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モール型ビジネスモデルで購入型クラウドファンディングを次のステップへ。GREEN FUNDING(グリーンファンディング)インタビュー。(全1記事)

テレビ局や出版社が「本当にやりたいコンテンツ」を実現する 次世代型クラウドファンディングとは?

インターネット上で実現したいプロジェクトを立ち上げ、ユーザーからの資金を集めるクラウドファンディング。その仕組自体をASPで提供し、メディアをはじめさまざまな企業の新規事業立ち上げを支援しているのが、GREEN FUNDING(グリーンファンディング)だ。担当の沼田氏と宮下氏に、この新しい取り組みと、昨今のクラウドファンディング事情について話を聞いてきた。

※この記事は「TURN YOUR IDEAS INTO REALITY.」からの寄稿です。

GREEN FUNDINGの一番の違いは、「モール型」であること。

――ではさっそく「GREEN FUNDING」のことを教えて頂けますか?

沼田:会社はワンモアという会社なんですけども、今GREEN FUNDINGというサービスを展開しています。創業は2011年の6月なのでこの5月で丸三期が終わるところです。

で、創業以来クラウドファンディングを事業領域にしてやってきたんですけども、Kickstarterの向こうでの盛り上がりを2010年の終わりに見て「これはすごい面白いな」と思いまして。

当時はクラウドファンディングって購入型のものだけを指すことが多かったと思うんですが、例えばソーシャルレンディングという貸付型のクラウドファンディングとか、ネットで寄付を集めるファンドレイジングって言っていたものが寄付型のクラウドファンディングになっていたりとか、今は、広い意味でネットでお金を集めること全般をクラウドファンディングと言うようになってきたと変化を感じていて、少しずつ浸透してきているのを感じます。

沼田:その中でも僕たちはKickstarterを見てスタートしたのもあって購入型のクラウドファンディングをやっているんですけれども、他社との1番の違いで言うと、僕らのクラウドファンディング事業は元々BtoBをベースで、「モール型」のサイトとして展開していることです。

日本だとReadyforさんとかCampfireさんとかって、Amazonさんじゃないですけどプロジェクトを直接自分たちで探して来てキュレーションしてきていますが、GREEN FUNDINGは楽天さんとかZOZOTOWNさんみたいにみんなで集まって大きなクラウドファンディングのサイトを作りましょう、という考え方でやっています。

プロジェクトをキュレーション出来そうなビジネスパートナーを見つけてきてクラウドファンディングのノウハウですとかシステムを貸し出し販売して、一緒に大きなモールを作りませんか、という考え方をしていて、そこが一番違うかなと思ってます。

当初全然理解されないビジネスモデル。これは困った。

沼田:このビジネスモデルは創業の時に考えたんですが、自分がエンジニアではなかったのでASPを作るのとシングルアプリケーションを作ることの大変さの違いをあまり理解していなくてですね(笑)。

大して有名人でもなく資金もないのに何故かASPでクラウドファンディングをやりたいという不思議なことを言っていて、当時誰からも理解をされず(笑)。まあクラウドファンディングが知られてなかったということもあり、流行っていないもののさらに企業向けサービスなんて、ビジネスとして成り立つの? みたいな話になっていて。

僕の知っている出版社さんとかレコード会社さんとかコンテンツまわりのビジネスをやっている人たちが皆「既存事業がヘタって来て新規事業やりたい」と言っていたんです。皆さんECにトライしたりされていましたが「事業として面白みがないのと工数がかかり過ぎて大変だ」と言っていたので、そういった会社が新規事業としてクラウドファンディングを展開すればいいって直感的に思いました。

企画力もコンテンツも持っている人が周りにいっぱいいて、そもそも社内にだって協賛が欲しい!と言っている案件がたくさんあるから、コンテンツで食べているメディアとかの新規事業に最適だ!と思って何社かを回ったんですが「ビジネスが理解が出来ません、というか放送や誌面を使ってネットでお金を集めるなんてのは大変危険な行為では?」みたいな感じになってしまって、創業早々いきなりプランが崩れ……。いかんなと(笑)。そもそもシステム出来てないのに営業してしまってたのもあったんですが。

