
2025.02.26
10年前とここまで違う 落とし穴だらけの“ERP to ERP”基幹システム刷新が抱えるリスクと実情
個人スポーツ、団体スポーツにおけるアスリートのパフォーマンスのレーティングについて(全1記事)
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渡部雅史氏(以下、渡部):渡部です。よろしくお願いします。弊社はスポーツのスタートアップです。そこで開発している「Fand!」のサービス内にある「アスリートのレーティング」について、お話させてください。
会社の概要としてはこんな感じで、1年半ぐらい前に設立した会社になります。
まずは、私自身の紹介から。経歴はなんとなく書いていますが、大学までずっとサッカーをやっていたサッカー好きです。
そのあともちょっと珍しいんですが、スポーツ関係の仕事をけっこうやっていて、最後はDAZNで、編成の責任者とかをやっていました。サラリーマンをやってから起業した感じです。
現在、弊社で何をやっているかというと、取り組んでいるテーマの1つとして、「アスリートの活躍度を可視化する」みたいなことにチャレンジしています。株みたいに、数字でアスリートの価値を表して、それを試合ごとに更新していくことです。
主にこの右の3つの要素を考慮しています。「どれぐらいの舞台で」というのは、オリンピックと国内大会の1試合を比べると、断然試合の価値が違いますよねといったこと。「どの相手に」は、自分より格上なのか格下なのかについて。「どんな勝ち方」については、同じ勝利でも圧勝だったのか辛勝だったのかでも違うよね、といった情報を入れながら、毎試合の戦績を積み上げて計算しています。
もうちょっと詳細なお話として、卓球を個人スポーツの例としてあげます。イメージだけ掴んでいただければと思うんですが、ベースポイントとボーナスポイントに分けて計算をしていまして、ベースポイントは前のページの上2つですね。舞台と相手の要素で、ボーナスポイントは勝ち方の部分です。
卓球は4セットマッチなので、4-0の場合なら圧勝しているからボーナスを付ける。そんな感じで、テーブルを作ってボーナスを付けたりしています。
さきほど「舞台によって1試合の価値は違うよね」という話をしましたが、卓球においても、それぞれの大会のポイント表みたいなものを作って計算しています。卓球には世界ランキングがあり、それを出すために使われているポイント表を参考に、独自でカスタマイズしています。
実際にどういう計算をするかというと、ちょっと算数ぽいのでなるべく簡単にいきます。このケースだと、元のレーティングが10,000で、ベースポイントの部分は大会ポイントが150ポイントでした。選手Aと選手Bが対戦して、期待勝率は選手Aが選手Bに勝利する確率が60パーセントぐらいです。選手Aのほうがちょっと強いみたいな感じで、実際に選手Aが勝ちました。
スコアはこんな感じでした、というようなサンプルになっています。この計算だと、計算式は、10,000+(0.5/0.6×150×1.2)です。150のところがこの試合ポイントの部分でして、1.2はけっこう圧勝しているので20パーセントぐらいボーナスが付き、1.2倍になっています。
一番難しいのが、ここの0.5/0.6のところです。期待勝率の出し方については、イロ・レーティングの考え方を使っていまして、ご存知の方もいるかもしれません。けっこうレーティングの世界では有名な考え方で、将棋とかチェスとか、あとはサッカーのFIFAランキングとかもこれで出していたりします。
自分と相手のレーティングを入れてあげると、自分が相手に勝つ確率は何パーセントか、というものが出ます。今回の場合だと、それで0.6と出ていると仮定する。0.5/とやっているのは、ここが0.5/0.5だったら1になります。だから五分五分の相手に勝ったら、この試合ポイントが満額もらえるみたいな考えです。
自分よりちょっと弱い相手だったら、ここが0.5より大きくなるので、0.5で割ったら1より小さくなる。満額はもらえないみたいな調整を掛けるために、0.5/としています。これで計算すると150増えますよ、みたいな結果です。
ちょっとややこしいのが、チームスポーツにおける個人のレーティングについてでして。勝ったときのパターンを紹介しますが、こんな感じの数式で出しています。ポイントとしては、3分の1ぐらいチームの勝敗の要素を入れている。勝利に貢献することが重要なので、3分の1ぐらいのチームの要素、残り3分の2ぐらいは個人のパフォーマンスを入れています。
期待勝率が同じように出てくるんですけど、シームスポーツはチーム同士が対戦して勝敗がつくものです。そのため、チームのレーティングの差による期待勝率を使っています。
例として、Jリーグの川崎フロンターレが横浜F・マリノスと対戦したときに、家長選手が仮に出ていたらどうだっただろうかを考えてみました。これは元のレーティングが13,000で、仮に1試合のポイントが100だったとします。
勝ったのでチームの勝敗ポイントの1/3がもらえ、EFFはちょっと置いておいて10でした。これにチームの期待勝率を掛けるような感じになっています。仮に川崎フロンターレのレートが10,000で、横浜F・マリノスが12,640だったら、川崎のほうがちょっと低いので、期待勝率は0.5より低くなります。
勝ったので、この勝ちの公式に当てはめ、計算すると13,125。125増えている計算結果になります。この13,000とか13,125は家長選手のレーティングです。
