っていうのはすごく思う。感想として。
エンジニアの働きやすさのために、他部署を犠牲にしてはいけない
モデレーター:はい。残り10分ですか。いきなり話が変わっちゃうんですけど、文脈でちょっと気になってたことがあって……。
あぁ、これこれ。これ清水(俊博)さんがインタビュー受けてた記事なんですけど、「エンジニアの働きやすさが他部署の犠牲の上に成り立っていてはならない」と書いてて。さっき(庄司)嘉織さんが言ってたんだっけ?
庄司:あ~、エンジニアが……。
モデレーター:特別視されてはいけないって。たぶんね、世の中の文脈では、なんか「エンジニアが人事責任者になりました」っていうのは、たぶん、たぶんだよ。僕の感覚だと、「エンジニアにとっていい会社になる」っていう方向に受け取っている人が多いんじゃないかって思うんだよね。
でもその逆、逆じゃないけど、そういうことじゃないでしょ? ね、mesoさんとか、嘉織さんが考えてること。言いたいこと伝わってる?
庄司:伝わってる、伝わってる。それは本当に、すごく悪意のあるエンジニアが人事部長になったらたぶんそうなると思う。
モデレーター:ははは(笑)。
(会場笑)
それはでもさ、本人は悪意じゃなくて善意でしょ?
庄司:そうなんだけれども、なんだろうな。やっぱり人事部長っていうことをちゃんと考えて引き受けたら、全社員の幸せを考えなきゃいけない。それは、なんか当たり前だよねって思って。