目に見える形で示そう。リアリティを作ろう。

沼田:ということで自分たちがリアリティを作って行かないとダメだなと思いまして、自分たちで「GREEN GIRL(グリーンガール) 」というクラウドファンディングをはじめました。

ただCampfireさんとかReadyForとかみたいにオールジャンルなところと一緒のマーケットに行くと、将来的に企業に売り込みをかけるときに差し障りがあるかなと思いまして。特化型のクラウドファンディングをするとこんな感じの事業になりますよ、ということを見せたいと思って作ったので、あえて女性特化というニッチな市場で始めました。

GREEN GIRLを始めたもう一つの理由はASPシステムを作るために資金調達をしなきゃいけないというのがあって、そのためのロジックとしてGREEN GIRLのサイトを見せて、「メディア企業などに新規事業としてこういうサイトを開設しませんか?という案内をし、横展開して、最終的にまとめサイトみたいな感じでプラットフォーム化します。そのための開発資金が必要なので投資をして欲しい」というプレゼンをしていました。

まあ、さらっと振り返ってるんですけれども実際には地面をはいながら積み上げでここまで来た、というのが正直なところです。今はようやく当初構想していたことを実現し始めていて、GREEN FUNDINGというトップのモールのページがあって、例えば千葉のbayfmさん、出版社の東京カレンダーさんとか伊勢丹さんとか、電通さんの子会社さんとか15くらいのパートナーの皆様と、スポーツとか食とか地域とかに特化したクラウドファンディングサイトを展開していて、それらのサイトのプロジェクトがGREEN FUNDINGに集約されているというビジネスモデルになっています。 

またGREEN FUNDING直営サイトもあります。ASPを販売しに行った時に一発で決裁を取ってくれない会社も多い。例えば放送局にASPの案内に行った場合などに「面白そうだね、でもうまくいくかな?」みたいな感じになるんです。そんな時は「じゃあ番組で一度単発のプロジェクトをやってみませんか?」っていう感じでこちらのサイトを事業化の実験場としておすすめしています。

サービス内容について

沼田:料金体系ですが、直接プロジェクトを見ますよという直営サイトでの起案は、日本の相場である20%の手数料を成果報酬でもらっています。たくさんプロジェクトをやりたいお客さんは自分たちでASPシステムをレンタルしてやってもらった方が手数料が安くなります。

ASPの貸出は2プランがありまして、システム貸しだけのプランと、システム貸し+私や宮下とかが一緒に定例ミーティングして「こういうことやっていきましょう」というサポートをする共同運用プランです。システム貸しだけの方のフィーは決裁手数料込みで9%、システム貸し+サポートの方は12%のレベニューシェアになっているので、最初の直営サイトの方も含めると20%、12%、9%の成果報酬プランの3プランでやらせてもらってます。

クラウドファンディング事業者から見たクラウドファンディングの課題

沼田:お客さんでいうとメディアさんが多いです。クラウドファンディングって各サイトの告知力が弱いという問題が割とよく指摘されるんですれども、メーリスとかでプッシュしても、支援ってECやグルーポンほど単純には伸びないんですね。これはやってみてわかったことなんですが。実際KickStarterなんかも支援者の好みに合わせてプッシュしたりアプリとかを活用する方向を模索しているようです。

よくKickStarterで起案すると集まるって言うんですが、のれんみたいな物で、実態はどこのサイトが集まりやすいとかって結果論なのかもしれないです。クラウドファンディングが難しいと思うのが、例えばSEO対策とかしてもそんなに支援って増えないんです。

要は家に帰って来て今日暇だなと思って支援する人っていなくて。ソーシャルメディアとかでシェアされやすいようないわゆる関心が強い人が何かにつけて見に来てくれたりとか、プロジェクトが魅力的で拡散の種になることが大切で、サイトの箱をアピールすること自体にはそんなに意味がないと僕は思っていて。

日本のクラウドファンディングが伸びないって言われたりしてるんですけど、目先のテクニックに走ってしまっている部分はあるかな、と何となく思っていて。みんな誰に向いているかというと、起案したい予備軍を向いちゃってるんですね。

実際、「クラウドファンディング」って検索すると「資金調達を確実にしたいなら〇〇へ!」ってかいてて、「サラ金か」みたいな(笑)。集まるか集まらないかは努力やアイデア次第ですから当然確実に集まるなんてことはありません。GREEN FUNDING全体でも成功率は7割くらいですね。