次はさっき飛ばしたEFFとは何なのかという話で、バスケだと、実際にEFFという用語があります。Efficiencyという効率性みたいなところの訳らしいんですが、ゴールにつながったプレイから、ゴールにつながらなかった、失点につながってしまったプレイを引いた数字なんですよね。
だから、どれだけその選手がゴールに貢献したかみたいな指標です。ポジションに関係なく共通の算出式です。その考え方を流用して、ポジションにかかわらず使えるような式を作りたいなと思って、サッカー版のEFFみたいなものを考えました。
ポジションによって、当然重点的に発生する項目が違います。そこで、バランスを過去のスタッツとかを見て取りながら、それぞれの項目に係数を設定。どのポジションであろうとこの公式にスタッツを入れてあげれば、ある程度公平に評価できるという公式を作ってみました。
フォワードだと、シュートとかドリブルとかパスとか要素がやっぱり強く、特にゴールやアシストしたときには高く評価されます。ディフェンダーとか守備的ミッドフィルダーは守備的な指標に絡むケースが多いです。そこにもある程度の係数をかけて、そこでポイントを稼ぐかたちの計算式にして、EFFを出しています。
この一番下が実際の係数ですが、ちょっと若干企業秘密みたいなところがあるので、ここだけシークレットでお願いします。
これを使って僕らはビジネスをやろうとしているので、興味がある方はお気軽にご連絡ください。連絡先は、みなさんTwitterとかFacebookをやっていそうだったので、そちらも書きました。あまりTwitterとかは投稿していないですが、一応見てはいるので、そちらからでもご連絡ください。以上です。
司会者:ありがとうございます。とてもおもしろい発表でした。さっそく質問がいくつか来ています。「ディフェンダーのオフサイドラインの管理だったりとか野球でのカバープレイなど、明確に点数・得点というかたちで定量化しづらいような貢献がスポーツには存在するとは思いますが、そういった影響をレーティングに上乗せすることは可能なんでしょうか?」という内容です。
渡部:そうですね。そこは非常に大きな論点だなと思っています。結論を言うと、入れられなくはないですね。今はパフォーマンスを分析するツールみたいなものは発達しています。サッカーでいうと、オブザボールみたいなところを評価するものもできてはいるので、それをこの中に入れていくみたいな感じです。
例えば、走行距離とかを入れるみたいなこともできますが、オフザボールのメジャーな指標はまだ確立されていません。
あとは、データの速報性という意味で、今ここに書いてあるような項目は、けっこう試合中にリアルタイムでデータプロバイダー、Jリーグでいうと、データスタジアムさんとかのデータプロバイダーの方々が取っていたりします。試合が終わってすぐに、こういうデータを入手できるんですが、オブザボール系は映像を改めて見て取っているそうで、けっこう時間が掛かるらしいんです。
なので、終わってすぐに計算してパッとレーティングを出すみたいな速報性が求められるメディアとしてこういう情報は、今は入れづらいなというところですかね。ただ、オブザボールを入れたい気持ちはすごくあります。
司会者:ありがとうございます。続いては、最終的な公式について。「これはどのような経緯を踏まえてこの係数が決まっていったんでしょう?」といった質問が来ています。
渡部:そうですね。けっこう中でいろいろ議論をして決めました。大きな分かれ道としては、個人のパフォーマンスだけでいいのか、それともチームの勝ち負けを入れるべきなのか。またポジションごとに分けたほうがいいのではないのか、というのもあります。「全ポジションを共通に評価するって難しくね?」みたいな話で、その2つをとても議論しました。
僕らの場合は、サッカーが好きな人が多く、バロンドールってフォワードの選手しか受賞しないんじゃないか、といった話をしていて。
司会者:そうですね。ゴールキーパーはもう受賞できないんじゃないかなという印象があります。
渡部:完全に攻めの選手が有利な評価方法になっている感じがしていて、「2019年は、なぜファン・ダイクが取れなかったんだ」という話になりました。ファン・ダイクはリヴァプールのチャンピオンズリーグや国内リーグで躍進に一番貢献している選手です。結局メッシがもらったのですが、2019年でいうと、やっぱりファン・ダイクがもらうべきだよねというのがすごくありました。
なのでチームがどれくらいのレベルの試合に勝った、負けた。それに貢献したかも、絶対入れたいよね。だからそれを3分の1ぐらい入れて、あとは個人の要素を3分の2ぐらい入れようみたいな感じに落ち着きました。
あとは僕らはB to C向けのサービスで考えているので、あまりポジションごとに数式が違いますみたいな感じだと、ユーザーがわけがわからなくなってしまいます。そこで、できるだけシンプルにしたいとも考えていました。
そういう意味でバスケのEFFはすごい。これは「ポジション関係ないので参考にしよう」といった考えにたどり着いたみたいな感じです。
司会者:なるほど。とてもおもしろいです。ありがとうございます。いろいろまだ質問が来たりしているのですが、時間の関係でこちらでいったん終了したいと思います。渡部さんありがとうございました。
渡部:ありがとうございました。
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