2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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孫正義氏(以下、孫):人間が囲碁でコンピュータに勝てなくなったように……。囲碁や将棋だけではなくて、ありとあらゆる推論、記憶、予測、知恵。人間が考える程度のものは、コンピュータのほうがはるかに賢くなる。
そういう時代がやって来るということは、疑う余地もないと私は信じているわけです。それがいいことなのか悪いことなのかは、これから我々が大いに議論すべきテーマであります。望む望まないに関わらず、必ずやって来る。
やって来るとするならば、それをより良い方向に導こうではないかというのが、我々ソフトバンクの考えであります。
従来はこの人工知能……超知性ですね。人間の知能を超える知性は、じっとしているスマートフォン、PCに組み込まれているだけでした。でも、それらがロボットに組み込まれたときに、彼らは我々人類と同じように街を歩き始める。同じように走り始める。あるいは人間よりも、空を飛びながら、海に潜りながら。それが巨大なロボットあり、マイクロロボットあり。
そのロボットたちが超知性を身につけて、クラウドでつながり、リアルタイムでありとあらゆる1兆個のものと通信し合う。そうすると、彼らは我々をはるかに凌ぐ。
我々はPepperを世に出しましたが、「なんだ、Pepperはただの操り人形じゃないか」「ピノキオじゃないか」と思っている人がたくさんいます。まあ、そう思っていただいてけっこうです。
そんなものは入り口に過ぎない。これからPepper20、Pepper30、Pepper100と進化する中で、今バカにしている人々は、自分たちがバカにした彼らに追い抜かれていく現実を見ることになっていくのだろうと思います。
もちろんPepperもカタチを変えますよ。より大きくなったり小さくなったり、空を飛んだり。鉄腕アトムのようになるかもしれません。これらがとにかくやって来る。
やって来るとすると、我々は超される側にいるのではなくて、超す側にいたい。しかも、彼らと一緒に世界を変革していきたいと私は思っているわけです。
そこで我々は最近、素晴らしい会社をグループに入れることができました。Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)です。のちほど、こちらについてもさらにくわしく紹介をいたします。
ありとあらゆる産業が再定義される。そういう時代が来たわけです。今までの情報革命は、単に「新聞がインターネットになった」「ラジオがテレビがインターネットになった」。つまり、情報産業です。従来の古い情報産業がコンピュータで置き換わったというだけに過ぎませんでした。
しかし、これからは、そういう広告をビジネスモデルにする情報産業だけではなくて、医療の世界、交通手段の世界、農業の世界。ありとあらゆる産業が再定義される。そういう時代がついにやって来たわけです。つまり、事故のない交通手段、交通の社会インフラができあがる。
人々は楽に、しかも楽しく100歳を越える平均寿命を持つ時代がやって来るでしょう。私は300年のビジョンの中では、これが200歳になると勝手に予測しているわけです。100歳の平均寿命は、もうすぐ目の前にあると私は思います。
未来を予測することのできる世界がやって来る。ロボットとスマートロボット。スマートロボットと従来のロボットは決定的に違います。
スマートフォンと従来の携帯電話が決定的に違うように、スマートロボットと従来の単なる組み立てロボットでは決定的に違う。今工場で活躍している組み立てロボットは知恵のないロボットです。人工知能を持ってないロボットです。我々よりも賢くないロボットです。単純作業をするロボットです。
今まで人間が「ロボットのような世界」「ロボットのような人間」と言うときには、彼らをバカにした呼び方です。つまりロボットは機械的に組み込まれた作業しかできないと思い込んで、「ロボットのような人間」「ロボットのような動き」と言っているわけですけれども。
彼らは人工知能を持つことによって、スマートロボットに置き換わるわけです。生まれ変わるわけです。スマートロボットは単純作業ではなくて、自らが学習し、自らが賢くなり、よりスムーズによりパワフルにより優しく、人の心まで理解をし、自らが行動する。そういう時代がやって来ると私は思っているわけです。
ソフトバンクは新しい時代のジェントレになりたいと思っているわけです。産業革命の時代にジェントレがリスクマネーのキャピタルを投じたように、ソフトバンクはテクノロジーを理解し、リスクマネーを投じる。実際ソフトバンクはもうすでにこの20、30年やって来たわけです。
とくにこの18年間の実績としては、我々が投資した資金リスクマネーとして投資した資金は、約1兆数千億円でした。それが結果的には、20兆円を超えるようなリターンに至ったわけですね。
つまり毎年44パーセント複利で価値を増やした。これほどの規模で、かつこれほどの収益率の実績を出した会社が世界中にないのではないかと思っております。勝手に自負しております。