期待値をコントロールしなければ次の起案者の獲得にも繋がらない。

沼田:そういう風に起案者を煽るみたいな傾向があって。あともう1つ問題だと思うことが「ウチであれば集まります」と過剰にアピールするようになっていることです。例えばテレビ局さんがクラウドファンディングやってて「ウチで起案してくれれば地上波で流すから支援集まるよ」って言ってくれれば納得感あると思うんですが、そうじゃないところって実態と違うわけですから過剰なプレゼンテーションになるわけですよ。

で、結講起案した人は期待値が高かっただけにちょっとやられたというか、グルーポン系サービスが加熱した時のように問題になった「掲載してみたけど結果損した感じ」を体験してしまう起案者が一部いらっしゃるのかなと。そういうマイナスの体験が次の起案者を呼び込まない理由の1つになってしまっているのかなと。

GREEN FUNDINGではこの問題は真摯に考えていて、例えば直営のサイトが利益率高いから直営でやろう、とかそういうことはせずに、パートナーのサイトでやればこういうことは出来ますよ、ということは伝えていて。

例えば千葉でピーナッツ作ってる若者から相談を受けたら、では千葉のbayfmさんのサイトにで起案されてはどうですか? とか提案します。本当のことを伝えて、起案者の皆様に納得してからプロジェクトに臨んで欲しいからです。起案者が一番クラウドファンディングを使って資金を集められる方法、支援者と繋がれるベストな方法を、常に俯瞰的に見るようにしています。

直営サイトでは象徴的な企画を入れていく。

沼田:もちろん直営サイトっていうのは象徴的な場なので大切にしています。最近ですとアイドルの案件を直営サイトの方でやったんですが、それを見て新しく「こういうプロジェクトをやるといいんじゃないか」と思ってくれた会社があって、パートナー契約につながりました。

そういう会社さんは僕らよりもアイドルのプロジェクトをたくさん起案できる会社さんなので、今後さらにモール全体も盛り上がっていくと思います。直営サイトで象徴的なことをやりながらパートナーサイトを盛り上げて行く、ということを積み重ねていきたいです。

モール型クラウドファンディングの成功事例

沼田:日本で日本なりのローカライズして残ったサービスやってるところって、楽天さんしかりZOZOさんしかり、海外のモデルを参考にしているけども、完全にただのマネではない気がしています。

例えばKickStarterが日本に入ってきたときにも、どういう風に差別化するか? どういう状況を作ればいいか? と考える中で、BtoBでネットワークを作ってしまえば参入障壁になるのではないかというのもあってこのモデルをやっています。日本人て貸し借りも大事にしますし(笑)。

結果として時間がかかってしまうモデルをとってしまたのかもしれないですが……そんなこと考えないでいけいけどんどんでやっていけばホントは良かったのかもしれないんですけど……。

逆算して大きくクラウドファンディングの事業やるためにはどういう形でやるのがいいのかを最初に長く考え過ぎて時間が長くかかってるのかなとは思いつつ、最近ようやく最初に考えていたことが少し実現出来て来ているのかなという気はしてきています。

さまざまな成功事例が生まれて来ている

沼田:これは直営で掲載したプロジェクトなんですけど、こういった企画って地元のスポンサーに頭下げて50万で10口取れたらやる、みたいなものだったんですけどそれをファンを中心とした皆の力で実現ましょうというのを実現した事例だと思ってます。

こういうプレイヤーがクラウドファンディングを使う事例はどんどん増えると思ってまして。クラウドファンディングってすごい面白いのが、ウチだと中央値でいうと5000円とかそれくらいなんですね。ECとあまり変わらない。

でも平均だと1万円超えてるくらいなんですね。何かと言うと高額を入れる人が少しいるんです。例えば30万で柳沢さんのサイン入りユニフォームに入れる人がいるんです。

これって企業のスポンサーの金額と同じくらいなんですけど、それを実際に個人で出す人がいると。そういうのが平均を引き上げる傾向があってですね。もちろん人数で言うと3000円とか5000円が多いんですけども3万円とか5万円出す人もいるので平均が上がると。

あとこれはBayfmさんとやった、ディスクジョッキー(DJ)さんが考えたプロジェクトで、震災の支援をボランティアでやっているDJさんが出会った津波を乗り越えた漁師さんの話を後世に残そうということで水墨画のアーティストさんと一緒に絵本を作るというプロジェクトをやったんです。

これなんかも手数料で儲けようというよりも、放送局として新規コンテンツをやるに数百万とはいえリスクはとれない。クラウドファンディングでこれだけ支持されているという実績を可視化し、次の話として、企業協賛をつけるとか流通に流すなど広げていく、そんな展開をイメージしています。

既存の他のクラウドファンディングとは違う使い方をしてくれているというか、ビジネスでどうクラウドファンディング使うかというよりは映画のマーケティングに使うとか、新規コンテンツの開発の為に使うとか、リスクヘッジのために使うとか、各社さまざま工夫をされていて。

ほんとに不思議なんですけど僕たちがめちゃくちゃ「こういう風に使ったらいいですよ」と提案しなくても、逆にみなさんから「こういう風にしたらうまくいきませんか?」みたいなことを言われてなるほどと思う事も多くて。その集合知みたいなものを他の方にもフィードバックできる、それがモール型の強みだと思います。

単体ビジネス以外の収益モデルでクラウドファンディングを活用する企業も

沼田:「手数料だけで儲かるのか」みたいな議論ばっかりだと、クラウドファンディングの本質を捉えていないかなと思っていて。さっきのBayfmさんの件とかも手数料とかもあんまり関係無くてですね、そもそも起案者がDJの方だったりしますし。

あと最近だと面白いのはミライブックスファンドっていうのを立ち上げたんですけど、これはウチと大日本印刷さんと大手取次さんの3社でやっているんですけど僕ら以外の2社は手数料を得ていないんです。

彼らはどうやって儲けているかというと、お金が集まった場合に例えば写真集とか本を作ったりする場合の印刷費が落ちてくる、流通することになれば取次会社さんが儲かる、いう考え方なんですね。

本を作りたいというプロジェクトだと印刷は必ず需要がありますので、先にある種上流を抑えるというか、お金を集めるこういうやり方がありますよっていうのを各出版社や編集プロダクションに啓蒙して、クラウドファンディングという手法を教えてもらったから今回は大日本印刷さんにお願いしようかという流れになると。これは手数料ではないところでも収益を出すモデルというわけです。

やっぱりテレビ最強ですね。

沼田:なのでモール全体としてはいろんなジャンルのお客さんを増やしていて。6月にローカル局がパートナーに加わるんですけども、今後はローカルの放送局さんなんかにもパートナーを拡大したいと思ってます。色んなマーケティングを見てきましたが一周して、やっぱりテレビは強いなと6年経って思っています。(※編集注:沼田氏は電通出身。)

いきなりキー局にパートナーになっていただくのは関わる人も多いので難しい部分も大きいと予想してますが、ローカル局ってほとんどオリジナルコンテンツのスポンサーって付きにくくなってきていて、昔の水曜どうでしょうとかってなかなか出にくくなっている。お金のリスクをとりにくいのでオリジナルコンテンツを作りにくくなってきている。

とはいえ地元の市役所とか県庁とか近いので、地元を盛り上げるための映画を作るとかなると一口乗らなきゃ行けなかったりする。そういう付き合い系でコンテンツは実はやらなきゃいけなかったりするんですね。一方、6大都市くらいになると視聴者が数百万人いて、スポンサーはつかないけど結講影響力はある媒体になってしまっていて。彼らの新規事業の1つとしてクラウドファンディングを見てもらえたらいいですね。

今までのお金の流れ方を変えたい。事業だと銀行とかVCが出す、逆にコンテンツだと企業の宣伝予算が出す、というところしかなかったと思うんですけどそれ以外の選択肢としてインターネットを使ってお金を集めるクラウドファンディングという方法が確立しつつあると思っています。

インディーズの映画のプロジェクトがモントリオールの映画祭に

沼田:あとこれなんかもすごく面白くて、ちょうど先々週公開された綾野剛さん主演の「そこのみにて光輝く」っていうインディーズの映画のプロジェクトなんですけど、モントリオールの映画祭に出品したら今コンペティション部門で残っていて、これが通ると「おくりびと」以来になるんですね。