これを言うとですね、「孫さん、ラッキーだったね」「あんたラッキーだったよ、アリババ掘り当てたね」と言われます(笑)。確かにそうです。アリババに投資したことは、私にとって非常にラッキーでした。ジャック・マーに、非常に感謝をしているということでありますけれども。
じゃあアリババを除いたら、この44パーセントは一体何パーセントなのかと言うと、実はですね、42パーセントなんです。アリババを除いて計算しても、我々ソフトバンクのIRR、複利で得た利益は42パーセントです。
じゃあ2番目の会社を除いてみると? 逆に43パーセントに上がと。3番目を除いても41パーセント、4番目を除いても41パーセント、上から5番目、一番儲かった会社を除いても、実は41パーセントのリターンです。
つまり、これは1つだけのラッキーではなかった。もしかしたら、ここまで続くと、実力なんじゃないか。もしかしたら私は賢いんじゃないと(笑)。1回だけのラッキーではないということを、ちょっと自慢したかったわけでございます(笑)。
つまりこのように、我々が一番大きなリターンの率を上げたのはアリババですけども、ボーダフォンジャパンを買収し、ソフトバンクモバイルに生まれ変わらせた。ヤフージャパンだ。
スプリントも、実は儲かってるんですよ。みなさん、ソフトバンクがスプリントに投資して、「真っ赤かだ」「苦労している」と勝手に心配してくれているんじゃないかと思うんですが。
実はスプリントに投資して、すでにソフトバンクは複利でですよ、複利で毎年48パーセントのリターンを得ているのが実績なのであります。スーパーセルも97パーセントの複利でのリターン。投資した資本に対してリターンを得ている。
つまり、これは我々が単に1回打席に立って1回ヒットを打ったというのではなくて、意図して、考えて、戦略的に何回も打席に立った。空振りもしました。たくさん失敗もしましたけれども、ヒットのほうが大きかったことを意味しているわけです。
これは偶然にそうなったのではなくて、意図してそこにリスクを取りにいっている。意図して情報産業のジェントレになりたいと、我々はやってきているということであります。
つまり情報革命に必要なジェントレ、これを我々が買って出ているわけです。今回、その規模をさらに増やそうということで、10兆円のソフトバンクビジョンファンドというキャピタルを準備しました。
この10兆円という規模は、みなさんご存知かもしれませんけれども、去年1年間の世界のすべてのベンチャーキャピタルを足して、彼らの調達総額が7兆円です。
それに対して、ソフトバンクビジョンファンド1社で……我々ソフトバンクだけで、すべての世界中のジェントレを超えた規模を用意したということであります。10兆円というのは、そういう規模だということであります。AIIBがときどき議論されますけれども、AIIB規模を我々ソフトバンクが1社で用意したということであります。
このジェントレとしてのソフトバンク。これはかつて王族から特権階級で土地を得て資本を得てと。今回まさに本物の王族から……(笑)。本物の王族から我々は資金の協力を得て、まさに新しい時代のジェントレとして買って出てるわけであります。
時代は、我々に対して追い風であります。ほんの10年前、世界中の時価総額のトップ10の中にいた情報関連の会社は、Microsoftの1社だけでした。しかし直近の時点では、トップ10の中にすでに7社入っております。しかも世界中のトップ10の中の7社のうちの、我々グループのアリババがすでに7位。トップ10の中に入っています。
今から20年、30年経つと、このトップ10の中に、ソフトバンクカラーの会社が何社か入っているということに、私はなるのではないかと勝手に思っております。その総和を足すと、ソフトバンクはまさに新しい時代のジェントレとして、彼らを支援しバックアップし大きくしていく。
そこで今回ソフトバンクは、我々1社ではできないので、協力パートナーを得ました。先ほどのサウジアラビアの王族、あるいはアブダビ、アップル、クアルコム、フォックスコン・シャープ。彼らが私の想いに賛同してくれたわけであります。もちろんソフトバンク自らも約3兆円の資金をここに投じています。
ということで、ソフトバンクが目指すのは、単に1つのテクノロジー1つのビジネスモデル1つのブランドで世界を牽引するのではなくて、同志です。同じ志、同じ想いを持っているアントレプレナー起業家を、我々のグループにみんなで集まって、みんなで力を合わせて革命を起こそうではないかということであります。
革命というのは決して1人の力でできるものではありません。革命とは、力を持っていない農民、力を持っていない一般市民が力を合わせて、これまでの世界に対し挑戦し変えていくものです。
ソフトバンク1社では決して大きな力を持っていません。しかし我々は、同じ志を持っている起業家たちと、テクノロジー、そこに資金を集めて、同志的結合、志をともにする仲間たちと一緒に革命を起こそうと考えているわけです。
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