この映画はかなりトーンが低めのヒューマニズムを描いた映画なんですけども、こういう映画って売れないと言われてしまっていて、邦画だと協賛とかほとんどつかないんですね。函館市の町おこしの一環で函館市がお金を出してなんとかギリギリ成り立っていて、宣伝予算とかがなくて、それでクラウドファンディングを使って宣伝予算がある程度集められたと。

すごくソーシャルメディアで盛り上がっていて、もちろんこれは綾野剛さんのファンが熱狂的だと言うのもあるんですけども、クラウドファンディングをやったことで支援した150人くらいの核の人っていうのは一番最初にソーシャルメディアをしっかりフォローしていて、ある種宣伝マンとしての役割を果たしているのかなと。

ソーシャルと相性の良いコンテンツ×クラウドファンディング

沼田:映画のプロデューサーが投稿して「ぜひ皆さんにもこれは拡散に協力して欲しい」とか言うと100人とかが協力するわけです。お金だけじゃなくてツイッターとかFacebookの核の人間をクラウドファンディングを使って集めてしまったので、それが事前の盛り上がりに一役買ってたかなという気がしていて。

ソーシャルメディアとクラウドファンディングって表裏だし。お金が集める段階でもソーシャルメディアってすごく大事だし、お金が集まった後もソーシャルメディアにもう一回その人たちを戻してそこからマーケティングをタダで出来るという。お客を払ってないのに本人たちが積極的に、というかお金をむしろ頂いた人たちがかえって頑張ってくれているという。そういうところがすごく今風で面白いかなと思っていて。

興行もすごく今調子良いみたいで。クラウドファンディングを通じて生まれたコンテンツが世の中を動かして行くと、なんというかよりやってる意味があるかなと思っていて。

こういうところに繋げて行かないとダメかなと思っていて。だから結講僕たちのところで協力してるプロジェクトがこういう良い事になりました、というのは積極的に出すようにしてるんですけど、そういうことすると支援してくれている人もより喜ぶ、みたいな。

クラウドファンディングで個人がラジオで番組を持った

菅原敏『詩人天気予報』明日1/7(火)の天気

沼田:これは個人がお金を集められたらラジオで1ヶ月間番組を持つというプロジェクトだったんですけど。詩人の方がやってるプロジェクトで。クラウドファンディングが成功して、bayfmさんで4月に1ヶ月ミニ枠の番組を持ってたんですけど。

――結講シェアされてますね!

沼田:局所的ですが非常に盛り上がりました。

宮下:これはYoutubeですごく話題になって。明日の天気を詩を詠むように読み上げるという。かなりバズってて。元Yahoo!の方ですね。IT周りの方が詩人になったという(笑)。

沼田:リスナーという個人に協賛を呼びかけるっていうのはメディアなど、コンテンツ事業者にとっては新しい取り組みですよね。もともとコンテンツって面白いと思って作ってそこに営業がいてマッチングするところを見つけて来て協賛だったり提供を取ったりして来てたと思うんですけど。今はその原則が崩れてきてしまっている。

営業サイドの意向あり気でコンテンツが作られるケースが増えてきている。Bayfmさんはもちろんそんなことないですが、例えばラジオ局の中にはパーソナリティーを選ぶ権利が無いところとかあったりするんですね。番組毎にスポンサーの意向ですべて決める、編成権すら失い始めているという。そうなると基本的には面白いものって生まれにくくなる。

コンテンツ事業者も利益を追求する会社ですからお金がなければどんどんクライアントの意向がに左右されちゃうコンテンツって特に増えちゃうのは当然といえば当然なのですが。たとえば音楽の曲作りとかですらそもそもCMで使うからこういうの書いてくれとか、それかなり問題かなと思っていて。

日本でクールジャパンとかなんとか言ってますけど、結局お金の流れ方が同じように企業から流れるとか大きな会社からしか貰えないってなると、昔のアニメみたいなコンテンツってもう出来ないだろうと思って。

理想論かもしれないですけど面白い番組とか面白い曲とか面白い漫画とかって相当尖ってないと作れないじゃないですか(笑)。電化製品とかも売れない中で、コンテンツって日本の一番誇れる残されたものの1つだと思うんですけど、このままいくとよくいわれるようにヘタってしまうのかなと。

ある種コンテンツのインキュベーションみたいなことをしている感覚っていうのを僕たちは持っていて、スタートアップのインキュベーターじゃないですけど、コンテンツが売れて行くための、資金調達とネットのマーケティングを手伝っているイメージなんです。

マーケティングとしてのプラットフォーム、コンテンツ制作者、メディアの3者の協力が成功のカギ

――さきほどプラットフォームの箱自体をアピールすることは意味がないというお話がありましたが、プラットフォームの存在意義っていうのはどういうところにあるのでしょうか? 企画やプロモーションにはどのように関わっているのですか?

沼田:たとえば先ほどの詩人天気のケースでは、詩人の菅原さんは元々私の妻の知り合いで紹介されました。「面白い人がいるよ!」ということでまずはお酒を一緒に飲み、ラジオ番組を持ってみたいという企みを伺い、どうやってクラウドファンディングで実現するかの企画の骨子を話し合いました。

たとえば「事前にソーシャルを使って話題を創り、事前にファンをつけてから始めるといいですよ」とかアドバイスをしました。それをうけて実際にYouTube企画を練り上げたのは菅原さんですが。

このプロジェクトはBayfmさんのサイトで起案されたので基本的なプロモーションはbayfmさんが放送やSNSで行ってくれて。で、あとウチが中心になって、各種ウェブメディアさんにプロジェクトを紹介し、取り上げていただきました。

やっぱり放送局はパワーあるんですね。支援者の一定数はBayfmさんのリスナーさんだと思います。コアなリスナーの方はいますし、twitterのフォロワーとかもかなり多いんですね。放送が一番強いんですけど、放送局さんが持っているSNSや関わっているパーソナリティのソーシャルメディアとかもかなり影響力ありますね。

あと距離が近いというか、ファンたちが少なからずいるんですね。パーソナリティーがバーっというとコアなリスナーが影響受けて反響が出るという。コアに支持されていればそれでプロジェクトは成り立ちます。

さっき平均単価が1万円と言いましたが支援者500人集めれば500万円が集まって、支援者3000人集めれば3000万円が集まるという。1万部本を売るのは大変かもしれないですけど、3000人の支援を集めるのって実はそこまで難しくないかもしれない。

みんな大好き、売上と利益の話

沼田:開始一年でモール全体では会員が1万2000人を超えました。設定しているKPIはシンプルで流通額と会員数。パートナーが増えれば会員と流通額をそれぞれ上げて行けるので、日々私と宮下が新規パートナー開拓に動いています。最近では地方局などにもお邪魔して「パートナーになってくれませんか」と話をしてるって感じですね。

――グラフを見ると直営サイトの流通額も伸びてるんですね。

沼田:この伸びは実はあんまり予想してなかったんですけど、モール全体が盛り上がることで全体のブランディングが上がった結果なのかもしれません。昔のZOZOさんじゃないですけど、UnitedArrowsとBeamsといろいろ買えるECサイトという認識から途中から「ZOZO」が有名になったみたいな?GREEN FUNDINGというモール全体が活気づくと、直営サイトのプロジェクトも自然ともっと規模の大きい物が増えると思っています。

どうしてもまだプロジェクトの単価がアメリカとかに比べると全然低いので手数料ビジネスとしてはそこが大きくならないと(かかる工数は数百万のプロジェクトでも数億円のプロジェクトでも100倍は変わらないと思うので)プロジェクトの単価を上げることが課題ですね。

コツコツやりながら盛り上がりそうな案件が来たらしっかり成立まで導く! というのが今やるべきことだと思っています。

モールってパートナーさんと一緒に盛り上げていかなければいけないので、一朝一夕でできるものではないんですね。最初のうちは「クラウドファンディングのシステムを借りる」という認識のパートナーさんが多かったと思うのですが、モール自体に力がついてきてようやく「GREEN FUNDINGというモールに出店してる」という認識になってくれてきています。

世の中的にもGREEN FUNDINGっていう1つのサービスとして認知され始めてきています。でもまだ「クラウドファンディングまとめ」とかでうちのサイトも紹介されながらパートナーサイトさんも入ってるみたいな状況なので(笑)、1つのサービス群なんだよっていうのはサイトの共通感を出さないとダメだな、と。ということで現在絶賛大きなリニューアル中です。

(インタビュー・構成/Yuichi Kori)

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